NEWWORLD
NEW WORLDギルドルーム
20畳程の部屋に備え付けられていた椅子に座り同じく備え付けられていたテーブルに、ユラが拡げた始まりの街ポルダの地図を見ながらユラとこれからのことについて話していたがキャラクター作成の時の話になった。
「あにぃ羨ましい、剣聖に女神の加護なんて」
「はじめからやり直せばいいじゃないか」
「リアルファンタジーワールドは、はじめからやり直す機能がないの。」
クソゲーじゃんと俺は思った。
「あにぃのステータス見せて」
自分のステータス画面をスクショして手紙機能に画像を添付してユラに送信する。
するとユラからも手紙が送られてきていた画像が添付されているようで画像を開いてみる。
ユラ:ドワーフ族Lv3
職業:駆け出し魔法使いLv2:商人Lv2
HP:1020
MP:600
STR:12
INT:50
VIT:26
AGI:31
DEX:22
LUC:77
スキル:ファイアーボールLv1(6/10)、ウォールLv1(1/10)、瞑想Lv1(2/10)、ヒールLv1(1/10)商品配送Lv1(5/10)目利きLv1(4/10)商人の資質Lv1(7/10)鍛冶Lv1(1/10)
称号:
装備
頭:
右手:ロッド
左手:
上半身:魔法使いのマント
下半身:魔法使いのスカート
足:シューズ
装飾品:羽飾り
装飾品:商人バッチ
所持金526G
ファイアーボール:アクティブスキル、火の初級魔法、消費MP40
ウォール:アクティブスキル、初級防御魔法、一時的に半径30センチ程の魔力の膜を作る。消費MP70
商品配送:パッシブスキル、アイテムバック拡張、レベルが1上がるごとに拡張数が2増える。
目利き:パッシブスキル、扱う商品の品質が上がる。
商人の資質:パッシブスキル、取り引き、売買の効率が上が
る。
鍛冶:装備品の製造、鍛錬が出来る。
「所持金少ないな」
「仕方ないよ、ヒールのスキルとマントにスカートを買ったから。回復スキルは私が選んだ職業になかったから買うしかないし一応魔法使いだから買えた」
「それに俺のステータスと違う」
「だからあにぃが剣聖って職業を持ってるからだよ。私の数値が普通なの」
ユラはテーブルに身を乗り出して俺を指差す。
「でもあにぃのおかげで魔物を狩るのは楽になる。そしてドロップを集めて私が装備を造る。私の目標は鍛冶を極めることだから。」
「初耳だな。」
「あにぃのドロップも私に送ってね、商人の職業は売買の時のお金を安くしたり高く売ることも出来るものだから。」
「妹に財布を握られる兄ってどうかな?それにユラは鍛冶と商人のスキルで一財産でも気づくつもりか?」
「気にしない気にしない色々とお金が必要だってことよ。といっても私の鍛冶はギルドルームに工房を造らないと出来ないんだ。だからまずはあにぃ…持ってるお金を10000Gあるでしょ全部私に頂戴」
「カツアゲ?」
「必要経費だよ」
ユラは手を差し出しながらニッコリ笑う。
手紙にお金を添付して送るとユラはギルドルームの一角にある電子パネルの元に向かいパネルを操作する。
ルームが光だし、光が落ち着くとルームの床に地下への階段が出来上がる。
「おーすごいな」
「あにぃもまずは見てみなよ、10000Gもした工房だよ」
「全額使ったんだ」
ユラと共に階段を降りると『鍛冶工房:初』とアイコンが出た。
「炉に燭台、壁に掛かってるのは鍛冶に使う道具なのか?」
「そうだね、初級工房だからまだ狭い工房だし造れる装備は限られるけど鍛冶のレベルが上がらないと次の工房は買えないんだよ」
「ユラ思っていたがこのゲームについて詳しいな」
「あにぃのパソコンで発売前に出た情報は調べ尽くしたからね」
「勝手にパソコン使うなよ」
パソコンには秘蔵フォルダがあるからいじられたくない。
「あにぃ鍛冶をするにも足りないものがあるんだ」
「無視か?…足りないものって何?」
「素材だよ、まずはロングソードを造るために鉄鉱石を集めよう鉄鉱石をドロップするのはこの街から南に行った廃鉱山カルイにいるストーンっていう魔物だね」
「素材集めか、普通ゲームってのはシナリオを進めるんじゃないのか?」
「リアルファンタジーワールドではどこにシナリオの分岐点があるのかわかってないんだよ。最初のメインシナリオの操作法を学ぼうから街に着いても何もシナリオが始まらなかったし。」
クソゲーか?
