さあ!街へ
仕事がちょっと一段落したので更新します。
「はぁ・・・、美味しいです・・・」
「朝から旦那様の手料理を食べられるなんて、こんな幸せな事はありません・・・」
「そう言ってくれて素直に嬉しいよ。料理を作る人にとって、美味しいと喜んで食べている姿を見るのが一番だからな。」
「蒼太様、この茶色のスープですが、美味しい上に心がホッとするのですが、何でですか?」
「それは俺の世界では『味噌汁』と言われる飲み物だよ。朝食に欠かせないメニューの1つさ。」
「味噌汁・・・、私もいつか素敵な方に作りたい・・・」
「春菜なら大丈夫だろ。良い奥さんになれるかもな?」
途端に春菜の顔が真っ赤になった。
しかし、昨日の春菜のドジッ娘ぶりを見た後だとなぁ・・・
「・・・・・・多分。」
「蒼太様!酷いです!」
「「「「あははは・・・」」」」
食卓に笑い声が響く。やっぱりみんなで楽しく食べる食事は最高だ。
「んんん・・・!」
フローリアから少し黒いオーラが出ているぞ・・・
ちょっと春菜にちょっかい出し過ぎたか・・・
春菜は日本にいた頃の孫の1人とよく似ているから、ついついちょっかいを出し過ぎてしまう。
気を付けないと、また暴走されても堪らん・・・
そんな訳でみんなと朝食を食べているが、やはり1日の行動の原動力はちゃんと朝食を食べる事だと思う。
これからの異世界での旅ともなると、しっかり朝から食べてエネルギー補充をしなければ、これからの旅も辛いものになるだろう。
今日は初めての朝食なので、俺が一番好きな朝食メニューにしてみた。
フローリアの異次元冷蔵庫のおかげで、基本何でも手に入るし、フローリアには感謝しきれない。
メニューは
白米、豆腐とわかめの味噌汁、焼鮭、だし巻き玉子、納豆、ほうれん草のおひたし
これなら毎日でも飽きないが、他のメンバーだと飽きがくる事もありそうなので、ご飯以外にもパン食やシリアル食もローテーションしてみるつもりだ。
メニューの中でも納豆の反応が面白い。
春菜:う~~~ん、最初は戸惑いましたが、意外と悪くないかも?
夏子:ダメ!しかし、体に良いなら仕方ない。鍛錬だと思って一気に掻き込んで食べる!
千秋:このネバネバ感がたまりません!いくらでも食べれそう・・・
美冬:肉との交換を望む。
千秋の反応は意外だった。
「好き嫌いはダメだ!出されたものはちゃんと食べるのが作った人に対する礼儀だからな。」
夏子と美冬は悪戦苦闘していたが、何とか食べてくれた。
特に美冬は泣きながらだったし、ちょっと可哀想だったかな・・・
お昼はあの2人の好物でも作ってあげよう。
美冬はドラゴン肉のサンドイッチ確定だな。
それにしても・・・
この4人と一緒にいると前世の孫と一緒にご飯を食べている光景を思い出す。
本当に孫みたいなメンバーだな。
ちなみに・・・
フローリアは「旦那様の出してくれた食事を食べる事自体が幸せ~~~」と、相変わらずの平常運転だったりする。
家も収納し準備は整ったので街に向かって出発だ。
フローリアは
「さすがに私がずっと一緒にいると神殿の仕事に支障がありますので、残念ながらここでお別れです。旦那様の旅のご無事をお祈りしますね。」
「本音は?」
「そんなもん!一緒に行きたいに決まってるじゃないですかぁぁぁぁぁ~~~~~~!今すぐにでも女神の仕事を放棄したいくらいですよぉぉぉぉぉぉ!ちょっとでも目を離すと仕事をサボる馬鹿も多いし、くっだらない願いを聞く時なんか、無理してニコニコしていると表情筋にどれだけダメージが出ているか・・・」
「はぁ、はぁ・・・」
うん、いつものフローリアで安心した。
