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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
124/184

フェンリル族の里㊲

「お~い!夏子ぉ~!いつまでボ~っとしてる?そろそろ戻るぞ!」

蒼太が夏子を呼んでいる。

「はい!旦那様!今すぐに!」

夏子が慌てて蒼太に駆け寄り抱きついた。

「夏子!いきなり抱きつくなよ・・・、みんなが見ているんだから・・・」

しかし、夏子は嬉しそうに蒼太を見ている。

「だって、旦那様の凄さを改めて感じたら嬉しくなって、つい抱きついてしまったわ。旦那様、ずっと愛し続けますね。大好きです!今夜はもちろん私と一緒にいましょうね。」

夏子が更に蒼太を強く抱きしめたが、隣のフローリアの表情が怖い。

「夏子さん、今夜は私が旦那様を独占するんですよ。でも、今の夏子さんのすごく可愛い表情を見ていたらねぇ・・・、今夜はガー・・・」


「ちょっと待ったぁあああ!フローリア様!」

千秋がフローリアの言葉を遮る。

「フローリア様、今夜は私が蒼太さんを独占したいです!いくらフローリア様でも譲れない気持です。どうしてもダメなら私も一緒に!」


「私がいるのを忘れていませんか?」

春菜が蒼太の前に転移で現われ、抱きついていた夏子を強引に引きはがし、春菜が抱きついてキスをした。唇が離れてからニヤッと春菜が微笑む。

「千秋さん、今夜は私がアイリスと一緒に寝る予定でしたのよ。ねぇ、あなた・・・、アイリスはまだ子供ですから、私とだけで一緒に寝ましょうね!」


「ソータは渡さないよ!」

美冬が春菜を蒼太から引きはがそうとして飛びかかった。

「何の!シールド・ビット!」

美冬の前に半透明の盾が出現し、美冬の顔面が盾に直撃してしまう。鼻血を噴き出しながら美冬が仰向けに倒れてしまった。

ゆら~っと美冬が立ち上がる。

「春菜ぁぁぁ~、よくもやったわね。こんなシールドごとき、私の拳で粉砕してあげる!〇星拳!」

数百発のマッハの速さのパンチがシールドを破壊した。

「美冬さん、やりますね。」

蒼太に抱きついていた春菜が離れ、美冬と対峙している。


マリーがソ~ッと蒼太に近づいて手を取った。

「あんたも大変ね。春菜と美冬が戦闘状態になって、いきなり修羅場になってるし・・・、ステルスの魔法をかけたから、今は誰にも気付かれないわ。私と一緒にここから逃げ出さない?そして今夜は私と一緒にベッドで愛し・・・」

ニヤッと笑ったマリーの首元に刃が2本張り付く。

「マリー、抜け駆けしようとしても無駄よ。」

「ふん!魔法で気配を隠しても、私達の目からは逃れられないからね。」

マリーの左右に夏子と千秋が立って、神器をマリーの首に当てていた。

「あ、あんた達・・・、いつの間に・・・、それに神器まで持ち出して、一体何をする気なの?」

マリーが大量の冷や汗をかいていた。



離れた場所でサクラが呆れた表情で春菜達を見ている。

「お母さん達・・・、一体何しているのよ・・・、子供達の前で修羅場になるなんて・・・」

サクラがため息をつきながら話す。ガーベラも呆れていた。

「お母さん、あのメンバー相手に抜け駆けは無理よ・・・、本当にバカなんだから・・・」

冷華が冷や汗ダラダラで春菜達を見ている。

「ここまであの人達の強大なプレッシャーが届くなんて・・・、私達と強さの次元が違うわ。化け物の集まりよ・・・」

雪も青い顔をしている。

「私、あんな凄い人に教えてもらうのよね・・・、厳しいと言われたけど、私の想像を遙かに超えた訓練が待っている気がする・・・、お父さんとお母さんに遺書を書いた方が良いのかなぁ・・・」

