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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
134/184

フェンリル族の里㊼

アヤがシスターズのメンバーに揉みくちゃにされているが、とても嬉しそうな表情だ。

クイーンとなったからには、里の者全員から恭しく扱われてしまうのが慣例みたいだが、このメンバーには関係ないみたいだ。本当に仲が良いのだろう。ミツキみたいな疎外感は無さそうで安心した。


ゆっくりとアヤ達の前まで歩いて行った。

メンバーが俺に気付き、慌ててアヤから離れて傍で膝をつき待機している。

本当にキッチリと訓練されているんだなぁ・・・、ここまでしっかりしていると、義父さんが『ワシの神殿の方で働らかんか?』と言いそうだよ。それは勘弁だよな。

ただ、アヤがまだフラフラなので、マドカがアヤを支えている。

アヤが嬉しそうな顔で俺を見ていた。


「アヤ、おめでとう。」


「ありがとうございます、蒼太様。こんなに嬉しい事はありません。」

マドカから離れヨロヨロとしながら俺の方へ歩き出したが、体に力が入らないのか倒れそうになってしまい、慌ててアヤを抱きとめた。

「す、すみません!神器解放で思った以上に魔力を消費してしまって、こんなに魔力を消費するとは思いませんでした。ですから、今は魔力がほとんど無いもので・・・、もっと上手くインフィニティを使いこなせるように頑張ります。」

申し訳なさそうにアヤが俯いてしまった。しかし、すぐに顔を上げ俺を見つめている。

「でも、こうやって蒼太様の腕の中にいるなんて幸せです。」

とても嬉しそうな表情だ。こんな顔を見ていると、俺もときめいてしまう。それだけアヤの笑顔が眩しい。

でも、なぜだ?何かずっと昔に同じ様な光景を見た気がする・・・、一体・・・

今はそのことは考えないでおこう。折角のアヤの勝利に水を差す訳にはいかないからな。


「アヤ、それなら丁度いいものがあるよ。左手を出してくれないか?」

アヤが不思議そうな感じで俺に左手を差し出した。

指輪を薬指に嵌めてあげた。

「こ、これは?」

アヤがジッと指輪を見ている。

「これはな、魔力を少しずつ回復してくれる指輪だよ。今の魔力枯渇に近い状態なら回復量も段違いにアップするはずだよ。それに、フローリアとクローディアの指を見てみな。」

自分の指輪と2人の指輪を見比べていると、ポロポロと涙を流し始めた。

「嬉しいです。お2人の指輪とお揃いなんて・・・、やっぱりこれは?」


「そうだ。これは俺達の結婚の証しとしての指輪だよ。アヤ、これで正式に俺の妻になったよ。おめでとう。」

アヤがギュッと俺を抱きしめてきた。

「私が生まれ変わったのは、もう1度蒼太様のお嫁さんになる事だったのですね。あの光景の通りに・・・」


んっ!今、何て言った!もう1度だって?

