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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
115/184

フェンリル族の里㉘

今年最後の更新です。お世話になりました。

クイーンが血走った目でサクラを睨みつけている。

「あぁあああ!生意気!生意気!生意気ぃいいいいいいいいい!いい加減、上から私を見下すなぁああああああ!」

クイーンの周囲におびただしい数の魔法陣が展開する。

「ダーク・レイ!ハチの巣になりな!」

何百本もの黒い光の線がサクラ目がけて飛んでいく。


「無駄よ・・・」サクラが呟いた。

襲い掛かってくる光を、サクラはジグザクに飛んだりきりもみ飛行したりと華麗に躱していく。

「そんな数に頼らなくても、一撃で決めいないとね!」

サクラが人差し指をクイーンに向けた、先端に小さな魔法陣が浮かび上がる。

「レイ!」

魔法陣からクイーン目がけて1本の細い光が飛んだ。そのまま、クイーンの頬をかすめた。


驚愕した表情のクイーンの頬から血がタラリと流れた。

「ど、どうして・・・、私のフィールドはフェニックスすら防ぐのよ・・・、それを、たかが中級のレイごときの魔法がフィールドを貫くの?あり得ない・・・」


サクラがニコニコしながらクイーンに話し始める。

「クイーン、忘れたの?魔法の基本である魔力制御を・・・、低級、中級でも込める魔力量によっては上級の魔法すら凌ぐ事をね。だからそれを実践してみたわ。今の私の魔力だとあなたのフィールドすら貫けるみたいね。」



サクラが圧倒的だ。一体、どうなっている・・・

フローリアが悪戯っぽく俺に微笑んだ。

「旦那様、サクラのあの姿がエターナルに認められ真のマスターになった者の姿です。」


「フローリア、サクラが突然強くなった事に関係あるんだな?」


「そうですよ。エターナルに認められた者は『潜在能力解放』と『限界突破』の加護を受けます。今までのサクラの力はほんの氷山の一角でした。エターナルによって眠っていた力が全て解き放たれたのです。クイーンを圧倒する程に・・・、まさかここまでの力が眠っていたとは予想外でしたが・・・」

「そして、『限界突破』によって強さの上限がなくなりましたから、今の強さからまだまだ強くなっていきますね。私達もうかうかしていられませんよ。常に子供達の最大の壁にならないといけませんからね。旦那様も頑張って下さいね。」


「あぁ・・・、そうだな。俺も子供達には負けられんからな。」

潜在能力解放に限界突破だと!異世界ものの物語の中でも最強クラスのスキルじゃないか!そんなスキルが現実にあったのか・・・、俺も欲しかった・・・

格闘マンガでも後から登場したキャラがどんどん強くなって、最初のキャラが最強からザコ扱いに格下げされている気分だよ。作者め!恨むぞ!