ミツキもブンブン首を上下に動かしている。

「本当にロイヤルガードが介入しなくて良かった・・・、あの人達が相手だったら、私が完全に闇に堕ちていたとしても絶対に勝てないし、あっという間に塵にされるわ。本物の化け物ってあの人達の事を言うのね。」

ミヤコも冷や汗をかいていた。

「あの手合わせの時の夏子様は全く本気でなかった・・・、動きがまったく違う。いつかは本気の夏子様と戦ってみたい・・・」

レイラは何故か浮き浮きしている。

「凄い!参考になるわ!あの気の迫力なんて・・・、それだけで嬉しくて失神していまいそう・・・」

吹雪も嬉しそうだ。

「レイラお姉ちゃんも同じか!俺と一緒に乱入しようよ!本気の母ちゃん達と戦いたい!」


サクラが盛大なため息をする。

「吹雪のバカ・・・、バトルジャンキーにも程があるわ・・・」

そして、傍観者と化しているアイリス達に目を向けた。

「アイリス、大変ね。お父さんと結婚したという事は、あのメンバーの中に入ってしまったんだよね。大丈夫?」

アイリスが冷や汗だらけの顔でサクラを見ている。

「ははは・・・、ママ達の凄さに圧倒されるよ。でも負けないわ。大人になるまでに私もママ達に追いつくからね!ミドリ、それまで特訓よ!」

ミドリはアイリスを見て微笑んでいる。

「アイリス、分かったわ。私も頑張らないとね。でもね、アイリス、そんなに焦らなくても大丈夫よ。私はメイドなんだから、みなさんの予定や行動は全部把握しているからね。ご主人様が1人っきりのタイミングはちゃんとあるはずよ。焦らずにじっくりとチャンスを待ちましょうね。その時が私達の勝負よ。」

クローディアも春菜達の迫力で青い顔をしていたが、ミドリの言葉で元気になったようだ。

「確かにチャンスを狙わないとね。あの連中相手に真っ正面から挑むのは無謀だわ。無理に参戦しても私がへし折られる未来しか見えないからね。ミドリ!頼んだわよ!」

ミドリがニヤッと微笑んだ。

「任せて!私達新婚組も負けてはいられないからね。私達もご主人様の愛を独り占めにしないとね!」

3人がガッチリ握手を交わした。


サクラが呆れた表情で3人を見ている。

「一体、あの3人は何を言っているのよ・・・、まぁ、あのお母さん連中が相手だしね。正攻法ではまず勝てないか・・・」

「みんな、私達はああならないように仲良くしましょうね。」

みんなが頷く。

「みんな、本当に頼むからな。あの迫られる恐怖はかなりのものだしな。さっきの冷華とレイラからも迫られた時も本当に怖かった・・・、今の蒼太の状況には同情するよ。」

凍牙がみんなに懇願している。冷華とレイラが真っ赤になっていた。

「凍牙、分かっているわよ。思い出しても恥ずかしかったし、もうしないわ。する時は・・・」

凍牙の嫁軍団が全員凍牙を見つめている。

「「「「「「「もちろん!全員で仲良く襲うからね!」」」」」」」

「「「「「「「覚悟してよ!」」」」」」」


「何でそんなにキレイにハモる・・・、勘弁してくれ・・・」

凍牙が力なくうなだれたが、みんな嬉しそうにしていた。



黙って見ていたフローリアだったが、全身からどす黒いオーラが噴き出し始めた。

「みんな・・・、いい加減にしなさぁああああああああああああい!」

「ギガ!サンダー・ブレイク!乱れ打ちぃいいいいい!」

何十本も雷が春菜達に落ちた。

「「「「「「うぎゃぁあああああああああ!」」」」」」

全員が黒焦げになってピクピクしながら倒れている。

「な、何で俺まで巻き添えにならなきゃならん・・・」

黒焦げになった蒼太が呟いた。

ミツキが驚愕の表情で春菜達を見ていた。

「あれだけの強力な魔法を喰らったのに、何で軽いダメージで済んでいるの?普通なら骨も残らず灰になるはずよ!魔法耐性も化け物級だなんて・・・、ロイヤルガード、恐ろしい・・・」


