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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
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フェンリル族の里㉜

氷河が3人のスキュラ族の女性を連れて俺の前にやって来た。1人は分かる。昨日結婚したキョウカだけど、後の2人はフローリアが転送させてきたメンバーの中にいた記憶はある。

こんな短時間に一緒になるとは・・・、さすがイケメン!羨ましいぞ!

「蒼太殿、色々とご迷惑をかけて申し訳ありません。でも、おかげでこうやって無事に戦いを終わらせる事が出来、感謝しかありません。浮かれている族長に代わりお礼をさせていただきます。」

4人が一斉に地面に片膝を付き深々と頭を下げた。

族長、お前と違って息子はしっかりしているぞ。氷河が族長を継ぐならフェンリル族の里も安泰だな。

チラッと族長を見てみると・・・

リンカに腕を組まれてデレデレしていた。冷華も楽しそうに2人と一緒に話をしている。

まぁ、今はそっとしておいた方が良いな。新しい家族の団欒に水を差す訳にはいかないし・・・

2人のスキュラ族が頭を上げた。

「初めまして。新しく氷河様の妻となったスズです。」

「同じくハツネです。」

キョウカは可愛い系だけど、この2人はとんでもない美人だぞ。それにしても、フローリアが転移させたスキュラ族はどれも美人だったな。スキュラ族って美人しかいないのか?男にとっては夢のような場所だぞ。


「旦那様・・・、顔がにやけてますよ。何を考えているんですか?」

ヤバイ!フローリアからどす黒いオーラが出ている!冷や汗が大量に出てきた。頭を切り替えなくては・・・

そう思っているとフローリアから念話だ。

『今夜はずっと私と一緒にいましょうね。例の部屋で・・・、たくさん!たくさん愛してあげますから、私だけしか考えられないようにしますよ。ぐふふふ・・・』


うわぁあああ!久しぶりのヤンデレフローリアだ!目がイッているし、涎が出ているぞ!周りのみんながどん引きしている!女神の威厳なんて欠片も感じられないな・・・

それよりもだ!ヤバイ!ヤバイ!大変ヤバイ!このままだと今夜はフローリアに襲われてしまうのが確定になってしまう!平和な睡眠を死守するには何とか回避する方法はないか!

アイリスがチラッとこちらを見ている。

そうだ!今夜はアイリスと春菜と一緒に寝るんだ!これを口実にすればフローリアの魔の手から逃れられる!

そう祈っているとアイリスがやって来た。そして俺の手に何か瓶のようなモノを渡してくれる。

何だ・・・、ラベルをよく見ると・・・


超!超!強力栄養ドリンク!!!

これであなたの疲れも一発で吹き飛びます!徹夜仕事に最適です。一晩中寝なくても大丈夫!


はぁああああああああああああああああ!


「アイリス、コレは・・・」


真っ赤な顔のアイリスが俯き加減で俺にボソッと話しをした。

「本当はね、今夜は大人な私になってパパに迫って既成事実を作ろうと思っていたけど・・・、あの状態のフローリアママにはねぇ・・・、もう今夜はパパが取られてしまうのは確定だからね。コレはもういらないからあげるよ。だから、フローリアママと頑張って!へへへ・・・」


「アイリス・・・、お前、本当に8歳か?一体、誰がそんな事を教えている・・・」


「ふふふ・・・、それは秘密・・・」

アイリスが悪戯っぽい笑顔で微笑んだ。


「ミドリだな・・・」

途端にアイリスの表情が固まり、冷や汗が出てきている。

「それと、クローディアも入れ知恵しているだろう?3人で早く俺と結婚する為に・・・」

チラッとミドリとクローディアを見ると、2人揃って大量の冷や汗をかいている。

お前らなぁ・・・、仲が良いのは喜ばしい事だけど、もう少し常識というものを考えろ。

『お前ら・・・、1人で暴走して俺に迫ってくるのは構わないけど、アイリスまで巻き込んで変な事ばかり教えるのは許さんぞ。あんまり酷いと婚約解消も考えるからな!』

2人に念話を送ってみた。

2人揃って地面に額を擦りつけながら土下座をしていた・・・


『『すみませぇええええええええええええええええんんん!!!!!!』』

『『どうか解消は勘弁して下さぁあああああああああああああああああああああああああっいぃいいいいいいい!!!!!』』


ぬぉおおおおおおおおお!

あ、頭が割れるぅううううううううう!


頭の中に2人の心の叫びが聞こえてくる。あまりにも頭の中で大音響で聞こえるから頭が割れそうになるくらいに痛い!

勘弁してくれぇえええええええ!


『はぁ、はぁ・・・、分かったから・・・、もう少しで俺の頭が爆発するところだったぞ・・・、しばらくは大人しくしていろよな。』


『『分かりましたぁあああああ!』』


ぐぉおおおおおおおおお!

