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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
114/184

フェンリル族の里㉗

クイーンから出ている黒いオーラが少しづつ濃くなっている。

このままだと完全に闇に堕ちてしまう。


クイーンの表情も歪んで醜悪になってきた。

「はははぁあああ!不思議ね。力がどんどん湧き出してくるわ!私にこんな力が眠っていたなんて・・・、今までこんな気持ちになった事はなかったわ!最高の気分よ!」


サクラは小さく縮こまってしまいガタガタ震え泣いている。

「こ、怖い・・・、闇堕ちがここまで凄まじいものだなんて・・・、訓練や模擬戦とは違うよ。どうやって戦えばいいの・・・、お父さん・・・、お母さん・・・、助けて・・・」


クイーンがガーベラ達を見て舌なめずりをしている。

「ふふふ・・・、この私の圧倒的な力を見ても闘志が衰えないなんて見事だわ。あなた達は殺し甲斐があるわ。」

そして、サクラを一目見る。

「この様子だとあなただけが心が折れたようね。ライバルだと思って目にかけていたのに残念だわ。もうあなたには興味が無くなった。そこで震えながら、あなたの大切な人が死んでいくのを見てなさい。もちろん、お兄ちゃんも殺してあげる。」

「お兄ちゃんは蘇らせるのでなくて、アンデットとして復活させてあげるわ。可愛らしいあの姿のままで、私の大切なオモチャとしてね。」


「きゃはははははははははぁあああああああ!」

クイーンが絶叫する。


マズイ!非常にマズイぞ!普通に闇落ちした神よりも遙かに性質が悪い。力の上昇度がハンパないぞ・・・

ガーネット・・・、これでも俺は見届けるだけしか出来ないのか?

だが!俺も男だ!ガーネットが俺を信じたように、俺もお前を信じよう!

だけど、1つだけお節介をさせてくれ。


「サクラァアアアアア!」


「お、お父さん・・・」

サクラがハッとした顔で俺を見た。涙でグシャグシャだ。今すぐにでも助けに行きたい!でも我慢だ!


「サクラァアアア!お前は俺と春菜の娘だ!お前を信じているぞ!」

そう言って、俺はサクラに向けてサムズアップした。


「お父さん・・・、ありがとう・・・」

サクラの目に力が戻ったようだ。頑張れ!


しかし、クイーンがサクラを見て笑う。

「きゃはははぁあああ!あなたのお父さんも薄情よね。私を倒すだけの力がありながら何もしないなんてね。あなた達が無残に私に殺されるのを見たいのかしら?あなたは特別に最後に弄りながら殺してあげる。」

そして、ガーベラ達に視線を移した。

「その前に、お兄ちゃんの周りにいる羽虫を駆除しなければね。そして、お兄ちゃんも羽虫のおかげで汚れてしまったから、一緒に焼却して一回キレイにしてあげるわ。」


クイーンが右手をスッと上に上げる。

その瞬間、頭上に巨大な炎の玉が出現した。炎の玉が形を変えていく。巨大な炎の鳥の姿になった。

ガーベラが叫ぶ。

「アレはフェニックス・プロミネンス!」

「いくら何でも、あの魔法はお母さん達でないと対応出来ない・・・、私達だと手も足も出ないよ・・・」


クイーンがニヤニヤ笑っている。

「どう?この圧倒的な差を思い知った?何をしてもあなた達は私に勝てないわ。素直に死になさい・・・」


しかし、サクラがヨロヨロとした足取りでクイーンとガーベラ達の間に立った。

「私はまだ負けていない・・・、お父さんや・・・、お母さん達が・・・、どう戦ってきたか・・・」

「忘れていたわ。私は強くなったと勘違いもしていたしね。お父さん達の戦いは・・・、そう、大切な人達を守る為!みんなの笑顔を守る為!その為ならいくらでも強くなれる!守りたい気持ちは無限の力だと!」

