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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
125/184

フェンリル族の里㊳

目の前の景色が森の中から集落の中に変わった。

見た感じはフェンリル族の里とそんなに変わらないな。建物も似た感じだ。


しかしだ!何だ、この光景は!


どうやらスキュラ族の里の広場辺りに転移したのだろうが、目の前には大勢のスキュラ族がいる。ざっと数百人だろう。多分、里の全員が出迎えているみたいだ。

それにしても・・・

子供から大人までいるが、全員が美人か可愛い!まさに男にとってのパラダイスだ!しかも、みんな犬耳だし・・・、これだけ揃っているとモフモフしたくてたまらない!

ダメだ!気をしっかり持たなくては!フローリアに殺されてしまう・・・

俺の気持が分かってしまったのか、フローリアが冷たい目で俺を見ている。

「旦那様・・・、ちょっと刺激が強かったみたいですね。基本的にスキュラ族の里は男子禁制の場所ですからね。行く時は私達の許可が無いと行けませんよ。美人しか生まれない種族なので、変態な男共から守る為に、代々の創造神様はそれは厳重に保護してましたから・・・」

「決して、旦那様1人では行ったらダメですよ!それこそ、行ったら本気ですり潰しますからね。分かりました!」


「わ、分かった・・・、それにしても、本当に女だけの集落なんだな。俺からすると逆に怖いよ。いくら美人だらけでも、これだけいるとな・・・、過去のフェンリル族の男はよくここに婿入りしたものだ・・・」

「ハレームに憧れる男にとっては天国かもしれないけど、俺にはフローリアやみんながいるから、黙って行く事は決してないから安心しな。」

「というか、俺が浮気するとでも思っているのか?お前からそんな風に思われるなんて悲しいぞ・・・」

フローリアが慌てている。

「だ、旦那様!決してそう思ってなくて・・・、美人だらけの里なので、ちょっと心配してしまうでしょう?だから・・・」


「おっほん!」冷華が咳払いした。

「フローリア様、イチャイチャはそのくらいで・・・、用事があって来たのでしょう?」


「ははは・・・、そうですね。それでは・・・」

照れていたフローリアだったが、真面目な表情になってスキュラ族達の方に視線を向けた。1番前にいたスキュラ族が前に出てくる。

「お久しぶりです、フローリア様。先ほど、創造神様の使いと名乗られた方々からお話を伺いました。言われた時間ピッタリに到着されるとは驚きです。」

「この度は我らスキュラ族が大変な事をしてしまい、何とお詫びをすれば良いのか・・・」


こうやって挨拶をするって事は、多分、この里で1番偉いんだろうな。婆さんの姿だが、昔は相当の美人だった面影や気品が滲み出ている。

「フローリア、この方は?」


「旦那様、この方はスキュラ族の里の長老達の代表である『チヅルさん』です。クイーンがいない時は長老達が里を治めていますよ。」

そして、長老に話しかけた。

「ところで、創造神様の使いと言いましたね。創造神様から使いを出す話は聞いていませんでしたが・・・、一体、どんな方でした?」


「はい、男の方1人と女の方2人でした。男の方は世紀末覇王のように筋骨隆々の闘気溢れる方で、口癖か『ぬぉおおお!』とよく叫んでいました。」


おい!何でスキュラ族が世紀末覇王なんて言葉を知っている?確かに義父さんの特徴を表わすには最適な表現だが、無理がありすぎるぞ!作者!

まぁ、神殿では爺さんの姿でみんなの前にいるから、誰も〇オウが創造神だと思わないみたいだ。そうなると・・・


「女の方2人はとても可愛らしい女の子でした。男の方の娘さんでしょうかね?とても仲が良さそうでしたよ。家族なんでしょうかね?」


やっぱりぃいいい!2人となると、義母さんと霞かぁあああ!


「そして、小さな黒髪の赤ちゃんも抱いていましたよ。本当に可愛らしい赤ちゃんでした。抱いていた女の方がとてもうっとりとした表情で赤ちゃんを見つめていたのが印象的でしたね。私も抱かせてもらいましたが、人見知りも無くニコニコしていて本当に可愛いかった・・・、あまりの可愛さに私もメロメロになっちゃいましたね。ふふふ・・・、良いものを見させてもらいましたよ。もしかして夫婦だったのかもしれません・・・」


義母さんやぁぁぁ~、ガーネットを連れ出さないでくれよぉ~・・・

今夜から我が家に戻ってくるからといって、ギリギリまでガーネットと一緒にいたかったのか?義父さんも義母さんも子供が大好きだし、アイリスが赤ん坊の頃から俺の子供達全てずっと世話を焼いてくれているからなぁ・・・

今でも、ほぼ毎日何だかんだで子供達の顔を見に来るし、子供達も義母さんが大好きだ。ゲートが出来て今まで以上に往き来が楽になると、泊まり込みで我が家にやって来るかもしれん・・・

それにしても、ガーネットはそんなに可愛いか・・・、親としてはとても嬉しい。

俺から見ても本当に可愛いと思う。髪や瞳は俺を受け継いでいるが、その他は俺の欠片も見当たらないしなぁ・・・、でも、フローリアが赤ん坊の頃はあんな感じだったかもしれない。将来はフローリアに似てとんでもない美人になるだろう。親としては鼻が高いぞ!

