表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

異世界

眩しい。そう思った。


目を開けると晴天の太陽が仰向けに転がっている俺をじりじりと照りつけていた。


あまりの眩しさに顔を背けると、柔らかな草が頬をつつく。その奥には深々とした森が見えた。ここは周りを森に囲まれた、広い草原のようだ。


「転生。。。したみたいだな」


景色の変化と自然の香りからそう実感した。


体を起こそうとし、左胸が火傷したようにひりひりと痛むことに気付いた。


見るとなにやら怪しげな紋章が刻まれていた。


「契約の証ってところか」


まあ我慢できないほどの痛みではない。立ち上がり思い切り伸びをした。


ありがたいことに服は着ていた。アニメで見たザ・冒険者みたいな服装だ。しかも腰には短剣まで装備している。


「いいじゃん。。。ほいっと」


短剣を抜き、軽く振ったり構えたりしてみた。自分の体の一部のように。。。みたいなことはなかったが、普通に扱えるみたいだ。


「身体の調子はどうだ?」


ちょっとジャンプしたりして身体を確認していると、ふいに後ろから声をかけられた。


振り向くと赤い猫がこちらを見つめていた。こいつが話したのか?


「お前が使い魔ってやつか?身体はバッチリだ」


そう答えると猫が口を開く。


「ふん。まあサルエル様が契約なさったんだ。当然だが。

如何にも私が貴様の監視役だ。呼び方は貴様が決めるがよい」


なんか偉そうな奴だった。まあいいが。


「名前か。。まあ赤いから"アカ"だな。わかりやすいし。サルエルは居ないのか?」


そう聞くとアカの体毛が黒く変化した。


「アカとは随分直感的な名前を付けたね!実に面白い!私はここにいるよ。ちょっとこの子の身体を借りてね」


聞き覚えのある声だった。


「ケケッ!俺も居るゾ!」


余計なのもいるみたいだった。察するにどうやらサルエルの城とここを電話のように繋いでいるようだな。


「さあ旅の始まりだ!どんどん進むといい。ああ、魔法も使ってくれて構わんぞ?」


なんでそんなワクワクしてるんだよ。でも。。魔法か。試しに使ってみるかな。


手のひらサイズの炎をイメージする。それが空中で燃える様を。すると10分という時間が脳裏に浮かぶ。そのまま指を弾き「燃えろ」と告げた。


イメージ通りの炎が目の前に現れた。少し近くに出現させ過ぎてしまい、後退りしている間に炎は消えた。


初めての魔法に少し気分が高揚したが、冷静に分析をする。


10分寿命を捧げ、手のひらサイズの炎が1秒間。1日は1440分であることを踏まえると、ぼったくられているとは思わない。魔法を日常生活で使う分には構わないだろう。


「おお!初めてにしては上手いではないか!」


「ありがとさん。次は戦闘を意識をして魔法を行使してみるわ」


そう告げると指先から氷の弾丸を放つイメージをする。そして今度はくれてやる寿命も指定してみる。


「10分を捧げ告げる。氷よ」


するとイメージより1回り小さな氷が、投げた時と同じ程度の速度で放たれた。そしてそれは重量に従い、10メートルほど先の地面に落ちた。


「おいおい、弱くないか?」


この威力ではネズミさえ殺せるか怪しい。ファンタジーチックな生物がとの戦闘を考えると、最低あと5倍は速度が必要だと感じた。


この攻撃一回に1時間程度の寿命はさすがに割に合わない。戦闘ごとに1日くらい魂を削られてしまう。


「だいたい感じは掴めたか。。因みに俺の寿命は何年なんだ?」


「細かくはわからないが、普通に生きていれば60年分はあるんじゃないか?」


なるほど。実験を終えようとして、先程氷の弾丸を放った指先が少し冷たい気がした。


「おい、魔法で俺の体にダメージが溜まるなんて聞いていないが?」


「身体が魔力に耐えられるかどうかについては私の契約外さ。それに身体を構築したのは女神だろ?私に文句を言うのはお門違いって話さ」


「お前の力で影響がないようにはできないのか?」


「それは"魔法"をつかって欲しいと言っているのかな?」


サルエルは楽しそうにしてやがる。


「自分の身は自分で守れって話か。わかったよ。文句はあるが、一応認める。」


そうなるといよいよ魔法を主体にして戦うのはNGだ。武器が必要だな。


「よし。確認は終わり」


「そうか、では楽しませてくれよ」


そう告げると猫は再び赤色に戻った。


「行くのか。では近い街へ。案内しよう」


アカは俺の肩に飛び乗り行くべき方向を指し示す。


「んじゃ、行きますかね」


そういって俺たちは歩き始めた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