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異世界連邦の売れっ子作家  作者: 東雲青橙
妖精の街 ピクシーランド
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第7話 5人の妖精

 妖精女王は5人の子供の神話をハルトに執筆させるために、子供たちを女王の間に呼び寄せる。


「妖精大臣よ、子供たちをここへ連れて参れ」


「はは、今すぐに」


 大臣はぶつぶつと呟きながら何かを唱えている。


「きょえーーーいっ!!」


 唱え終わるといきなり大声を出した。ブワッと異空間が開き、そこから5人の小さな妖精が飛び出した。


「いてて、俺たちに何の用だよ。いきなり飛ばしやがって。」


 赤い妖精が煩わしく文句を言う。


 もちろん妖精たちのなかには紙を奪ったツギハギの妖精もいた。


「あっ、お前はボクから紙を奪ったシツレイなやつ!」


 誰がシツレイなやつだ、失礼な。


「この子達がわらわの愛しい子供たちだ。子供たち、彼があなたたちの神話を書いてくれるそうよ。自己紹介をしてちょうだい」


『えーーーっ。』


 妖精たちが声を揃えてまで不満げだ。


「俺達はブラギ=エッダ先生に書いてもらいたいのに!こんな無名の作家だと嫌だよ」


「そうよ、だってこのにんじん頭悪そうだ」


「へんな神話でも書かれたら、わたし耐えられない!」


「……いや」


「僕は反対だぞ~、だってこいつはワルもんなんだから!」


 おいおい、ひどい嫌われようだな。


「あなたたち、では悪者なら悪者相手への自己紹介があるでしょう。ほら毎週日曜になると、あなたたちがやっているじゃない」


 すでに僕は悪者決定なのだな。罪人というなら悪者ではあるが。


「わかったよ、ではいくぞみんな」


 5人の妖精がなにやら陣形をくみだした。


「赤き炎は熱血の血潮、ピクシーレッド!」


「青い水しぶきは優しさの証、ピクシーブルー!」


「黄色い稲妻は光を越える、ピクシーイエロー!」


「疾風の風は全てを包む、ピクシーグリーン!」


「茶色のツギハギは正義のため、ピクシーブラウン!」


『ピクシーランドの平和を守る!5人揃って、ピクシーレンジャー!参上! 』


 バーン!!妖精大臣が魔法で小爆発を起こさせた。


 おいおい、コイツらの神話を書くのか、だけど、神話のし甲斐があるほどに、話題性はあるのだが。とりあえず、妖精王子たちの属性はわかった。


「名前を教えてくれるとありがたいかな、あとは特技とか、趣味とか」


 あまりに情報が少ないので追加の情報を求める。


「えー、このにんじんわがままだぞ、それなら、簡単にだぞ、俺はサラマンドラ、丸焦がし、サッカー」


「ウンディーレよ、潜泳が特技で趣味は水泳ね」


「僕はアルヘイム、速く走ることが得意、ゲームが好きだよ」


「………シーフ」


「しょうがないぞ、オイラはノーム、ものを作るのが好きだし特技だよ」


 妖精たちの自己紹介が終わると妖精女王はさっと腕を振った。


「では、子供たち、お稽古の時間になりました。それぞれのやるべきことをやって来なさい!」


『は~い』


 まだ聞きたいこともあったが、妖精の子供たちはそれぞれの稽古場へと行ってしまった。


「勇者よ今の5人の可愛い私の子供たちの神話を書くのだが、良いものにしてくれ。そなたは神話がかけるまでピクシーランドからは出られぬ。逆に、ピクシーランド内なら自由にしても構わん、そこで必要なものを集めよ。ほれっ」


 ハルトは妖精女王から小袋を投げ渡された。なかには硬いものが入っている。


「それはこの国の金貨だ、それで必要なものを買うといい。制限時間は7日としよう、それならお主にも分があろう。では、衛兵に外まで案内させよう。また子供たちに会いたいときは、大臣に申すといい、城の入り口の右手の大臣室におるゆえ」


「はい、わかりました。妖精女王、僕のこの世界での初めての作品、是非とも素晴らしいものにします」


「期待してるゆえ」


 ハルトは衛兵と共に女王の間を後にした。


「しかし、お前、幸運だな。あの妖精の剣は誰にも抜けやしない。なんせ、あれは剣では無くただの“棒”だ」


 城を出る途中、衛兵から信じられないことを告げられた。あれが棒?それじゃあ、絶対に抜けやしないじゃないか。


「いや、あくまで噂だが一度力自慢の巨人が二人がかりで引っ張ったが、ポッキリ真ん中で折れたらしい」


 ハルトは大きく溜め息をついた。ここは自分が小説家であったから執筆をまかされ、なんとか自由になったことに喜ぼう。


 ハルトは道中ふと妖精女王が募集要項から自分が勇者であると知ったことを思い出した。つまり彼女はルーン文字が読めるのだ!


 一度大臣に相談してみよう。


「ついたぞ、勇者よ」


 門の前にはニッピが待っていた。


「オイラとっても心配したんだよぉ、もうハルトと会えなくなると思って。」


 ニッピの涙を目に浮かべていた。


「大丈夫だってニッピは心配性だなぁ、泣くなよ」


「泣いてないよ、うぇ~ん」


 ニッピはハルトのか顔に抱きついた。


 ニッピはまだ子供なんだ、ここに来てから妖精を見るけれど、周りの子供たちと同じ見た目と心を持っているんだ。


 ハルトは涙を堪えた、このままではニッピに涙がかかるから。

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