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第83話:怪人蛸男

 影から浮き出るように1人の男が現れる、影使いのサウザンドだ。

 影に入り隠れる事が出来るジョブを持つ、他の能力も有ると推測されるが自分の能力を隠匿していて全容を把握していない。


「マックスどうだそっちの準備は。」

「ああ大丈夫だ、そっちは気づかれて無いだろうな。」

「闇の中で俺を発見できるやつなんてそんなにいないさ。」


 リクから渡されたアイテムをサウザンドに押し付ける。


「背後から精霊を呼び出してくれ。それが戦闘合図だ。」


 絞ったランタンの明かりの端に影が走りサウザンドと合わさる、何度かサウザンドが頷くと再度影が伸びサウザンドから離れていった。


「脳食いの数は3体だ、従えるクリーチャは6体。」


 脳食いとは、怪人蛸男の別名で敵の脳を吸い取り喰らうためこのように呼ぶこともある。


「影を操れるのか。」

「企業秘密だ。」

「ねえ、ちょっといいかな。」


 魔術師サロックが会話に入ってくる。


「これね、たぶんね怪人蛸男の審問団だよ。何か調査をしているよ。」

「この前の王都襲撃の失敗の調査かなんかだろ、どちらにしても行き先が同じなら先に仕掛けよう。」


 ランタンの明かりを消す。

 暗視が無い者は暗視ゴーグルを作動させる。

 サウザンドは皆の暗視ゴーグルの作動を確認してから闇に溶け込む。

 音もしないので何処に行ったのかすら分からないが間違いなくやつらの背後に移動しているのだろう。


 全員が音がしないように歩く。

 サウザンドと違い、鎧や靴に隠密効果が付属されているが無音とは程遠い、ゆっくり丁寧に歩きだした。


 


