みんなで楽しく食べる食事は最高の調味料②
フローリアが暴走し始めている・・・
「旦那様ぁぁぁぁぁ~~~~~!もう我慢出来ません~~~~~~~!」
「早く愛の巣で絡み合いましょう~~~~~~~!」
「おい!これ以上はマズイぞ!『U』の監視に触れるかもしれん!」
ピクッ!とフローリアが一瞬反応したが、元に戻らず少しずつ迫ってくる。
「くっ!マズイな・・・。『U』でも正気に戻らないか・・・」
「春菜、何かいい手がないか?アイツとの付き合いは長いんだろ?」
「あの状態になってしまうと、もう我々の力では無理です・・・」
「大人しく蒼太様が絞り尽くされるか、フローリア様の目が覚めるまでひたすら逃げ回るか・・・」
「あの化け物みたいな身体能力に逃げ切れる可能性は0だぞ。」
「最後の手段なら無い事はないんですが・・・」
何故か春菜が真っ赤な顔しをしてモジモジしている。
「どんな手段か分からんが・・・、あの化け物を何とかしないとお前たちまで被害が出てしまうからな。最悪の状況だけは回避しないと・・・」
「春菜!頼む!」
春菜がさっきよりも更に顔を赤くしていたが、意を決したようで俺を見つめ、俺の手首を掴んだ。
そして俺の手を春菜の大きな胸に当て押し付けてきた。
や、柔らかい・・・
そのまま吸い込まれてしまいそうな弾力だ。
極上の感触に思わず手に力が入ってしまい、春菜が「あっ!」と小さく喘いだ。
するとフローリアの動きが止まり、
「春菜さん~~~!一体何をしているのかな~~~ぁ?」
おっ!止まったぞ。
フローリアの動きを確認すると、春菜が「蒼太様、すみません・・・」と言って、俺の唇が塞がれた。
春菜からキスをされた。
「だ、旦那様・・・一体何を・・・・」
フローリアが激しく動揺している。
そうか、精神的に大きなショックを与えれば元に戻るかも?
俺はフローリアを見つめると
「フローリア!」
「俺は確かにお前が好きだ。ただ、あんまり度を過ぎると嫌いになるぞ!」
「な、な、な・・・」
「春菜、俺こそゴメン・・・」
そう言い、春菜を抱きしめ、今度は俺の方からキスをした。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~!」
フローリアが頭を抱えながら絶叫し、そのまま崩れ落ち失神してしまった。
「た、助かったぁ・・・・・」
春菜を見たら、耳まで真っ赤になって俯いていた。
美冬:「フラグ立った。今後修羅場の可能性は確実・・・」
気絶したフローリアを俺が膝枕をして目が覚めるまで待った。
みんなから「これは蒼太様の役目ですよぉ~」と茶々を入れられたからなんだけどな。
フローリアが目を覚ました。
「はっ!私は何を?」
「えっ!いつの間に旦那様に膝枕をされて・・・うへへへぇぇぇ~~~~」
何か色々と台無しなフローリアであった。
「私が何かしでかしました・・・?」
「いや、何にも無いさ。フローリアも色々と疲れが溜まっていたんじゃないか?いきなりフラッと倒れたからビックリしたよ。」
「そうでしたか・・・、旦那様、もう少しこの膝枕の余韻に浸っていたいです・・・、ふふふ・・・」
「幸せ・・・」
もう少しフローリアを甘えさせる事にした。
どうも、ストレスや感情が限界を超えて爆発すると、さっきみたいな暴走モードに突入するみたいだ。
たまには甘えさせてガス抜きをさせてあげないとな。
しばらくフローリアを甘えさせてあげて、「よし!家の確認に行くか。」
みんなで家の中の確認をしに行く。
何か、どこかの住宅メーカーの内覧会に来た気分だ。
見事な家だ。
1階はリビング、和室1つ(何故この世界で和室?)、ダイニングキッチンに対面式のキッチン。トイレに浴室が別々にあり、この家の中にいるとまるで日本に戻ってきた感覚になる。
もちろん、玄関で靴を脱ぐのも一緒だったりする。
2階は部屋が3つに納戸か。
ますます日本の住宅だな。
さすがにこのメンバー全員で泊まるにはちょっとキツイが、フローリアの言う通り俺とフローリアの2人で住むには十分過ぎるくらいの家だな。
「この様式の建物が旦那様に一番リラックスしてもらえると思いまして・・・」
フローリアさん、最高です!
