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ここは人類最前線8 ~攫われた勇者様を救え!~  作者: 小林晴幸
班別行動A班! ~鬱陶しい男神たち~
21/114

18.夫婦生活イロイロ☆十人十色

 これからしばらくは勇者様救出隊も3チームに分かれての別行動☆

A班 リアンカちゃん・リリフ・ロロイ・りっちゃん・画伯・サルファ

 同行者 フラン・アルディーク

1班 まぁちゃん(ナターシャ姐さん)

い組 せっちゃん

 同行者 勇者様



 今回は作中、どぎつい女装の描写がちょろっと出てきます。

 気持ち悪いかもしれませんが、できれば笑いの方向性にシフトチェンジしていただければ幸いです。




 ナターシャ姐さんのお見送りを済ませた後で。

 時機を見計らったように、御先祖様が私の頭にぽんと手を乗せました。

「うっし、バトちゃんの見送りも済んだことだし。鍛冶神んとこ行くぞ」

「……なんですと?」

 初耳です。

 初耳というか……いつの間に、そんな予定が発生したんでしょうか。

 鍛冶の神様? そんな方……私達が会いに行く必要が?

 首を傾げる私に、御先祖様がニヤリと笑います。

 なんだか、含みのある笑顔ですね?

「あの勇者とかいう小僧の手枷。せっちゃんが外せなかったアレに、お前らどう対処するつもりだよ?」

「――ハッ」

 言われて気付くなんて、うっかりしていました。

 そう、言われてみれば水鏡で見た勇者様は、確かにせっちゃんの力でも外せないという異様に頑丈な手枷を付けておいででした。

 せっちゃんが思いっきり全力で引っ張っても、たわみもしないとう頑丈さ。

 魔王の血筋でも外せないとか、それ凄いことですからね?

 せっちゃんに外せないなら、りっちゃんやヨシュアンさんにはもっと不可能でしょう。

 だけど魔王妹(せっちゃん)には外せなくても、ナターシャ姐さんなら……?

 現役魔王陛下なら割と易々勇者様を解放できるんじゃないかって、私はそう思っていたんですが……御先祖様の含みある様子を見るに、そう簡単に事は運ばないのでしょうか。

「御先祖様、まぁちゃんにもアレ外せないんですか?」

「無理じゃねーの? あの女は美を讃える女神だ。モノ作りの素養は欠片もねえ。あの女が作ったってんなら、せっちゃんやまぁちゃんでも外せるだろうさ。……が、せっちゃんに外せなかった時点であの女が作った手枷じゃねえんだろう」

「もしかして……御先祖様が鍛冶の神様に必要があるっていうのは」

「あの完成度と強度から見て、間違いないな。アレ、この里の神々ん中で最も物作りに長けた鍛冶神の作品だ。奴の作った手枷なら、生半可な手段じゃ壊せんだろうよ」

「なんということでしょう、勇者様ってば美の女神様以外にも敵がいたんですね!」

「いや、話の運び方如何によっちゃ鍛冶神もこっち側に引き込めるぜ? 美の女神の心情的には、鍛冶神の奴こそ敵だろうしな」

「えっと、話の流れが見えないんですが」

 御先祖様は何を言っているんでしょうか?

 美の女神が勇者様を拘束するのに使ったと思わしき手枷が、鍛冶神様の作品で。

 だけど鍛冶神様は美の女神にとっての敵で……?

 ……御先祖様、話の要点を何か抜かしていませんか?

 前提となる情報の、結構重要な物を省かれている気がするんですけど。

 私が不満そうにしているのを見てか、御先祖様はにやりと笑うと、望んでいた情報をぺろりと教えてくれました。


「あの手枷な? 俺の記憶が間違ってねぇなら、確か元は鍛冶神が美の女神とその浮気相手を拘束するのに使ったヤツなんだわ」


 鍛冶の神様に何やった、美の女神。


 私達の心の声は、一つでした。

 一つになっちゃうくらい、美の女神が何かやったものと信じて疑いませんでした。

 そう、きっと、手枷をはめた側の鍛冶神様が被害者に違いないと……!