フローリアがプルプル震えている。なぜか目に涙が溜まって、今にも泣きだしそうだ。

「みんなのバカ・・・、誰も私の話を聞かずに勝手に暴走して・・・」

泣きそうなフローリアの姿に蒼太が気付き、慌てて駆け寄った。なぜか黒焦げだった服が元に戻っている。

「フローリア!どうしたんだ?」

フローリアが蒼太の顔を見ながら涙を流し始めた。

「だって・・・、今夜からガーネットが家に帰って来るのよ。旦那様と私とガーネットの親子3人で一緒に寝たいじゃないの・・・、私もやっと母親になれたんだし、旦那様と3人水入らずで寝て、私も母親なんだなぁと実感したかったのよ・・・」

「それを、みんなが話も聞かず、勝手に暴走して喧嘩まで始めてしまうし・・・」

「う、う、うわぁああああああああああんんんんん!」

フローリアが蒼太の胸に飛び込み大泣きしてしまった。



フローリア、そういう事だったのか・・・、何で今夜は俺を独占したがっていたのか分かったよ。

「ふぇええええええんんん!」

フローリアが泣き止まない・・・、どうしよう・・・、こんな女の子みたいな泣き方は初めてだ。いつも出来る女みたいに振る舞っているが、これが素のフローリアなのかな?なぜかすごく可愛く思えてしまう。

春菜達を見回してみると、既に復活して焦げ1つない状態だ。しかし、誰も俺と目を合わせようとしないな。さすがに『これはヤバイ!』と理解しているのだろう。

まだ俺の胸の中で泣いているフローリアをギュッと抱き締めてあげる。

「フローリア、ゴメンな・・・、ガーネットが帰ってくるなんて聞いていなかったし、俺も勘違いしていた。また襲われるんじゃないかと思ってしまったから・・・」

「だから、本当にゴメン・・・、大好きなお前がずっと泣いていると俺まで悲しくなってしまうよ。お願いだから機嫌を直してくれよ・・・」

泣いていたフローリアがピタッと泣き止んだ。ゆっくりと顔を上げて、嬉しそうに俺を見つめている。

「それじゃ、旦那様、キスして・・・」

そう言った瞬間、唇をタコのようにして俺に迫ってくる。


ベシッ!


「い、痛い!旦那様!何でデコピンなんかするんですかぁあ!」

フローリアが額を押えながら悶えている。


「当たり前だ!みんなに見られている前でキスなんか出来るか!恥ずかしさで死んでしまうわ!」

フローリアの耳元でそっと囁く。

「フローリア、今夜は3人で寝るといっても、実質2人っきりみたいだしな。お前が満足するまで愛してあげるから機嫌を直してくれよ。」

嬉しそうな表情でフローリアが抱きついてきた。そしてニヤッと笑う。

「ふふふ・・・、旦那様、言質は取りましたよ。今夜は私が旦那様を独り占め出来るんですね。ガーネットのミルクの時間以外はずっと2人っきりですからね。」

「今なら期間限定ですけど、クローディア級の巨乳ですし、母乳も出ますから旦那様も飲ん・・・」


バチィイイイイイン!

「バカタレ!調子に乗るな!誰が母乳なんか飲む!」


再びフローリアにデコピンを喰らわしてやった。さっきよりもかなり強力なヤツだ。お前の変態プレイに付き合うつもりはないぞ。俺は変態じゃないからな!

