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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
141/184

フェンリル族の里54

ここはどこなんだ?真っ暗で何も見えない・・・

それに、体がフワフワして宙に浮いているみたいだ。頭もボ~としている。

真っ暗な世界なのに自分の手や体がハッキリと見える。俺は何処にいるんだ?


確かフローリアが短剣に刺されてから、あの陰険メガネが現れたんだよな?

フローリアが瀕死になって、それから・・・


はっ!フローリアはどうなった?あのままだと助からない!早く助けないと!

くそ!ここは何処なんだ!何が起こっているんだ!


「フローリアァアアアアアアアアアアアアアアア!」


俺の声だけが空しく響いている。



「心配するな。フローリアは無事だ。」

唐突に声が聞こえたが何も見えない。


「誰だ!どこにいるんだ!」

慌てて周りを見渡しても真っ暗な闇で何も見えない。


「そう慌てるな。私は敵ではないから安心してくれ。」

次の瞬間、俺の前に1人の男が現れた。その男の顔を見て俺は愕然とした。


「俺?」

「お前は一体誰なんだ?何で俺と同じ顔をしている・・・」


「ふふふ、私はワタル・・・、遥か昔のお前だよ・・・」


何だと!やはりあの光景は過去の俺が実体験した記憶だったのか。それにしても何で今になってこんな事が起こったのだ?


「ほう、あまり驚かないな。さすが私の生まれ変わりだよ。」


「いや、過去にも似たような経験をしていたからな。そうなると、ここは俺の魂の世界か?」


「そうだ、ここの事が分かっているなら話が早くて助かる。この魂に封印されていた邪神王の魂が解き放たれた事により、私の意識が蘇った。ここで見させてもらったが、ソノカの生まれ変わりであるフローリアはとんでもないな。邪神王を滅ぼす為に私が色々と計画していたのに、それを完全に無視してあっという間に滅ぼしてしまうとは・・・、規格外にも程がある。あれは完全に異常な存在だよ。アカシック・レコードさえ彼女を恐れている。誰も手が付けらない存在とは彼女の事なのかもな。生まれ変わったソノカがあんな存在になってしまうとは一体何があったのだ・・・」

「そんな存在に目を付けられたお前には、ある意味同情するよ。ここから見ていても彼女からは絶対に逃げる事は不可能だと思う。目を付けられたのが私でなくて良かった。心底ホッとしている。まぁ、最後にあんな面白いものが見れて良かったよ。」


フローリアはそんなに凄いのか?

あぁ、でもフローリアなら確かにやりかねんな。冷静に考えるとあの時は確かに死にかけてはいたが、アイツは絶対に死なないだろうな。そもそもアイツには俺達の常識が通じないし・・・

ずっと一緒にいるから、アイツの異常性に慣れてきているみたいだよ。そんな事に慣れている俺もどうなのかと思うけどな。

それにしても、まさか俺のご先祖様にもブルーと同じ事を言われるとは思わなかった。

フローリア・・・、お前は一体何者だ?もしかしてヤンデレの最終進化形態がフローリアなのかもしれん・・・


全てをぶっ壊す究極の存在に・・・


「ふふふ、想いの力は計り知れないな。」

「私の生まれ変わりである蒼太よ、神界の未来は任せた。」


ちょっと待ったぁああああああああ!俺はそんな大それた事は出来ないぞ。そもそも創造神になるつもりも無いし、平穏な日常を希望しているんだから。

何か嫌な予感がする・・・、意識だけの存在のはずなのに冷や汗が出てきた。

もう1人の俺が俺の肩をガシッと掴んだ。そして、とても良い笑顔になっている。


「蒼太、別にお前が創造神となって神界を統治しろとは言わないさ。今の創造神は素晴らしいからな。さすがはガイの生まれ変わりだ。」

「お前の役目はただ1つ・・・、フローリアを幸せにする事だ。いや、役目というよりは使命だな。彼女はこの神界どころか全ての平行世界すらも、想いの力で破壊できる存在なのだよ。想いだけで全ての現象をねじ曲げるなんて誰が想像出来る。ある意味、究極の破壊神かもしれん・・・、だが、その力は全てお前への愛だけに注がれている。お前が彼女のリミッターなのだよ。まぁ、彼女の愛がとてつもなく重いのは仕方ないと諦めてくれ。確かに重いけど、普段は理性的で話が分かって大人しいし、あんなにキレイで尽くしてくれるんだ。男としては最高の奥さんではないのかな?まぁ、仲良くやってくれ。お前が犠牲になるだけで世界が平和になるからな。ははは・・・」


