【第32話:再利用可能です】
「くっ!? 黒闇穿天流槍術、【雷鳴】!」
オレは何かが起こる前に扉が壊せないか足掻いてみるのだが、
「【鹿威し】!」
今使える奥義の中で最も威力の高い【雷鳴】や【鹿威し】を放ってみるのだが、何かの呪術により概念的な強化がされているようで傷一つつける事が出来なかった。
オレは『技巧のアモン』と名乗った魔族より、この魔界門の方が危険度が高いと判断して、魔族を無視して攻撃に専念したのだが無駄に終わってしまった。
こんな事ならこの扉を無視して魔獣だけでもしとめておけば良かった……。
「コウガ! これはいったい何!? ……にゃ」
「さっきまでこんなの無かった!? ……にゃ」
そうこうしているうちにリリーとルルーがリルラの精霊魔法による治療を終えて戻って来た。
「ん~? これは特殊な転移門ですね」
さすが1200歳の美少女。
「リルラは知ってるのか?」
「知っていると言いいますか、見れば何となくわかりますので。これは何かの呪具や供物を捧げて呼び出した転移門の一種ですね。開いた後に一定時間で役目を終えればまた閉じますが、魔に連なる者が使ったのだとしたら……」
そこまでリルラが話したところで、ゆっくりと地響きを立てて扉が開き始めた。
「「コウガ! 門が開く! ……にゃ」」
そして予想した通り……無数の魔物が溢れ出してきた。
その門から出てきた魔物の名は『スケルトン』。それが本当に無数にワラワラと出てきたのだ。
ぼろい剣を持ってるスケルトン。
ぼろい棍棒を持ってるスケルトン。
ぼろい槍を持ってるスケルトン。
ぼろい斧を持ってるスケルトン。
ぼろい短剣を持ってるスケルトン。
ぼろい何かを持っているスケルトン。
ぼろい何かすら持っていないスケルトン。
「「スケルトンなら1体ずつなら弱いし、手分けすればまだ何とか……にゃ」」
「「でも! 何て数のスケルトンなの!?……にゃ」」
うん。リリーとルルーが驚いているところ悪いが、オレはさっき身構えてた緊張感を返せと言いたい。
何故なら……こんなのに負ける気が微塵もしない……。
「リリーとルルーは下がって休んでて、これぐらいなら何とでもなるから」
「うわぁ。何かいっぱい出てきましたね。コウガ様。私は手伝っても良いのでしょうか?」
リルラも余裕なのだろう。気軽に手伝ってくれると言うが、オレの八つ当たりの場にさせて貰おう。
「リルラ。悪いけどせっかくだから習った魔法の練習がてら、オレがやってしまっても良いか?」
ジルに竜言語魔法がどのようなものか色々教えて貰ったのだが、尋常じゃない魔力制御を必要とするものばかりで、比較的簡単なものでも数年単位で練習しないと無理そうだった。
ただ、例外的に3つの魔法だけ大雑把な魔力制御でも発動できるものがあったのだ。
オレはまだこれしか竜言語魔法が使えない。
≪我、世界の覇たる竜を従える者として、その理に異を唱える!≫
通常の詠唱とも精霊魔法のような祝詞とも違う、竜に類する者だけが扱える竜言語で、世界の理を覆す。
それが竜言語魔法だ。
邪竜の加護によって膨大に膨れ上がったオレの魔力をほとんど持っていかれるが、何とか耐えて最後の力ある言葉を告げる。
≪付き従え! 『竜牙兵』!≫
オレのありったけの魔力を込めて発動された竜言語魔法は、オレを中心に無数の魔法陣を展開すると、30体の『竜牙兵』を創り出した。
「わぁぁ! 普通の召喚魔法とは全然違いますね! やっぱりコウガ様は凄いです~!」
ぶっつけ本番にしては上出来だ。実に30体もの『竜牙兵』を創り上げるのに成功したようだ。
見た目は骨騎士といった所だが、身体は牙で出来ているので骨より圧倒的な硬度を持っており、頑丈な上に動きはとても素早く、かなりの強さを誇る。
そしてこの竜言語魔法は『竜の牙』を触媒にして発動すると言うのが特徴的だ。
この触媒に魔力を込めれば良いだけなので複雑な魔力操作が必要なく、いきなりオレでも使えたわけだ。
先ほどリルラが召喚魔法と言っていたが、実はこの魔法は創造魔法に分類され、竜の牙1本で1体の『竜牙兵』を創り上げるものなので、呼び出すわけではない。倒されれば触媒は砕け散るが、無事に役目を終えればまた牙に戻して再利用可能だそうだ。
ちなみにオレが今使った竜の牙は勿論ジルから貰ったものなのだが、ジルは歯が抜けた事がないらしく、貰ったのは下位の竜の物らしい。抜けたら置いとくようにお願いしておこうかな?
あと他に上位の竜の牙も2本だけ貰ったのだが、恐ろしく魔力を必要とするので今回は控えた。
今のオレの魔力では、そこそこ強い30体か、凄く強い2体かのどちらかしか呼び出せない。
「それじゃぁ殲滅といこうか」