「アヤ、今、何て言った?昔の俺の事を知っているのか?」


「いえ、ほとんど分かっていません・・・、ですが、かつての私は蒼太様の妻だった事は分かっています。」

アヤが申し訳なさそうに俺を見ている。


『旦那様!今はそのような話をしない方が良いですよ。後でゆっくり聞きましょう。私もその話には興味がありますからね。』


『フ、フローリアか、分かった・・・』


「アヤ、すまん・・・、突然の事だったから少し驚いてしまった。悪いな・・・」


「私の方こそ申し訳ありません。変な事を言い出したのは私ですから。それと・・・」

アヤが真っ赤な顔で俺を見つめながらモジモジしている。

「ん、何か言いたそうだな。何だ?」


「い、いえ・・・、でも・・・」

更に赤くなってしまい、俺から目を逸らしてしまった。

「う~ん、そんなに恥ずかしい事か?」

アヤがコクンと頷く。か、可愛い・・・

「俺の出来る範囲なら、アヤの望みを叶えてあげるよ。何が言いたいのだ?」


「き、昨日の・・・」

アヤの顔が本当に火が出るんじゃないかと思うくらいに赤いよ。そこまで恥ずかしがっている事は・・・

ヤバイ!嫌な予感しかしない・・・、しつこく聞いてしまった事を後悔し始めている・・・

「昨日の凍牙さんが冷華さんにしてあげた事を、私にもして欲しいのです。あのお2人の姿にすごく憧れてしまって・・・、やっぱりダメですか?」


やってしまった・・・、何度も聞くのではなかった・・・、思わず上を仰ぎ見てしまった、

昨日の凍牙と冷華のあの光景が甦る。恥ずかしくて絶対に出来ないと思っていたけど、まさか、俺も同じ事をする羽目になってしまうとは思わなかった。


『旦那様、諦めて下さい。女の子がここまで言ってしまいましたからね。ちゃんと責任を取って下さいね。』

フローリアを見るとニヤニヤしている。クローディアも冷華も嬉しそうだ、俺の公開処刑みたいな状況を楽しんでいるな。

クローディアからも念話が届いた。

『旦那様、覚悟を決めて下さいね。まさか、逃げる事はないと思いますが・・・、ぐふふふ・・・』

クローディア・・・、後で覚えていろよぉぉぉぉぉ!


シスターズもアヤの言葉が聞こえていたみたいで、とても期待をしている目で俺を見ている。

何も言っていないけど、キ~ス!キ~ス!と心の声の合唱が本当に聞こえてきた気がしてきた。


えぇえええええい!俺も覚悟を決める!


アヤをお姫様抱っこした。とても嬉しそうに俺を見つめていた。しばらく見つめてから俺の首に両手を回して顔を近づけてきた。

「蒼太様、大好きです。もう2度と離れません。」


「あぁ、もう2度とお前を悲しませる事はしないよ。俺の我が儘で俺が死んでしまって、みんなに悲しい思いをさせてしまったからな・・・、でもな、これからはずっとみんなと一緒だ。もう別れることはないから・・・」

不思議だ・・・、なぜ、こんな言葉が自然に出たのだろう・・・


アヤが満足そうに微笑んだ。最高の笑顔だ。アヤが目を閉じ柔らかい唇に俺の唇を重ねた。


しばらく唇を重ねてからアヤの顔が離れた。アヤがニコッと微笑み、今度はアヤの方からキスをしてきた。

シスターズが拍手をすると、観客からも割れんばかりの拍手が起きた。

アヤの唇が離れた。幸せそうな表情で俺にギュッと抱きつき、拍手が止むまでアヤは俺に抱きついていた。



「アヤ、立てるか?」


「このまま蒼太様をずっと抱いていたいのですが、蒼太様も他にする事がありますからね。魔力も少し回復しましたので、もう大丈夫です。自分の足で立てますよ。」

アヤを降ろし立たせたが、しっかり俺の腕を組んで寄りかかっている。

まぁ、この状態でも問題ないだろう。次はマドカの番だな。


マドカの前に来ると慌てて片膝を立て頭を下げてきた。

「失礼しました。無様な戦いをお見せして申し訳ありません。」

う~ん・・・、シズカと同じくらい堅物だなぁ~、どうやって話をしようか?

アヤが俺にウインクしてマドカの隣に行きマドカを立たせた。

「マドカ姉さん、全然無様じゃなかったですよ。私もギリギリでやっと勝てたのですからね。クイーンと戦ってここまで追い込んだのは姉さんが初めてだと思うわ。だから、胸を張って。それに、蒼太様は堅苦しいのは苦手みたいですし・・・、ねっ!」


「そ、そうか・・・、アヤが言うなら・・・」

アヤ、ナイス!おかげで何とか話が出来そうだよ。


「マドカだっけ?俺から見てもすごい戦いだったよ。高速移動の分身なんか初めて見たし、純粋にすごいと思ったからね。」

マドカがとても嬉しそうにしているよ。

「それで、相談なんだけど、いいかな?」

嬉しそうな表情から真剣な表情に戻り、じっと俺を見つめている。

「はっ!何なりと申して下さい。私に出来る事なら何でもします!」


「いやいや、そこまで深刻に考えなくてもねぇ・・・、さっきフローリアと相談していた話で、マドカに我が家のメイドの1人になってもらいたいと思っているんだけど、どうかな?昨日は選ばれなかった全員がフローリアの神殿に行く話になっていたけど、我が家も人手が足りなくてな。」


突然、マドカが真っ赤になってブツブツ言っている。何で?

