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「倉舒、頼みの綱が切れたぞ」

「……はい」


 ここは許都にある曹家の屋敷の一室。

 そこで能面のような無表情で曹彪が呟く。曹沖は力なく頷いた。


「まさか、子建兄上が急に病に臥せられるとは」

「でも、不幸中の幸いは、単なる風邪だということです。医者の見立てでは、二、三日寝ていれば快癒すると……」

「うん。二、三日だ。ところで倉舒、歌会はいつ行われる?」

「……明日です」

「そうだな、明日だ。……よし、逃げるか」

「兄上、冗談は言わないで下さい」

「冗談だと思うか?」

「本気なら、尚のこと口に出さないで下さい。逃げられるわけがないでしょう」

「そうかー。駄目かあ」


 曹彪が力なく肩を落とす。


「でも兄上、子建兄上から事前に詩を用意してもらったのでしょう?」

「ん。まあ、そうなんだが……。ほら、歌会での立ち振る舞いとか、そういうのがあるだろう? それに興が乗れば、その場で即興の歌を詠み合うこともあるというし……」

「それは……」

「どうしたものか? 子建兄上がいれば、早々恥をかくこともないだろうと思っていたが、今回初めて歌会に参加する俺たちだけでは……」


 うーん、と唸り出す曹彪。隣で曹沖も不安げな顔を隠せていない。


「……消極的な策ですが、隅で出来る限り大人しくしておくしかないのでは?」

「……だな。それしかないか」


 互いに頷き合う。当日は、出来る限り大人しくしておこう。そうして会が終わるまで無難にやり過ごす。

 結局、歌会前日に兄弟が出せた対策はそのくらいのものであった。




 歌会当日、天気は雲一つない、抜けるような晴天となった。

 雨の心配もないということで、会場は曹家の広々とした庭となった。


 会場には多くの人が足を運んだ。

 建安七子を始め、普段から鄴での歌会に参加する面子はもとより、今回は許都に住まう文官など、普段参加しない者たちも顔を出している。


 それぞれ持ち寄った漢詩を詠み上げては、談笑してと、和やかな雰囲気が流れる。

 今のところ、大過なく歌会は推移している。

 曹沖と曹彪も既に自作の詩――曹彪は他作であったが――を詠み上げ、それからずっと隅で大人しく座っている。


 この二人の振る舞いに関しては、意外にも悪くとる者はいなかった。

 それというのも、二人はまだ十三歳と十二歳と幼い。隅っこで行儀よく座っている分には、大人たちも悪く思うわけがなかったのだ。

 

 むしろ、騒ぎ立てることなく静かに座っているのを見て、利口なことだと思う者もいたし、緊張に身を固くした様を、初々しいことだと微笑ましく見る者もいた。


 曹沖の、隅で大人しくしておきましょう作戦は、正に功を奏したといえる。

 歌会もそろそろ終盤に差し掛かろうとしていた。



「倉舒、このまま何事もなく終わりそうだな」


 曹彪がすぐ隣の曹沖に耳打ちする。


「ええ」


 曹沖が静かに頷いた。そうして視線を、詩を詠み上げている男へと戻す。白髪の目立つ初老の男で、少ししわがれた声で朗々と謳い上げていた。


「あっ!」


 詩の途中で、そんな声が上がる。

 皆何事かと声を上げた男を見る。邪魔立てされた初老の男に至っては、咎めるような視線を隠すことなく睨み付ける。

 が、唐突に声を上げた男は、無数の視線を気にするでもなく空の一点を見詰めている。見詰めるだけでなく、指差し「あれを、あれを!」と声を上げる。


 皆が釣られるように、男が指し示す一点を見詰める。曹沖も何事かと、その一点を注視した。


 何やら白いものが青空の下で旋回している。どうも鳥であるようだったが……。

 一体これの何に驚いたのかと、その理由を掴むために曹沖は具に観察する。


「……ッ!」


 ほどなくして、鳥の正体に気付いた曹沖は驚きの声を漏らす。

 ほぼ同時に、歌会の列席者たちもその正体に気付いたようであった。ざわざわと騒めき出す。


ふくろうとは何と不吉な!」


 誰かは分からない。列席者の一人が唾を飛ばしながら叫んだ。


 ――梟の雛は育つと母を食い殺すのだ。と、そのように人々に信じられていた。残忍で情のない鳥だと。

 梟雄という言葉が、梟の一字を冠することからも、どれほど梟が残忍な鳥と人々に思われているかが分ろうというもの。

 故に梟は忌むべき鳥として凶兆と捉えられる。


 ましてや、白い梟ともなれば尚のこと。


 白は、葬式の色。身内に死者が出れば人々は白い喪服を着たし、棺を安置する部屋には白幕を張り、出棺の際には白いのぼりを上げ、白い紙銭をまいた。

 故に葬式は白事と呼ばれる。つまり白色は容易に『死』を連想させる色なのだ。


「梟は北の空から現れて、また北の空に帰って行ったぞ!」

「北、北といえば……」

「曹公が出征された方角ではないか!」


 その声に増々会場の騒めきは増した。誰もが不安な顔を隠しもせず、隣にいる朋友と何事かを囁き合う。そして――


「だから私は言ったのだ! 代々三公を輩出し、よく王室を支えてきた名家を完全に滅ぼす様な真似はしてはいけぬと! 此度の出征で、必ずや天のお怒りを蒙るぞ! あれはその兆しだ!」


