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第70話:クロスロード

『異世界モンスターvs超能力者』の登場人物が出てきます。

あまりこの物語には関係ないようにしますが数話ご了承ください。

 魔法の絨毯の一団がバニラの町をでて1週間が経った。

 ランスを離れてそれほど時間が経ってないのにずいぶん経った気がして懐かしい。

 リク達はそのまま『鋼鉄の拳亭』に帰る、リクは久々に温かい風呂に入りたいと話していた。


 旧『鋼鉄の拳亭』に入ると以前食堂部分は書類の山で知らない女性がフレデリックや従業員に指示を出していた。

 乗っ取りかと思っていると、フレデリックがこちらに気づき話しかけてきた。


「おお、旦那帰ってきたんですか。」

「何してんだ?」

「こちらの方はヒイロさんです、我々が大量に買取った米を見事に売りさばいて頂きました。」


 見るとヒイロはピースサインで「ブイ」と言ってこちらを見ている、仕草と顔つきそしてブイって日本語だよな日本人だよな。


「日本語分かりますか、日本人ですよね。」

「ん、日本人。」


 何故か両手を腰に勝ち誇ったポーズで答えている。

 従業員が甘い蜂蜜入りの飲み物を持ってきてくれた。

 書類の山を縁に寄せてコップを置き座ると、フレデリックが興奮気味に話し出した。


「ヒイロさんって凄いんですよ、炭などの物資を買い占めたと思ったら米と物資を国と教会に売りつけたんです。

 その後、国と教会の信用の元で安く市場に卸し半年間同じ値段で売る契約を結び全部売り切ったんです。

 国と教会には安く売りましたが物の値段が戦争で高騰していたのでトータル的に損は出ていません、それどころか少し利益も出ています、国や教会も利益が少々出る金額で設定されていました。」