 私達の予想を裏付ける様に、御先祖様の染々とした声が続きます。

「鍛冶神が全力で本気と怨み辛みと執念をこれでもかと籠めて作った逸品だぜ? そんじょそこらの神には外せやしねーよ。俺でも外せねぇんだから」

「そりゃ陛下にも外せなくって納得ですね! っていうか鍛冶神様に何があったのか、そこんとこ詳しく」

「止めましょう。止めましょう、ヨシュアン……なんだかどろどろした事件の気配が漂っているじゃないですか」

「あのさ、皆。気にするべきは別にあるんじゃない?」

「え?」

「檜の旦那、さっき『浮気相手』って言ったんだけど」

「えっ?」

 怪訝な顔で、確認を求める様に私達は御先祖様に視線を移します。

 御先祖様は、鷹揚に頷いて言いました。


「鍛冶の神な、いま別居中の美の女神の旦那なんだわ」


 物凄い衝撃的なお言葉と共に。

 私達はまだ見ぬ鍛冶神様に、凄まじい勢いで同情を寄せてしまいました。

 そりゃ、美の女神にお子さんがいるって時点で旦那さんがいてもおかしくありませんけど……何故にあんなお嫁さんにするには難しかない女性と結婚したんですかね。鍛冶の神様。

「元は政略婚だ、つってたかな。よく知らねーけど」

「Oh……何の由縁があってそんな事に」

「あの女、血筋と位階だけは無駄に高ぇし、権威と箔付けじゃね?よく知らんが、鍛冶神の奴も複雑な生い立ちらしくてな。里の中での立場が微妙だったんだと」

「それだけの為に、家庭内に不和しか呼びこまないようなお嫁さんと結婚、ですかー……」

「あと、鍛冶神が面食いだった」

「あ、同情出来ませんね。顔だけが目当てとか、そういう意味でなら美の女神とか最高のお嫁さんかもしれません」

「美の女神が他の男神と浮気すること五百柱を達成したあたりで、別居に踏み切ったらしいけどな」

「鍛冶の神様忍耐力すげぇ!!」

「別に知りたくもなかった神々の愛憎どろどろ劇場。えっと、御先祖様にはそんな裏話とかー……ありませんよね?」

「安心しろ。天界の女は面倒臭くて食指が動かねぇよ」

「神様じゃなければ良いんですか!?」

「俺も元を正せば貧しい寒村育ちだからな。嫁は選ぶし、大事にする方だ。健康で逞しく、気立てが良くて図太い女なら気になったりすることもある。慎ましやかな生活に順応出来れば言うことナシだな」

「健康と気立ての良し悪しはともかく、逞しいとか図太いの基準(ライン)をどの辺りに設定するかで出会い(エンカウント)の確率が変動しそうですね」

「魔境にはそういう女性、探せばいっぱいいるけどね☆」

「逞しさと図太さのレベルが高ければ、家庭内が確実にカカア天下になりますけどね」

「ああ、なるな。なった」

「そして御先祖様、既に体験済み……!」

 御先祖様のお嫁さんということは、私にとっても他人じゃなく。

 むしろ御先祖様(女)ということになるのですが……

 先祖の夫婦生活とか、生々しい話は流石に伝わっていません。

 はて、一体どんな家庭を築いていたんでしょうか?

 お孫さん達に敬称付で呼ばれていたってことは聞きましたが。

「婆さんはな、物腰は柔らかいのに押しが強くってな……やんわりとした口調で話しているだけなのに、いつの間にか家庭内のアレコレを掌握してやがるんだ。隠しといた秘蔵の酒も山羊角コレクションも、気が付いたら回収されてるんだよな……「駄目ですよ、お爺さん。お酒の飲み過ぎはいけません。お歳を考えて下さい」なんて言われちゃ抗議も出来ねぇ」