サクラがキッとクイーンを睨む。

「だからクイーン!私はあなたみたいに闇の力に溺れない!闇の力なんかに負けるものですかぁああああああ!」


クイーンが怒りの表情に変わった。

「この小娘がぁあああああ!負け犬は負け犬らしく大人しくしてればいいのよぉおおお!何よその目は!あぁあああ!イライラする!」

そして醜悪な笑顔をサクラに向けた。

「そんなに死にたいのね。だったら、あなたを1番最初に殺してあげる・・・、生き返る事も出来ないように魂まで念入りに燃やし尽くしてあげる・・・」


「死ねぇええええええええええええええええええええええ!」


巨大な炎の鳥がクイーンの頭上からサクラ目がけて飛び立った。一直線にサクラに迫ってくる。


「くっ!私が避けると後ろのガーベラ達に当たってしまう・・・」

サクラが迫ってくる炎の鳥を見つめている。

「それなら!シールド・ビット!最大出力!」

炎の鳥の前に何枚もの三角形のシールドが出現する。


「きゃははははぁあああ!無駄よ!そんなシールドごときで私の炎の鳥は止められないわよ!」

シールドが一瞬で全て砕けてしまった。炎の鳥の勢いが全く衰えていない。

「無駄よ!無駄!無駄!無駄ぁああああああああああああああああああああ!」

「あはははははははぁああああああ!」

クイーンの笑い声が響いた。


「ならば!イージスの盾ぇえええ!」

サクラの正面に巨大な輝く盾が出現する。

直後に炎の鳥が激突した。

「ぐぁあああああ・・・、ま、負けるもんですかぁあああ!」


しかし、クイーンが笑いながら叫んでる。

「あはははぁあああ!無駄よぉおおおおお!負け犬ごときに私の呪文は防げないわぁあああ!」


光の盾に無数のヒビが入る。

「私は負けなぁあああああああいっ!私はお姉ちゃんなんだ!ガーベラやみんなを守るんだぁああああああ!」

サクラが叫んだ瞬間、盾が砕けた。

そのままサクラが炎に飲み込まれて、炎の鳥が大きな炎の柱に変化した。


「サ、サクラァアアアアアアアアアアアア!」

もう、我慢出来ない!

ガーネット、すまん・・・、俺がクイーンを倒す。


動き出そうとした瞬間に後ろから誰かに呼び止められた。

「あなた!待って下さい!」

後ろを振り向くと・・・

春菜を先頭にして、里に残っていた者全てが立っていた。吹雪も一緒にいる。

フローリアに千秋、美冬、マリー、族長に氷河とキョウカ夫婦にミヤコ、そしてスキュラ族が3人だ。

いや、ちょっと離れたところにボンテージ姿の渚がいる。そして、その後ろには怯えてガタガタしているフェンリル族の男4人が立っていた。

渚が男達に向き直った。

「どう?これが上位神の戦いよ。これくらいの戦いで情けない顔をしないでね。あなた達も神界最強種の一員なんでしょう?フェンリル族が最強と言われるのは強さに上限が無い事。この特性はフェンリル族しか持っていないのよ。美冬みたいにどこまでも強くなれる。そしてあなた達もね。今は弱いかもしれないけど、悔しかったら頑張りなさい!この戦いに参加出来るくらいまで強くなりなさいね。」

