サルエル
あのあと散々騒いだが、俺を連れ去った悪魔は現れなかった。
連れ去って放置とはいい迷惑だ。
ついでに幼女神と天使も呼んでみたけど音沙汰ない。
向こうからこちらを見つけることができないのか、それとも探してないのか。
とりあえず他の人に会えないかと考えてテキトーに歩き始めた。
ゴツゴツした黒い岩がそこらじゅうに転がっている、如何にも更地な所をひたすらに歩く。
途中で石に躓いたら
「ケケケケケケッカカッ!」
とあの悪魔らしき笑い声が空に響いた。
どーやら捻れた空間からこちらを覗いて楽しんでいらっしゃるようだ。
ムカついて声のした方に石をぶん投げたが、何も起こらず、むしろ悪魔をまた楽しませてしまったようだ。
諦めてまた歩きだすと、遠くに城が見え始めた。
「うわぁファンタジーっぽい」
「カカッ!人間のまねをして作ったんだぞ。たまに超いいもの作るよな人間ハ」
捻れた空間から首だけひょっこりだした悪魔が街を見据えて語る。
「お偉いさんが住んでるのか?」
「カカッ!あの城にはサルエル様がいるゾ」
「怖いのか?」
悪魔はにやりと笑いながら「さぁなァー」と言ってまた捻れた空間のなかに消えていった。
完全におちょくられてる。でもびびってると思われたくなかったので城に向かって歩を進めた。
近づくと、城は西洋風であるとわかった。
「割とセンスいいな」
そんなことを考えながら城の最上階らへんを眺めていると、窓が開き影が顔を出した。
「人?!。。。んや違うなあれは。」
見た目は30代くらいの成人男性なのだが、黒い羽が見える。
煙草をふかしているその男がふいにこちらを見た。
とりあえず手を振っておいた。高い所にいる人と目があったら手を振りたくなるのは何故なんだろうか。
向こうは振り返してこない。それどころか固まってるように見える。
なんか悪かったかなと思っていると、男が窓から飛び降りた。
「は? え? おいおいおいぃぃぃぃ!」
その男は翼を広げて風を掴み、そのままの勢いでこちらに向かって飛んでくる。
逃げる間もなかった俺の目の前に降り立つとそいうは
「面白いものが落ちてるじゃないか!」
。。。悪魔ってみんなこれなのか?