「奥方様の話ですか、檜武人殿……?」

「うっわ、外見若いのに嫁さんのこと「婆さん」って呼んじゃうんだ。すっげ違和感☆」

「うっせぇな。俺だって死んだ時はクソ爺だったんだよ。相応に年食った連れ合いのこと婆呼ばわりして何が悪いよ?」

「ううん、悪くはないよ。悪くはないんですけど……今の御先祖様、二十歳そこそこの見た目だって自覚あります?」

 若々しい青年の外見で、遠い目をして生前の夫婦生活を語る御先祖様。

 死ぬ前のお話なので、登場人物が老人夫婦の様相です。

 こうして話に聞くと、普通の老夫婦みたいなんですけど。

 ……魔境で傑物として語られる御先祖様も、家庭の中では普通の旦那さんだった、ってことなんでしょうか。

「ところで山羊角コレクションって?」

「当時は村の近辺に凶悪な山羊の魔物の群れが頻繁に出やがってな。なんか山羊の癖に獅子の頭やら蛇の尻尾やら変なパーツ生やした上に強暴でなぁ……村の家畜を襲うは、畑を荒らすは。毎日十頭くらい狩って間引きしてたんだけど、山羊の角が立派でな? つい、こう……持ち帰りたくなんだろ、おい」

「思わず持ち帰りたくなるって、虫の抜け殻拾ってくる子供みたいですね、御先祖様。一日十頭分ずつ山羊角が増えて言ったら、そりゃ奥さんからしたら捨てたくもなりますよ」

「リアンカさん、そこじゃありません……」

「あっはっはっはっは、フラン様ってば! ……その魔物、山羊じゃなくって獅子ベースだったんじゃないかなー?」

 うふふ、あはは、と温かな談笑が場に満ちます。

 だけどね、御先祖様……その『山羊』、私にも心当たりあるよ☆

 村の近辺で見たことはないけど、魔境じゃ結構一般的な魔物だから。ヨシュアンさんも言ってたけど、その魔物、絶対に山羊じゃなくって獅子ベースでしょ?

 ……うん、描写がどう考えてもとってもキメラです。

 あれを一日十頭狩ってたとか、随分と元気なお爺さんですねー? ハテノ村の自警団でも副団長さん指揮の下、十人単位で事に当たる規模の魔物なんですけど。

 檜武人、強い。



 世の中の夫婦の有り様って、様々なんですねぇ。

 きっと夫婦の数だけ、それぞれの形ってモノがあるに違いありません。

 そんな中でもきっと旦那側の鬱憤がドロドロ鬱陶しく蓄積しているに違いない、そんな別居中御夫婦の旦那さん(鍛冶神)側のお宅訪問が否応なしに決定してしまいました。


 せっちゃんと勇者様の救出に超特急で向かったまぁちゃんの安否も気遣われますけど。

 でも何となくまぁちゃんなら放っといても大丈夫そうな気がしないでもないから。

 救出は一先ずまぁちゃんにお任せして、私達は援護に専念☆

 今は何を置いても、鍛冶神様の本気と怨念が籠った手枷を解除する手段を手に入れに行かねばなりません。


 だから私達は、今。

 てくてくと幸運の女神様に借りた牡牛に乗って、鍛冶神様のお宅を目指している最中です。

 ………………うん、なぜ牛?