男達が涙を流しながら頷いている。さっきまでの怯えている目が変わっていた。力のある目になっている。

渚がニャッと笑った。

「ふふふ・・・、これでかなりハードな訓練でも大丈夫そうね。腕が鳴るわぁ・・・、どれだけ楽しい悲鳴を上げてくれるかな?」

渚・・・、お前、自分のS欲求を満たす為に焚き付けたな。簡単に根を上げないようにな。フェンリル族の男達よ、冥福を祈る・・・


キョウカを始めとしたスキュラ族が青い顔をしながらクイーンを見ている。

ミヤコがボソッと呟く。

「クイーン・・・、あんなに禍々しいオーラを身に纏っているなんて・・・、それに何なの?あの醜い顔は・・・」

「お願い・・・、元の優しいあなたに戻って・・・、私の可愛い妹、ミツキ・・・、お願い・・・」


春菜がソッと俺に寄り添ってきた。

「あなた・・・、辛い思いをさせてすみません。私にもサクラが真の力に目覚める姿が見えました。でも、それは賭けでした。サクラが無残にも死んでしまう姿も同時に見えてしまったのです。でも、あなたと私の間に生まれたサクラを信じたかった。」

春菜が涙を流しながら大きな火柱を見つめている。

「やはり、サクラは私達の子でした。どんな困難でも乗り越えていける強い意志を持っていたのですね。そして、本当の力に目覚めてくれました。」


クイーンが火柱を見て笑っている。

「あはははははははぁああああああ!負け犬がぁあああ!私に逆らうからだよ。魂まで残さず焼き尽くされなさい!」

しかし、クイーンの表情が変わった。

「変ね・・・、あんなチビなら一瞬のうちに燃え尽きるはずなのに、まだ炎が消えていない。どうなっているの?」

その時、火柱に変化が起きた。

火柱の中から光が見える。黄金の光だ。

一体、あの炎の中で何が起こっているのだ?

黄金の光が更に強くなっていく。そして炎が全て吹き飛んだ。

クイーンの表情が驚愕に変わった。

「な、何が起こったのよぉおおおおお!あんなチビに何が出来るっていうの!」


炎の中からサクラが現われ宙に浮いている。

サクラの前に黄金の丸い盾が光輝きながら浮いていた。

そんなに大きくない盾だ。30㎝くらいだろう。

黄金に輝いているということは神器のはずだ。しかし、俺の知っている12の神器のどれにも当てはまらない。冷華のオリジナル神器とも違う。一体、あの神器は何なのだ?

その盾を中心にしてサクラの全身を結界が覆っている。この結界がサクラを守ってくれたのだろう。

フローリアが呟いた。

「エターナルが完全な姿になるのね。彼女がサクラを真のマスターと認めた・・・」


「完全な姿?真のマスター?一体どういう事だ?何か知っているのかフローリア・・・」


フローリアが俺に微笑んだ。

「はい、お話しますね。」

「サクラが持っているエターナル・フタッフはあれだけでは不完全な神器です。不完全といっても強力ですし、魔力増幅の加護はとんでもないチートですけど・・・、ですが、今、現れたエターナル・シールドと対になって初めて本当の力が発揮されるのです。あまりにも反則的な能力なので、神器自らが半身を封印して託せる者を見極めていました。今まで色んな女神や天使が認められようと挑戦しましたが、ことごとく拒否され、歴代で認められたのは私とママだけですよ。ママはもう引退していますし、私はクローディアの方が合ってますからクローディアのマスターになっているんです。まぁ、クローディアは人化も出来て私の話し相手にもなってくれるのもありますけどね。」


サラッと言っているが、あの神器に認められたフローリアも本当に凄いんだな。普段はアホな事ばかりしているイメージが強いが・・・


フローリアがジロッと睨む。

「旦那様・・・、今、何か失礼な事を考えていませんでした?」


俺の背に冷や汗が流れる。す、鋭い・・・

「いやぁ~、あんなすごい神器に認められるフローリアって凄いんだなぁ~って思っていたのさ。」


フローリアが嬉しそうに俺に抱きついた。

「うふふ・・・、旦那様に褒められちゃった!もう最高です!」


ふっ!チョロい、チョロ過ぎるぞ、フローリア!


サクラの方を見ると、サクラがゆっくりを目を開き始めた。

さぁ、お前の真なる力を俺達に見せてくれ!



