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プレイヤー戦闘

 









 俺の名前は北原(きたはら)(こう)、サラリーマン。

 親父の提案により小学6年の妹ユラがプレイしたがっていたVRMMOゲームをユラと一緒に始めてみた。

 リアルファンタジーワールドと題したこのゲームは仮想空間で仲間を作り共に冒険ができ、生活ができる。

 いわばもうひとつの世界を堪能できるゲームだ。

 自分の分身であるキャラクターを創ったときに妹にチートと呼ばれる剣聖(ソードマスター)という職業を得たときは正直嬉しかった。妹に頼られている気がしたからだ。

 でも…これは違う…





「ユラだから似合うんだよ、俺は着なくていい」

「なに言ってるの、せっかくシズカさんが用意してくれたのに」

 霊峰ガイヘンから街に戻ってきてシズカさんが借りている裁縫師達の共同工房でユラは猿の着ぐるみ?寝間着?を手ににじりよってくる。

 ユラも虎柄の着ぐるみをすでに着ている、シズカさんいわく、ベンガルという猫をモチーフにした服らしい。

「いやいや二十歳越えた俺にはきついから」

「なんでー?可愛いのに」

 ユラは自分の肉球の手で猫の尻尾を触る。



「ユラさん、あまりコウさんに無理強いしては…」

「うわっシズカさん可愛い!タヌキだ!」

「はいタヌキです」

 更衣室から出てきたシズカさんはパーカーにタヌキの顔と耳がありパーカーと一体型になっているズボンには尻尾がを取り付けている着ぐるみを着ていた。

「さぁ後はあにぃだけ」

「…コウさん」

 俺はユラとシズカさんの顔を交互に見てからユラから猿の着ぐるみを受け取り更衣室に籠る。

 こんな格好をするとは思ってもいなかった。冒険者の服を装備から外して着ぐるみを装備して着てみると通常の茶色の毛の猿ではなくてこの着ぐるみの猿の毛は黒色だった。



「あにぃまだー?」

 ユラに急かされる形で更衣室を出る。

「ぶっ!…似合うよあにぃ」

「笑ったろ?」

 確実に吹き出したよね?

「違うよー、ねぇシズカさん似合ってるよね?」

「はい私のイメージ通りです」

 イメージ?

「この猿の種類はなんですか?黒い毛の猿なんているんですか?」

 シズカさんに質問するとシズカさんもユラも何言ってるの?という顔になる。え?有名な猿?知らないのおかしい?

「あにぃ窓から外見てみなよちょうどいるから」

「は?」

 言われた通りに外に目をやると1メートル60くらいの黒の毛色の猿が二足歩行で警官服に似た服を着て町中を歩いていた。

「なんだあれ!?」

 どうみても毛深い猿だ。

「あの子達はこの街を守る警官猿(モンキーポリス)だよ、来たときからずっといるのに知らなかったの?」

「知らないよ、なんだよ警官猿って」

「猿人って種族はプレイヤーにもいるんだけど人の顔は残ってる、まんま猿の顔をした猿人は街の警官を勤めてるNPCなんだ。

 もしプレイヤー同士でいざこざがあったりすると駆けつけてくれるよ」

 警官服なんで街で見かけたことなかったが…実際目の前にいるしな。


「それよりせっかくだからこの格好で街を歩こうよ」

「いいですね!」

 …公開処刑に等しいぞ。







「はー、なんで着替えちゃうのかな」

 冒険者の服に着替えてついてきた俺に対してユラはため息を吐いた。前を隣同士で歩くユラとシズカさんの格好は着ぐるみのままだ。

 わかってくれ…恥ずかしいんだ。

「まぁいいや、でもありがとうシズカさんこんなに可愛い物をくれるなんて」

「私も服を着てもらって嬉しいです、この着ぐるみシリーズは簡単な素材で出来ますから駆け出し裁縫師でも作れたんですよ。その代わり能力付与はないネタ装備ですけど友達を作って一緒に着れたらと思ってました」