 思わずのどかになってしまう空気の中、かっぽかっぽと歩く牛さん達が「モ゛ォ~」と平和な鳴き声を上げました。

 速度は牛とは思えないくらい速いんですが、如何せん牛。

 き、気が抜ける……。


「御先祖様、なんで私達は牛に乗っているんでしょうか」

「そりゃ、この道が人間にゃ歩けねぇ場所を通るからだろ」

「え、初耳なんですけど」

 御先祖様曰く、この先に難所が待ち受けているそうです。

 嫁の裏切りに疲れた鍛冶神様が引籠る洞窟の、丁度半径五キロ圏内が……来客を拒む鍛冶神様の気持ちに反応して、灼熱の溶岩地帯と化しているそうです。

 あは☆ 火山でもないのに不思議でっすよね☆

 火の属性に特化したヨシュアンさんなら何とか通り抜けられそうなものですが、私やサルファはそんな場所に連れ出されようものならあっという間に死んでしまいそうです。

 何しろ、溶岩地帯のどろどろになった地面……鍛冶神の神力を帯びているそうなので。鍛冶の神様らしく、どんな金属も瞬く間に加工に最適な状態に変えてしまう力があるとか。

 これが魔境のどこかの溶岩地帯なら、私も対策法ばっちりなんですけど。流石に神様の力とやらには明るくないので対策の立て様がありません。

 幸運の女神様が、そんな私達の代わりに立ててくれた対策が……牛。

 牛です。

「この牛、燃えないんですか?」

「燃えたら凄ぇな。鍛冶神より位の高ぇ海の神から借りてきた神獣なのに」

「あれ、知らない間に知らない方への借りが出来てる?」

「安心しろ。俺が幸運の女神を介して同時に貸しの取り立て迫っといたから」

 今すぐ即座に貸しを返せないなら牛の貸借(レンタル)料チャラにしろ――御先祖様は、海神様にそう伝えたそうで。

 つまり牛を借りて下さったのは幸運の女神様ですが、貸借料そのものは御先祖様が先払いしてくれた形になるってことですか。

 ……うん、御先祖様がいて良かったです!

 どこであっても、伝手とコネがあるって素晴らしいですね!

 神々を相手に一方的に借りを作るとか、後々どんな災いになるとも知れません。

 でも御先祖様? 海神なんて如何にも強そうな神様相手に一体どんな貸しが……

 興味本位で訊ねてみると、御先祖様が慈愛の籠った眼差しを遠くに向けました。

 え、一体何が……。

「海の神がな、嫁に浮気が露見した時にな……」

「神様って浮気してばっかりですか」

「……怒った嫁が酒の神を巻き込んで海神を酔い潰させてなぁ」

「あれ、なんだか碌でもない話の予感」

「潰れて寝ている間に、女装させられて野っ原に放り出されて朝を迎えたんだ。海の神」

「うわぁ……ちなみに、海の神様のお姿は?」

「体長二m三十cm、胸板厚く、肩幅広いマッチョ体型のオッサンだな。髭は胸元まであるし、髪は海の波のようにうねる天パで背中まである。いろんな意味で毛むくじゃらの、むくつけき大男ってヤツだ」

「そんなオッサンの、女装……」

「ああ。そんなオッサンの女装だ」

 誰かが、ごくりと息を呑む音がしました。

 もしかしたら私かもしれません。

 いつの間にか、皆も静かに御先祖様のお声に聞き入っていました。

「あれ、でも他の里は知りませんけど、少なくともここの里の神様達って……あまり衣装に性差ありませんよね?」

 確かに男性よりは女性の方が凝ってはいるんですけど、基本的に皆さん分厚くって大きな布を体に巻き付けたような衣装を着ている方が多い様に思います。

 いえ、そんなに沢山の神様を見た訳じゃないんですけどね?

 男性は腰巻みたいな布とか、貫頭衣みたいな布の衣服、その上に大判ショールみたいなのをぐるぐる。

 女性はワンピースみたいな布の服の上から大判ショールみたいなのをぐるぐる。

 ……こんな服飾文化で女装っていっても、あまり大したことにはならないような。

「そこは海神の嫁も抜かりなかったぜ? っつうか酒の神が入れ知恵してな……ベビードールっつったか? 下界の、人間の国の上流階級で女どもが付ける勝負下着。すっけすけのエロい丈の短いワンピースみたいなヤツ」

「ベビードールで合ってますよ! それでそれで? 付けてるのはベビードールだけ?」

「わあ、途端に画伯がイキイキしだしましたね!」

「ってか、二m超の大男のベビードール……うぅわ、きっつぅ(笑)」

「ちなみに色は? ベビードールの下は? 真っ裸(まっぱ)?」

「色か? 確かロマンティックな淡いピンク……リボンは白かったな。ああ、下? ちゃんと付けてたぞ……ベビードールと揃いの、下着の用を成さない女物のエロ下着(上下セット)をな……あれもこれも全部ポロリで、全く何も隠せちゃいなかったぜ」

「色々な意味で目にポイズン!」

「毒だ……毒過ぎる(笑)!」

 むくつけき大男、つまり男臭くてむさくるしいオッサンになんてモノを着せているのでしょう!

