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初めてのトイレ

 「ここがマナミの家なのか?」


 エルフ少女のマナミを説得し終えた俺は、串焼きとスープを買いマナミの家へとやってきた。

 親がいないといっていたマナミがどんなところに住んでいるのかと思えば、なかなかにボロい家だ。

 こういうのは掘っ立て小屋とでも呼べばいいのだろうか。

 壁は木の板で出来ているのだが、それも傾いており入口の扉は完全に閉まることは永遠にないと断言できる。

 と言って、これは別にマナミの家だけに限った話ではないようだ。

 隣の家も、その隣の家もみんな同じようなボロい家ばかり。

 ようするに貧民街というやつなのだ。

 俺の着ている服は一応貴族っぽい男から頂戴したものだったので、この服では危ないと事前に教えられていた。

 それならばどうするのかと思ったのだが、少し路地を進んだところに浮浪者がたおれていたので、そいつから服をひん剥いて頂いてきたのだ。

 どうやら、転生直後に俺がいた場所というのはかなり身分が高い連中の住む場所で、公衆トイレの近くは治安がいい場所だったようだ。

 着ているだけで全身が痒くなってしまいそうなボロい布を体に巻き付けながら、いくつもの細い道を曲がりマナミの家までやってきたのだった。


 「しかしあれだな。こんなところでマナミみたいな美少女が住んでいたら危ないんじゃないか?」


 「わ、わたしは別に可愛くなんかないよ……」


 確かに髪の毛はボサボサで目元は隠れてしまっているし、全身が薄汚れて入るが、きれいな格好をしたら相当なレベルだと思うのだが。

 ただ、マナミの言葉はただの謙遜というわけではなさそうだと感じた。

 あまり可愛いとかを言われ慣れていないというのが分かる。


 「なんで? モテそうなんだけど」


 「ダメだよ。わたしは同じような孤児の仲間にも入れないんだ」


 どういうことだろうか。

 よく知らないが、こういうところで孤児は孤児同士で結託してたくましく生きて行くものなのではないんだろうか。

 だがまあ、ある意味都合がいいとも言える。

 俺が食事を用意したと聞いて他の連中が集まって来られても困るからだ。

 今更だが、別に働いてもいない俺がいつまで孤児のマナミ相手に食事を振る舞えるのかという問題もあるしな。


 「ま、いいさ。とにかくマナミは食事を食べたらどうだ。スープなんか冷めたらもったいないだろう」


 「うん、いただきまーす」


 そう言って、少しぬるくなったスープに口をつけてのどをコクコクと鳴らす。

 次に串焼きの一番上の肉にかぶりついた。

 まるでこれ以上幸せなことはないと言わんばかりの笑顔だ。

 ただ、メカクレなので笑った顔も口元しかわからない。

 いつかジャマな前髪も切ってその笑顔をすべて見たいものだと思った。




□  □  □  □




 「ふ〜、ごちそうさまでした。おいしかったー」


 「はい、おそまつさま。それじゃあ、次は俺の番だな。マナミ、トイレに行きたくなったらすぐに言うんだぞ。隠したら許さんからな」


 「えっ、あれってほんとにやるの?」


 「当たり前だろ。何言ってんだ。約束したじゃねえか」


 「……うう、やらないとわたしが呪われちゃうんだよね。わかったよ。でも、その、おしっことかどうすればいいの? 壺に入れたらいいのかな?」


 んん?

 そういえば、俺がおしっこやうんこを食事として必要だとは言ったが、俺自身が便器だとは説明してなかったんだっけ?

 どうしようか。

 いきなり目の前で人化を解いて、便器になったりしたら驚いて逃げてしまうんじゃないか?