「可愛いこと言ってくれるねシズカさん」

 シズカさんに向かって親指を立てるユラ。なんで上から言うんだ…教会前についたので着ぐるみ装備を着た2人はスクショを撮っていた。


「シズカさん聖霊達は今もシズカさんの側にいるんですか?」

「はい私の肩に乗っている子もいればあそこのかき氷の屋台で休んでる子もいます」

 聖霊って結構自由に動くのね。

「ねぇねぇ今から3人で遺跡の調査依頼を受けない?」

「ドライ平野の遺跡か?」

「そうだよあにぃと2人で回復アイテムを用意して行こうかなって思ってたけどパーティーメンバーも増やしたかったんだ」

「ごっごめんなさい今日は用事があってそろそろログアウトしないといけないんです。せっかく誘って頂いたのに…」

 シズカさんは涙目になる。

「そうなんだ、泣かない泣かない。また今度行こうよ」

「はっいよろしくお願いします。今日はありがとうございました」

「またねシズカさん」

「お疲れ様でした」

「はい、お疲れ様でした『ログアウト』」

 シズカさんがログアウトして姿が消える。



「んー残念」

「仕方ないさ」

「じゃあ遺跡の調査は諦めて鍛冶のために素材集めだね。鍛冶レベルを30まで上げたら中級工房を解放できるようになるからもうひと頑張りだよ。」

 依頼を受けるつもりなのだろうユラは冒険者ギルドに向かって歩き始めた。

「ん、今度は何を造るんだ?」

「造るのは槍だね、素材は鉄とドライ石材を使ってヘビィスピアが造れるんだ」

「鉄はヘビィゴブリンなのはわかるけどドライ石材はドライ平野にいる魔物(モンスター)からのドロップか?」

「うん、ドライロックからドロップする、ドライロックはドライ平野の遺跡周辺にいる魔物(モンスター)だよ。」

「じゃあヘビィゴブリンの依頼を受けるだけになるのか?ドライロックの依頼なんてなかったよな」

「今はそうかもだけど…そうでもないと思うよ、依頼はプレイヤーも冒険者ギルドに頼むことができるし、レベルも上がればたぶん受注できる依頼も増えるんじゃないかな?」

 なるほどそういうケースもあるのか…



「それより人が多くて通れないんだけど…」

 冒険者ギルドまでの教会からの大通りに頭上の名前の色からしてプレイヤーの人だかりが出来ており進むことができない。

「んー、そこのイケテるお兄さんちょっと待って」

「はいはいイケテるお兄さんですよ」

 ユラは冒険者ギルドの方から人だかりの中を出てきたNPC、金髪モヒカンヘアの人種の男性に話しかけるとチャラい感じで答えてくれ立ち止まってくれる。

「冒険者ギルドの方から来たんだよね?この人だかりは何?」



「あー、関わらない方がいいぞ。この先で冒険者同士の決闘が始まるようだからよ。その決闘始める冒険者達の側に俺はいたんだが強いのは俺の方だとか、3次職業まで上がった自分に勝てるわけないとかバカみたいな話をしてたよ。どうせ警官猿に取り締まられるに決まってんだバカだよバカ。じゃあな俺は行くぜ母ちゃんにおつかい頼まれてんだ」

「ありがと」

 チャラい見た目に似合わず母ちゃんのおつかいするんだ…いかんいかん人を見た目で判断しちゃいけないな。

「あにぃ!」

 ユラがキラキラした目で見てくるよ。

「決闘観たいんだな?」


「うん、ちょっと行ってきていい?私なら身体が小さいから人混みでも前に行けるから」

「ダメだ…俺もなんとか人混みに入るから一緒に行くぞ」

「さすがあにぃ、パパの言うこと守るんだ」

 親父に一緒にゲームするように言われたんだし一応一緒に行動しないとな…



 人混みを掻き分けて進むと目の前に人混みに囲まれて対峙している2人がいた。片方は槍を持った魔物(モンスター)と遜色ない凶悪な顔を持つ魔族のプレイヤーともうひとりは両手に爪のような装備をした猫人の男性プレイヤー。

 猫人の男が頭から血を流しているように見える。



「おー、街の中での戦闘。すごい野次馬だねあにぃ」

 俺もマスターと戦闘したんだが人気がなかったおかげで野次馬いなかったんだな。

「なんでこんなことしてんだろあの人たちは?」

「なんでもギルドを立ち上げるにあたってどっちがリーダーかどうか争ってるらしいぞ」

「あっありがとうございます」

「どういたしまして」

 俺の呟きに答えてくれたのは隣にいた骸骨姿のプレイヤーだった、声からしてたぶん男性。

「くっそー『獣化(ビースト)』」

 猫人の男性が人の面影が無くなり体長2メートルくらいの猫に変化してしまう。

「なんだあれ?」

「あにぃあれは、動物系の種族の固定スキルだよ。」

 固定スキル?

獣化(ビースト)は攻撃力、防御力、スピードが獣化(ビースト)前より何倍も跳ね上がるスキルなんだよ」

「どっどうも」

「どういたしまして」

 隣の骸骨姿のプレイヤーが丁寧に教えてくれる、ありがたいが顔…怖いです。



「グウォー!!」

 獣化した男性が決闘相手に飛びかかる、魔族のプレイヤーは槍を構えて待ち構えるようだ。

 ピカっと光が俺の横を横切り、決闘している2人に当たり2人を消滅させる。

「さぁ皆、決闘は終わりだ!早く道を開けろ!」

 後ろから声が聞こえたので振り返ると複数の警官猿がいた。

 警官猿登場により野次馬のプレイヤー達は散っていく。

「おいユラ、猿がしゃべった」

「警官だから喋るに決まってるよあにぃ、喋れないならどうやって取り締まるの?」

 確かにそうだが…それに今の決闘していた2人に当たった光を警官猿が出したとしたら決闘の止めかたとしたら乱暴じゃないかい?他のプレイヤーに…ユラや俺に当たってたらどうなってたんだろ?