またもや頭の中に大反響が!し、死ぬぅううううう!

このバカたれがぁああああああああ!


「ふふふ・・・」

フローリアが面白そうに俺を見ている。

こちらは死にそうな程に頭が痛かったぞ。まさか、念話が人を殺せるレベルになるとは思わなかったからな。

「あの2人は私が注意するよりも旦那様に怒られた方が堪えたみたいですね。ミドリさんもすごい顔ですが、付き合いの長いクローディアがあそこまで酷い顔になるとは思いませんでしたね。」

土下座をしていた2人が顔を上げて俺を見ている。確かにすごい状態だ・・・

涙と鼻水でグシャグシャになっている上に、顔面を地面にめり込ませてまで土下座をしていたものだから、涙と鼻水の水分で土が泥パックのようになっている。美人が台無しだぞ・・・


「お前達・・・」


「ご主人様ぁ・・・」

「マスターァ・・・」


「分かったから、もう泣くな。ここまでお前達を追い詰めるつもりは無かったしな。折角の美人が台無しだから顔を拭いてあげるぞ。」

2人の表情がパァアアアと明るくなった。そして、立ち上がろうとしていたが・・・

「ちょっと待て!今すぐに立つと・・・」

予想通り足が痺れて上手く立てず、俺に抱きつこうとして立ち上がろうとした瞬間、よろめいてヘッドスライディングの様に顔面から地面に倒れてしまった。


だから、そうなると言おうとしたのに・・・

俺の住んでいる世界も神界も正座の文化はほとんどないからな。俺が知っているのはフェンリル族くらいだ。そういえば、スキュラ族も正座をしていたな。だから、正座に慣れないと痺れてああなってしまうんだよね。しかし、正座の文化はほとんど無いのに、土下座だけはあちこちに浸透しているんだよな。神界も不思議な世界だよ。

2人が「う~、あ、足がぁあああ・・・」と言いながら足を押えて悶えている。まぁ、あの辛さは本人しか分からないから、傍から見ると面白く見えるだろうな。アイリスも不思議そうな目で2人を見ている。

「パパ、アレって本当に辛そうだね。でも不思議、何か2人の足をツンツンしたくなってきたよ。」


「アイリス、それは絶対に止めておけ。絶対にだぞ!」


アイリスがニヤニヤしながら2人を見ている。

「パパ、それって振り?やっぱりツンツンしていいのかな?ふふふ・・・」


「アイリス!本当に止めておけ!絶対にあの2人から恨まれるぞ。」

「そうだ!アイリス、これからはお前も悪い事をした時は正座だな。その後であの2人にツンツンしてもらおう。そうすれば本当にどれだけ辛いか、お前にもしっかり分かるだろうな。」


アイリスの顔がサァーと青くなって、「パパ、それって児童虐待だよ!そんな事したら通報されるよ。だからナシだよね。」と言いながら慌てていた。

「ダメだ!これは虐待じゃなくてちゃんとした躾だからな。お前も少しは人の痛みを知った方が良いかもな。甘やかさずにいくから覚悟しろよ。俺との婚約が決まってからはちょっと目に余る行動が多くなってきたし・・・」


泣きながらアイリスが俺に抱きついてきた。

「パパァアアア!パパ、ごめんなさい!私もパパと婚約出来て浮かれて調子に乗ってたみたいだった・・・、ごめんなさい・・・」

抱きつきながら泣いているアイリスの頭を優しく撫でる。

「アイリス、お前も女神になったのだからな。サクラもガーベラもああやって頑張っているのだし、お前もちゃんとしないとな。分かっただろう、人の嫌がる事を自分にされる時の気持ちは?その気持ちを絶対に忘れるなよ。」


「うん・・・、分かった、パパ・・・」

アイリスを抱き上げてあげた。嬉しそうに俺の頬に頬擦りしてくる。これでしばらくは大人しくなるだろう。

そして、まだ悶えている2人のところまで行きヒールをかけてあげた。

「ご、ご主人様ぁぁぁ・・・」

「マ、マスターァァァ・・・」

2人がポロポロと涙を流しながら俺を見ている。土だらけでドロドロになって本当に酷い顔だ。

「どうだ?痺れは取れたか?」


「「はい・・・」」

俺の『婚約解消を考える』の言葉がまだショックなのか元気がない。ここまで泣かせるつもりは無かったし、俺もすごく罪悪感を感じている。


「お前達がここまでショックを受けるとは思わなかったよ。悪かった、俺も言葉を選んでお前達に注意しなければならなかったな。すまん・・・」

抱いているアイリスを降ろし、水魔法で2人の顔の前に大きな水の玉を作った。

「お前達の美人の顔が台無しだからな、これで顔を洗いな。」

2人が頷いてバシャバシャと顔を洗い始めた。すぐにキレイになったので異次元収納からタオルを取り出し手渡した。見違えるようにキレイになったけど、すっぴんなのにとんでもない美人だよな。ここまで俺に惚れ込んでくれるのはすごく嬉しいよ。

