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第80話:パーティ編成

 『鋼鉄の拳亭』ではバニラの町にいたはずのマイヨールが待っていた、それも『支配の王笏』を持ってだ。


「例の日本人はこれを託して出て行った。」

「ドラゴン倒したんですか。」


 頷くマイヨール、最強のレッドドラゴンを倒すとは恐るべし。

 ドワーフの秘法7つ中残りは3つ、うかうかしていると俺の方がアーティファクトを集めきれない、気合を入れなおそう。

 マイヨールはドラゴンが居なくなった事で、神殿の任を解かれたのでサウザンドのパーティに参加する事になった。


 軽い会議を行い次の日にパーティの編成や装備等の準備を行う事として解散した。

 我ながら現時点で考えられる最強のパーティが出来たと思う。




 次の日の朝早くドタドタ階段を降りる、集合時間ぴったりだ。


「悪い悪いぎりぎりセーフだ。」

「「遅れていないのだから謝る必要は無い。」」


 どうもこの世界の住人は時間にルーズのようだ、遅れても文句を言わない。

 しかし、何時は遅れてくるメンバーが全員揃っているのは魔法のアイテムを配るからだ、皆現金なものだ。


『鋼鉄の拳亭』では4パーティが結成されていた。


俺達『リクと愉快な仲間達』:7人、

『真夜中の焚き火』団:7人

サウザンドのパーティ(名前は無い):5人

マックス王子のパーティ:7人


 マックス王子のパーティが増えた、何故かってそれはエルフ従者と、ドワーフ従者、ダークエルフのレンジャーにライア庄のリザードマン、マイヨールの腹心(変化して人間に見えるが実は金竜)、狼男が加わったからだ。

 カンザキの紹介の狼男は日本語の手紙で俺宛に「改心させた、裏切ったら殺せ。」とだけ書いてあった。

 狼男から「何が書いてあるんっすか。」と聞かれたが、「探索に協力してくれる心強い仲間だ。」と言ったらブンブン尻尾を振って喜んでいた、悪いやつじゃないんだろう、たぶん。

 リザードマンと金竜に狼男が加わり、かなり異色なパーティになった。


 猫耳や犬耳で可愛い獣人はいないんですかと狼男にきいたら、「金色の毛皮の虎の獣人女性なら見たことが有ります。」とか、それってただのワータイガーだよね。


「もっと人型に近くてさ、ご主人様一緒に散歩行くワン!ての居ないの。」

「居ないですよ。いいんですかい?」

「何が?」

「女性陣だけでなくほぼ全員みんな引いてますぜ。」


 耳の形を手で作っている俺を皆が冷たい目で見ていた。


「うぉほん、冗談はさておきこのメンバーで迷宮の攻略をする。」

「結構本気だったよな。」


 サウザンドに突っ込まれた、五月蝿い黙れと心の中で突っ込んでおく。


 地図を皆に渡し、バード領跡地からの作戦を伝える。

 『リクと愉快な仲間達』と『真夜中の焚き火』団でお互いバックアップしながら、サウザンドとマックス王子のパーティで同じようにバックアップしながら別々の道を行く作戦だ。


「マックスのパーティはヒーラがいないから回復ポーションを多めに持っていくように。」


 そして、今回の目玉、最強武器+1を用意した部屋に連れて行く。


 ライア庄での戦闘でレベルアップして新しい能力が手に入ったのだ。


―――時間を遡り前日―――

 錬金機器であるスロットが光っていた、レベルアップのサインだ、だが錬金機器士レベル10でカンストしたのでどうなるのだろう。

 タッチパネルを確認すると。


「レベルアップをしますか」当然YES


「職業を選んでください」とある今までに無いパターンだ。


 色々な職業を選べるかと思っていたら、現在選べるのは思ったより少ないようだ。

 半透明の職業が多い。

 戦士・盗賊は「技の伝授が必要」と出ている確かに師匠に付いて何も習っていない。

 武道家・吟遊詩人も同じように駄目だった。

 僧侶・聖騎士・ドルイドは「信仰心が不足しています」と出た。

 妖術師は「魅力が足りません」とかかなり失礼な感じだ。


 現時点で、全基本職に習熟する事が出来ない俺って冒険者してて良いのかな、もう辞めよかな冒険するのと思ってしまう。

 ちょっと凹み気味にサブ職っぽいのを見ると錬金術士とかはOKと出ている、錬金術士といっても手を合わせるだけで何かを作り出せるわけでなく、物質の調合に勘が働くとか。

 表示される職業が多すぎるんだよね、コックとか大工とか要らないので絞る。


 上級職のみ表示するとまだ出るわ出るわ、剣士とか侍とか~術士が沢山出る出る殆ど半透明じゃねえか選択できない。

 自分が取る事が出来る職業のみ表示させると。


「砲術士」「魔弾の銃使い」「人形遣い」「エンチャンター」


 えー、これだけなのと思う内容になった。

 ヘルプで確認すると有料情報とある、金貨400枚を支払い全職業の情報をダウンロードする。


 砲術士は、銃を扱う人の上級で大砲を使った戦闘のエキスパートで、レベルが上がると多くの敵を巻き込めるとか。

 ダンジョンでは使えない職業じゃはないのかな、だいたい大砲が無いのでパス。


 魔弾の銃使いは魔弾の射手の銃バージョン、人間専用ジョブとか惹かれるが保留。


 人形遣い、ゴーレムや動く人形を使うジョブ、ゴーレムの作成にプラスがあったりとか強化したりなど特典がある、ゴーレム軍団で世界征服とか憧れるがそのまま魔王として討伐されそうなので保留。