下手に言うと言質を取られてしまう。油断も隙も無いよ・・・

フローリアが額を押えながら地面をのた打ち回っていた。

「う~、おでこが・・・、おでこが割れたぁああああああ~」

そんな訳あるかい。

フローリアがはぁはぁ言いながら立ち上がった。

「あいたたたぁぁぁ~、旦那様、本当に容赦無いですね。冗談が通じないなんて・・・」


「お前、冗談で言っていないだろう?俺がハイ!って言ったら本気で言った通りにするつもりだっただろうが・・・」

フローリアが硬直し、滝のような冷や汗が流れた。

やっぱりか・・・

春菜達を見回すと、全員がとても悔しそうな顔をしていた。春菜がスッと前に出てくる。

「フローリア様、なかなかの策でしたね。今回は完全に私達の負けです。可愛いガーネットに免じて今回は引き下がりますが、次は同じ手は通用しませんよ。ふふふ・・・」

春菜怖いよ・・・

まぁ、取り敢えず今回の修羅場は終息したみたいだな。本当に精神がガリガリと大量に削られる。

ガーネットが家に戻ってくるし、みんなはあの可愛いガーネットにベッタリになるだろうから、当分は修羅場にならないだろう。我が家にも平和が訪れたみたいだな。


アイリス、ミドリ、クローディアが俺の隣に来た。

「パパも大変ね。私達3人はママ達みたいに迫らないからね。疲れた時に私達が癒してあげるから、いつでもOKだし、待っているよ。」

3人がニコッと微笑む。本当に癒されるような優しい微笑みだ。思わずアイリスを抱き上げた。

「アイリス、お前は本当に俺の天使だよ。心が癒される・・・、それに、ミドリもクローディアも俺の気持ちを分かってくれるなんて嬉しいよ・・・」

アイリスが嬉しそうに頬擦りしてくれた。この仕草が本当に可愛い!

「えへへ・・・、パパ、大好き。私達新婚組もちゃんと愛してね。」

マリーが舌打ちしていた。

「チッ!あんな手もあったんだ・・・、『押してもダメなら引いてみな』をすっかり忘れてた。ふふふ・・・、次は私が勝つからね・・・」

マリーさんや・・・、聞こえているよ。いつもガッツリと迫ってくるけど、控え目なマリーは新鮮だし可愛いかも?ちょっと期待してます。


「それではみなさん、そろそろフェンリル族の里に戻りますよ。」

フローリアが号令をかける。

「春菜さん、みなさんを頼みますね。私達はスキュラ族の里の用事を終わらせてきますので。」

「う~ん、春菜さんの予知ではスキュラ族の里で旦那様のお嫁さん候補が1人いるって事ですね。一体誰でしょうかね?」

フローリアが春菜に尋ねているが、春菜も詳しくは分かっていないみたいだ。

「申し訳ありません、フローリア様。私も詳しいイメージが出てきていません。ただ分かっているのは、巨大な武器を持っているスキュラ族とだけしか・・・」


ちょっと待った!新しい嫁候補がスキュラ族にいるだと!

春菜のフラグ製造マシーンは回収率100%だから、もう逃げられないのか・・・

勘弁してくれぇ~


「あら、旦那様、聞こえてしまったのですか?」

わざとらしいぞ。俺に聞こえるように言っているんだろう?

「春菜さんの予知に外れはありませんから諦めて下さい。スキュラ族の里に旦那様が行かない手もありますが、後で必ず出会い結局は結婚する事になってしまうでしょうし、それなら早い方が良いですからね。それだけ、春菜さんの予知はすごいんですよ。」

「まぁ、今まで悪い予知をしていないだけ幸いですけどね。」


フローリアも春菜の予知から逃げらない事が分かっているみたいだな。新しい嫁さんは肉食系でない事を祈ろう。

そして、冷華を手招きして呼んでいる。

「旦那様、私と冷華さんと3人で行きますからね。私はゲートの事もありますし、冷華さんにも手伝ってもらわないといけない事もありますからね。」


「それでは春菜さん、後はお願いしますね。」

春菜が頷いた。

「旦那様、冷華さん、転移の魔法で行きますよ。」


目の前の景色が変わった。

評価、ブックマークありがとうございます。

励みになりますm(__)m

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