「街で戦闘をすると警官猿が駆け付けてきて否応なしに教会行きになり所持金を減らすことになるぞ。まぁ乱暴だが一種の取り締まりだな。最近のオンラインゲームは本当にマナーを守らない奴もいるから取り締まりも厳しく設定されてるんだろ。君達も気をつけろよ」

「はぁありがとうございます」

 骸骨姿のプレイヤーは手を振りながら去っていった。

「骸骨さんの言うとおりだね、私が前にしてたオンラインゲームもそういう人がいたよ。それにしてもプレイヤー同士の戦闘なんて初めてみたから面白かった!まだ見たかったけど終わっちゃったし冒険者ギルドに行こう!」

 骸骨さんて…



人混みも無くなり冒険者ギルドにたどり着いたので受付にいるNPCの女性ギルド職員に依頼を確認する。

「ドライ平野の依頼は6つあります。

 内容は…行商人の護衛依頼、ポルダからドライ平野を西に越えた所にありますビーチェの街までの護衛依頼です。報酬は経験値15000と100000G(ゴールド)


 2つめがブラウンワームの肉の収集です。30個の収集で報酬は経験値7800と4000G(ゴールド)


 3つめが平野の北西側にある湖の水質調査です。水質を検査して報告する仕事です。報酬は経験値3000と3000G(ゴールド)


 4つめがヘビィゴブリンの討伐です。50体の討伐で報酬は経験値6000と4500G(ゴールド)


 5つめが落とし物を探して欲しいとの依頼です。落とし物の内容と報酬については依頼主様へ訪問していただくことになります。


 6つめがドライ平野の中央にある遺跡の調査依頼になります。報酬が経験値100000と200000G(ゴールド)の計6つの依頼です」


「うーん新しいのはないか、ヘビィゴブリンの依頼を受けるからよろしく」

ユラと共にギルドカードを渡す。

「カードをお預かりします、はい受注完了です。よろしくお願いします」

「ありがとうあにぃ行こう」

「あぁ…」

ユラってたくましいよな…あんなことがあっても元気だ。

俺は色々と混乱中だよ、プレイヤーは戦闘するし警官猿は強いし喋るし。みんなそれが当たり前のようだし…

うんゲームだから気にしないようにしよう…


 






 コウ:人族Lv31

 職業:剣聖(ソードマスター)Lv4:聖職者(クレリック)Lv2:冒険者Lv25

 HP:11220

 MP:4220

 STR:555

 INT:412

 VIT:536

 AGI:610

 DEX:448

 LUC:804

 スキル:光の剣Lv1(2/100)、聖なる光Lv1(1/100)、剣匠Lv1(16/100)神速Lv1(15/100)ヒールLv1(2/10)キュールLv1(2/10)瞑想Lv7(9/10)ソードスラッシュLv12(6/10)ファイアーエッジLv1(1/10)ウォーターエッジLv1(1/10)

 称号:創造の女神リアルの加護:剣豪に認められた者


 装備

 頭:

 右手:ロングソード

 左手:

 上半身:駆け出し冒険者の服

 下半身:駆け出し冒険者のズボン

 足:シューズ

 装飾品:羽飾り

 装飾品:

 所持金80G







 ユラ:ドワーフ族Lv33

 職業:魔法使いLv4:商人Lv11:冒険者Lv26

 HP:3500

 MP:3080

 STR:134

 INT:298

 VIT:150

 AGI:236

 DEX:173

 LUC:131

 スキル:ファイアーボールLv17(9/10)、ウォールLv1(7/10)、瞑想Lv9(7/10)、ヒールLv1(1/10)商品配送Lv8(1/10)目利きLv3(2/10)商人の資質Lv6(6/10)鍛冶Lv21(1/10)鑑定Lv1(2/10)生産強化Lv7(5/10)フライLv1(1/10)解体Lv3(4/10)マジックウィップLv1(1/20)ウォータースライサーLv1(1/20)マジックアップLv1(1/20)

 称号:

 装備

 頭:

 右手:魔法使いの腕輪

 左手:火伝の指輪

 上半身:着ぐるみ『ベンガル』

 下半身:着ぐるみ『ベンガル』

 足:シューズ

 装飾品:羽飾り

 装飾品:商人バッチ

 所持金154624G




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