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ヤンデレ女神に転生させられてしまった  作者: やすくん
第2章
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フェンリル族の里⑮

「きゃぁあああああ!冷華が死んじゃう!」

雪が慌ててアルテミスを拾い上げブレスレットの状態に戻した。

冷華は口から泡を吹きながら白目を剥いている。もうお嫁には行けないような惨状だよ。あっ!もう凍牙と婚約していたか。なら大丈夫かな?多分・・・

神器は認められない場合はとんでもない重さになると、昔、フローリアが言っていたな。しっかし、ここまで凄いとは・・・

アイリスが慌てて駆け寄り冷華に回復魔法をかけてあげた。何とか元に戻ったようだな。


冷華がゼイゼイ言っている。

「し、死ぬかと思った・・・、雪、悔しいけど、この神器は雪のものね。私もいつか認められるように頑張る・・・」

少し落ち込んでいるような感じだったが、

「さあ!私がバカやった分は取り戻しましょう!みんな!頼むわよ!」

すぐ元気になって、みんなを引っ張ろうと頑張っていた。

さすが族長の娘だけある。落ち込んでいても見せないように努力しているんだな。ギャグだけかと思っていたけど少し見直したよ。


「少し待って下さい。凍牙さん達に渡す物があります。」

フローリアがそう話すと、凍牙、サクラ、ガーベラ、雪、冷華の片側の耳辺りが光った。

「旦那様達は指輪になっていますが、あなた達にはピアスをしてもらいました。コレは私達の指輪と同じ機能なので、念話での会話が可能ですよ。これからの戦いでも連携が必要となるでしょうし、これならどんな離れていても意思疎通が出来ます。少しはお役に立つでしょう。そして、これが凍牙さんの妻であることの証でもあります。大事にして下さいね。」

みんなが嬉しそうに頷いた。


目の前にはサクラの魔法で大通りが出来ている。このまま一直線に進めばクイーンのところにたどり着けるはずだ。

しかし、さすがに敵もバカじゃ無いな。左右に分断されていたのが中央に向かって集まり始めている。

「みんな!このまま中央突破だ!サクラ!もう一発頼む!」


「はい!アトミック・レイ!」

サクラの魔法が集まり始めた敵を再度一掃した。

しかし、次から次と魔獣が湧いてくる。しかし、突然動きが止まりバタバタと倒れていった。倒れている魔獣をよく見ると眉間に穴が開いていた。

「お父さん、私を忘れてもらっても困りますよ。」

ガーベラがニコッと微笑んでいた。

「お父さんから借りたサテライトで雑魚はほとんど倒せました。キング達はさすがに防がれましたけど・・・」


「ガーベラ、ここまで出来れば上等だよ。よくやった!」

ガーベラが嬉しそうに俺に抱きつく。

「ガーベラ、お前はフローリア達と一緒にいてくれ。サテライトでその都度フォローを頼む。」

頷いてから美冬の隣まで移動する。代わりに吹雪が俺の前に来た。

「父ちゃん!俺も一緒に行く!」

そう言った瞬間に体が光り、俺の左手に金色の刀身の刀が現われる。

「霞!お前も頼む!」

「任せて!」霞が現われ輝き、右手に黄金の刀が握られた。

「アイリス!お前はクローディアを装備して、ミドリと一緒にキングの連中を頼む!キングの掃討が終わったら俺達と合流だ!」

クローディアが輝き、アイリスが巨大な剣を握った。

「パパ!任せて!すぐに追いつくわね。」


「サクラ、冷華、雪、お前達は凍牙のフォローを頼む!」


「「「了解!」」」


「それじゃ、今度こそ本当に行くぞ!突貫だぁあああああああ!」


みんなが一斉に走り出した。


ゴブリン・キングが目の前に現れた。

「私が行くわ!見てなさい!単にギャグ担当ではないのよ!」

冷華が袖の中から何かを取りだした。どう見てもミサイルランチャーを構えている。

「喰らいなさい!機械神族特製のペンシルランチャー!」

シュパパパパァと小型ミサイルがいくつも飛び出し、ゴブリン・キングに飛んで行った。

ズドドドドドッ!と豪快な音を響かせて、ゴブリン・キングが爆散する。

木の陰から大量のゴブリンが現われた。

「邪魔!」

ミサイルランチャーを袖の中に戻し、次に何かをまた取り出した。両手にマシンガンを握っている。

ドガガガガガガガがガガ!