「じゃあとりあえず廃鉱山へ行くか」
「待ってあにぃ」
階段に1段足をかけたところでユラに呼び止められる。
「なに?」
「まずは冒険者ギルドに登録だよ」
「もう冒険者じゃないのか?それにギルドはもう創設したろ」
「ちっちっちっ、NEW WORLDみたいにプレイヤーが創設してコミュニティを築くプレイヤーギルドとは違ってNPCが管理するギルドは別なんだよ、ちなみに商人しか入れない商人ギルドには私はすでに入ってるこの胸に付いてるバッチはそのときにもらったの。
商人ギルドとは違って冒険者ギルドは職業にとらわれずに入れて、冒険者という職業がステータスに追加されるんだ。
冒険者ギルドの特徴はNPCや私達プレイヤーからの依頼をクリアして経験値やG、アイテムの報酬を貰えるからただ街を出て狩りをするだけより断然お得だよ。私も冒険者ギルドには入ってないからあにぃも登録しよう。」
「なるほど」
「冒険者ギルドは今いるプレイヤーギルド管理施設が街の東だから反対側になる西にあるよ。ちなみに商人ギルドは街の北側。」
「よし冒険者の職業を取りに行くか」
「おー」
ユラは両手を挙げバンザイをした。
ギルドルームのドアを開けると角がある魔族、猫耳やシッポをつけた女性、他には骸骨がマントを着て行き交うプレイヤーギルド管理施設のフロントに出る。
こうしてみると多種多様な種族をプレイヤーたちは選んでいるのがわかるし、俺が選んだ人種が少ないのもわかる。
プレイヤーギルド管理施設は壁に幾つもの番号つきのドアがありプレイヤーがドアを握ると所属しているギルドをドアが読み取り専用のギルドルームへと繋ぐことが出来るシステムだ。
「みんなギルドを作ったみたいだね来たときよりプレイヤーが増えてるよ」
「そうだな」
プレイヤーギルド管理施設を1歩出ると街は夕陽に照らされており街灯に明かりが灯っているところもあり最初に街にたどり着いた時より街はよりいっそう幻想的な雰囲気を出していた。
ガヤガヤと聴こえる人の声、プレイヤーギルド管理施設よりも多種多様な種族の往来。
「やっぱりリアルだよなこのゲーム、屋台から出てる香りがするし吹いている風を感じるなんて」
通りをユラと歩きながらキョロキョロと周りを見渡す。
「そうだよね、違う世界に迷いこんだみたいに錯覚するよね。まぁ香りなんかはリアルファンタジーワールドのヘッドギアが私達の脳を刺激して錯覚させてるだけだろうけど」
「錯覚かそうだろうけど現実的なことを言うんだ。」
「ごめんごめん世界観崩れちゃうね」
てへへと頭を掻くユラ。
「街に入って来たときにも気になったんだが、あれは教会で合ってるんだよな」
街の中心部にそびえ立つ建物を指差しユラに訪ねる。
「うん教会で合ってるよ、この教会は小さい村にはないんだけど始まりの街ポルダみたいに大きな街にはあるものでもし街の外、フィールドで敵キャラにHPを0にされたら教会に転送されるみたいなんだ」
死に戻りか
「それだけのためにこんな大きな建物を?」
「私に聞かれてもそれはわからないな、教会について付け加えるなら最後に立ち寄った教会がある街にHPが0になったら戻ってしまうってこととペナルティのことだけだよ。HP0で教会に転送されたらペナルティでGの半額がなくなるらしい」
某ゲームお馴染みのペナルティか。
「だからみんな銀行にGを預けると思うよ」
「銀行なんてあるのかよ」
「うんNPCが運営するギルドに銀行はあるんだそれに預けたお金はどの街の預けたギルドで引き出すことが可能だよ」
「便利だな」
「だよね、あっ見えてきたあれが冒険者ギルドだよあにぃ」