フローリアもガーネットを褒められていてとても嬉しそうだ。


突然、1人の女性がフローリアの前まで駆け寄って土下座をした。歳の感じは40歳半ばかな?ミヤコの面影があるからもしかして・・・

「フローリア様!申し訳ありません!娘のミツキがとんでもない事をしでかしてしまい・・・」

そう言って泣き出してしまった。

「そうですか、あなたがミツキさんやミヤコさんの母親ですか・・・」

フローリアが悲しそうな目で見ている。傍に近寄り手を取った。

「顔を上げて下さい。もう終わった事です。ところで、あなたの名前は?」

女性が顔を上げてフローリアを見つめている。涙が止めどなく溢れていた。

「はい・・・、ミナコと申します。ミツキはクイーンとして目覚めて里の指導者となりましたが、私の可愛い娘には変わりありません。フローリア様、娘の罪は私が償います!ですから、どうか!ミツキには寛大な処置を!お願いします!お願いします・・・、お願いします・・・」

フローリアの手を握り泣きながら懇願している。長老がそっとミナコの隣に寄り添った。

「ミナコさん、そういえば、お使いの方からの言葉を伝えていませんでしたね。クイーンに関しては里からの追放処分よ・・・、フローリア様の元で監視されながら一生、軟禁みたいな状態で暮らす事になるとね。本来は死罪に値するくらいの罪よ。それだけの事をしでかしたからね。2度と娘には会えなくなるけど、死罪になるだけマシよ。ミヤコはクイーンの世話係として同行する事になったと教えられたわ。」


「そ、そんな・・・、もう2人に会えないなんて・・・、しかも、キョウカもフェンリル族の里に行ったまま帰ってこないし、私はどうすれば・・・」

余程ショックだったのか、そのまま気を失ってしまった。

義父さんもかなり厳しい事を伝えたな。多分、義父さんも本当の事は知っていると思うな。でも、体面的にもそれくらいの事を言わなければ示しがつかないか・・・、立場のある人は大変だよ・・・


「旦那様、ミナコさんをお願いします。」

「それと、チヅルさん、少し込み入ったお話がありますので、出来ればチヅルさんの家の中でお話しをしたいのですが・・・」


長老が頷いた。

「分かりました。私の屋敷はすぐ近くなので、話の続きをしましょう。ミナコもそこで休ませないとね。一緒に話を聞いた方が良いかもね。」

フローリアに向けてウインクをしてきた。もしかして、この婆さん・・・、本当は全部知っているんじゃないのか?多分、〇オウの正体も知っているみたいだな。

そして、集まっているスキュラ族に向って大声で話し始めた。

「皆の者!今からフローリア様達と少し話をしてくる。まぁ、そんなに時間はかからんじゃろう。しばしの間、待っていておくれ!」

全員が頷いた。



そして、俺達は長老の屋敷の中にいる。

フローリアがミナコに回復魔法をかけると、気を失っていたミナコが目を覚ました。

「はっ!ここは?」

ミナコがキョロキョロと辺りを見回したが、まだかなり動揺しているのか落ち着きが無い。

「ミナコ、落ち着きなさい。気持ちは分からなくもないですが、フローリア様の前ですよ。」


「は、はい・・・」

力なく座り込んでしまった。


「さて、ここは誰もいないから本当の事が話せますね。ミナコ、心して聞きなさい。」

「まずは、キョウカの件ね。戦いに参加していた者からの報告を受けているわ。あなたにはまだ伝えていなかったけど、あの娘はフェンリル族の里の族長の息子と結婚したと聞いているわ。そのままフェンリル族の里に残るとね。おめでただから、近いうちに孫の顔が見れるかもしれないわよ。」

ミナコがわなわな震えている。

「ほ、本当ですか?良かった・・・、無事で・・・」

「それにしても、結婚だなんて・・・、スキュラ族の習性としてはあり得ないけど、それがキョウカの選択なら何も言いません。幸せなら・・・」


「それと、クイーンいえミツキとミヤコの事だけど、あの娘達の事は心配しなくても良いから。レオ様から本当の事は伺っています。みんなの前だったからあんな風に言わないといけなかったし、私もミツキのクイーンの呪縛は解きたかったからね。あの娘はクイーンになってからは本当に苦しんでいたから・・・」