 中々えげつないですね。

 でも制裁ならそれも良いと思います。

「しかし御先祖様、まるで目撃して来たかのように語りますね」

「目撃したからな。アイツが放置されてたの、俺が羊の放牧に使ってる野原だったからよ……化粧までされてて凄ぇ気持ち悪かった」

「おおぅ、見ちゃったんですか……それで、貸しって言うのはもしかして?」

「ああ。あんまり憐みを誘う姿だったんでな。一(しき)り爆笑した後で、手持ちの毛布と着替えを貸して、この里まで送ってやったんだ」

「それはさぞかし……憐みの目が突き刺さる親切だったことでしょうね。御先祖様、優しいですね!」

 爆笑した後で、という点に血を実感します

 あ、うん、やっぱりまぁちゃんの御先祖様ですね!

「っていうか誰ですか、その報復提案したの。そこはかとなく趣向の方向性に魔境臭さを感じるんですが」

「俺だ」

 ……。

 …………。

 ……まさかの御先祖様ですかー。

「っていうかそれで貸しとか、自作自演(マッチポンプ)って言いません?」

「リアンカちゃんは察しが良いなぁ。けど俺だってそういうつもりだった訳じゃねぇぜ? ただ、海神の嫁に確実に野郎の心に大打撃を与えられる精神攻撃はどんなものだと思う?って聞かれて所見を述べただけだ」

「あはははは☆ それ殆ど結果は見えてますよねー。というかえげつないですね、御先祖様!」

「べっつにぃ? 俺はただ、新婚の頃に婆さんにやられた仕打ちについて切々と若き頃の思い出を語っただけだぜ」

「そしてまさかの体験談だった!」

「えっと檜武人殿? 奥方様にそんな仕打ちを受けるような……何を?」

「ばっか、勘繰るんじゃねぇよ。俺はただ、婆さんの大事にしていたブローチを、そうと知らずに錠前破りに流用して駄目にしただけだ。誰もその辺に放置されてたブローチが……嫁の実家の家宝だったとか思う訳ねえだろ。放置されてたんだから」

「御先祖様……そりゃ怒るよ」

 むしろ寝ている間に女装放置で済ますとか、寛大な方だったんじゃないですかね……。

 ちなみに僅かな救いといいますか、御先祖様は女装といっても海の神様みたいなどぎつい視覚の暴力系ではなく、奥さんが独身時代に愛用していたエプロンドレスで放り出されていたそうです。

 下着じゃなくって良かったですね、御先祖様!


「ねえねえ、ちなみにリアンカちゃん」

「なんですか?」

「参考までに聞いちゃうけど、もしリアンカちゃんだったら旦那さんに浮気されたとしてー……その時、報復(どう)する?」

「あらあら仮定にしても縁起の悪い事聞いてきますね。でも別に、私()特に何もしませんよ?」

「私……は?」

「ええ、私()

「その意はズバリ?」

「私自身は特に何もしません()、代わりにまぁちゃんに告げ口します」

 はっきり言って、私は自分の手を汚さないタイプです。

「わぁお……リアンカちゃんの未来の旦那さん、終わったね」

「意図的に明確な浮気をしたら、ですけどね。誰かに陥れられてのことなら、三回までは見逃します」

「わあ、リアンカちゃんってば寛大☆ ……三回、過ぎたら?」

「それはその時になってみないと。浮気の度合いにも左右されると思うし」

「……俺、リアンカちゃんの未来の旦那さんが浮気しないことを祈っておくね☆」


 そんなこんなで、わいわいと御先祖様の体験談やらを雑談している間に。

 凄い速度で歩く牛さんは着実に歩を進めておりまして。

 いつしか私達は、鍛冶の神様の引籠る洞窟……を内包する、大きな山の前まで辿り着いたのでした。

 牛さんに乗っているお陰か、溶岩の被害はないんですけど……めちゃくちゃ暑いんですけど、これどうにかなりませんか?



 


 ちなみに御先祖様、エプロンドレス姿を笑われながら堂々と村に帰還、その後お嫁さんの家宝のブローチはちゃんと修理した模様です。


 さて、雑談しながら目指すは鍛冶神のお宅。

 気になる次回は……新しい神様が登場だ☆

 一体どんな神様かな?


 a.躁鬱

 b.復讐鬼

 c.アル中

 d.狂気の申し子

 e.状態異常:悟り

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