 それなら便器にならないほうがいいんだろうか。


 「いや……壺に入れられると味が落ちるかもしれん。汚れてるかもしれないからな。おしっこなら俺がそのまま口から飲むよ」


 「ええっ、そんなの無理だよ。恥ずかしい。ダメ、ダメ、絶対に無理だから」


 マナミが座っていた状態からガバッと体を飛び跳ねさせて俺に飛びかかりながら訴えかける。

 小さな両手を俺の肩に置いて、ダメだと主張してきた。

 わざわざ俺が気を使って人間状態で接してあげようと思ったのに失礼なやつだ。

 しょうがない。

 便器になってそこで用を足してもらうことにしよう。


 「なんだよ、マナミは約束したじゃないか。約束破るようなやつだったのか。こうなったら呪いを受けてもらうしかないかな」


 「いやぁ、やだよ……ごめんなさい。でも、わたしやっぱりはずかしくて」


 「よし、分かった。それじゃあ、俺が魔法を使って変身してやろう。俺が便器の形になるから、マナミはそこでトイレを済ますんだ」


 「……そんなことができるの?」


 「すごく疲れる魔法だけどな。わざわざマナミの願いを聞いて特別にやってやるんだからな。これならいいだろ? これ以上文句ばっかりいうんじゃないぞ」


 「え、は、はい。ごめんなさい」


 「よし、それじゃ、今から俺は便器に変身する。マナミはそこで普通にトイレに行ったときのようにしてくれたらそれでいいから。あっ、でも、おしっこしてもしばらくはそのままでいろよ。きれいになるように水で洗い流せるようになっているからな」


 「み、水? 水がどうなるの?」


 「おしっこを出したところを洗うために、水がピューって出るんだよ。その後は水分を飛ばすために風も出るから、風が吹かなくなったらそれがトイレ終了の合図だ。それまでは決して動かないようにな」


 どうもウォシュレットは慣れていないとビックリして、体を動かす人が多いからな。

 こうして最初から説明しておけば大丈夫だろう。

 しばらくすると、座っているマナミが体をモジモジと動かし始めた。

 どうやらさっきのスープを飲んだ分を体が出したがっているらしい。

 俺はおもむろに立って、小さな家の中で一番たいらで安定しそうな場所へと移動した。

 そして、そこで人化を解いて便器の姿へと戻る。

 それを見て、やはりマナミは驚いた表情を見せる。

 もしかすると、俺が便器になるというのは冗談か何かと思っていたのかもしれない。

 だが、冗談などではない。

 俺は正真正銘の便器へと転生してしまっているのだから。


 しばらくは体をモジモジと動かし続けていたマナミだが、ようやく覚悟を決めたようだ。

 俺のそばによってきて、ためらいながらも用を足そうとする。

 服のしたへとスッと手を伸ばして、パンツを下ろした。

 今年で12歳になるとか言っていたのだったか。

 髪の毛はボロボロでくすんだ金髪みたいになっているが、それと同じ毛が股間にも薄っすらと生えていた。

 しばらく変化のない股間を観察していると、じきにヒクヒクと細かく動いた。

 だが、まだためらいがあるのか、それから数十秒は何も出てこない時間が続いたが、ようやくチョロチョロと小便が出始める。


 うむ、うまい。


 10歳以下の子どもの場合はおしっこの味が薄くて美味しく感じないことが多いのだが、マナミのものは十分に味わい深い香りがしている。

 これはまだ青みがかった時期の速い果物を口にしたときの感じだろうか。

 ほんの少し酸っぱい感じがするものの、それが癖になるというか。

 これならば十分常用するだけの価値がある。

 奴隷を購入できないとなったときには絶望を味わいかけたが、一発逆転に成功したようだ。

 どうやら膀胱にはだいぶ水分を溜め込んでいたようだ。

 思ったよりも長い時間出し続けて、最後には「ふぅ」と息を吐くマナミの姿があった。


 今だ。

 そう判断した俺はウォシュレットを発射する。

 狙いすました俺の水流は見事出口へと最適な水圧で命中した。


 「きゃっ、なにこれ、や、やだ……こわい」


 やはり、初めては怖いものなんだろうか。

 水が命中した瞬間、体全身をブルっと震わせるようにして立ち上がりかけたマナミ。

 だが、最初に十分に説明しておいたおかげか、一度上げた腰をもう一度おろしてそのまま水を受け続ける。

 健気な子だと思った。

 俺は適宜水の当たる位置を調整しながらきれいにし、その後フーと息を吹きかけるように送風を送る。

 これでおそらくマナミの体の中で一番きれいな場所は股間だといえるくらいに洗浄出来たように思う。

 俺はマナミを下から見上げるようにしながら、自分の仕事に満足していた。

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