「そ、それは?」


「ミツキ・・・、あの娘はクイーンになるには優し過ぎたわ。我らスキュラ族の習わしで、クイーンは里の最高の存在で創造神様と同様に扱う事でしたよね。それが、あの娘には苦痛だった。今まで仲良くしていた友達や肉親でさえも敬うようになって、誰とも気軽に接する事が出来なくなった。常に孤独感に苛まれていたのでしょうね・・・、そして闇に吞まれたとレオ様から聞きました。」


「ミ、ミツキ・・・、そんなに苦しんでいたなんて・・・」


ミナコがポロポロと涙を流している。親としては子供の苦悩を分かってあげなかった事はショックだよな・・・、そして、ここまで大事になってしまったし・・・

ん!そういえば、長老は義父さんの事を『レオ』って呼んでいたよな?やっぱり〇オウの正体は知っていたんだ。多分、義父さんと義母さんからは本当の事を聞いているのは確実だろうな。でも、さすがに『お咎め無し』という訳にいかないから、対外的にあんな言い方になったのだろう。


長老がとても優しい表情でミナコに微笑んだ。

「でもね、彼女達は幸せを掴みましたよ。今から話す事は絶対に内緒ですからね。」

ミナコが驚きの表情で長老を見つめていた。

「あなたの娘達は心から好きな方に嫁いでいきました。過去のしがらみから解き放たれて1人の女としてね。もうクイーンとしての宿命を負う事はさせないように、フローリア様が一芝居打ってくれましたよ。さすがにあれだけの事をしてしまったので、罪を消す事は出来ませんが、本人達が1番望む結果になったのではないですかね。」

そして、長老がフローリアの方に座り直し深々と土下座した。

「フローリア様、本当にありがとうございました。我々では慣わしという壁でどうしようも出来なかった事でしたが、あなた様のおかげで我々も救われました。」

フローリアも慌てて頭を下げている。

「いえいえ、私は最後の方に少し手を貸しただけですよ。旦那様と凍牙さんが本当に頑張ってくれましたから・・・」


「と、凍牙ですってぇえええ!」

ミナコが驚きの表情で叫んだ。

「あのフェンリル族最強の戦士が・・・、確か亡くなったと聞いていたのに・・・、ミツキが霊廟から出てきた時からずっと呟いていた名前よ・・・、まさか生きていたなんて・・・」

冷華がミナコに頭を下げ挨拶を始めた。

「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。私はフェンリル族族長の娘、冷華と申します。キョウカさんは私の兄に嫁ぎ私の義姉さんとなりました。そして、ミヤコさんとミツキさんは私の夫である凍牙に嫁ぎ、今はとても幸せにしています。夫の凍牙はハッキリと2人に約束してくれました。必ず幸せにしてくれると・・・、ですからお義母様、安心して下さい。」

長老がニコッとミナコに微笑んだ。

「ミナコさん、そういう事よ。だから安心してね。」

そしてフローリアに向き直った。

「それに、ゲートの事も聞いていますよ。もちろん、ミナコさんも使えるように登録してくださいね。ただ、この里で会うのはマズイでしょうから、フェンリル族の里の族長様の屋敷でしたらこっそりとみんなで会えるでしょうね。」

再びミナコに顔を向けた。

「念押ししますけど、この事は絶対に内緒ですよ。分かりました?」

ミナコが泣いているが、さっきまでの悲壮な表情ではない。とても嬉しそうな表情で泣いていた。

「はい・・・、本当に信じて良いんですね?もちろん、誰にも言いません!こんなに嬉しい事になるなんて思いもしませんでした。」

「冷華さん、私の娘達を頼みます。」

そう言って、冷華に深々と頭を下げていた。


長老がみんなを見渡している。

「さて、そろそろみんなの前に戻りますかね。ミナコさん、あなたはショックで寝込んでいる事にしておきますよ。そんな嬉しそうな顔でみんなの前に出れませんからね。」


「す、すみません!チヅル様!」

ミナコが真っ赤な顔で慌てて頭を下げていた。



再びスキュラ族達の前に戻ってきたけど、やはり、これだけの美人が目の前にいると凄く緊張するよ・・・

冷華がフローリアと何か話をしている。フローリアが少し困った顔をしていた。

「冷華さん、こんな事をお願いするのに連れて来たわけじゃないのですが・・・」


「いえ、これは我々フェンリル族のケジメです。過去の過ちを償わなければ・・・」

冷華が真剣な眼差しでスキュラ族達を見ている。そして、俺達の前に出た。


一体、何をする気だ?

評価、ブックマークありがとうございます。

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