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楽しいね

 









 日曜の朝、リビングのテーブル前の椅子に座り新聞を読んでいる親父と小声で話す、キッチンにて母さんと朝食の準備をしているユラに聴かれないように。

「ユラが早起きなのはいいことじゃないか、ママの手伝いもしている。休みの日は10時ごろまで起きなかったユラが…」

「ゲームやりたさにだろ、早起きに付き合わされる俺の身になれよ」

「俺はコウにはなれん」

「そういうことじゃない」

「冗談だ」


 ニヤニヤする親父の読んでいる新聞を引き裂きたくなる。

「昨日もだが6時だぞ、仕事でもない日曜の朝にボディプレスで起こされる…結構痛いんだよあれは」

「ゲームの為もあるだろうが、ユラはコウと遊べるのが楽しくて仕方ないって様子だな。昨日俺が帰って来たときはコウは晩御飯前まで部屋で寝ていたようだがユラはお帰りなさいって出迎えてくれてな、それが可愛いのなんのって…


 うぅん!話がずれたなそう睨むな。

 出迎えてくれたユラはコウが起きるまでずっとゲームの話ばかりだったぞ、お兄ちゃんかっこよかったってな。それはコウを憎むほどに笑顔だった」

「息子を憎むなよ、それにユラは俺をお兄ちゃんなんて呼ばないよ、あにぃだろ」



「そうだな、おそらく最初に俺がコウをユラの兄って紹介したからだよな」

「ちょっと待てそんな話は知らないぞ、初めて会った時は俺は自分でユラに自己紹介したよな?」

「ママと結婚する前にコウの写真を見せてユラにコウを紹介したからな」

 兄があにぃ…か。

「そういやユラと初めて会った時からあにぃって呼ばれてたな…親父のせいかよ」

「俺は悪くない…」

 親父は新聞で顔を隠した。




「はい、朝食ができたわよ。パパ新聞片付けて」

「おっご飯だご飯。コウ話は終わりだな」

 新聞を閉じて親父は新聞を背もたれに挟み込む…逃げたな

「あにぃ並べて」

 ユラはトレーにおかずの入った食器を乗せてきた、トレーから食器を手に取りテーブルに並べる。

「よし食べよう。『いただきます』」

『『『いただきます』』』

 テーブルに並べ終わり4人揃って食事を始める。

「やっぱりママの料理は最高だな」

「あらパパ、ありがとう」

「いやー上手い上手い」



 料理を褒めながら食べる親父の習慣も2年経ったのでもう慣れた。

「そうだユラちゃん、パパとママとデートに行かないか?」

 親父は俺に目配せをした、そうか早起きがしんどいと言う俺のために二度寝のための時間を…

「んー新しいゲームやりたいな、ね!いいでしょパパ!」

 少し顔を赤く染め顎を引いたユラの上目遣いが親父にヒットして親父を仰け反らせた。

「ならママと2人きりのデートだな!」

「楽しみだわ」

 えー決断はぇぇ。

 みんなが朝食を済ませると母さんとユラが食器を洗っているとタキシード姿の親父がリビングにやってくる。

「どこにデートに行くつもりなんだ?」

「ショッピングモールを回ったりショッピングモールに併設された映画館で映画を観てくる」

 浮くよその格好。

「やめとけよ、その格好は」

「デートと言ったらタキシードだろう!」

 そうなの?てかいつもその格好でデートしてたのかよ!?

「パパ、前に私が買ってきた服を着てきて欲しいな。パパに似合うわよ」

「わかった!」

 親父は階段を駆け上がり部屋に戻っていく。

「さすが母さん、親父をコントロールしてるね」

「パパは格好いいからなんでも似合うんだけど、デートの時にこの服を着てきて欲しいって連絡しないと毎回タキシードなのよね。」

 大変だね母さん。



「じゃあ行ってきます」

「行ってらっしゃいパパ、ママ」

「ユラちゃんを頼んだぞコウ」

「うん」

 玄関でデートに向かう親父と母さんを見送るとユラに手を引かれて俺の部屋まで連れていかれる。

「はい目隠ししたよ、ゲーム」

 ベッドに座り手で目を隠すユラ。もう否応なしなんだ。

 ヘッドギアを用意する。

「ユラ準備できたぞ」

「わーい装着起動」

 だからはぇぇよ。

 俺はパソコンを立ち上げてレインのことを検索する。


 レインというプレイヤーが私のギルドメンバーを襲撃、プレイヤーキルを行ったレインの情報求む。


 レインというプレイヤーを通報したところ、返答はNPCキャラクターとのことNPCがpkってありか?


