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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
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フェンリル族の里⑳

俺とアイリスとミドリは凍牙達から少し離れたところに立っている。

今からの戦いは凍牙を巡る戦いだからな。俺達があまり手を出す訳にはいかん。俺が手助けしてクイーンを負かせてしまっても、クイーンは納得しないだろう・・・

しかし、クイーンからかなり離れているのに、彼女から感じる魔力はハンパない。

さすがにクイーンと呼ばれるだけある。あのアホ一族とは比べものにならない強さだぞ。

まぁ、あのアホ一族のアイツだけは別の意味で手強かったが・・・

しかし、凍牙の強さや俺の娘達の強さも並ではないから甘く見るなよ。


クイーンはずっと凍牙を見ている。

「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん・・・」

「あぁ・・・、こうやって再び会えるなんて、やっぱりお兄ちゃんと私は結ばれる運命なんだね。お兄ちゃんと一緒になるならクイーンの座を捨てても良いよ。1人のスキュラ族の女として、そしてお兄ちゃんの妻として一生寄り添って生きていきます。子供は何人がいいかな?やっぱり多い方がいいかな?たくさんの子供達に囲まれて幸せそうにしているお兄ちゃんと私・・・、私はお兄ちゃんの横に寄り添って『あなた』って言うのね。そしてお兄ちゃんは『ずっと愛しているよ』と言ってくれるの。段々とお兄ちゃんと私の顔が近づいて・・・、うふふ・・・」


うわぁ~、クイーンも妄想の世界にトリップするんだ。重度のブラコンだと思っていたが、重度どころではないぞ・・・、この危なさはかつてのガーネットクラスだよ。

思わずチラッとアイリスを見てしまったが・・・

申し訳なさそうに俺を見ていた。どうやら、ガーネットの意識が少し戻っているみたいだな。かつての自分を見ているようで恥ずかしいのかな?


凍牙が叫んだ。

「ミツキ!元の世界に戻って来るんだ!このまま妄想の世界に入っていると、元に戻れなくなってしまうぞ!」


クイーンがハッと我に返った。

「お、お兄ちゃん・・・、一体、私は・・・」

そして妖艶な笑みを浮かべた。

「お兄ちゃんが私の心配をしてくれた・・・、やっぱりお兄ちゃんは私の事が好きなのね。私が1番好きな人だから、お兄ちゃんも私が1番なのは当たり前だよね。あんな婚約者よりも私の方が好きに決まっているよね!お兄ちゃん!」


サクラ達が凍牙の前に出て、凍牙を守るようにクイーンの前に立ちはだかった。

「クイーン!凍牙さんは私達の夫になるのよ。決してあなた1人のものではないわ!あなたが奪おうとするなら、私が全力で阻止します!」

サクラとクイーンが睨み合っている。

「サクラ、私もいるのよ。みんなで協力して頑張らないと・・・」

ガーベラが少し心配そうにサクラを見ている。

「そうよ!私も雪も凍牙の事が大好きなんだから、クイーンに取られてたまるもんですか!私達も協力するからね。」

冷華もサクラに話すが・・・

「大丈夫よ、私はあんなヤツに負けない・・・、私が凍牙さんの事を1番好きなんだから・・・、そうよ、私が1番なのよ・・・、クイーンなんかには・・・」


「「「サクラ・・・」」」

3人が心配そうにサクラを見ている。


サクラの周りにいくつもの魔法陣が浮かぶ。

「クイーンなんかには負けなぁああああい!アトミック・レイ!」

何本もの極太レーザーがクイーンに降り注いだが、クイーンの目の前で全てが消滅してしまった。

「な、何で・・・」


ガーベラが驚きの顔でクイーンを見ている。

「まさか、あれはお母さんしか使えない次元湾曲フィールド・・・、クイーンも使えるなんて・・・」


クイーンがフッと微笑む。

「あら、このフィールドの事を知っているなんて立派なお嬢ちゃんね。だったら分かるでしょう。私の前ではどんな攻撃も無意味だとね。ふふふ・・・」

クイーンの右手に巨大な炎の玉が出現し、ガーベラ目がけて飛んで行く。

「危ない!アルテミス!」

雪の左手に黄金の弓が握られ1本の矢を放った。

「出でよ玄武!我らを守れ!」

光の矢が炎の玉の目の前で巨大な六角形の光の盾に姿が変化し攻撃を防いだ。

しかし、雪もガーベラも大量の冷や汗をかいている。


「あら、意外とやるわね。当たったと思ったのに・・・」

「このフィールドは相手の攻撃は完璧に防げるし、こうやってこちらからは普通に攻撃が出来るのよ。あなた達に勝てる要素は無いわ。死にたくなければお兄ちゃんを置いて、とっとと尻尾を巻いて逃げて頂戴。もうフェンリル族の里には興味が無くなったから、私はお兄ちゃんを連れて帰るわ。それがあなた達が生き残る唯一の方法よ。」