「それに解放時の能力は完全に反則ですよ。サクラが使いこなせるか分かりませんが、使われた時のクイーンには同情しますね。さて、その姿が見れますかね?」

フローリアがサクラを見つめて微笑んでいた。


目が血走っていたクイーンだったが、突然表情が元に戻った。

そしてにや~っと醜く笑う。

「ふふふ・・・、私もバカだね。熱くなり過ぎていたわ。別にあんただけに拘る事もなかったわ。」

遥か上空に巨大な魔法陣がいくつも浮かび上がった。

「あんたの力は見事だわ。確かに強い。認めるわ。」

そしてガーベラ達に視線を動かした。

「でもねぇ~、あんた1人が強くてもあの連中はどう?逃げ場もないくらいの広範囲の魔法で吹き飛ばしてあげる。私に逆らった見せしめよ!」

魔法陣から巨大な岩が飛び出してきた。何十個もの隕石がガーベラ達目がけて落下を始める。

「メテオ・レイン!あんたの大事な仲間が死んでいくのを見ていなさい!」

「あはははははぁあああああああああああああああああああ!」

クイーンの絶叫が響き渡った。



ガーベラ達が悔しそうに落下する隕石群を見つめている。

「ま、まずいわ・・・、あれだけの数の隕石だなんて・・・、みんなゴメン!私の力じゃどうにもならない・・・」

ガーベラが呟いた時にガーベラ達の頭の中に声が響いた。

『みんな!心配しないで!私が何とかするから!ガーベラ、お姉ちゃんに任せなさい。』

いつの間にかサクラが隕石群とガーベラ達の間に浮かんでいた。

ガーベラがニコッと微笑んでサクラに声援を送った。

「サクラお姉ちゃん!任せたよ!どんな事をするか楽しみに見ているね!」

サクラもガーベラに微笑む。

「ふふふ・・・、やる気が出たわよぉおおおおおお!お姉ちゃんパワー全開!」

握っていたエターナル・スタッフを頭上に掲げる。

「エターナル!真の力を私に見せて!神器解放!タイム・リープ起動!」

サクラの桃色の女神の鎧が神器と同じ金色に輝いた。


隕石群が速度を上げながらサクラ達目がけて落下してくる。

「エターナル!いくわね!タイム・ストップ!」

サクラが叫んだ途端に隕石群の落下が止まる。


クイーンが信じられないといった表情で隕石群を見ていた。

「な、何で隕石が止まっているの?結界やシールドも無いのに・・・」

「そういえば・・・、あのチビがタイム何とかって言っていたわね・・・、はっ!ま、まさか!それこそあり得ない・・・」


ガーベラ達も驚きの表情で停止している隕石群を見ている。

冷華が呟いた。

「し、信じられない・・・、まるで隕石の周りだけ時間が止まっているみたいよ・・・」

雪もレイラもブンブンと首を上下に振って頷いている。

ガーベラが空中のサクラを見て微笑んでいる。

「やっぱり、最後に美味しいところを持っていくのはサクラお姉ちゃんねぇ・・・、私も負けていられないから、この戦いが終わったら一緒に訓練を頑張ろうね。」

サクラもニッコリ微笑んでから頷き、隕石を見て叫ぶ。

「タイム・リバース!こんなモノは消えてなくなれぇえええ!」

隕石群が逆再生のように上空に昇って行き、魔方陣の中に戻り魔方陣自体も消えてしまった。


クイーンが大量の冷や汗をかきながら隕石を見ていた。

「あ、あ、あり得ない・・・、あれは・・・、遙か太古に消失したと言われたロスト・マジック・・・」

サクラがクイーンを見てニコニコ笑っている。

「さすがクイーン、よくこの魔法が分かったわね。そう、これは失われたはずの『時間魔法』よ。この神器エターナルに封印されているの。メテオ・レインの時を止めて動きを止めたのも、時を巻き戻して魔法が発動する前に戻し消滅させたのもこの魔法よ。この神器に認められた者しか行使する事が出来ない特別な魔法・・・」

そして真剣な表情になった。

「本当にこの魔法は反則だわ。エターナルが慎重にマスターを選ぶのも分かる。こんな魔法が悪用されたら神界が滅びるのは間違いないわ・・・」



フローリアの反則と言った意味が分かる。あんな時間を操る魔法なんてチートどころの魔法ではない。無敵みたいなものだぞ!そんな神器に認められたサクラが凄い。さすが俺達の自慢の娘だな。

「あなたぁああああああ!」

春菜が泣きながら俺の胸に飛び込んできた。

「サクラが・・・、サクラが、とうとう・・・、やりました・・・」

春菜も我慢の限界だったのだろう。俺の胸の中で泣いてる。俺も春菜に止められなかったら飛び出していたしな。でも、春菜はサクラを信じていた。それでも、胸が張り裂けるくらいに心が痛かったのは分かる。

春菜をそっと抱きしめてあげる。春菜が嬉しそうに俺の顔を見ていた。

「あなた・・・」


「春菜・・・、頑張ったな。お前がサクラを信じてくれていたから、サクラが真の意味で目覚めたのだろうな。後は、サクラがこの戦いにどう決着をつけるか見届けよう。俺とお前の娘だ。必ずハッピーエンドにしてくれるはずだ。」


「はい、あなた・・・」

春菜が幸せそうに俺の胸に頬をすり寄せていた。

フローリアを始め、春菜以外の嫁軍団の嫉妬の視線が痛い・・・、本当にチクチクしているぞ!今夜は襲われず無事に寝る事が出来るのだろうか?今の俺はその事が1番心配になってきた。