 レインはNPCキャラクターレイン・ニュースに似ているが銀髪が黒髪に、おそらくシナリオ関連だろう。


 パーティー行動中にレインと名乗る者に遭遇、レインに近付くと麻痺して行動出来なくなるプレイヤーと行動出来るプレイヤーに別れた、結局全滅だった。


 シナリオ関連に同意、シナリオをクリアしていると出会う。私はナシシ村をクリア後とクラウ街シナリオクリア後に急に現れた。


 結構被害の書き込みがあるな、シナリオ説が多いようだな。

 でもシナリオ解放の表示は出なかったんだよな。おっとユラを先に行かせたままだ。パソコンを閉じてベッドに寝転がりヘッドギアを装着して起動する。




「ちょっとあにぃ遅いよ!」

「悪いトイレに行ってた」

 嘘だが…ユラにレインの話は通じないだろうからな。

「むー…待ってたんだからね、もう素材集め始めていいよね?」

 偉いな、待ってたのか。

「うん始めよう」

『ファイアーボール』

『ソードスラッシュ』

 ヘビィゴブリンとついでにブラウンワームを狩っていく、依頼は受けてないがワームの肉の採集依頼があったからな。



「やっぱりこのゲームは…仮想世界はいい、身体が軽く感じる、あにぃ新技見せてあげる『ウォータースライサー』」

 ユラの手から水の刃が放たれた直線上にいたヘビィゴブリン3体を倒してしまう。

「おぉ複数体への攻撃スキルか」

「水属性が付与された範囲スキルなんだ、でもMPが少ない今はまだ使わない方がいいみたい『ファイアーボール』

 …ファイアーボールをコツコツ当てるよ」




 ヘビィゴブリン:Lv24、━━━━━

 ヘビィゴブリン:Lv24、━━━━━

 ブラウンワーム:Lv23、━━━━━

 ヘビィゴブリン:Lv24、━━━━━

 ヘビィゴブリン:Lv24、━━━━━

『ソードスラッシュ』『ファイアーボール』『ソードスラッシュ』『ファイアーボール』

 順調に魔物(モンスター)を討伐していく。


「ふー疲れないから逆に疲れる気がする。…ずっと同じ動きしてるだけだし」

 ゲームだからな。

「なに言ってるのあにぃ?」

「いやなんでもないよ」

「だいぶ鉄も集まったから次は遺跡近くのドライロックだね」



 魔物(モンスター)を狩りながら遺跡があるドライ平野中央に向かっていると高さ3メートル、幅1メートルの長方形の切り取られたような石が向かい合わせに3つ並んでおりその中心に地下への階段があった。

「ドライ平野の遺跡は地下遺跡みたいだね」

「あぁそうみたいだな…でもとりあえずこいつらを何とかしないとな」

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━

 ドライロック:Lv33、━━━━━



 遺跡入り口の階段に気を取られていると地面の中から3メートル以上の岩が人形を造っている魔物(モンスター)のドライロックが現れて囲まれてしまっていた。

「岩には火じゃなくて水かな?…『ウォータースライサー』

 やった私でもHPの半分は削れるよ」

 ユラの放った水の刃に当たった4体のドライロックは体勢が少し崩れるがすぐに岩の拳を伸ばし俺を潰そうとする。スキル当てたのユラなのに。

「『マジックウィップ』」

 ユラが手から伸びた透明な鞭が拳に横から当たり軌道をずらすと俺スレスレでドライロックの拳が通過し地面を撃ち砕く。

「あぶなっ『ソードスラッシュ』『ソードスラッシュ』」

 5体のドライロックが消滅した、ユラもウォータースライサーで応戦してドライロックの数を減らしていく。

「あと1体、『ソードスラッシュ』」

 周りにいたドライロックを倒しきる…が地面の中から新しくドライロックが出現する。また囲まれてしまう。

「んー復活早くて囲まれちゃうね、とりあえず抜け出そう」

『ソードスラッシュ』『ウォータースライサー』

 ポルダの森方面のドライロックを倒してドライロックからの囲いを脱出する。

 距離を取ってからドライロックの集団に中距離から何度も何度も何度もソードスラッシュ、ユラはウォータースライサーを繰り返す。

「なぁユラ、ゲームでの戦闘ってこんなだっけ?」

 ドライロックが復活したらスキルで消滅させるを繰り返すだけだよね。

「はははっ楽しいね」

 ユラが楽しそうならいいの…かな?