全てのゴブリンがあっという間に蜂の巣にされた。

マジか・・・、本当に出てきたぞ・・・、あの袖の中は一体・・・


「ふぅ・・・、神器に選ばれなくても、これくらいの事なら私にも出来るのよ。」

「雪!続きを頼むわ!」


「任せて!」

雪がアルテミスを構え、ゴブリン達がいた森の中に矢を大量に打ち込む。マップの敵の反応が一斉に消えた。気配だけで敵を捕らえる事も出来るようになったのか?

「さすが、ガーベラちゃんね。サテライトのマップリンクを私の頭にイメージしてくれたから、簡単に狙いを定める事が出来たわ。ありがとう。」

いつの間にか連携が取れるようになっているとは・・・、さすが念話機能は凄いな。


巨大な影が木の間から出てきた。オーク・ジェネラルよりも遙かに大きい。しかし、雪がニヤッと笑った。

「出たわね、オーク・キング・・・、アルテミス!私とお前の力をヤツに見せるのよ!」


「オ、オンナ・・・、オ、犯ス・・・」

オーク・キングが雪達を見つめて醜悪な顔を歪ませている。多分、女達を目の前にして嬉しいのだろう。食う事と犯すことしか考えていないヤツらだからな。


冷華が慌てている。

「雪、いくら何でもアレは1人でどうなる相手ではないのよ。私達フェンリル族でも数人でやっと倒せるのだから無理よ!」


しかし、雪は全く慌てていない。それどころか楽しそうだ。

「冷華、大丈夫。昔なら怖くて震えていたけど、今は全然怖くないの。だって、凍牙さんに比べれば弱すぎる相手だし、これくらいの敵で手こずってなんかいられないわ。私は凍牙さんの横に並びたい!だから、この戦いでもっと強くなるの!」

雪が弦をギリギリと引き絞る。光の矢がどんどんと太く大ききなっていった。

「チャージ・ショット!朱雀!行きなさい!」

雪から放たれた矢がみるみると更に大きくなって巨大な炎の鳥の姿になった。大きく羽ばたきオーク・キング目がけて真っすぐ飛んでいく。

そのままオーク・キングを包み込んだ。

「ギャァアアアアアア!」

悲鳴が聞こえたのは一瞬ですぐに静かになり、炎が消えた跡には何も残っていなかった。


冷華が呆然としている。

「ゆ、雪、スゴイ・・・、里のみんなでも苦戦する相手なのに瞬殺なんて・・・」



里の入り口に立って戦いを見ている族長が、雪の父親に話しかける。

「お前の娘は大化けしたな。神器にも認められる程の才能を我々は見出せなかったか・・・」

雪の父親は恐縮している。

「族長様、申し訳ありません。私の目が曇っていました。」

しかし、族長は笑っている。

「いや、ワシはそんな事を言っている訳でない。昨日から我々フェンリル族の行く末を考えていたのだ。」

「確かに我らフェンリル族の血は絶やす事は出来ん。それは絶対だが、あまりにも拘り過ぎていたのかもしれん。冷牙様がフェンリル族の隠された力に目覚めたのは、スキュラ族であるミヤビ様を守る為。そして、凍牙が死してなお輪廻の輪に帰らずブルーを守り続け、ブルーが転生して蒼太殿になっても共に魂を共有し守り続けた。その後は蒼太殿達の奇跡で蘇ったのだ。雪は我々が才能を見出す事が出来なかったのを、フローリア様が見出していただいた。」

「そして、凍牙と美冬の父親も・・・」

「そうだな、美冬。」


美冬が頷いた。


「このまま里以外の者と交わらずに生きていく道もある。しかし、我々フェンリル族の新しい風は全て里以外の者がきっかけとなり起こしてきた。氷河よ、お前達やその子供達は、里以外とは誰とも交わらない、そんな未来を望むか?いや、そんな未来は嫌だろうな。」

「今回の争いは、我々フェンリル族に変わるように示しているのかもしれん。だから、氷河、お前が新しい族長になりこの里を導いてもらいたい。まぁ、ワシも口は出すけどな・・・」