「何故に猿?」
ユラが指差した冒険者ギルドは3階建ての木造の建物で入り口は西部劇でよくみる両開きの戸になっている。そしてウェスタンドアの前には何故か招き猫の置物ではなく招き猿の人形が鎮座していた。
「あにぃ入らないの?」
奇妙な雰囲気を出す冒険者ギルドの入り口前で立ち止まったらユラが服を引っ張ってきた。
気合いを入れて戸を開くと戸がキーと嫌な音を鳴らすが音はすぐにかき消された。何故なら冒険者ギルド内は樽のテーブルがいくつも並びそこで木のコップを持ってガヤガヤとはしゃいでいる者達のせいだ。
「おーこれぞ冒険者のギルドって感じだねあにぃ!」
頭いたい、小学生のユラもプレイしてるゲームなのに。泡がシュワシュワと音を立てる飲み物ばかり飲んでるよ。
「あにぃ登録受付の窓口見つけた行こう」
ユラに手を取られて連れていかれる。
「冒険者登録お願いしまーす」
「お願いします」
艶がある長い黒髪を持ち黒髪の間から尖った耳を持つ女性が受付にいた。おそらく種族はエルフだろう。
「はひっ!?…あっすいません!驚いちゃって!あの!登録ですね…
あれ!?登録用紙はあれ!?」
受付のエルフ女性はすごくテンパリだした。
「あにぃこの人NPCじゃないよ」
「なんでわかるんだよ?」
「NPCの名前表示は青色、プレイヤーは緑色だからこの人緑色だよ」
「確かに」
未だにテンパリ続ける女性の前でユラと小声で会話する。
「あのー」
「はひっ!?ごめんなさいごめんなさい!」
「あにぃすごく引かれたね」
「あぁすごい技だ」
俺が話しかけると女性は自身が座っていた椅子ごと後退した。
「あにぃは目付き悪いけどそんなに悪い人じゃないから大丈夫だよ戻ってきて」
そんなにって何?ユラ?そんなにって。
「なんでプレイヤーのシズカさんがNPC運営の冒険者ギルドで働いてるの?」
「はひっ!?なんで私の名前を知ってるんですか?」
「いやいや私達の頭の上にもプレイヤー名は出てるからシズカさんもだよ」
「本当だ…実は職業選択で失敗しまして戦闘スキルがないんです、なのでアルバイトでGを貯めてスキルを買おうと思いまして」
やり直しが聞かないクソゲーの弊害か。
「でもGは10000G支給されてるのに他にアイテムでも買ったの?」
「あのスキルを譲ってくれるって方達に…」
シズカさんは俯いてしまう。
「なるほどカモられちゃったんだね」
「おいユラ、ストレート過ぎるだろ」
「いえいいんですよ、騙された私が悪いんですから。」
「あにぃ私達も気を付けなきゃね」
「ユラ…フォローする気ないだろ。それにしてもアルバイトが出来るなんて自由すぎるゲームだな」
「そうだね、シズカさんはどうやってここの仕事を見つけたの?」
「私はGを取られてから街の外で魔物を狩ろうとしたんですけどソロじゃ効率が悪くて街に戻り散策してたら目の前に筋肉ムキムキのおじさんが現れたんです、そしたら冒険者ギルドの人手不足というサブシナリオが始まったんです。私はおじさんにここに連れてこられて契約書にサインさせられました。」
おいおいまた詐欺かもしれない話だな。
「怪しかったんですけど冒険者ギルド職員という職業が追加され前金で2000Gを貰えました」
「えーいいなーそういうことでも職業が増えるんだね」
「シズカさん貴重な情報ありがとうございます」
「いえいえ、長々とお話しちゃって申し訳ありません。これがギルド登録の用紙になります。」
シズカさんが1枚の紙をユラと俺の前に出してくれる。