「『ソードスラッシュ』…あれ発動しない。MP切れだ、初めてMPが切れたな」

「だいぶ素材も集まったから街に戻ろうか」

「おぉ」

 MPが切れてMP回復待ちで地面に腰を降ろしていたユラは立ち上がりお尻をパンパン叩き着ぐるみに付いた砂を落とす。

 結局ユラは着ぐるみ姿で魔物(モンスター)狩ってたな。



 始まりの街ポルダの冒険者ギルドまで帰ってくると窓口にシズカさんがいて他の冒険者の受付をしていたのでシズカさんの窓口に並ぶ。

「シズカさんやっほ」

「ユラさん、コウさんこんにちは。昨日はありがとうございました。ユラさんその着ぐるみ気に入ってくれてるようで嬉しいです」

「この着ぐるみ可愛いからね、依頼をしてきたから処理をお願い」

「はい、お2人のカードをお預かりします…ヘビィゴブリンの討伐依頼ですね。討伐達成確認できましたので4500G(ゴールド)を入金しておきます」

「あとねシズカさん、ドライ平野のブラウンワームの肉も集めてきたんだ」

「でしたら収集依頼を受注をカードに入力しましたので端末に数量を入力してください」

 120と2人とも入力する。

「はいありがとうございます、お2人とも4回分の収集依頼となりますので16000G(ゴールド)を入金しました。冒険者カードをお返しします」

「シズカさん、今日は遺跡調査に一緒に行ける?」

「はい是非お願いします、ですが受付業務が残っていますので30分程後になりますけど…いいですか?」

「だったら準備もあるから30分後くらいにそれぞれ依頼を受注してから街の入り口集合でいい?」

「はい、でしたらもう受注しておきます。お2人も受注しておきますか」

「うん」

「はい、これでドライ平野の遺跡調査依頼受注となります。

 カードをお返しします」

「じゃあまた後でね、あにぃ私は鍛冶してくる」

 ユラは足早に冒険者ギルドから出ていった。

「ユラさんは元気ですね」

「まぁこのゲームを楽しみにしてましたから、それにシズカさんと仲良くなれて嬉しいんですよ。妹をよろしくお願いします」

「はい…えっ!?お2人はご兄妹なんですか?」

 あれ?…そっか知らないよな。喋っちゃった。

「はいそうです」

「…そうですか、どおりで仲が良いはずですね。ユラさんと仲良くしたいのは私もです。もちろんコウさんとも…遺跡調査依頼よろしくお願いしますね」

 シズカさんの笑顔にドキっと心が高鳴ったのは仕方ないことだ。うん仕方ない。

「ご馳走さまです!ありがとうございました」

「ご馳走さま?」

 きょとんとするシズカさんに赤くなった顔がバレないように足早に冒険者ギルドを出た。







 






 コウ:人族Lv35

 職業:剣聖(ソードマスター)Lv5:聖職者(クレリック)Lv2:冒険者Lv30

 HP:11740

 MP:4400

 STR:586

 INT:430

 VIT:562

 AGI:646

 DEX:479

 LUC:816

 スキル:光の剣Lv1(2/100)、聖なる光Lv1(1/100)、剣匠Lv1(24/100)神速Lv1(22/100)ヒールLv1(2/10)キュールLv1(2/10)瞑想Lv12(3/10)ソードスラッシュLv19(3/10)ファイアーエッジLv1(1/10)ウォーターエッジLv1(1/10)

 称号:創造の女神リアルの加護:剣豪に認められた者


 装備

 頭:

 右手:ロングソード

 左手:

 上半身:駆け出し冒険者の服

 下半身:駆け出し冒険者のズボン

 足:シューズ

 装飾品:羽飾り

 装飾品:

 所持金80G







 ユラ:ドワーフ族Lv38

 職業:魔法使いLv8:商人Lv11:冒険者Lv31

 HP:3900

 MP:3420

 STR:152

 INT:332

 VIT:170

 AGI:256

 DEX:188

 LUC:146

 スキル:ファイアーボールLv23(4/10)、ウォールLv1(7/10)、瞑想Lv15(6/10)、ヒールLv1(1/10)商品配送Lv10(3/10)目利きLv3(2/10)商人の資質Lv6(6/10)鍛冶Lv21(1/10)鑑定Lv1(2/10)生産強化Lv7(5/10)フライLv1(1/10)解体Lv11(7/10)マジックウィップLv1(18/20)ウォータースライサーLv2(4/20)マジックアップLv1(1/20)

 称号:

 装備

 頭:

 右手:魔法使いの腕輪

 左手:火伝の指輪

 上半身:着ぐるみ『ベンガル』

 下半身:着ぐるみ『ベンガル』

 足:シューズ

 装飾品:羽飾り

 装飾品:商人バッチ

 所持金154624G




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