【第10話:カリンちゃんの憂鬱 その1】
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リアルの諸事情でWeb作家としての活動を休止しておりましたが復帰いたしました。
まずはこの『槍使いのドラゴンテイマー』の改訂版を公開&更新していく予定です。
下記に全文改稿&数万字加筆した改訂版を公開しております。
更新は順をおってになりますが、こちらをお読み頂けますようお願いいたします。
https://ncode.syosetu.com/n5238jw/
尚、運営様から旧版を残しても基本問題ないとは確認をしていますが、
読者様が混同する場合は旧版の削除を求める場合があるとも伺っております。
その場合、こちらは削除することになりますのでご了承ください。
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一夜明けて初心者講習の朝。
オレは朝ご飯を美味しく頂くと、少し余裕をもって宿を出てギルドに向かう事にする。
「ご馳走様でした。朝ごはんも凄い美味しかったです」
「まぁまぁ、ありがとうね。そう言って貰えると頑張って作った甲斐があると言うものだよ」
そして一度部屋に戻って準備をすまして階段を降りると、何故かカリンさんがニコニコしながら下で待っていた。
「コイルさん。それじゃぁオレはもう出かけますので」
そう言って、そのまま宿を出ようとするのだが、
「な、なんで無視するんですか!?」
と言って、カリンさんが涙目で追いかけてきた。
何でオレはこの子にこんなに懐かれているんだろ……?
「カリンさん……何でついてくるんです?」
「だって目的地一緒じゃないですか! 一緒に行きましょうよ。私とコウガさんの仲ですし~。あ! 名前カリンって呼び捨てでも良いですよ?」
「どういう仲ですか……まぁ良いですけど。じゃぁカリンさん、遅れたら嫌なんで行きますよ」
この子はトラブルメーカーの匂いがプンプンするので、出来れば担当は他の子がいいのだけれど、見た目だけはかなりの美少女なので、断りきれないオレがいる……。
「はい! それとカリンでいいですよ?」
「・・・・・・」
「カ・リ・ン」
「……わかりました……カリン」
「きゃっ♪」
やっぱり受付担当はカリンから逃げられないんだろうなぁと、そっと小さくため息をつくのだった。
~カリン視点~
ギルド職員(見習い)になって3ヶ月が経ちました。13歳になって私もようやく大人の女性の仲間入りです!
そして私は1週間前、ギルドで初めて受付を任せて貰って、その時はもう本当に嬉しかった!
でも……何度も何度も家で練習してたんだけど、受付業務ではミスばかり……。
A級冒険者に間違ってゴブリン討伐斡旋したり、E級冒険者に王都までの護衛依頼斡旋したのに気付いて慌てて追いかけてC級の人に代わって貰ったり、クエストの完了報告をあげ忘れて依頼主が怒鳴り込んで来たり、他にも……。
まともに一つも仕事がこなせなくて、気付けば誰も私の受付カウンターに並ぶ人はいなくなっていました。
そして昨日、とうとうギルド職員の上司から、
「悪評がたってしまってカリン君の受付が機能しなくなっています。悪いですけど今日で一旦受付からは外れてもらいます。いいですね?」
そう言われてしまいました……。
せっかく頑張って憧れの冒険者ギルドの受付嬢になれたのに、たった一週間で私の子供の頃からの夢は終わりを告げてしまいました。
「そんな落ち込まないでください。カリン君が頑張っているのは知っていますので、ほとぼりが冷めて経験を積んだらまた受付に座ってもらいますよ」
何とか望みは繋ぎましたが、冒険者ギルドの受付嬢と言えばこの街の女の子のなりたい職業ナンバーワンのお仕事です。
せめて最後に良い所を見せないと復帰は絶望的です。
そんな時でした。
いかにも『おのぼりさん』と言った感じの同い年ぐらいの男の子が、スタスタと私の受付の方に向かって歩いてきてくれるではないですか!
私は本当に嬉しくて……しかも、結構カッコいいです! タイプです!
話がそれました……。
「あっ」
でも、私の胸の「見習い」のプレートに気付いたようで、隣の受付に変えようとしています。
私はこのままでは不味いと思い、「こっちこい~こっちこい~」とその子に念を送ります。
最近は何故かこの念はもう通用しなくなっていましたが、その男の子にはちゃんと効果があったようです。
「ようこそ冒険者ギルド、ドアラ支部へ! 今日はどのようなご用件でしゅか!」
私は嬉しさと緊張のあまり、また噛んでしまいました……。
恥ずかしくて顔を真っ赤にしてしまいましたが、でもその子はやさしくて気付かないふりをしてくれました。
「えっと、とりあえず冒険者登録したいんですが」
私は正直言うと、その後の事はよく覚えていません。
でも、初めて冒険者登録を最後までさせて貰えました!
しかも、さっきの上司がやってきて
「いやぁ、ツッコミどころ満載でしたが、初めて冒険者登録を最後まで出来ましたね。一旦今日で受付カウンターからは外れてもらいますが、彼、優しそうだし彼専属の受付担当になっちゃいましょう。(彼を練習台にして)経験を積んで勉強させて貰いなさい」
と言ってくれたではありませんか!
私は嬉しくて小躍りしそうになるのをグッと我慢して、でも我慢しきれなくて椅子に座りながらも器用に小躍りしていると、さっきの彼「コウガ」さんが戻ってきました。見られなくて良かったです。
何でもお薦めの宿を探しているようです。
これは何が何でも私の家『妖精の呼子亭』に泊まってもらうしかありません!
私はいかにその宿がお薦めなのかを切々と説明し、最後には納得して貰えたようなので、きっと泊ってくれるでしょう。
コウガさんは、明日さっそく初心者講習を受けると言っていました。
私も全力でサポートしたいと思います!
そして今、目の前を歩くコウガさん。
私は、これから彼と一緒に一人前になれるように頑張るぞ! と、小さく握りこぶしを作り、気合いを入れ直したのでした。
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今回はちょっと閑話的な感じにしてみました(´-ω-`)
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