1階に戻り、今度はキッチンの確認をしてみた。
IHコンロにオーブンレンジ、炊飯器、食器、調理器具も全て完璧に揃えられている。
電気も水道も何故かちゃんと使用出来た(フローリア曰く「これが異世界マジック」との事)。
調味料も十分過ぎるくらい揃っていた(足りなくなれば地球から送ってくれるとの事)。
俺の好みの調味料ばかりだ。(俺の事をよく調べてるなぁ・・・)
そうなると・・・
壁に備え付けてある、かなり大きな冷蔵庫も気になる。
「フローリア、この冷蔵庫は?」
「旦那様、よく気が付きました。この冷蔵庫はただの冷蔵庫ではありません!」
「この私の女神としての能力と権力の全てを駆使して開発した冷蔵庫です。」
「この世界だけでなく、旦那様の世界の食材を望めば出現し、保管できます。」
「材料が不足の心配も無く、色んな料理にチャレンジ出来るのです!」
ドヤ顔のフローリアがいた。
確かに、この家のキッチンに対する情熱がハンパない。
フローリアは料理が得意なんだろうな。
「いやぁ~、すごいキッチンだ。ここまでキッチンに拘るなんて、フローリアは料理が得意なんだな。」
フローリアが硬直して、目が在らぬ方向に泳ぎ、全身から滝のような冷や汗が出ている。
アウトかぁ・・・
「誰か料理が得意な人はいるよね?」
フローリアを含めて5人全員が土下座した。
仕方ない、俺が頑張るか・・・
「じゃぁ、食事は俺が作るから、みんなはそれまで順番に風呂に入って、リビングで寛いでいてくれ。」
「あ、あのぉ・・・」
「料理は確かに無理ですが、私もメイドの端くれ、蒼太様のお手伝いをさせて下さい。」
「わ、分かったよ。」
「ありがとうございます。」
春菜が小さくガッツポーズをしたら、大きな胸がプルンッ!と大きく揺れた。
目のやり場に困る・・・
「そうしたら、春菜はお湯を沸かしてくれないか?」
「かしこまりました!」
ボンッ!
「きゃあっ!」
何故、鍋でお湯を沸かすだけで爆発する・・・
「じゃあ、その皿を取って。」
ガシャン!
「きゃあっ!」
何枚も皿が割れた・・・
「そしたら・・・、この皮を剥いて。」
ドスッ!
「はわわぁぁぁ・・・」
春菜の持っていた包丁が何故かすっぽ抜けて、俺の目の前に刺さった・・・
「春菜さん・・・」
「はわわ・・・」
「みなさんと一緒にリビングで寛いでいて下さいね。」
「はい・・・・・・・・」
春菜がリビングの隅で膝を抱えて、「どうせ私はダメなメイドで・・・」とブツブツ言いながら床に沈み込んでいた・・・
そう言えば、美冬がドラゴンの肉は極上とか言っていたな。
メインはドラゴンのステーキで、後は色々と作ってみるかな。
そして・・・
「お~~~い!出来たぞぉ~~~!」
「リビングでみんなで食べよう。」
「「「「「は~~~い!」」」」」
みんなが席に着いた。
「ん!」
「夏子さんやぁ・・・、この椅子は何でしょうか?」
何かガチムチの男の人が四つん這いになっていて、上に夏子が座っていた。
「ああ、これは私の下僕だ。」
「コイツはどうしても私の椅子になりたいと懇願しててな。」
フローリアが「これでもコレは地球の神ですよ。今回の食材集めには頑張ってもらいましたし、ご褒美に希望していた夏子さんの椅子の任をさせたのですよ。」
「ご、極上のご褒美です!」
とっても幸せそうな顔をしていた・・・
地球は大丈夫なのか・・・
何故か頭痛がする・・・
「やっぱり気になるから、この椅子は今は無しにして。」
「折角の食事がねぇ・・・」
「分かった。」
「おい下僕!今回は仕方ないがこれで終わりだ、今後の働きでまた椅子にしてやるぞ。」
「喜んで!!!」
そうして地球の神は帰っていった。