「登録にはお名前はもちろんですが職業欄も用紙にはあります。職業の開示にチェックマークをして頂ければパーティーメンバーを探す冒険者同士の仲介を我々ギルド職員が行います、それと用紙の下に緊急依頼受注しますかとありますが、職業の開示するにチェックマークをされている冒険者が緊急依頼を受けるとサインしていただければその緊急依頼は仕事内容に合った職業を持つ冒険者に連絡が入る仕様になってます。では記入をお願いします。」
「私は開示と緊急依頼を受けるにもチェックマーク入れるけどあにぃは駄目だよ」
「なんでだよ?」
「あにぃが剣聖の職業を持ってるって知れたらハイエナが来る」
「意味がわからないがそれじゃ緊急依頼にユラ1人で勝手に行くから駄目だよ」
「わかりなよ、それに緊急依頼にはあにぃに付いてきてもらうから大丈夫。」
「緊急依頼を受けた人しか入れない場所があったらどうするんだ?」
「うっ!…シズカさん質問。緊急依頼って受注した人しか入れない場所なんてある?」
「緊急依頼は規制フィールドが発生しますので受注された方しか入場は出来ません」
「うそー。じゃあ仕方ないあにぃもチェックマークいれてね。どこにシナリオイベントがあるのかわからないし、シズカさんの例もあるしね。」
登録名:コウ
職業:剣聖、聖職者
職業を開示
緊急依頼受注する
書き終わりシズカさんに用紙を渡す。
「はい確かに預かりました。この用紙は冒険者ギルドで保管されます、職業が変更もしくは追加がありましたら随時最寄りの冒険者ギルドにて報告をお願いします。
後はこのカードに触れてもらっていいですか?」
ユラとシズカさんの手にある白のカードに触れるとユラのカードは赤色に俺の触れたカードは銀色になる。
「あにぃさんはDランク、ユラさんはFランクからのスタートになります。」
「なんで登録したてで差があるの?」
ユラは不服そうにシズカさんに詰め寄る。
「ごめんなさいごめんなさい。…でも下位ランクになるD~Fランクはステータスによってランクが決められるんです。Dランクから上のCランクに上がるには依頼達成による冒険者としての信頼度と冒険者の職業レベルが必要なんですけど。下位ランクでは純粋にステータスの数値の平均値になります。」
「ここでもチートかあにぃ!」
「俺のせいじゃないだろ、それとシズカさん俺の名前はコウです。」
「失礼しましたコウさんですね。それにしてもギルド登録をされたプレイヤーの中で1番ステータスが高いようですね。」
「まぁ気にしないでください、それよりユラ依頼受けるんだろ。職業欄に冒険者は追加されたし」
「あっそうだった、私達今から廃鉱山カルイに行くんだけどシズカさんそのフィールドでの依頼ある?」
「廃鉱山カルイですか、一応依頼受注の窓口にもなっていますので書類がここに…ありました。ストーン討伐にカルイバットの羽の収集、それに廃鉱山奥の調査依頼があります。」
「討伐って何体?報酬は?」
シズカさんに対してすごいタメ口だなユラ。
「ストーン討伐は50体、報酬は経験値5000と2500G
カルイバットの羽の収集は羽を30枚、経験値2500と1800G
廃鉱山奥の調査依頼は、達成されたら経験値30000と20000Gになっています」
「ストーンは目標だから受けるとして、収集依頼って常時ある依頼だよね?」
「はい羽を60枚持ってこられたら依頼2回分の報酬をお渡しできます」
「ならその2つを受けておくか?」
「そうだね、調査依頼は報酬が良すぎるから多分私達のレベルじゃまだ無理なんじゃないかな」
「この2つお願いシズカさん」
「はい、依頼受注ですねカードをお預かりします。…はい受注完了です。カードをお返しします。
