のちに剣聖と呼ばれし者が
「あーどう言い訳しよう。」
イサムは森の中をとぼとぼと歩いていた。
1人の少年を連れて…
なぜ名前も知らぬ少年を連れているかと問われると…
いつもの日課である、夕食の食材を狩りに行っていた帰り道。いつもは魔物くらいしかいないその場所で、1人の幼さを残した少年を見つけた。
興味本位で近づくとあちらも気付いたらしく、観念して顔を出しなぜこんななにもないところへ来たのか聞いてみると。
「奴隷商人から追われていた。」
しかし自分の親の顔も覚えていないと言う。
どうしたらいいのだろうか?
これももう2度目だしなあ…
チラッ…
「う、うちに来る?」
しまった⁉︎少年の涙目に負けてしまった…
しかし男に二言は無いんだ。
またお姉ちゃんたちに迷惑をかけてしまうなぁ…
そんなこんなで家へ着いてしまった。
「ええい‼︎もうどうにでもなれっ」
しゅばっ‼︎
先手必勝と心のなかで叫びつつジャンピング土下座をかましたりました。
そしてこっぴどく怒られましたとさ。
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「いばばで…あでぃがどうございばしだっ‼︎」
今日は例の男の子が街へ戻る日だ。
剣術を中心に十分に教えたし、もう捕まることはないだろう、と踏まえてのことだ…
龍神の加護をあげた。
ステータス大補正と不老不死の効果がある。
「大丈夫また会えるから。」
「気長に待っててね。」
彼は涙を洋服の裾で拭き、この世界での主人に対する最上級の礼をして
「いままで色々とありがとうございました。このご恩は一生忘れません。」
と言った。
こんなことを教えたのは間違いだった。
「そんなことしなくてもいいから。」
「いえ命を助けていただいたのですから・・・」
「そんなに気にしなくてもいいわよ、あたりまえのことをしたまでなんてだし。」
お母さんも少し困っているようだ…
「すべては主人の御心のままに」
わかってないじゃん。と思いつつも彼を街まで連れて行ってくれる人が来た。
最後に少しやりとりをかわして迎えに来たエルフとともに去っていった。
最後にまた会うことを約束して・・・