また泣きそうになっていたので、優しく2人を抱いてあげた。

「ご主人様ぁああああああああああああ!」

「マスターァアアアアアアアアアアアア!」

2人が思いっきり俺の胸の中で泣き始めた。

「「ごめんなさい・・・、ごめんなさい・・・」」


「悪かったな。もう2度とあんな事は言わないよ。」

「アイリス、お前も反省したか?」


「はい・・・」

アイリスも俯き加減で返事をしている。どうやら反省しているみたいだな。


「それじゃ、お前達3人に俺から話す事があるから、俺の前に立ってくれ。」


「「「はい?」」」

3人が不思議そうな表情になったが、渋々俺の前に並んで立った。また何か説教されると思っているみたいだな。

「俺の前世での地球では、成人でなくても結婚をする事があった。かなり昔の話だし、ほとんどが政略結婚での結婚だったけどな。2、3歳の子供でも結婚している例もあったはずだ。例え政略結婚でも結婚は結婚だし、その中でも仲睦まじい夫婦になった者もいた。」

3人の目が信じられないような感じで俺を見ている。

「神界も俺の今住んでいる世界でも成人前に結婚したらダメとの決まりは無いはずだ。そうだよな、フローリア。」

フローリアがニコッと微笑みながら頷いた。

3人がこれでもか!というくらいの感じで大きく目を見開いてガクガク震えている。


「パパ・・・、それって・・・」

「ご主人様・・・、本当ですか・・・?」

「マスター・・・、信じていいんですよね・・・?」


俺は3人に頷いた。

「あぁ、正式に結婚しよう。お前達もフローリア達の仲間入りだ。」

3人の目から涙がポロポロ流れ、そして・・・

「パパァアアアアアアアアアアアア!」

「ご主人様ぁああああああああああ!」

「マスターァアアアアアアアアアア!」

一斉に3人が思いっきり俺の胸に飛び込んで泣いていた。しばらくはこのままにしてあげよう。


フローリアが微笑みながら俺の後ろに立った。念話で俺に話しかけてくる。

『ふふふ・・・、旦那様、かなり強引な理屈で結婚しましたね。』


『アイリスの成人までの残り8年間、俺はあいつらの暴走を抑える自信は無いよ。それならすぐに結婚した方がこいつらも安心するからな。やはり婚約だと不安だったみたいだ。これで少しは大人しくなるかな?』


『3人の結婚願望は私から見ても凄かったですし、しばらくは大人しいでしょうね。しばらくは・・・、ふふふ・・・、まぁ、これで正式に旦那様の妻になりましたから、これからは私が1番目の妻として3人をきちんと教えていきますよ。だから安心して下さいね。』


『助かるよ。さすがフローリアだな。俺が1番信頼している妻だけあるよ。』


『そう言ってもらえるとすごく嬉しいです。これからもずっと旦那様を支えていきますね。』

嬉しそうにフローリアが後ろから抱きついてきた。


しばらく4人に抱きつかれていたが、サクラとガーベラが俺の前に来た。

サクラがニヤニヤしながら俺を見ている。

「お父さん、本当にモテモテだよね。お母さん達の視線が怖いから、後でちゃんとフォローしないと危ないよ。特に私のお母さんにはね。」

チラッと春菜達を見ると・・・

ヤバイ!アレは嫉妬の視線だ!視線がとても痛いよ。今夜の安眠は諦めるしかないだろうな・・・、間違いなく全員に襲われる・・・

4人が恥ずかしそうに俺から離れた。みんな顔が真っ赤だ。なぜかフローリアも顔が赤いぞ!傍若無人のフローリアでも、やはり子供達の前ではさすがに恥ずかしかったかな?

サクラがアイリスに抱きついた。

「アイリス、おめでとう!とうとう結婚したね。昔からずっとお父さんと結婚したいって言ってたし、夢が叶って良かったね。」

アイリスも嬉しそうだ。

「ありがとう、サクラ!次はサクラ達の番だね。」

ガーベラがニコニコした顔で俺の前にやって来た。

「ねえねえ、お父さん。さっきのお父さんの話を聞いていたけど、成人前でも結婚は出来るんだね。だから、お父さんはアイリスお姉さんと正式に結婚したんだよね。だったら・・・」

サクラとガーベラの視線が1点に注がれた。


その視線の先には・・・


うっとりした表情のミツキにお子様抱っこされている凍牙がいた。

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励みになりますm(__)m

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