これでギルドカードに討伐数や収集数が記録されるようになりました。ギルドカードは報酬が入った時にGの通帳代わりになりますので無くさないように注意してください」
「えっカード落としたりしてしまうんですか?」
「アイテムバックに収納しておけば大丈夫です。ただアイテムバックが一杯だからと言って手に持ってたりすると落としますね、剣や杖など装備している装備品は置き忘れてもプレイヤーから一定距離離れてしまったらアイテムバックに戻りますが、カードは装備品扱いではないので装備出来ません、置き忘れ落とし物にご注意してください。悪用される心配はありませんが再発行に2000Gの手数料を頂きます」
無駄にリアルだ。装備が戻るならカードも戻せよ。
「ありがとうシズカさん行ってきます。あにぃ行こう。」
「ありがとうございました。」
「お気をつけて行ってらっしゃい」
シズカさんは窓口から手を振って見送ってくれる。
「それにしても驚いたー」
「確かにアルバイトなんて自由すぎるゲームだ」
「違うよあにぃ、ギルドから出て街中だから大きな声で言えないけどシズカさんが言ってたでしょ冒険者登録した人の中であにぃが1番ステータスが高いようだって、たぶんDランクがあにぃだけなんだと思う」
「えっそうなの?」
隣を歩くユラは頷いた。
「登録してない人もいるだろうからもっと強い人もいるかもね、あにぃみたいに偶然良い職業を見つけた人もいるだろうから。
まぁムカつくチートだけど考えてても仕方ないね晴れて正式に冒険者にもなれたし、パーティー登録しておこう。」
プレイヤーユラよりパーティー申請が届きました。
承認、拒否
承認を押すとMENUの文字の逆にユラの名前とHPバーが表示された。
「これで準備オッケー。さぁ行こう」
「ギルドルームでみた地図にはここから南、ポルダの森を突っ切るんだな」
「そうなるねポルダの森からは他のフィールドへの分岐点がたくさんあって南に行けば廃鉱山にたどり着けるはず
魔物が出てきた時の作戦を決めておくよ。あにぃがずっとガンガン行こうぜ!」
どこで覚えたそんなセリフ。
街を出てポルダの森にて目の前に出てきた魔物に一閃を浴びせ倒していく。
「あにぃ一撃、私はファイアーボールを2発撃たないといけないのに。あにぃが40体、私はやっと7体倒したのに。」
「小言はやめてくれ、なんか悪者みたいだ」
「あっMPきれた。自然回復するまであとよろ」
「またかよ、それにしても魔物の数多すぎないか」
「自然が溢れる冒険の世界リアルファンタジーワールドって宣伝してたじゃない、自然が溢れるってことは生物も多いってことでしょう」
「そんな自然の溢れかたは嫌だ」
「あっまたレベル上がった、街を出てもう2レベルも上がったよ」
「役に立てて光栄ですよ」
「もうへそ曲げないでよ、ほらそこが廃鉱山入り口だよ」
高い崖と崖の間に道があり通り抜けるとそこにはいくつかの平屋の建物があった。
廃鉱山カルイ
建物が建ち並び、高い山の所々に穴が開いている。
「まだ俺達のレベルじゃ無理だな」
「あぁ、タツマがやられたんだ俺達も街に戻ろう」
俺とユラの隣をプレイヤーが通りすぎてポルダの森に戻って行った。
「高レベルの魔物なのか?ストーンってのは」
「違うよあにぃ、廃鉱山カルイは初心者用の狩場のはず。たぶんあの人達は廃鉱山の奥の調査依頼を受けたんじゃないかな?」
「妙に報酬が良かった依頼か、受けなくて正解だったかもな。
でユラさんユラさん、あなたは何をしているのかな?」
片っ端から建物の扉を開き中を覗いて回っているユラに訪ねる。
「そこに扉があるから開いているだけ、ツボがあれば割る」
どこのゲーム?