あのぉ~、犠牲と言われて笑える状況ではないのですが・・・

というか、俺はフローリアの人柱か?よくよく考えるとあながち外れでない気もする・・・

あのフローリアだからな・・・、確かに暴走した時は大変だけど、そんなフローリアも可愛いと思っている俺もいる。本気で俺の事が好きだって分かるから嬉しい。


まぁ、覚悟を決めるしかないだろうな。要はフローリアを暴走させなければ、俺も世界も平和な訳なんだし・・・


「ふふふ、そういう事だ。お前がどれだけ世界に必要な存在か分かったか?」

「消えゆく私からの餞別だ。私の知識とスキルに時魔法をお前に授けよう。あのフローリアの力には到底及ばないが、少しは役に立つと思うぞ。」


「ご先祖様・・・」


「これで私の心残りが全て無くなった。安心して消える事が出来る。もっと色々と話をしたかったが、あまり長いと彼女が痺れを切らして、お前の意識を無理矢理にでも連れて行くだろうな。」

「さらばだ。彼女とは末永く幸せにな。ソノカの叶わなかった幸せの分も一緒に頼むぞ。」


その瞬間、俺の体が浮き上がって上に昇っていく。上を見ると光が見えた。その光に向かって昇っているみたいだな。そして、俺はその光の中へ吸い込まれていった。




「行ったか・・・」

ワタルが蒼太の吸い込まれていった光を見つめていた。徐々に光が小さくなり消えた。

「さぁ、私は眠りにつくとしよう。永遠の眠りにな・・・」


「旦那様・・・」


「その声はアヤノか?どうしてここに?」

人族の姿をしたアヤノがワタルの後ろに立っていた。そしてニコッと微笑む。


「旦那様が私達の魂を繋げてくれたじゃないですか。その繋がりを辿って旦那様のところに来ました。旦那様が1人じゃ淋しいかな?と思って・・・」

「私も旦那様の永遠の眠りにお供しますよ。ソノカは生まれ変わって蒼太様にベッタリですから、今は私が旦那様の1番の妻になりますね。ふふふ、2人で一緒なら永遠の眠りでも淋しくないでしょう?現世ではあまり長く一緒にいられませんでしたが、これからはずっと一緒です。永遠に・・・」


「アヤノ・・・、ありがとう・・・、お前には苦労ばかりかけさせたな。」


「いえいえ、全然苦労とは思っていませんでしたよ。全ては旦那様の為・・・、それが私の生きがいでした。旦那様はかつて未来を諦めていた私に希望を与えてくれましたからね。フローリア様の言葉ではありませんが、私も旦那様への想いは誰にも負けていないと思っていますよ。」


アヤノがヒシッとワタルに抱きついた。ワタルもアヤノを優しく抱きしめる。

「旦那様、愛してます。永遠に・・・、もう2度と離れません。」


「アヤノ・・・、私も愛している。ずっと一緒にいよう・・・」


抱き合ったままの2人の姿が徐々に薄くなり、満足そうな表情で消えていった・・・




全身が光に包まれ眩しくて目が開けられない。前はこんな経験は無かったのに・・・

眩しさが和らぎ目が開けられるようになって目を開けると、目の前には一面黄金の草原が広がっていた。俺は1人佇んでいる。


ここは?


