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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
113/184

フェンリル族の里㉖

その頃、サクラは・・・


「ライト・ボール!」

サクラの周囲に大量の光の玉が発生し、勢いよくクイーン目がけて飛んで行く。

「くっ!ダーク・スフィア!」

クイーンの周囲にいくつもの黒い玉が湧き上がる。光の玉に向って飛んで行き、お互いの魔法がぶつかり合い消滅する。


「はぁ、はぁ・・・」

「さすがクイーンね。フィールドだけしか能が無いと思ったけど、普通でも強いのね。私の攻撃に耐えるなんてね。」


「ふふふ・・・、サクラ、あなたも凄いわ。最初は石ころみたいな存在だったけど、私と戦う事によってどんどんと強くなってくるなんて・・・、あなたの成長が怖いわ。」

「でもね・・・」


「凍牙さんは!」

「お兄ちゃんは!」


「「渡さない!」」


「「グランド・クロスゥウウウ!」」

お互いの背後から巨大な十字の光が発生し飛んで行く。お互いの魔法が衝突し大爆発を起こした。


サクラは上空に、クイーンは地上でお互いに視線を合わせている。

2人共、かなりボロボロだが、どの傷も浅く戦闘には支障がなさそうだ。

クイーンが忌々しそうにサクラを見ている。

「くっ!女神族の飛行能力は本当に厄介ね・・・、動きは素早いし、何より上から攻撃できるアドバンテージが1番厄介ね。これをどうにかしないと・・・」


逆にサクラは嬉しそうだ。

「私の全てをぶつけても仕留められないなんて・・・、あなたは本当に凄いわ。そして分かる。あなたと戦うごとに私が強くなっていくのがね。」



アイリスがサクラ達の戦いを見ている。

「パパ、サクラが凄いね。あのクイーンと互角なんて・・・、このまま押し切っちゃうかも?」


「ああ・・・」

しかし、俺の考えは違う。

確かにサクラはどんどん強くなっているのは感じる。だが、攻撃が単調になりかけているし、クイーンの方はまだ余力を残しているみたいだ。

段々と戦闘経験の差が出てきていると思う。このままでは負ける可能性が高いぞ・・・


この勝負、俺達は手を出せない。アドバイスも出来ない。サクラ、頼む!自分で気付いてくれ!



サクラの周囲に大量の魔法陣が浮かぶ。クイーンが叫んだ。

「喰らいなさい!全方位からの攻撃を!アイス・ランス!ファイヤー・ランス!」

全ての魔法陣から魔法がサクラ目がけて飛び出した。


「くっ!シールド・ビット!」

サクラの周囲に桃色の三角形のシールドが何枚も展開し、全てのクイーンの魔法を防いだ。


クイーンが忌々しそうな表情で上空のサクラを睨んでいる。

「予想以上に高性能なシールドね。忌々しいったらありゃしない・・・」

「それなら・・・」

クイーンがニヤッと笑いスッと右腕を上げる。

「ギガ・サンダーレイン!これなら空にいても逃げ場はないわよ!」

上空から大量の雷がサクラを襲う。

「シールド・ビット!上空に展開よ!」

サクラを襲った雷がシールドに防がれている。しかし、雷がまだまだ降り注ぎ続いていた。サクラはクイーンから目を離さず雷の雨に耐えている。クイーンは呪文に集中しているようだ。視線が一瞬サクラから離れた。

今度はサクラがニヤッと笑う。

「隙あり!アトミック・レイ!」

白い光がクイーン目がけて飛んだ。

クイーンの反応が一瞬遅れる。咄嗟にサクラの魔法を躱したが、左腕が焼かれ消滅してしまう。

「ぐぁあああああ!」

クイーンが苦悶の表情になる。

サクラの表情が緩んだ。

「当たった!これで一気に・・・」

しかし、クイーンはまたもやニヤッと笑い叫んだ。

「賭けに勝った!思いっきり油断したわね、サクラ!あなたは私に誘われたのよ!ダーク・ボール!」

サクラの顔が驚愕に変わる。

「えっ!今、何て・・・」

サクラの背後から大きな黒い光の玉が迫って翼に直撃した。

「きゃぁああああああああ!」

サクラはきりもみしながら落下し、地面に激突してしまう。

「う、うぅぅ・・・」


サクラがヨロヨロしながら立ち上がった。しかし、左側の翼がボロボロになって折れている。

クイーンは脂汗をかきながらサクラを見つめていた。

「はぁ、はぁ・・・、やっと地面に降りてくれたわね。左腕を犠牲にしただけの価値はあるわ。」

「ギガ・ボルト!」

クイーンがサクラに向けた人差し指から太い稲妻が飛んだ。

「ぎゃぁああああああああああ!」

サクラが稲妻の直撃を受け、悲鳴を上げながら地面を転がっていた。


「これでチェックよ。あなたの翼を折ったからもう飛べないわね。そして私は・・・」

「エクストラ・ヒール!」

クイーンの全身の傷が治り、消滅した左腕までもが元に再生している。

「この通り、元に戻ったわ。もうあなたに勝ち目はないわ。」

「今回はお兄ちゃんは私が連れていくね。あなたは気に入ったから見逃してあげる。私はスキュラ族の里にいるから、強くなってからまた来なさい。何度もあなたの挑戦を受けるわよ。」