しかし、冷や汗をかいていたガーベラがニヤッと微笑んだ。

「確かに、このフィールドは無敵だよね。最強と呼ばれているイージスの盾よりも強固なのは間違いないわ。でも、私のお母さんが使えるという事は、このフィールドの弱点も分かっている事だよ。私1人の力だと無理だけど、みんなで力を合わせれば壊せるはず・・・」

「サクラ、ここはみんなで力を合わせて、まずはあのフィールドを壊そうよ。」


サクラがキッとガーベラを睨んだ。

「ガーベラ!私がクイーンより弱いというの!私は負けないわ!私だけであのフィールドを壊してみせるわ!」

冷華が慌ててサクラに近寄る。

「サクラちゃん、冷静にならないと!凍牙の事で熱くなっているかもしれないけど、このままだと連携も出来なくなるわ。これじゃ・・・」


クイーンの目がスッと細くなり、冷酷な笑みが浮かんだ。

「ゴチャゴチャと五月蝿いわね。まぁ、フェンリル族の女が言う通り、今のあなた達なら勝手に自滅しそうね。ふふふ・・・」

そして、右手をスッと上に上げた。


「マズイ!アレは!ミドリ、頼む!」「はい!」


上空に巨大な魔法陣がいくつも浮かんだ。その魔方陣の中から大量の隕石が姿を見せる。

「メテオ・レイン・・・、さっきのメテオとは比べものにならない数の隕石よ。まとめて潰れなさい。お兄ちゃんだけは生き返らせてあげるからね。」


「させるかぁあああああ!トール・ハンマァアアア!」

ドラゴンの姿に戻ったミドリの頭に乗り、上空から落ち始めている隕石群に黄金の巨大なハンマーを、下からすくい上げるような感じで打ち込む。

「光になぁれぇえええええええええええ!!」

ほとんどの隕石が光となって消滅した。

「凍牙!残りはあと数個だ!後始末は頼むぞ!」


「任せて!神器解放!ミラージュ・アロー!」雪が叫んだ。

雪の周りに何人もの雪が現れ、一斉に矢を放つ。

数百本の矢が放たれ1つにまとまり、巨大な青い長い龍の姿になった。

「いっけぇえええええ!青龍!全てを飲み込めぇええええええええ!」

巨大な龍が渦を巻きながら上昇し、隕石群を飲み込んだ。


「クイーンの意識がメテオの魔法に向いている今なら!」

サクラがクイーン目がけて魔法を放つ。

「ブラック・ホール!この超重力の塊なら通用するはず!シールドごとクイーンを飲み込みなさい!」


冷華がサクラに怒鳴った。

「サクラちゃん!何やっているの!今は隕石を何とかするのが先よ!」


しかし、サクラは・・・

「クイーンを倒すのが先よ!倒してしまえば魔法は消えるわ!私が負けるはずないの!私が1番なのよ!」


「メテオの魔法は一度召喚したら消えないのよ!だから召喚者を倒しても無駄よ!そんな事まで分からない程にあなたは・・・」

冷華がギュッと唇を噛みしめている。

「冷華!ゴメン!1個だけ破壊出来ずに残ったぁあああ!」

雪が叫んでいる。

サクラの放った魔法は、先程のアトミック・レイの魔法と同様にクイーンの目の間で消えてしまった。

「そ、そんな・・・」

サクラがガックリと両膝をつき放心状態になっている。

クイーンがサクラ達を見てニヤッと笑う。

「あらら、連携がバラバラね。私への攻撃は無意味。そして、残った1個のメテオでもあなた達をバラバラに出来るわ。残念だったわね。あなた達の負けよ。」

凍牙が落ちてくる隕石を悔しそうに見ている。

「くそ!俺の技だと切るだけだから、あんな上からくる質量弾には向いていない・・・、次元斬でも大き過ぎてダメだ!せめて美冬の技が使えたなら木端微塵に出来るのに・・・」


ガーベラがみんなの前に出て、落ちてくる隕石を真っすぐに見ている。

「凍牙お兄ちゃん、隕石はあと1個だから私が何とかするね。」

そして、サクラを見てから凍牙を見る。

「サクラの方を何とかしてあげて。あのままだとクイーンには勝てないわ。思いっきりクイーンの挑発に乗っちゃって頭に血が上りきっているから、お母さん達に教えてもらった事も忘れてしまっているからね。」