 サウザンドは完璧に近い形で後に周りこんだ。

 ただ、魔法の器に水を注ぎ火鉢に焼けた炭を入れるまでは。


 水の音で何気に振り返った怪人蛸男、暗闇の中の火鉢の小さな明かりに気が付いた。

 地下共通語で叫びだした。


「まずった。」


 サウザンドは素早くアイテムを起動し、水と火の精霊を呼び出しす。

 再度影に隠れて逃げるが補足される、1人勘の良いやつが居るなと思いながらも全力で逃げる。

 幸いな事に精霊が立ちふさがり追われる事はなかった。



 戦闘音が聞こえる、マックス王子は全員に合図を送り走り出す。

 完全に虚を突いたつもりだったが、こちらにも兵が待ち構えていた。


「っちぃ」


 ドライクが前衛と剣を交える。


「こいつら結構固いぞ。」


 ザリガニを二足歩行させたような化物の石蟹男が前衛にいる、ハサミに剣をめり込ませながらドライクが吼える。

 マックス王子は大きな盾を持った男2人と剣を交えていた、2人の男は盾に身を潜めて防御に専念してマックス達を通さない役割のようだ。

 魔法の剣は、鉄の盾を切り裂くが有効なダメージにならずにマックスを苛立たせていた。


 矢が後から放たれ1本が石蟹男の柔らかい部分に突き刺さる。


「出来るだけ外皮の薄い部分を狙え。」


 エルフ従者からの矢が降り注ぐ。


 蛸男が超能力を使った、脳を直接攻撃するマインドブラストだ。

 ドライクはマントを翻し反射するがマックス王子は脳にダメージを受け膝を付く。


「支援魔法はちょっと待ってくれよ。」


 サロックは巻物を取り出し封じられている呪文を開放する。

 テレポート等を封印する範囲魔法だ。

 高レベルの呪文だが巻物から開放するだけならレベル11のサロックでも使用することが出来る。

 サロックを中心に虹色の光が走る、光は一瞬だが空間が閉鎖される。


 何かが横を走って行った、狼男のベンだ、彼はそのまま壁を走り天井も走る。

 大きな盾を持った屈強な男2人は狼男を槍で突くが銀色の毛皮に弾かれる。


 ベンはそのまま上を通り抜け蛸男の前に着地した。


「ふふふ、チェックメイトっすよ。」


 ベンは冷静に戦況を見て術者が呪文を使いにくいように邪魔をした。

 蛸男が超能力を使うときには隙を突き攻撃を加え、前衛が前方に集中していると感じたときには後ろから攻撃し集中を乱して支援する。


 蛸男のリーダは焦っているようだった、後には精霊が2体といつの間にかサウザンドが戻ってきて後衛を削っている。

 前衛は狼男に挟撃をされてからは劣勢になり、そして全員の武器がかなり強力な魔法の武器なのだろう石蟹男が切り倒された。

 魔法や超能力を使用すると狼男が邪魔をして何度か深手を負い、超能力も狼男には効かなかった。


 次元移動を封じられ、仲間の蛸男2人は半狂乱に成り1人は不可視の呪文で消えて逃げ、もう1人はフライを使い逃げた。


 消えて逃げた者は『発見のランタン』で姿を炙り出されされ頭を叩き割られた。

 フライを使って逃げた者は、天井に立っているサウザンドに叩き落され彼の放った影が四肢を捕らえるとビクビクッと動けなくなった。


 蛸男のリーダは最後に朦朧状態になったマックスの脳みそを吸いだそうと彼に張り付いたが、ドライクと後を守っていたダストンに引き剥がされて地面に押さえつけられた。

 彼らの腰には巨人のベルトが巻かれていて、巨人のごとき力を出す事ができるのだ。

 助けを求めようと前衛を見たが、2人の盾を持った男達はホールドパーソンの呪文で縛られ身動きが取れない状態だった。


「くっそ、なんて怪力だ。この俺が人間ごときに遅れを取るとは。」

「諦めるんだな、装備の性能が違いすぎるんだよ。なぜ地上を狙う。」

「くくく、言うわけないだろ。」


 空間移動禁止の魔法が消えるのを蛸男は感覚で理解する、押さえつけられながらも次元移動の能力を開放する。

 消える前にマックス王子が首を刎ねた。


 リクが次元リングを越えてやってくる。


「楽勝でしたね。」

「これだけアイテムで能力をアップしていれば負けることは無い。

 それにベンの活躍で皆救われた。」


 周りの頷いているので余程の活躍だったのだろう。


「へへ、たいした事無いっすよ、自分の反射速度に敵う者は野生動物くらいで冷静に戦えば誰よりも強くなれるって教えられてから強くなったっす。」

「強さにも色々あるんですね。ところでこの2人はどうするんですか。」


 前衛の戦士達の事だ。


「情報を得るのに協力してくれるならいいが、反抗するなら処分するしかないな。」

「魅了って成ってますよ、解呪すればいいかも。」

「リクお前はそんな事も分かるのか。凄いな。」


 サロックが解呪して2人に話を聞く。


「俺達はシェルって町の衛兵です。」

「やつらに捕まって洗脳されました。」


 毎日強力な洗脳を受けていたようだ。


「やつらの目的は分かるか。」

「多くの洗脳した兵士を集めて戦わせて強い兵士を作っています。俺も操られて何人も殺してしまった。」


 強い固体を作り出す儀式なのだろう。


「俺は、やつらの先祖の脳みそを集めたプールを見ました、そこから指令が送られていました。」

「先祖の脳みそがやつらの本体なのか。」


 サロックが肯定する。


「蛸男は死ぬと脳みそを塩のづけプールに貯めると本で読んだことがありますね。」

「特異点がどうとか言っていました。」


 また特異点かここ最近何度も出てきたフレーズだ。

 マックス王子は考え込んでいたサウザンドやリクと目が会う、サウザンドやリクも同じ事を思っているのだろう。


「丁度7つ秘法の1つ『時空の宝珠』の場所と被りますね。」


 リクが地図を見ながら指摘する。


「その宝珠はプールの中にありました。」

「マックス王子どうします、やつらの棲家に行きますか。」

「敵の数を知りたい。」

「たぶん数100体は居ます、しかも、他の次元にも出入りしているやつらも居るのでもっと数は多いです。魅了した兵士を合わせると4・5倍の敵が居るでしょう。」

「俺達だけでは無理だな。」


 リクは地図を取り出し、エネミーマークを付ける。


「100体以上いますね、棲家の中心の場所はいっぱい居すぎて数がよく分からないな。」

「今回の目的は神剣の捜索だ通り抜けよう。」


 方針が決まったのでリクは戻って行った。

 2人の男はリクが責任をもってシェルに戻すと言って付いて行った、敵のスパイにならないかと尋ねると何度か手に持ったパッドを操作して「問題ない保障する。」と言っているので余程自身があるのだろう。

 マックス王子達はリクの多機能で応用範囲の広い能力に驚愕しながらも見送った。


 

異世界冒険 195日目


取得経験点

経験値:4571を得た。

総計経験値:55819

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