狭間の空間
女神じゃなくて悪魔に転生を仲介してもらったらどーなるかな?と思って書きました。
目が覚めるとただ白いだけの空間にいた。
何故こんなところにいるのか思い出そうとして、自分のことが何一つわからないことに気付いた。
唯一分かったのは、自分の体つきが若い男のものであることだった。
「なんだこれ?」
意味もわからず辺りをキョロキョロ見回す。
すると突然目の前の空間が歪み、白い服を着た女が現れた。
その背中の美しい翼と、頭の上にある光の輪を見たとき、「天使」なのだとわかった。
どうやら自分のことは何一つ思い出せないが、他のことは分かるらしい。
女は無表情のまま「あまり驚かないのですね」と告げた。
「いや驚いてはいるが。。。あんたは天使か?」
「はい」
女は抑揚のない声で事実だけ告げる。
「てことは俺は死んだ感じか?」
「はい」
ここでふとこのシチュエーションに覚えがあるような気がした。これは確か。。。異世界に転生して勇者として冒険したり、前世の知識を用いてチートするやつだ!女の子にモテまくるやつだ!!
「なあこれってもしかして異世界転生ってやつか?」
興奮気味に天使に問いかける。
「ええ。もうすぐ女神様がいらっしゃいます。詳しい話はその際にお聞きください」
やった!!!何か知らないけど俺無双が始まるのか?ありがとう前世の俺!!!きっととんでもない善行を積んだんだろ!
ひとりではしゃいでいると天使が出てきた空間が大きく揺らいだ。
「。。。すみません。女神様が私を呼んでいらっしゃいます。少し席を外しますので、ゆったりと過ごしてお待ちください」
そういって天使は揺らいだ空間のなかに入っていった。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉやったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ひたすらに空間で転がり全身で喜びを表す。
上機嫌で待っていると再び空間が捻れた。
「お、女神様のお出ましか?」
その空間に近寄っていく。
「ん?空間小さくないか?」
その空間は膝丈でとても大人が出てこれるような大きさではなかった。
「もしかして。。女神が幼女パターンですか?」
それならきっと何しても許してくれる系の女神に違いない。女神にさわれる機会なんてそうないだろうし、抱き寄せてみよっかな?
そんな事を考えて捻れた空間の前でお出迎えポーズで待機していると、ふいに黒く鋭い腕が伸びてきて胸ぐらを掴まれた。
「は???」
意味がわからず反応できずにいる間に俺はその腕に引き込まれてしまった。