上空に浮かんでいるサクラとクイーンが睨み合っている。

しかし、今までのような雰囲気とは違う。サクラがクイーンを圧倒し始めている。

クイーンが突然泣き始め叫んだ。

「どうして?どうして、あんただけが全てを手に入れるのよ!私を圧倒する強さ!伝説の魔法にお兄ちゃん!そして、こんな状況でもあんたを信頼して揺るぎない目で私を見て、私をイライラさせるあんたの仲間達!不公平よ!クイーンに目覚めてから力を手に入れた!でも、ミヤコ姉さん、妹のキョウカは私を腫れもののように扱って、全ての里の者が私と距離を置くようになった!クイーンだからといって敬うだけ!クイーンになってから私はいつも1人ぼっちだった・・・、こんな事になるならクイーンに目覚めたくなかった・・・」


ミヤコがクイーンの言葉を聞いて泣いていた。

「ミツキ・・・、そうだったの・・・、クイーンは里では最上の存在。目覚めた者には最高の礼をもって接しよと教えられていた。それがミツキにとっては苦痛だったなんて・・・」

「私達がミツキを歪ませていた・・・、ごめんなさい・・・、本当にごめんなさい、ミツキ・・・」

キョウカや他の3人のスキュラ族も泣いていた。


サクラが悲しそうな目でクイーンを見ている。

「クイーン・・・、そうだったの・・・、でも、あなたは勘違いしているわ。私は決して強くない・・・・、今まで強かったと思っていた私は間違いだったの。私より強い人はお父さんやお母さん達だけだと思っていた。外の世界を知らなかった。外にはあなたみたいな強い人がゴロゴロいるんだってね。やっぱり私は子供だったと自覚したわ。」

「そして、みんなが私をいつも見守っていてくれている事も忘れていた。お父さん、お母さん、凍牙お兄ちゃんに新しく出来たお姉ちゃん達・・・、周りの全てが私を見守ってくれている。こんな嬉しい事はないわ。そして、その人達の為に頑張ろうと思ったら力が出てきたの。これがお父さんが言っていた守りたい気持ちなんだってね。お互いが守りたい。その気持ちがみんなと繋がり大きな1つの力になるの。今回は私にその力が集まっただけ。私自身はまだまだ見習い女神だからね。お母さん達みたいに立派ではないわ。」

「クイーン、いえ、ミツキ・・・、あなたはまだやり直せるわ。まだ完全に闇に堕ちていないからね。それに見て、あの人達を・・・、あなたの為に泣いているのよ。」


クイーンがミヤコ達の存在に気付き、ミヤコを見つめていた。

「姉さん・・・、それにみんな・・・、私の為に泣いているの?」


ミヤコがジッとクイーンを見つめている、その目には涙が溢れている。

「ミツキ、ごめんなさい・・・、あなたはクイーンである前に私の可愛い妹・・・、私達は使命を優先してあなたの気持ちを考えていなかった。もうクイーンって関係ないわ。これからは昔みたいにみんなで一緒に笑い合って暮らしていきましょう。だって、あなたは私の大切な妹なんだからね。妹が辛そうにしているのは見たくない・・・」


「姉さん・・・」

クイーンの表情から険しさが取れ、とても穏やかな美しい顔になっている。


「うっ!ダメよ!止めてぇえええ!」

突然、クイーンが苦しみ始めた。

「まだ私を苦しめるの!もう嫌だ!一人ぼっちになりたくない!」


驚きの表情でミヤコが苦しんでいるクイーンを見ている。

「ミ、ミツキ!一体、どうしたの!」


苦しそうな表情でクイーンが叫ぶ。

「姉さん!キョウカ!みんな!逃げて!霊廟で憑りつかれた前世の私の残留思念に私の意識が完全に取り込まれる!何度も飲み込まれそうになって抵抗していたけど、私の力じゃもうこれ以上は・・・」

ゆっくりとクイーンが周りを見渡す。とても醜悪な笑顔で・・・

「ふふふ・・・、やっと、自由になれたわ。忌々しい今の私めぇえええ!私に支配されないように散々抵抗して・・・、心が折れた今ならチャンスだった。もう私がこの体を完全に支配したから、今の私は意識の中で沈んでいてね。」

クイーンからどす黒いオーラが大量に噴き出す。今までで1番邪悪な感じだ。

「さぁ、復讐よ・・・、もうフェンリル族なんて関係ない。この森の命は私が全て刈り取ってあげる。私の気の済むまで徹底的に破壊してあげるわ!」

「そして、私達4人の家族だけでこの森で静かに過ごすの。誰にも邪魔されずに・・・、ずっと一緒にね。それが私の願い・・・」

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