キョロキョロと周りを見渡していると、目の前にシズカとマドカが現れた。ニコッと俺に微笑んでくれる。

そして2人の後ろにシスターズも現れ微笑んでくれた。

みんなの嬉しそうな顔を見ていると、俺の頭の中のご先祖様の記憶が蘇った。


そうか・・・

彼女達はかつてのご先祖様の妻達、生まれ変わって再び夫婦になる為にスキュラ族に転生して俺の前に現れたのだな。記憶は無くしても想いは忘れていなかった。それで俺との結婚をあれだけ希望していたのか・・・

出来れば彼女達の希望を叶えたい。でも、フローリアと要相談だな。俺の一存では決められないし・・・、すまん・・・



彼女達がスッと消えた。

ランス、ギルマスにゴンザ夫婦、それにゴンザ軍団だと!マジかい、かつての仲間だったとはな。道理でいつも俺達の周りに集まって来た訳だ。

隣の教会のシスター達も一緒にいて微笑んでくれている。

んっ!後ろにケーキ屋のウエイトレス達ももいるぞ。春菜が出禁になってからは、お土産として買っていく時にいつも俺にケーキを渡してくれたな。まさかこんな繋がりだったとは・・・



彼等が消えた後に、義父さん達や族長達が現れた。

義父さんもかつての仲間だったのか・・・、それに義母さんと霞がなぜか大人バージョンだ。2人揃ってとんでもない美人だよ。霞は相変わらずの忍者装束だけど・・・、これが本来の姿なんだな。今は・・・、そうか・・・、俺からは聞かないようにしよう。その時になれば義母さん達から話してくれるだろう。

それにしても、族長達もかつての仲間だったとは思わなかったよ。族長と氷河に嫁いだスキュラ族の彼女達も昔は夫婦だったのか。

シスターズもそうだけど、やたらとスキュラ族が揃って恋に目覚めたのはそういう事だったのか・・・、ご先祖様がスキュラ族を保護してからはスキュラ族は安全になった。さすがに全員をスキュラ族に転生する訳にはいかないとしても、戦う力の無かった妻達を転生後も安全に過ごせる方法としてスキュラ族に転生させたのだな。歴代の創造神が約束を守ってくれることを信じて・・・



次はアカにミレニア?それにミドリか。ドラはキレイな人と一緒にいる。一緒にアクア達もいるな。

そうか、かつてのご先祖の子供達も俺の子供として生まれ変わったんだな。よし、もっと可愛がってあげないといけないな。

ミドリは・・・

マジかい・・・、かつてはご先祖様のストーカーだったのか。今もそんな雰囲気はあったよ。まぁ、俺と結婚した事だし本人も満足したのではないかな?

それにしても、ミレニアがアカの腕に抱きついて寄り添っているぞ。お前らいつの間にそんな関係になったのだ?全く気が付かなかったよ。邪魔したら悪いから知らないフリをしておこうかな。

ドラは故郷に戻った時に一緒に戻った1人と結婚したとアカから聞いたが、本当にキレイな奥さんだな。じゃあ、奥さんも人化出来るっていう事か?この2人を見ているとゴンザ夫婦と重なって見えるのは気にしないでおこう。



アカ達が消えたと思ったら凍牙がサムズアップしながら出てきたぞ。

うおっ!何だ!凍牙の後ろにいる女性達の数は!お前、本当にモテていたんだな・・・、俺よりもハーレムしているぞ。

凍牙の後ろにいるサクラ、ガーベラ、冷華、雪、ミツキ、ミヤコ、レイラの7人はもう凍牙と結婚してるけど、一緒にスキュラ族の凍牙追っかけ隊もいるぞ。里で見た人数よりは減っているが、それでも数人は覚えているな。

凍牙、頑張れよ。戻ってから説明するが、ちゃんと彼女達を受け入れないとご先祖様の悲願が達成出来ないからな。でも、ヤキモチ焼きが多い連中ばかりだから、毎日が大変なのは目に見えて分かる。ホントお前の境遇には同情するよ。俺よりも大変かもしれん・・・

それに冷華の後ろにはレズ軍団もいるぞ・・・、彼女達は一体・・・

そうなのか・・・、冷華はかつてオーガ族の姫だったのか。何だと!ご先祖様の記憶だけど、かつての冷華は今と同じ顔だ!あの筋肉達磨のオーガ族が・・・、美人でスタイル抜群なオーガ族がいたとは信じられない。そしてレズ軍団は嫁いだ姫の護衛として一生影で守っていたと・・・、嘘だ!記憶にあったかつてのレズ軍団も美人揃いだ!当時のオーガ族に一体何があった?今のオーガ族からは本当に信じられない。まぁ、それで冷華に対してかなり執着していた理由が分かった。