「きちんと仕事をしている姿のフローリアも素敵だと思うよ。そんなフローリアだから俺も安心して旅が出来るものなんだよね。フローリアも頑張れよ。」
「旦那様・・・、フローリア頑張ります。」
チョロい。
段々とフローリアの扱い方が分かってきた気がする。
「さてと、行くか。」
「旦那様、ご無事で・・・」
3日かけて街に着いた。
途中、何度かモンスターの戦いがあったが、さすがロイヤルガードの4人。全く危なげなく討伐するし、あの『収納家』のおかげで夜もしっかり休めるので、そんなに疲れずに着いた。
さすが異世界チート。フローリアに感謝しきれない。
「ここがサーチにあったバルムの街か。思ったより大きいな。」
外壁は高い城壁に囲われており、かなり大きい街なんだろう、城壁の端が見えない。
門のところにたどり着いた
門の脇には詰め所みたいなものがあり、どうもここで出入りのチェックを行っているのだろう。
門番がいたので話しかけてみた。
「ヨウコソ始マリノ町ヘ。」
「んっ!何だ?」
「こんにちは。」
「ヨウコソ始マリノ町ヘ。」
・・・
「こんにちは。」
「ヨウコソ始マリノ町ヘ。」
ちょっと待て!何かおかしい・・・
視界の端にフローリアらしき影が一瞬見えた気がした時・・・
フローリアがあらわれた
フローリアの攻撃
フローリアは蒼太に目潰し攻撃をおこなった
痛恨の一撃!
蒼太は目が見えなくなった
「ぐおぉぉぉ~~~」
フローリアは門番を抱え上げた
「そ~~~い!」
門番は星になった
「まさか、創造した時のバグがまだ残ってたなんて・・・旦那様にバレないうちに戻りましょう。」
フローリアは消えた
無事に証拠隠滅できたようだ
蒼太は目が見えるようになった
「い、一体、何があった?急に目に衝撃があって見えなくなったが・・・」
「よう!兄さん!急に目を押さえてどうかしたのか?」
さっきの門番だ。
あの言動は一体・・・
「い、いや・・・何でもない・・・」
やはり気のせいだったかな?
「俺は旅の途中で、この街まで来たんだ。入りたいが大丈夫か?」
「そうか。あんたは旅人か。もちろん大丈夫だぞ。ただな、身分証明が無いと簡単に入れないから、身分証明はあるのか?」
困った。そんなもの無いぞ・・・
「悪いが無いんだ。数日前にモンスターに襲われて、荷物をいくつかダメにしてな。その中に身分証明が入っていてな・・・」
とっさに嘘を付いてしまったが・・・
「それは災難だったな。後ろのネーちゃん連中はどうなんだ?」
「最悪な事に全員分なんだ・・・」
「そうか・・・、それは・・・俺の権限で勝手に入れられないしなぁ・・・、まぁ、方法が無い事も無いけどな。この街には冒険者ギルドがあるが、ここで身分証明を再度行えば問題ないだろう。」
「連れの者を呼ぶから、そいつと一緒にギルドへ行って登録したらどうだ?」
「あんたの提案に感謝するよ。良い人で助かった。」
「そんな事無いさ。あんたの連れのネーちゃん連中に何かあったら大変だからね。男ならこんなキレイな人を悲しませたくないだろ。」
この門番は多少の下心はあるみたいだが、どちらかと言えば善人の方だろう。
問題無く街に入れそうだ。
1人の若い男がやってきた。
「ビル、こいつらと一緒にギルドに連れて行ってやってくれ。途中で逃げ出すような悪人ではないと思うから安心しな。」
「は、はい!」
ビルと言うのか。
「それじゃ、ビル、ギルドまでの案内よろしくな。」
4人も俺に続く。「「「「よろしくお願いしま~す。」」」」
「ま、ま、ま、任せて下さい!」
ビル、顔がものすごく真っ赤だぞ。
モジモジしてるけど、案内大丈夫か?
「それじゃ、気~つけて行ってきな。」
「おう!」