 騒めきをかき消すような大声が上がる。

 曹沖は声の主を見た。年の頃、五十半ば辺りと思われる老人である。顔を真っ赤にして怒鳴り散らしていた。


「今からでも遅くない! 曹公に軍を引き返させるのだ! そして、袁家と和睦し、彼の家に許しを与えるべきだ! ……そうだ! ここにいる皆で、陛下にそのように奏上しようではないか!」


 これを聞き、どうしたものかと、列席者たちはまたもや騒めいた。


「そ、倉舒……。こ、この流れは不味いのでは……」


 ひどく狼狽した曹彪は額の汗を袖で拭いながら、それでもなけなしの理性を総動員して、他に聞かれぬよう小さな声で曹沖に耳打ちする。

 曹沖はただこくりと頷いた。


「どうする? どうすれば? こんな時に、子建兄上はどうして寝込んでいるんだよぉ」


 曹沖は泣き言を漏らす兄の服の袖をくいくいと引いて、負の思考の渦に飲み込まれそうになっていた曹彪を正気付かせる。


「子建兄上はいません。ぼくたちが何とかしなければ」

「何とかって……倉舒、お前……」


 曹彪は気付く。自らの袖を握る曹沖の手が小刻みに揺れていることに。


 弟もまた、この非常事態に当たるのに体が震えるばかりに恐れを抱いているのだ。それでも、『ぼくたちが何とかしなければ』と、そう言った。

 その事実に、曹彪は、ただ狼狽するばかりの自身のことが恥ずかしくなった。そして腹をくくる。


「俺は何をすればいい?」

「皆の心を安んじさせるため、先程の梟が凶兆ではなかったと訴える必要があります」

「ああ。しかし何と言う?」

「そこは、ぼくがどうにか頑張ってみます。ただ……」

「ただ?」

「ぼくは声が小さいから、大勢の場で声を通すのが苦手です。それなのに、今は皆が皆ざわめいてしまって、とてもではないですけど、ぼくの声はかき消されてしまうかと」

「だなあ。特に、あの爺さんが煩い」


 曹彪は熱弁を振るう老人を顎でしゃくる。


「というか、あの爺さん見た顔だぞ。確か、父上ご自慢の七名の詩人の一人じゃ……」

「ええ。ですが、あの方の、文挙殿の立ち位置は微妙な所があります。何せ彼は――儒家ですから」

「ああ、そういう……」


 曹彪は顔を顰めた。


 文挙、姓名を孔融という。儒教の祖である孔子、彼の人の二十世の子孫に当たる人物だ。当然、本人も儒家である。



 この時代、清流派と呼ばれる人たちがいた。

 教養が高く、私心のない漢王室の忠臣とされる者たちのことである。また、もれなく儒家であることが多い。


 能力があって野心がない。これが真なら大変結構なことだ。

 曹操もこぞって彼らから登用をしてきた事実がある。例えば、曹操が『我が子房』と呼んだ荀彧もまた清流派の一人だ。


 だが、彼ら清流派が重責を担うにつれ、無視しえない問題が出てきた。

 それというのも、清流派、彼らはかつての宦官勢力に弾圧された経緯があるからか、やたら横の繋がりが強いのである。


 高官となった者たちが、清流派の名の下に結び付きを強くしていく。それは強固な派閥が形成されることに他ならない。


 つまり、この清流派という一大派閥が力を持ち過ぎたのだ。発言力も高くなり、何かと面倒な存在になりつつある。

 そしてまだ水面下に隠れているが、この清流派とは、必ず将来禍根となるであろう潜在的な火種があった。


 それは、彼らが漢王室の忠臣を標榜している事実。

 儒教の教えの影響もあって、最早死に体であるにもかかわらず、時流に逆らってまで漢王室の再興を至上目的としているのだ。


 今はまだいい。お題目とはいえ、曹操は献帝の、漢王室の庇護者を自称している。

 が、当然ながらそれは大義名分というもので、曹操に漢王室の再興などという志はないのであった。

 故に、いずれ両者がぶつかるのは避け得ない未来であった。


 なので、曹操は密かに彼らを警戒し、水面下で対策を進めている。そも、漢詩などの文学を推奨するのも、儒学と並ぶ文学を形成しようという試みであった。

 