「あれ!私は一体・・・、確か炎に飲み込まれたはずなのに・・・」

キョロキョロと自分の体を確かめ始めた。

「嘘・・・、全身の傷が治っている・・・、しかも、折れた翼まで元に戻っているなんて・・・」

目の前にある黄金の盾に気付いた。

「そう・・・、あなたが私を守ってくれたのね。ありがとう・・・」

そっと盾に手を添えた。その瞬間、盾が激しく輝いた。

「こ、これは!エターナル・・・、あなたの意志が私の中に流れ込んでくる。ありがとう、私に力を貸してくれるなんて嬉しい・・・」

「そう・・・、私が気付くのを待っていてくれたのね。本当に私はバカだったわ。強さとは何か?っていうのをはき違えていたんだね。私も一歩間違えればクイーンと同じになっていたかもしれない。いえ、確実になっていたわ。それをみんなが私に気付かせてくれた。そして、私はみんなから愛されているって事もね。」

「エターナル、一緒に頑張ろうね。クイーンを救わないと・・・、もう一人の私を・・・」


盾がサクラの左腕に装着され、右手に杖が現れ握られる。

サクラの全身が金色の輝いたが、すぐに輝きが消えた。

サクラの表情が驚愕に変わっている。

「エターナル・・・、あなた、本当にとんでもない神器なのね。私みたいな見習い女神で本当に良かったの?」

目を閉じ静かに佇んだ。

「分かった・・・、私もあなたの気持ちに応えなくちゃね。」

そして、クイーンを真っ直ぐ見つめ叫んだ。

「クイーン!待たせたわね。第2ラウンドよ!今度はあなたを満足させてあげるわ。私の勝ちでね。」


クイーンがにやぁ~と笑う。

「あらぁ・・・、まだ懲りていないの?あれだけ無様な格好をしていたのに大した自信ね。でも、大人の姿にならなくて大丈夫なの?そんなチビの姿で何が出来るのぉおおお!」


「私を舐めるなぁああああああああああああああ!」

「フェニックス・プロミネンスゥウウウウウウ!」


巨大な炎の鳥がサクラ目がけて飛んでいく。

「あんたみたいなチビはささっと死ねぇええええええええええええええ!」


炎の鳥が空中のサクラに迫ってくる。

「エターナル!頼むわ!」

盾の周囲から青い光が湧き出し、盾を中心にサクラの全身ほどの大きさの透明な青い盾が出来た。


「無駄!無駄!無駄ぁああああああああああああああ!」

クイーンが叫び、炎の鳥が盾に激突した。


しかし、激突した瞬間、炎の鳥が苦しそうに悶えながら破裂し消滅した。

クイーンが信じられないような表情でサクラを見ている。

「い、一体、何が・・・」


「お返しよ!」

サクラが叫ぶと、頭上に巨大な炎の鳥が出現し、クイーン目がけて飛んで行く。

しかし、クイーンの目の前で爆散し消滅してしまう。

「フェニックスまで防ぐなんてね。闇の力がここまでフィールドを強化しているとは・・・」

「でも、私とエターナルの前では無意味よ。」


クイーンがギリギリと歯を鳴らす。

「チ、チビがぁあああ・・・、生意気よ・・・、何であんたがフェニックスまで使える?私より遥かに格下の実力だったくせに・・・」


サクラが春菜そっくりの笑顔で微笑む。

「それは秘密・・・、でも、1つだけ確実な事があるわ。」

「それは、闇の力に溺れた今のあなただと、絶対に私に勝てない事よ。」


クイーンが激昂する。

「ふ、ふざけるなぁああああああああああああああ!さっきまでガタガタと無様に泣いていた貴様に言われたくないわぁあああああああ!」

大量のどす黒いオーラがクイーンから溢れ出す。


サクラは変わらずニコニコした表情だ。

「では、それを証明してあげるわね。」


ニコニコしているサクラの視線と、醜く歪んで怒りの表情のクイーンの視線が、2人の間で火花をあげていた。

評価、ブックマークありがとうございます。

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