「それと、フローリア様、レオに伝えていただきたい。今度、一緒に酒でも飲まないかと・・・、美味い酒が飲めそうだな。」


フローリアが微笑んだ。

「確かに父に伝えておきますね。そして、神界秘蔵のお酒も出すように言っておきますよ。」


族長が嬉しそうだ。

「おお、それはありがたい。気持ち良く朝まで飲み明かしたいな。」



アイリスとミドリの前に、オーク・キング2体に率いられたオーク・ジェネラルとオークの群れがいる。

ミドリが不満そうな顔で敵を睨んでいた。

「邪魔な連中ですね。早くご主人様のところに行きたいのに・・・、ドラゴンに戻って焼き払いましょうか?それとも魔法で消し炭にしてあげましょうか?」


アイリスが呆れた感じでミドリに話しかける。

「ミドリ~、それはマズイよ。ミドリの技はどれも加減が出来ないんだから、そんな事したら消火が大変よ。地道に切り刻んでいくしかないわね。さっさと終わらせてパパと合流しましょう。」


「アイリス様の仰る通りですね、地道に頑張りましょう。」

「召喚!神槍ロンギヌス!」

ミドリの右手が輝くと黄金の槍が握られていた。


「ミドリ、この槍は里の宝物になったのじゃない?持ち出して大丈夫なの?」


「大丈夫です。今は里を守る戦いですし、使う大義名分がありますからね。それに、この槍は私の血で蘇っていますから、私がどこにいても意志に応えて来てくれます。」

「それに、私はみんなからドラゴンの力だけしか使えないイタくて病んでるキャラだけと思われるのも嫌ですからね。こうしてちゃんとバトルメイドとして戦っているところを見せておかないと、私のファンが増えないと思いますよ。ミレニアさんがメイド枠で増えてますし、クールでカッコイイところも私の魅力であるとアピールしておかないと出番が無くなるのが一番怖いですね。」


アイリスが苦笑いをしている。

「後半が本音かぁ・・・、でも、ミドリって『ご主人様命ぃいいい!!』だけで、周りの目や出番を気にしていないと思っていたけど・・・」


「アイリス様酷いです。これでも私は16歳の女の子なんですよ。ドラゴン族は成人するまでの成長が早いので大人っぽく見られがちですが、心はまだまだ少女で多感な時期なんですからね。ちょっとくらい目立ちたい気持ちもありますよ。」

【聞こえていますか?ご主人様。アイリス様から私の年齢を気にしていたとお聞きしましたから教えましたけど、こうしてご主人様に話してしまうと恥ずかしいですね。ふふふ・・・】


ミドリ、聞こえているよ。というか、聞こえるように最初から念話で伝えているんだろ?

それにしても、ミドリが16歳・・・、見た目はどう見ても20歳前半にしか見えない感じの大人っぽさだよな。でも、そう言われてみると、時々女の子っぽい可愛らしい表情も見ているから納得かも?


「オ前達・・・、余裕ダナ。コレカラ死ヌマデ我々の子供ヲ生ム運命ナノニナ・・・」

オーク・キングを始めオーク達が涎を垂らして2人を舐め回すように見ている。


しかし、ミドリはニヤニヤしている。

「ダメですよ。未成年に手を出すなんて淫行で捕まりますよ。って豚に言っても分かりませんね。ですから、大人しく私達に倒されて、夕食のおかずになって下さい。オークの特にキングの肉は美味しいですからね。出来ればドラゴンの姿で生で食べたい・・・、最高に美味しいでしょうね。」

舌なめずりをしながらミドリがオーク・キングに話しかける。

ミドリの迫力にオーク達が後ずさりしている。

「逃がしません!」

ミドリが飛び上がり、オーク達の群れの中に降り立った。そのまま槍を自分を中心にして独楽のように横薙ぎに一回転させる。ほとんどのオークが胴体を輪切りにされ息絶えた。

「今夜から我が家には凍牙様の婚約者達が同居しますからね。どの方もたくさん食べそうな方ばかりですから、これだけでは足りないかもしれませんね。」

「まぁ、キングとジェネラルがいれば足りないって事はないでしょう。」

そう言ってキング達を嬉しそうに見ていると、オーク達が後ずさり逃げ出そうとしている。


アイリスがため息をつく。

「ミドリって、意外とSなんだね。あの模擬戦前までのオドオドしたミドリは何処に行ったの?まぁ、今の頼もしいミドリの方が私は好きだしね。私も出番が無くなっても困るから頑張らないと・・・」

アイリスが逃げ出そうとしているオーク・キング達の前に立ち塞がった。


「みなさん、残念ですが諦めて下さいね。」

アイリスが妖艶な笑みをオーク・キング達に向けた。

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