 清流派は清流派で、曹操が野心を露わにするのを警戒し、何かと小うるさいことを言ってくる。儒教の教えに従えば云々、と。

 その小うるさい男の筆頭格が、今正に顔を真っ赤にして熱弁している孔融であった。



「厄介そうな爺さんだ。で? 俺は何をすればいいのだったかな?」


 曹彪が横に逸れそうになった話を元に戻す。


「場が騒然としているので、ぼくの声が通りません。兄上には大声を出して、この場を静めてもらいたいのです。そうしてぼくの言に注目が集まるように……。お願いできますか?」


 上目づかいでお願いする曹沖に、曹彪は力強く頷く。


「任された。武術狂いの子文兄上ほどじゃあないが、俺も声は大きい方なんだ」


 ぱしぱしと、曹彪は自らの袖を握る曹沖の手を軽く叩く。

 そうして、曹沖に手を離させると、騒乱の渦中の真っただ中へと堂々と歩く。すう、と大きく息を吸い込んだ。


「諸兄方!! 静まられよ!!」


 余りの大音声に空気が震えたかのようだった。皆、ぽかんとした顔付きで大音声を上げた曹彪の顔を見詰める。

 ただ一声で、ざわめきは静まっていた。


「梟の一羽や二羽見かけただけで、諸兄方は何という醜態を晒されるのか!!」

「さ、されど、あれは凶兆……」

「凶兆などではない!!」

「な、何故そのように……」

「根拠か! 根拠はある! が、俺は弁が立たぬ! 故に弟の倉舒に訳を説明させる! 倉舒!」


 曹彪は矢継ぎ早に大声を上げることで場を制する。そうしてから曹沖に視線を向けた。

 その視線を受けて、曹沖が静かに歩み出る。まだ幼く小さな体躯で、まるで女児のような子供。

 今しがた雄々しく声を上げた曹彪とは正に対照的。されど、どうしてか無視しえぬ存在感を放っていた。


「あれが、曹家の神童か……」


 場に溜息のような声が漏れた。


「童よ、そなたが何を言う積りか知らんが、あれは紛うことなき凶兆よ!」


 機先を制するように言葉を発したのは、孔融だ。

 さて、噂の神童は何と言い返すのかと、列席者の視線が曹沖に集中する。


「いいえ、凶兆ではありません。文挙殿、先程貴方は、北への遠征が天のお怒りを蒙るものだと主張なさいましたが、これはおかしなことです」


 子供らしからぬ落ち着き払った声音に、孔融は眉を寄せた。


「……何がおかしい?」

「今、父孟徳は、陛下の威光をあまねく示さんが為に、北夷を討たんとしています。陛下は天子であられます。陛下をたすけるは正に天を輔けるに等しいことです。どうして、天の怒りを買うことがありましょうや?」


 朗々と紡がれる言の葉に、孔融は一つ頷く。


「確かにその点に否やはない。北夷を討つことは何ら問題無かろう。が、曹公は、共に袁家をも滅ぼそうとしている。長く王室を支えてきた功績ある袁家をだ!」

「いいえ。それもまたおかしい」

「何……?」

「例え、過去如何に王室の為に貢献をしようが、罪を犯したのなら裁かれるべきです。淮陰侯(※韓信のこと)の生涯を見ればそれは明白でありましょう。淮陰侯は、文終侯(※蕭何)、文成侯(※張良)に並び、最も高祖(※劉邦)に貢献した功臣の一人です。しかし、彼は最後には誅殺されたではないですか」

「むう……」


 孔融は唸り声を上げると天を仰ぐ。数秒反論を考え込んで、しかし何も思いつかなかった。なので、全く別の切り口で攻めるこことした。


「……成程、理はそちらにあるように思われる。少なくとも私には、そなたの言を否定する言葉を持たぬ。しかし、なれば何故、白梟が現れたのか! 我ら矮小なる人の身では推し量れぬだけで、天から見れば此度の出征に某かの非があるからではないのか!」