 エンチャンター、アイテム作成のエキスパート、レベルが上がると即興で武器を魔法武器にしたりとか割と地味な感じ。


 魔弾の銃使いしかないかなぁ。

 エンチャンターの詳細情報をクリック、有料だが構わず開ける。


 アイテム作成は対価を普段より減らして作成できる。

 対価=物質と魂つまり自分の経験値の事だ。

 俺は、錬金機器が対価を肩代わりしているので必要ない能力だ、死にスキルな気がする。


 簡易エンチャントは一時的に武器や防具のブーストが出来、+5以上の武器にでも出来るとある。

 つまりアーティファクト級の武器にもブースと出来る様だ。 

 

 そこでふと気が付く、アイテム作成は錬金機器と合わせる事が出来るのかだ。

 ヘルプで確認する、結果はYESレベルが上がれば+6以上の武器を作る事が出来るとか。


 基本的に俺が戦って戦いが好転した事は少ない、物量で押すほうが簡単に勝利している。 

 「魔弾の銃使い」も憧れるが「エンチャンター」のレベルアップをする事にした。


 「エンチャンター」のレベルアップをしますか。YES

 「エンチャンター」と「錬金機器士」の能力を統合しますか。よく分からんが、YES


 錬金機器が光りだす。スロットマシーン+1に更新された。


 新しい能力は何だろう、アイテムブースト+1?

 説明にはエピック武器を作成可能とある、エピック武器とは+5以上の武器の作成と説明にあった。


 フレイムタンダガー+5をベットして、「ん?」1個しかベット出来ないようだ。

 しかも、成功が1つのリールに付き6/10、つまり7を揃えるのに3つのリールで計算すると21.6%の成功率だ。

 まあ、目押しが有るからもっと高い確率で止める事が出来ると思う。

 武器を大量生産できない方が痛いな、流石に伝説級の武器になるとちまちま作る必要があるようだ。


『チャラリー♪チャラリー♪ピ♪ピ♪ピ♪』『チャラリーリー♪』


 フレイムタンダガー+6が出来た。

 実際手に取るが特に違いは無いけどな。


 こんな感じで、朝の食事も適当に集合時間ぎりぎりまで武器防具を作った。



―――時間を戻し―――

 皆マジックアイテムが積み上げられた机の上に目が釘点けになる。


「今回は、俺達のパーティが装備している武器を用意しました。1人1点ずつ持っていってください。」

「この中から1つ持っていって良いのか。」

「?間違えました、装備箇所1箇所につき1点です。」

「リク愛してるぜ。」


 スプモーニとタルトに抱きしめられてキスをされた。

 止めて、ガチムチの男2人に抱きつかれても嬉しくない、両頬を早く洗いたい。


「あと、奥の机の上にある武器は全員分有りませんので仲良く分けてください。」


武器には安物の紙タグで武器の性能を書いておいた。

フレイムタンダガー+6

非実体・鋭刃付与グレートソード+6

神聖・爆冷・鋭刃付与の薙刀+6

対不死・触霊・神聖付与のメイス+6

神聖・爆雷・雷鳴・ファルシオン+6

耐火氷付与のミスリル鎖帷子+2

耐雷酸自律付与ミスリルの小盾+2

耐雷自律付与ミスリルの大盾+5

神聖・爆冷・鋭刃付与の薙刀+6

追加攻撃・遠距離・誘導・神聖・火・雷付与コンパウンドボウ+2

鋭刃付与矢+6

などなど


 一番で走っていたタルトが悲鳴を上げる、って言うか戦士職で一番レベル低いんだから最後にしろよ。


「ちょっと待て、+6の武器があるぞ。これってエピック伝説級の装備じゃねーか。」

「伝説級?ただの+6の武器がですか。」

「おまえ知らないのか、+6以上の武器しかダメージを与えられない怪物がいるんだぞ。」

「どんな怪物なんですか。」

「上級の天使や、悪魔だ。」

「それって一般人が一生戦う事の無い怪物ですよね。」

「それぐらい凄いレベルの武器だって言ってるんだ。」

「じゃあタルトには必要ないですね。」

「そんな事言うなよリク。」


 俺達の会話で笑いが起こるが実際全員分作れてないので、レベルが高い人から順に1点づつ選んでもらう事にする。

 シュミレーションゲームをやると分かる事だが、強いキャラを強くしてしたほうが戦いは楽になるので心を鬼にしてでもレベルが高い者を優先して強くする。


「皆さん自分の長所を伸ばす武器を取ってください。」


 結局タルトには神聖・爆雷・雷鳴・ファルシオン+6が残ったんだが、良かったな。

 受け取ったタルトは「猛烈に感動しております。」と剣に抱きついているが放っておく。


「あと、全員にこれを渡すから持っていてください。」

「これは腕に装備するマジックアイテムか。」

「普通の腕時計です。自動巻き式ですからそんなに狂う事は無いと思います。」

「機械式の時計だと、嘘だろこんなに小さいのが時を刻むのか。」

「定期的に連絡を入れるのに使います。連絡を取るタイミングはバード領跡地で相談しましょう。」



 小人ポーションを使用してバード領跡地への次元リングを起動する、転移先から。


「お待ちしておりました。」


 と声が掛かる、向こうではキャッシーと商人ブルワリーが待っていてくれた。

 次々にリングを超えてバード領跡地へ向かう。

 

異世界冒険 185日目

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