「何かあったか?」
「とりあえず日誌を見つけた」
「いつの間に!?」
「じゃあ読むね、」
読むんだ。
「○月×日、調査団38人を動員して開始した廃鉱山カルイの魔物大量発生の調査は8箇所ある通路を東側から1・2・3・4・5・6・7・8と番号を振り1日目は1と2に調査団を分けて入る。
両方の通路とも魔物ストーンとカルイバットの住みかとなっており数人の負傷者は出すものの討伐に成功した」
「○月×日、調査開始7日目。
今日探索した7の通路にも大量発生の原因と呼べるものも事柄もなかった。明日は最後の8の通路、負傷者を出したこともあり日程も遅れている、明日は何か収穫があれば良いのだが」
ユラは日誌を閉じる。
「それで終わりか?」
「1日目から6日目はほとんど同じ内容だったね、気になるのは7日目だね」
「よし1番右の通路が8だろ、近付かないようにしよう」
「即決だねあにぃ、私も賛成。今日の目的は素材だから」
「なら行くか」
「おー」
ストーン:Lv6、━━━━━
岩で出来たこの魔物はユラのスキルとは相性が悪いらしくユラにはたまにストーンと共に襲ってくるカルイバットの相手を任せている。
カルイバット:Lv4、━━━
「ちょっとあにぃ!私がファイアーボール5発撃っても倒せなかったストーンを一撃ってどういうこと!?」
「俺に怒るなよっと!これで20体。ユラだってそのコウモリ一撃じゃないか」
「正確にはファイアーボール1発と杖で殴ってるから2発なの
あーまたMPきれた。」
「休んでろ、あまり離れないように」
「妹が心配なんだね」
「そうだよ」
「っ、あにぃムカつく!」
「なんでだ!」
出てきたストーンに剣を突くと後ろからユラに殴られた。
それから魔物を倒しながら奥に進むと選んだ1の通路には大きく開けた空間があり魔物も出ないのでドロップの確認を行う。
「やったね鉄鉱石が62個もある。経験値もドロップも山分けのパーティー機能様々だね、羽は25枚か少し足りないな。あにぃはどれくらい?」
「鉄鉱石が200と羽は92枚。」
「えっ、なんでそんなに多いの?いやそうだあにぃは称号でLUCが高いからだ」
「LUCが高いと良いのか?」
「ドロップ率が上がるんだよ、後はどこかの街にカジノがあるからそこで使えるステータスだね」
「カジノって、ゲームの中のゲームだからありか?」
「今日はこれくらいで帰ろう、鍛冶スキルも使ってみたいから」
「来た道戻るんだよなこれ」
「もうひとがんばりだよ」
「はー」
このユラの笑顔には勝てないんだよな。
コウ:人族Lv9
職業:剣聖Lv1:聖職者Lv2:冒険者Lv5
HP:7520
MP:2840
STR:344
INT:276
VIT:354
AGI:385
DEX:248
LUC:732
スキル:光の剣Lv1(1/100)、聖なる光Lv1(1/100)、剣匠Lv1(3/100)、神速Lv1(3/100)ヒールLv1(1/10)キュールLv1(1/10)瞑想Lv1(3/10)
称号:創造の女神リアルの加護
装備
頭:
右手:ショートソード
左手:
上半身:駆け出し冒険者の服
下半身:駆け出し冒険者のズボン
足:シューズ
装飾品:羽飾り
装飾品:
所持金0G
ユラ:ドワーフ族Lv8
職業:駆け出し魔法使いLv7:商人Lv2:冒険者Lv5
HP:1200
MP:1080
STR:40
INT:98
VIT:35
AGI:57
DEX:36
LUC:84
スキル:ファイアーボールLv3(6/10)、ウォールLv1(5/10)、瞑想Lv2(1/10)、ヒールLv1(1/10)商品配送Lv2(3/10)目利きLv1(4/10)商人の資質Lv1(7/10)鍛冶Lv1(1/10)
称号:
装備
頭:
右手:ロッド
左手:
上半身:魔法使いのマント
下半身:魔法使いのスカート
足:シューズ
装飾品:羽飾り
装飾品:商人バッチ
所持金526G