「ガーベラ・・・、分かった。サクラは俺が何とかするよ。」


ガーベラがニコッと凍牙に微笑んだ。

「頼むね、凍牙お兄ちゃん。」

そして、掌を上にかざした。

「出でよ!神器!キング・クラッシャー!」



その頃、フローリア達は・・・


広場の大きな木の木陰で、どこから出したのか不明だが巨大なテーブルを囲みお茶をしていた。

春菜と夏子を除くフローリア達全員、族長夫婦、氷河夫婦、ミヤコ、そして雪の両親が座ってお茶を飲んでいる。

「いやぁ・・・、屋外でのお茶も格別ね。」

フローリアがニコニコしている。


もうスキュラ族は帰還してまったので、フェンリル族の男達は解散してしまった。

しかし、春菜達に訓練を宣告された4名は広場の隅で座禅をしていた。

その後ろには渚が鞭を構えて立っている。

「本格的な訓練に入る前に、まずは精神修行からね。動いたらどうなるか・・・、ふふふ・・・」

フラッと1人の男がぐらついた。

「そこぉおおおおお!」

渚が男の背中に鞭を叩き込む。

「うぎゃぁああああああ!」

男があまりの痛さに地面をのたうち回っていた。残りの男達から大量に冷や汗が落ちている。

渚が舌舐めずりをしながら男達を嬉しそうに見ていた。

「今回の鞭は下僕に快楽を与えるような優しい鞭ではないからね。ただひたすら死ぬほど痛いだけだから・・・、痛いのが嫌なら死ぬ気で頑張りなさいね。」

族長達も冷や汗をかきながら見ていた。


メイド服に着替えた春菜がせっせとみんなの世話をしていた。

フローリアがニコニコ笑って春菜を見ている。

「春菜さんのメイド服姿って久しぶりですね。私にはこの姿がやっぱり春菜さんだなぁと思いますよ。」

春菜も嬉しそうだ。

「私もこの服が1番落ち着きますね。仕事以外は昔のようにこの服装でいましょうかね。蒼太さんも喜びますかね?ふふふ・・・」

雪の両親はガチガチに緊張している。父親が恐る恐るフローリアに尋ねる。

「フ、フローリア様・・・、本当に私達がこの場にいても良いんでしょうか?一介の兵士夫婦が神界最上位の方々と一緒のテーブルにいるなんて・・・」

フローリアが雪の両親に微笑む。

「そんなに緊張しなくてもいいですよ。だって、あなた達の娘さんの雪さんは凍牙さんの婚約者ですからね。凍牙さんは私達の家族、まぁ、手のかかるやんちゃな子ですけどね。ふふふ・・・」

「だから、ここにいるみなさんは家族同士のお付き合いという事ですよ。お互いの肩書や立場は今は関係ありませんからね。あちらの戦いが終わるまではゆっくりしましょう。」


春菜が申し訳なさそうな表情でフローリアに頭を下げていた。

「フローリア様、申し訳ありません。私の娘が彼女達に迷惑をかけてしまって・・・」


「まぁ、それは仕方ないでしょう。まだ7歳ですからね。いくら強くても圧倒的に経験が不足していますし、訓練と実戦では違いますからね。春菜さんがさっき言ったように勉強ですね。ちゃんと凍牙さんがフォローしてくれると思いますよ。」

「それにしてもクイーンもなかなかやりますね。彼女達の中での戦力の中心はサクラだという事を分かっていて、精神的に揺さぶりをかけて普段の力を出せないようにしていますからね。思った以上にサクラが冷静さを失っていますね。凍牙さん、頼みますよ。」


フローリアがマリーに話しかける。

「マリーさん、それにしてもガーベラは冷静ですね。あのクイーン相手でもちゃんと分析しながら戦っていますし、自分の役割を分かっているなんて将来は優秀な参謀になれますね。」


マリーが少し照れている。

「フローリア様、そんなに褒めても何も出ませんよ。それにしても、こんな私からよくもあれだけ優秀な子供が生まれたのか不思議ですね。でも、調子に乗らせないよう、まだまだビシバシ鍛えますけどね。」


族長が不思議そうにフローリア達の会話を聞いている。

「フローリア様、我々はここにいるのにどうして彼女達の状況が分かるのですか?」


「ふふふ、説明すると長くなるので省きますが、私は旦那様を通じて全部見ています。それにしても、族長様の娘さんの冷華さんは素晴らしいですね。立派にみなさんを引っ張っていますよ。リーダーとしての素質は文句無しですね。それと、雪さんも素晴らしいです。見事に神器を使いこなしてアタッカー役としては最高です。これからの戦力の中心になるでしょうね。」


族長と雪の両親が思いっきり照れていた。


フローリアと春菜が森の奥の方を見ている。フローリアがさっきまでのニコニコ顔から真剣な顔になって呟いた。

「みなさん・・・、今の状況は大変でしょうが、必ず逆転出来ます。私達が教えた事を忘れないで下さいよ。信じていますからね。」


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