 最早いちゃもん以外の何物でもない。

 しかし、こうも堂々と言い切られれば、それも真っ当な言であるように思えてしまう。ましてや、仮にも聖人孔子の末裔の言である。


「天……。文挙殿は、あくまで先の白梟が、天の御意思が介在されたものと主張なされるか?」

「いかにも」


 孔融は重々しく頷く。


「ふむ。ですが、ぼくはそのようには思えません。ですので、今再び天の御意思を確認してみては如何でしょう?」

「何?」


 曹沖は大きく息を吸う。そうして常にない大声を上げる。


「天よ! もしも、父孟徳の出征が、天の道にそぐわぬものであるのなら! 今ここで私の体を雷で打ち据えて下さい!」

「なっ!?」


 暫し待てども、雷が降るようなことはない。雲一つない晴天なのだから、当然のことであった。


「…………どうやら、天は父の出征を是とされたようですね」


 孔融はぶるぶると震える。


「何と不遜な! 貴様、天を試すような真似をするか!」


 孔融の怒声に、曹沖は困ったような笑顔を浮かべた。


「お怒りはご尤もです。しかし、白梟が天の御意思であるのかどうか、不明瞭であるのなら、今一度天の御意思を確認するしかないではないですか」

「天の御意思に決まっておる! そうでなければ何故、山林に住まう梟が人里の上空を飛ぶことがあろうか!?」

「ああ、そんなことは決まっているじゃないですか」


 曹沖は当然のように言う。


「白梟が許都の上空を飛んだのは、ただ……」

「ただ?」

「ただ――迷い込んだだけです」


 そう言って曹沖は、年相応の幼気な笑みを浮かべた。


 余りといえば余りの答えに、孔融は口をあんぐりと開けて反論すること能わなかった。





「はははっ! ただ迷い込んだだけです、か! こいつは傑作だった!」


 曹彪はもう何度繰り返したか分からない言葉を口にして、ばしばしと曹沖の背を叩く。


「痛い! 痛いです、兄上!」


 曹沖が非難の声を上げる。



 歌会がお開きになってから時間が流れた。

 既に出席者たちは帰ってしまい、曹家の屋敷には曹沖たちの身内しかいない。


 曹沖たち、というより、曹彪は夕餉を取りながら、今日の歌会の顛末をしきりに口にしていた。

 

 やれ、あの爺は碌な爺じゃない。倉舒に言い負かされていい気味だ。倉舒、流石は俺の自慢の弟だ、よくやった! 等々。



「いやあ、そりゃそうだよ。梟が何で許都の上空に現れたか? 迷い込んだに決まっているじゃないか! それを凶兆だなんて、大人たちは妙に迷信深くて困るよ! なあ、倉舒! ……倉舒?」


 相槌がないことに、曹彪は訝しげな声を上げる。


「どうした、倉舒?」

「……いえ、本当にそうであって欲しいと思いまして」

「お、おいおい……。何だよ、不安になることを言うなよ」

「ですが、北の空から白梟が現れるのは、偶然にすぎては出来過ぎです。……本当に何もないと良いのですけど」


 そう言って曹沖は、不安げな顔で北の方角に視線を向けた。



※※※※



 天幕内、二人の男が向かい合っている。


「雨が酷い。道がぬかるんで行軍もままならぬ。どうしたものか……。引くべきか、それとも、進むべきか。奉孝、そなたはどう思う?」


 主君より問い掛けられた郭嘉は恭しく口上する。


「進むべきです」

「……何故か?」

「今敵は我らから遠く離れた地にいるため油断しています。ましてや、こうも悪天候が続けば尚更でしょう」

「うむ」

「なればこそ進みます。いえ、ただ進むだけでなく強行すべきです。今、千里先の敵を攻めるため輜重はかさみ、悪路も重なって行軍は遅くなっています。それは敵も知る所でしょう。故に、輜重をひかえ、軽騎兵に昼夜駆けさせます」

「敵の不意を衝くためか?」

「はい。敵は我らが攻め込むのに多大な時間がかかると思い油断しているでしょう。その油断を衝けば、必ずや勝ちます。兵は神速を貴ぶもの。どうか、御英断を」

「しかし……敵も全くの無警戒とはいかぬと思うが。それに雨のせいで路が酷い。軽騎兵の強行といえど、進軍速度にも限界があろう。奇襲能うか?」

「……田疇という地元民の協力を得ました。彼が言うには、二百年前の崩落以来使われなくなった間道があると。そこから何とか先に進めるようです」

「…………」


 郭嘉の進言を受けた曹操は無言になる。腕を組み暫し考え込む。


「……唯でさえ悪条件下での強行軍。それを、正式な街道を外れた抜け道で行うというのか? 確かに勝てるだろう。だが、……無視しえぬ犠牲を払うことになるぞ」

「今ここで退いて何になりましょうや? 次に攻め入るはいつになるか? その間に、弱体化している袁家は息を吹き返しましょう。後背、南の劉表、孫権とて、いつまでも大人しくしている保証はありません。この機を逃せば、公の覇業は大きく後退します。……我ら将兵一同、公の覇業の為に命を惜しむ真似はしません。どうか、御下知を」


 曹操は瞼を閉じる。


「……将兵の献身には頭が下がるばかりだ。そなたの進言を入れよう。すぐに取り掛かれ」

「はっ!」



 曹沖のいる許都より遥か北の地で、曹操の生涯、その長い戦歴の中でも、最も過酷な強行軍が開始されようとしていた。


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