しかし、今の時代でレズ軍団はどうしようか?冷華信者には間違いないから、冷華の近くにいるのが1番だろうな。う~ん、扱いが難しい集団だぞ。フローリア相談案件が増えた・・・



凍牙達の次は・・・

夏子に渚、千秋、美冬、マリー、ルルを抱いているララが現われる。

やっぱり彼女達もかつてのご先祖様の妻だったのか。ルルもアクア達と同じように俺の子供に転生していたとはな。

みんなお付き合い期間無しで告白されて結婚したんだよな。俺と会った事でかつての想いが甦ったのだろう・・・

でもな、俺はそんなの関係ない。俺もみんなが好きなんだ。前世は関係ないよ。これから俺達で未来を作っていけばいいからな。みんなが幸せになる未来をな。



みんながニコッと微笑んで姿が消えた。

春菜がスッと現われニコニコしている。次にアイリスが大人バージョンで現われた。そしてアヤが赤ちゃんを抱いて現われる。

あれ?あの抱いている赤ちゃんはガーネットでは?まさか?前世のアヤの赤ちゃんが今のガーネットなのか?

そうなんだろうな。確か昨日のガーネットはアヤに懐いていたし・・・

そう考えるとヤバイ・・・、ガーネットを巡ってフローリア、義母さん、アヤの三つ巴の戦いが始まるかも?

フローリアと義母さんのガーネット愛は尋常じゃないし、アヤもこの感じなら自分の子供としての感情を持っている感じがする。ガーネットを取り合って3人がにらみ合いしている姿が頭に浮かんだ。

今の俺は精神だけのはずなのに冷や汗が出てくる。なぜだろう?俺が三つ巴の戦いに巻き込まれる未来が見える。俺は誰の味方にもならんぞ!頼むから平和的にガーネットの世話を頼む!


春菜がニコニコ微笑んで俺の腕に抱きついた。

『あなた、ガーネットも可愛いけど、私も早く2番目の子供が欲しいです。今夜は頑張りましょうね。ふふふ・・・』

何で春菜の声が聞こえるんだ?もしかして、春菜もフローリアの域に近づいているのか?俺の魂の世界に干渉が出来るまでに・・・

アイリスも春菜の反対側の腕に抱きつく。

『パパ、帰ってきたら私を魔法で今の姿のように大人にしてね。サクラに頼んでも良いけど、パパの時魔法で大人にして欲しいの。やっぱり子供ままだと嫌!頼んだわねパパ、大好き!』

ニコニコ笑ってアイリスが俺を見ているが、何で俺が時魔法を使える事を知っているんだ?思わず上を仰ぎ見てしまった。

チラッとアイリスを再び見ると・・・

にやぁ~と笑って俺を見ている。

『パパ、私はねぇ、パパの事なら全部分かっているからね。フローリアママには負けないわよ。いつかは私がパパの1番になるからね!ふふふ・・・』

おわぁ~、新しい修羅場が始まりそうだ。

フローリアにフローリア級の嫁が2人・・・、俺の精神が持つのか?

2人がスッと離れた。春菜がニコッと微笑む。

『ふふふ、冗談ですよ、あなた。私達はまだフローリア様には遠く及びませんからね。でも、アイリスには負けるつもりはありませんよ。1番がダメでも2番は譲りませんからね。』

アイリスもニコッと微笑んだ。

『春菜ママ、その言葉は私のセリフだよ。私がパパの2番目になるんだからね。ママには負けないよ。大人になった私の魅力にパパはメロメロになるんだからね。』

2人がお互いにニコニコしながら見つめ合っている。しかし、俺には分かる。2人の視線が激しい火花をあげているのが・・・


頼む!ここでバトルを始めないでくれ!お前達2人が本気でここで戦ったら俺の魂が吹っ飛ぶぞ!


『こらぁああああああ!私を無視して話を進めるなぁあああああああああ!』


クローディアが腕を組んで仁王立ちで立っていた。

評価、ブックマークありがとうございます。

励みになりますm(__)m

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