「蒼太様と一つ屋根の下での生活・・・、最高のご褒美です。メイドという事は蒼太様のお世話をするのね。もう結婚生活と変わりないかも?そして、蒼太様に認められてメイドから妻になれるチャンスが・・・」

そういう事か。でも、さっきまでの堂々としている姿もカッコ良かったが、こうして照れている姿も可愛いな。髪も青いし、キレイ可愛い系だから、照れている姿は何か昔の夏子を見ている気がする。夏子と気が合いそうだな。

「それと、我が家のメイドは2人いるけど、2人揃って俺の妻になってしまったから、神殿組よりも早くマドカにチャンスがあるかもな。」

「どうだ?」


「よ、喜んでご奉仕します!是非!蒼太様専属のメイドで!」

マドカが突然、俺の目の前に現われ手を握ってきた。速い!マドカの動きが全く見えなかった。さっきの試合の時よりも遙かにスピードアップしている。

それに近い!マドカの顔が俺の目の前ギリギリにあって、目がハートになって迫って来ているよ。マドカの後ろにいるアヤがニヤッと笑った。アヤ、何をする気だ?

「えい!」

アヤがマドカの背中を軽く押した。マドカの顔が目の前にあるから、マドカを押すとどうなるか・・・

マドカが倒れ込んでしまい唇が俺の唇と重なってしまった。いわゆるキスの状態だよ。突然の事だからマドカが固まってしまって、しばらくキスの状態が続いた。

状況を理解したのか、マドカが慌てて唇を離したが、次の瞬間、最大級に顔が真っ赤になって『ボン!』という感じで顔から湯気が上がり、そのまま倒れてしまった。


「きゃぁあああ!姉さんが気絶したぁあああ!」


アヤとシスターズが慌ててマドカの介抱ををしている。アヤが済まさそうに俺を見ていた。

「冗談で押したのに、本当にキスになるなんて思わなかったです・・・、ちょっとビックリさせようと思ってただけなのに・・・」

そしてマドカの方に視線を移した。

「でも、マドカ姉さんには最高のご褒美じゃないでしょうかね?気絶するくらい嬉しかったのでしょう。見て下さい、この嬉しそうな顔・・・、こんな表情で気絶するなんて・・・」

確かに・・・、凍牙が雪の胸で気絶した時の顔もあんな感じだったな。本当に幸せそうな感じだよ。

アヤがニコッと俺に微笑む。

「ですから蒼太様、マドカ姉さんを早めにお迎えして下さいね。私もみんなが早く蒼太様のお嫁さんになるのを祈ってますから・・・」


「お、おぅ・・・」



さて、後は1番の難題だな。俺とアヤはあの場所を見た。

「げっ!思った以上に沈み込んでいるぞ。もう首から上だけだ。」


「シズカ姉さん・・・」

アヤが心配そうに見ている。


それにしても、何であんな状態になるんだ?シズカは真面目な感じなのに、あんな事になるなんて想像もしなかったよ。真面目過ぎるからかな?ギャグも真面目に頑張っているのかもしれん・・・


「蒼太様・・・、シズカ姉さんは上に超が付くほど真面目な性格ですから、全力でギャグになるくらい真面目に悲しんでいるのかもしれません。リーダーとしてはとても頼りになるのですが、常に全力で真面目に取り組んでいるので、その分、損をしている事も多いのですよ。真面目で不器用な姉さん・・・」

やっぱりそうなのか・・・

アヤがジッと俺を見つめている。

「ですから、蒼太様・・・、そんなシズカ姉さんも幸せになって欲しいのです。私達はまだシズカ姉さんが心から笑っている姿を見たことがありません。蒼太様なら必ずシズカ姉さんを幸せにしてくれると信じています。」

うわぁ~、相当に面倒くさいキャラだよ。俺に扱えきれるか?