「バ、バカにしないでよ・・・」

サクラが再び立ち上がる。

しかし様子が変だ。サクラの輪郭がブレ始めた。みるみるサクラの体が小さくなっていく。

「う、嘘・・・、こんな時にエターナルの加護が切れるなんて・・・」

いつもの7歳児の姿のサクラがそこにいた。


クイーンが驚愕した表情でサクラを見つめている。

「お兄ちゃんと同じ・・・、こんな子供があなたの正体だったなんて・・・、子供に私は追い詰められていたの?」

クイーンの目がスッと細くなる。

「しかし、勝負は勝負・・・、私はお兄ちゃんを手に入れる為なら手は抜かないわよ。もう諦めて、あなたに勝ち目はないからね。」


「うわぁああああああああ!ビッグ・バン!」

サクラが絶叫し魔法を放つ。

クイーンの姿が一瞬歪んで見えた、その直後にクイーンの目の前で大爆発が起きた。


ズドォオオオオオオン!


土煙が晴れてクイーンの姿が見えたが、全くの無傷の状態で立っている。

「ふふふ・・・、フィールドも復活したわ。これでチェックメイトよ。もう、あなたに対抗する手段は無くなったわね。」

「うっ!お兄ちゃん!」

クイーンの表情が、離れた場所で気絶した凍牙を抱いてうっとりしている雪を見て怒りに変わった。

「私が目を離した隙にお兄ちゃんを取った・・・、あの女は八つ裂きにしてやるわ!いや、それすら生温い、骨も残さず燃え尽きなさい。」

「死ねぇええええええええええ!」

クイーンの隣に巨大な炎の塊が出現し、凍牙と雪のところに飛んでいく。

「ま、マズイ!」冷華が叫んだ。

「冷華、任せて!」

レイラが一瞬にして雪の前まで移動し、迫って来る炎の玉の前に立ちはだかり構える。

「はぁあああああああ!せぇえええええい!」

炎の塊に拳を打ち込み横に払った。


ドカッ!


レイラの拳が炎を打ち返し、横に飛んでいった。しかし、レイラからは冷や汗が流れている。

「ふぅ・・・、間に合ったわ。でも、とんでもない魔力ね。ギリギリで跳ね返したけど、これ以上の魔法が来たら私でも跳ね返せない・・・」

冷華とガーベラが追いついた。

「レイラ、魔法を素手で跳ね返す事が出来るなんて・・・、でも、手がズタズタよ。ガーベラちゃん、頼むわ!」


「任せて。ヒール!」


ガーベラが魔法を唱えるとレイラの傷だらけの手が治るが、みんなが険しい顔でクイーンを見ている。

冷華が冷や汗をかきながらクイーンを見ている。

「冗談でしょう?さっきまでとは全く違う!ここまで殺気が届くなんて・・・、コレが本気のクイーンなの・・・」

雪はまだ妄想の世界にいるのか、涎を垂らしながら「うふふ・・・」と焦点の定まらない目をしながら微笑んでいる。

「このバカたれぇええええええ!」


バチィイイイイイイイン!


冷華が雪の頬を思いっきり平手打ちした。


「はっ!私は?」雪が正気に戻った。

「いったぁあああああい!冷華!何すんのよぉおおお!」


冷華が雪を睨みながら話す。

「雪、どうやら正気に戻ったようね。すごくマズイ状況よ。クイーンがアンタに凍牙を取られたと思っているわ。まさか、クイーンの逆鱗に触れるなんて思ってもいなかった・・・、本気で私達を殺しに来る・・・」

