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第二話 

「それでは順位確認を行うが、報告ではなくあくまで自身で把握しておいてくれ。確認方法は分かってると思うが、学生証に書いてる学年順位の数字が今の皆の順位だ。そしてそれとは別に、全体順位ってあると思うが、それは年度末にある全学年合同トーナメントの順位になるから今は気にしないでいい。あとは―――」

 担任のリアード・デビウスが順位関連の説明を一通り終えて授業に入る。

「同時に展開、維持できる魔法陣の数で、その魔法師が優秀かどうかはある程度分かるって前に言ったのは覚えてるな。今日はその実例を見せてみよう。そうだなエワイト、それとアーリア前に来てくれ。」

 始まった。

「分かりました。」

 このクラスでは担任教師ぐるみのいじめのようなものが起こっている。

 基本的に対象になるのは実技が出来ていない、能力の低い生徒。

 その対象の一人に俺が入っている。

「それでは二人ともこの魔水晶を使って、魔法陣を展開してくれ。」

 前に出て魔法陣をアーリアと同時に展開する。が、アーリアは13個まで展開しているが、俺は今は5個を展開はできるが、維持がまともにできない。今にも崩れそうな状態になっている。

「おいおいエワイト、仮にもこの学院に入学したんだろ。このくらいなのか?アーリアは倍以上展開してるんだぞ?」

「先生、今彼は一生懸命やってるから話しかけちゃだめですよ。それに彼は貴族でもないんですよ。前提として違うので比べるのはダメですよ。」

 貴族は基本的に魔力適性が高い一族が多く、優秀な魔法師は多い。しかしその分自分よりも下の者などをかなり見下している節がある。ここの学院の教師も貴族が多い。

 そんなことを二人があざ笑うように話していると、俺が展開していた魔法陣は、すべてガラスが割れるような高い音を出して砕け散った。

「お前そんなで本当に大丈夫なのか?まぁいい、二人とも席に戻れ。」

 クスクスと笑い声が聞こえてくる。耳を貸さないようにはしているが嫌でも入ってくる。


「あれマジかな?」「毎度思うけどあれって魔法師としてどうなの」「あいつ今何位なのかな」「あいついつ学校辞めるかかけてみない?」


 このクラスの担任デビウスは数人の生徒を貶めてに他の生徒に優越感を与えている。そうすることで貶められている生徒を見ながら、自分たちが優秀な魔法師であると思い、あの立場にはならないようにと努力する。このような環境でこのクラスは成り立っている。

「今ので大体、魔法師として優秀なのはエワイトよりもアーリアというのが分かる。このように安定して魔法陣を多く展開できればそれに比例して複雑な魔法が使えるようになる。だから同時展開できる魔法陣は出来るだけ多く展開できるようにすることが大切だ。そして――」

 その後、属性間の強弱関係、掛け合わせによる合成属性のことなどを話しているうちに授業終わりの鐘が鳴った。

「と、ここまでだな。次回は固有詠唱や限定魔法などについての授業にする。それでは解散。」

 授業が終わり、自由時間となったがカイルは特に話す仲のいいクラスメイトなどは居ない。近寄れば自分もいじめられる対象になる可能性を考えて、基本的に近寄ってくる生徒がいないのだ。

 結局いつものように一人で昼食を済ませて、午後の授業に出る。

「詠唱には固有詠唱と基本詠唱がある。基本詠唱で出せる魔法は、固有詠唱でも魔法師の力量次第では唱える事ができる。固有詠唱はその魔法師のみが使用できる詠唱で、基本詠唱はほぼ全ての魔法師が使いたい魔法を使うための詠唱だ。また固有詠唱をすることで基本詠唱よりも短く詠唱を済ませる事もできれば、長く詠唱して威力を上げる事も出来る。まぁ固有詠唱は魔法陣の改変などが必要になるが、完成すればかなり強力になる。そして限定魔法だが、これは固有詠唱のみ唱える事ができるまぁその魔法師のオリジナルの魔法だな。これは魔法陣を1から組む必要があるのと、それなりの詠唱時間にしないといけない。威力は魔法陣の限界まで上げることはできるが、その分詠唱時間も増えるからその辺の兼ね合いが大事だな。まぁ限定魔法は無くても戦える。作ってもいいがそう簡単に良い限定魔法は作れんからもし作るなら何度も繰り返しが必要だな。」

 固有詠唱と限定魔法の関係や仕組みを説明し終えると。

「まぁ、魔法陣の同時展開があまりにも少ないとそれ以前の問題だがな。」

 嫌味ったらしくこちらを見ながら言ってきた。まぁでも現状それは事実だ。実際5個の魔法陣では打てる魔法も限られるし、改変にもあまり余地がない。そんなことを思っていると授業も終わった。

「とりあえず今話した固有詠唱は自分で出来る限り見つけてみるといい。見つけれれば儲けもの程度の気持ちで挑んどけばそのうち自分の物が見つかるだろ。それでは終了だ。」

 その後すべての授業が終わり放課後になる。

 教室で喋る生徒、訓練場に行く生徒、早速詠唱の短縮を図ろうとする生徒もいる。その中でカイルは。

「...帰るか。」

 カイルは1人寮室へ戻っていった。

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