そんな訳でシズカの前に来た。アヤは俺の後ろで心配そうに見ている。

それにしても凄い状態だよな。シズカの周りの地面がすり鉢状に陥没して、その中心にシズカが体育座りでシクシク泣いている。周りの空気は凄く淀んでいるし、今にもシズカの周りだけ雨が降りそうな状態だ。

本当に真面目にギャグを頑張っているみたいだ。あり得んぞ・・・

「シズカ・・・、少しは落ち着いたか?」

ゆっくりとシズカが顔を上げ俺を見ている。涙と鼻水で美人が台無しだよ。

「そ、蒼太様ぁぁぁぁぁ・・・、私はダメなスキュラ族です・・・、盗み聞きした上に、あんな醜態を晒してしまっては、私は生きる価値すらありません。」

「このまま、私は地面に沈んで誰からも忘れ去られるのです。もう、私は戦う自信がありません。このまま森の奥でオークやゴブリンの慰み者になってしまう未来しか見えません・・・」


う~ん、重傷だ・・・

普通に慰めるのでは無理だ。ならば・・・


「そうだよな。俺とフローリアが期待していたシズカはもういない。ここにいるのは只の負け犬だな。たった1回負けたくらいで自信を無くして自暴自棄になっているヤツしかいない。負け犬は負け犬らしく尻尾を巻いて里から出て行くのがお似合いだよ。」


アヤが驚いて俺を見ている。

「そ、蒼太様、それはあまりにも言い過ぎでは・・・」


「俺が知っているシズカは、もっと堂々としていつも自信に溢れているスキュラ族だよ。そんなシズカだから俺は惚れたし、フローリアも俺との結婚に賛成をしてくれた。」

その瞬間、シズカの死んでいた目の奥が少し光った。

「勝負の結果に関係なく、特別枠で俺はシズカとの結婚を考えて結婚指輪を用意していたけど、もうコレは必要ないな。」

シズカに見せつけるように指輪を取り出した。シズカの目に少しづつ力が戻っているみたいだ。

「アヤ、お前はフローリア枠で優勝して俺の妻になった。シズカにその証を見せてあげな。」

アヤが俺の意図を分かってくれたみたいだ。そっと俺に寄り添ってきた。

「はい、旦那様。この指輪ですね。」

嬉しそうに俺に微笑んでから、シズカの前に見せていた俺の指輪の横に左手を差し出した。

「シズカ姉さん、これですよ。」


シズカの目が驚愕で思いっきり開かれている。

「お、同じ指輪・・・、ア、アヤ・・・、本当に優勝したの?」

アヤがゆっくり頷いた。

「はい、姉さんとの約束通りに優勝しましたよ。大変でしたけどね。」

シズカがワナワナ震えている。

「アヤが優勝・・・、そんなに頑張っていたんだ・・・、それなのに私は・・・、逃げる事しかしていない・・・」


「アヤ、もうこれは必要ないな。仕方ないからマド・・・」

シズカが突然立ち上がり飛び上がった。陥没していた地面も一瞬で元に戻っている。どんな原理だ???

飛び上がった姿が例の道頓堀にある〇リ〇看板のポーズと同じだ。今までのどんよりした空気は一体何だったのだ?変わり過ぎだぞ!

すごい勢いで俺の前で土下座をした。

これがジャンピング土下座というものか・・・

「謹んでお受けします。不束者ですが、末永くお願いします。」

ゆっくりと顔を上げ、俺と指輪を交互に見ている。シズカの表情がとてもうっとりしている。

どうやら復活したみたいだ。良かった・・・

このまま沈み込まれていても面倒だし、思ったよりも早く復活してくれて助かったよ。

でも、シズカのキャラが分からなくなってきたぞ・・・、まぁ、細かい事は考えないでおこう。

「シズカ、それじゃ指輪を嵌めるから、立ち上がってくれないかな?」

シズカが嬉しそうに微笑み、シズカの手を取って立ち上がらせ指輪を嵌めてあげた。

うっとりした表情で自分の指輪を見ている。

「これが蒼太様との結婚の証・・・、とうとう私も蒼太様の妻になったのですね。」

シズカがゆらぁ~と俺の方に振り向いて、ニャッと笑い舌なめずりを始めた。

こ、これは!出会った頃のフローリアの暴走時の行動に似ているぞ。俺の体内の危険察知のアラームが最大限に鳴っている!

「蒼太様・・・、もう我慢出来ません・・・、私の家はすぐ近くにありますし、今の時間なら家の中には誰もいません!さぁ!今から愛し合いましょぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


うわぁああああああ!勘弁してくれぇええええええええ!

シズカは真面目というよりも、とてつもなく極端なだけじゃないのか!そう思うぞ!

評価、ブックマークありがとうございます。

励みになりますm(__)m

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