「私が時間を稼ぐから、あんた達は凍牙を連れて逃げて!もう、クイーンは凍牙までも殺してしまうつもりよ!いくら生き返らせる事が出来るっていっても無茶苦茶よ!」

そう言って、冷華が神器を構え精神を集中する。


「ゴフッ!」


冷華の口からまたもや先ほどのように大量の血が溢れ出す。神器を手放し蹲ってしまった。


「「冷華!」」


冷華がゼイゼイ言っている。

「くっ!神器を使う力が残っていない・・・、この神器を甘く見ていたわ、こんなに消耗するなんて・・・、燃費が悪すぎよ!」

「私を無視して逃げて!アレは本当に化け物よ!私もそうだけど、あなた達も絶対に勝てない!」

しかし・・・

「私が冷華を置いていくと思っているの?いつも一緒の親友だからね。」

「私もだ!この素晴らしい世界を与えてくれた冷華を置いていく訳にはいかない!」

「そうよ、私の大好きなお姉ちゃんだしね。そんな薄情な真似はしないわ。」

3人が冷華の前に立った。


クイーンがギリギリと歯を鳴らして3人を見ている。

サクラが叫んだ。

「クイーン!何をする気!凍牙お兄ちゃんまで殺そうとするなんて!何を考えているの!」

クイーンがニヤ~と笑い、サクラを見る。

「お兄ちゃんを殺しても大丈夫よ。私がちゃんと生き返らせてあげるから安心して。他の女は消し炭にするけどね。」


「違う!そんなのは違う!いくら蘇生の魔法があっても、肉親を殺す事には変わらない!殺す事に慣れてしまうなんてダメよ!そんな事をすれば引き返せなくなる!闇に堕ちるだけよ!」


「五月蠅い!サンダー!」サクラに雷が落ちる。


「きゃぁあああああ!」

雷の直撃を受け蹲ってしまった。


クイーンの目が血走っている。

「あなたに何が分かるの!この私のお兄ちゃんを愛する気持ちがどれだけのものか!誰のものにもさせない!私だけのものよ!誰かのモノになるなら殺してでも奪うわ!一緒にお兄ちゃんが死んでも生き返らせれば済む事じゃない!それのどこが悪いの!負け犬が私に指図するなぁあああああ!」

クイーンの全身から黒いオーラが出てきた。


サクラが驚愕している。

「あ、あのオーラは・・・、闇に堕ちかかっている・・・」



ま、マズイぞ・・・

手を出すつもりは無かったが、状況が変わった。これはもう勝負ではない。単なる殺し合いだ・・・

動きだそうとした瞬間、俺の手が誰かに掴まれた。

アイリスが強い眼差しで俺を見つめている。

「アイリス!どうした?あれはさすがに無視出来ないぞ。お前も分かっているだろうが!」

しかし、アイリスが目を瞑り首を左右に振る。

「あなた・・・、状況は分かっています。でも、今は我慢して下さい。もう少しで彼女が真なる目覚めをしそうなんです。ですから、しばらくは・・・」


こ、これはアイリスではない!ガーネットだ!

「どういう事だ?ガーネット・・・」


ガーネットが嬉しそうに微笑む。

「よく私の事をガーネットだと分かりましたね。未来が見えたので必死に伝えに来ました。今のクイーンは闇に堕ちかかっています。しかし、その闇をサクラが振り払ってくれるでしょう。私にはそんな未来が見えました。しかし、目覚めるには相当の覚悟が必要です。でも、彼女ならきっと乗り越えられると信じています。」

「あなた、辛いでしょうが我慢して下さい。これも彼女の為・・・」


「分かったよ・・・」


「ふふふ・・・、思わず『あなた』と呼んでしまいました。これで私は思い残す事はありません。こうして夫婦みたいに会話が出来ましたからね。もう少しするとアイリスは元の姿に戻るでしょう。そうなると、かなりの長い期間、私が表に出ることは出来ません。アイリスを幸せにして下さいね。」

そう言って俺の腕に抱きつき頬をそっとすり寄せた。

「もう少しだけ・・・、あなたの温もりを・・・」

とても幸せそうな表情だ。しばらくそのままにしてあげよう。


しばらくすると、アイリスが淡く輝きだした。

輝きが収まると、いつもの8歳児のアイリスが俺の隣に立っていた。

「あれ!パパ・・・、私、いつの間に元に戻ったの?今夜、大人な私でパパを誘惑して既成事実を作ろうと思っていたのに・・・、残念・・・」


「こら!子供が何て言葉を言っているんだ!成人までのあと8年は我慢しろ!ホントに一体、どこでこんな事を覚えてくるんだ・・・」


アイリスが残念そうに呟く。

「はぁ~い・・・」

そして、大人っぽい表情で俺を見つめた。あまりに大人っぽいのでドキッとしてしまう。

「でも、成人になる前でも私はいつでもOKだよ。早くパパと結婚したいしね。その時はミドリもクローディアも一緒にね。あの2人もいつまで我慢出来るかな?うふふ・・・」


勘弁してくれ・・・、俺はロリコンではないぞ・・・

その前に、ミドリとクローディアに襲われてしまうのか?あの痴女モードを見るとあり得る・・・


ダメだ!今はクイーンの事に集中だ!

ガーネットが言っていた。サクラが鍵となるとな。どのような結果になるか見届けさせてもらうぞ。

評価、ブックマークありがとうございます。

励みになります。m(_ _)m

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