「ん、この世界先物取引が無いから楽勝だった。」


 フレデリックは神を見るような目でヒイロを崇めている、よく分からんが将来の物の値段を先に決めて取引をしたようだ。

 そんな事が良く出来たなと思いながらヒイロに感謝を述べる。

 利益の金額をみて驚く。


「こんなに利益が出たのか。」

「扱っている総額が凄いんです、1%の利益でも結構な金額になるでしょう。旦那の店の売り上げに比べたら些細なもんですよ。」


 そういえば店の売り上げ金額は最近マリーヌに任せていたので正確に把握してない、後で聞いてみよう。


「ヒイロさん利益がでた分はお礼しなきゃいけませんね。」

「ん、ヒイロでいい、有用なアイテムを分けて。」


 こんな会話をしていると彼女の腰のヒップホルスターが目に付いた。


「うお、拳銃じゃないですか。本当に日本から持って来んですか。」

「ん、何を言っているあたりまえ。」

「俺、日本からここに来たときには真っ裸だったから異世界に物質はもって来れないと思ってたんですよ。拳銃見せていただけないですか。」


 弾倉と薬室の弾を抜き拳銃を渡してくれた。 


「おおこれはスミス&ウェッソンM5906のミリタリーモデルじゃないですか。ひょっとして海上保安庁の方ですか。」

「否、でも公僕。」


 錬金機器で複製させてくれと頼み込むと簡単に了承された。

 ヒイロを連れて錬金機器の部屋に行く、銃を入れると『Unknown』と標示された、無理かと思ったが複製は出来るようだった。

 複製をタップしてスロットをまわす。各リール7が10個中9個当然成功した。

 同じように弾丸とホルスターを複製させてもらう。

 15セット並べると常に無表情だったヒイロの顔が驚きの表情を浮かべる。


「初めて顔つきが変わりましたね。」

「ん、本当に驚いた。どんな仕組み。」

「俺もよく分からないんですよ。」


 もっと驚かせてみよう、複製した弾丸をベットして+1、+2、+3と+5までの弾丸を作った。

 店の裏の練習場で丸太の的に向けて発射してもらう、屋根を付けたが結構大きな音が漏れた、今後銃を練習する事も考えて密閉空間にしよう。

 弾を+1、+2、と+5まで順番に入っている、丸太の的は+3のになると貫通して、+5の弾になると青い光の軌跡は後の土嚢まで伸びていった。


「どうですか、魔法の弾の威力は。」

「ん、なかなか凄い。」


 そんなやり取りをしていると、屋根がはじけ飛び轟音と共に人が2人降ってきた。


「ヒイロ大丈夫か。」

「ん、建物はドアから入る。」

「こちらの方はどちら様でしょうか。」

「ん、こっちはリーダーのカンザキとあっちは馬鹿娘。」

「馬鹿娘ってなによ、アカネよ。」


 どうやらとんでもない人物がリーダのようだと思っていると、ヒイロが襲われていると勘違いしたと謝罪された。

 複製した銃のテストをしていると言ったら「銃まで作る事ができるのか。」と驚かれた。

 カンザキこの人物にも銃のテストをしてもらう、驚く事に念じるだけで銃が浮かび上がり弾を発射する、驚いていると念動力が使えると教えてくれた。

 何で念動力を使って撃つんですかと聞いたら、「複製した銃の品質に疑問があり暴発が怖い、銃を作る技術なめるな。」と言われた同感だ。

 +5の弾を30発撃った所で難しい顔をする。

 

「不良品でも混じってましたか。」

「いや、悔しいが銃も弾も品質に問題ない、ただし魔法の弾は硬すぎる銃身の寿命が早い。」

「そんな事が分かるのですか。」

「ああ、毛ほどの厚みの差も分かる。」


 そんな問題を指摘されるとは思ってなかった、部屋に戻り+5の銃を作り再度テストしてもらった。

 結果は合格だった。


「よかった、これでドラゴンを倒せるかもしれません。」

「よく分からんがこんな小さな銃で人間以外と戦うのはお勧めできんな。人間すらこの弾丸じゃ殺せんかもしれん。」

「カンザキさん、言っている事がよく分かりませんが。」

「カンザキでいい、あー、よく分かるように説明してやるよ。拳銃ってのは対人間用に作られてるんだ。携帯し易く最低限の殺傷力が拳銃に求められるこれは分かるな。」


 そう言うと水を持って来た、空中に浮かぶ大量の水変な感じだ。

 普通の弾を1発撃つと5m進んだ所でコロンと落ちる、次に+5の弾を撃つと水を突き抜けて土嚢まで届いた。


「思った以上の威力だが、人に使うとたぶん突き抜ける。」

「突き抜けると運動エネルギーが人体にダメージを与えないので威力が減るってことですね。」

「そうだ、それに大型の生物が相手のときは9ミリ弾なんか何発撃っても倒せんぞ、弾の速さが遅すぎるし有効射程距離も短い反撃を受ける可能性が高い。」


 そうなんですかとがっかりしていると、アイデアが閃いた。

 +5の弾に爆炎や爆冷の効果を載せた弾を作り試し撃ちをしてもらった。

 弾は水中で止まり爆発したり、凍って爆ぜたりした。


「これなら人でも獣でも倒せるかもな、ライフル弾にも同じことが出来るのか。」

「ライフルも持っているんですか。」

「弾数が無くて殆ど使ってないけれどな。」

 

 89式小銃だった、テンション上がって喜んでいると「ミリオタか。」と言われたが好きな物はしょうがない。

 カンザキにも錬金機器からライフルの複製を作ると驚かれた。


「お願いがあります。俺に銃の扱い方を教えてください。報酬は俺が作れるアイテムを融通します。」


 様々な付与効果が載ったファルシオン+5をカンザキに渡すと軽々と片手で扱う、普段の持ち運びには不便な重さだなと言って丸太を切った、まるで紙を切るように切った。


「いいだろう、ただもっと軽いナイフや、このエルフの剣に魔法の付与できるか。」

「短剣でもいいのですか。」

「手裏剣でも何でもいい、持ち運びに便利なように小さな武器が数本、大きな剣はロングソード1本で十分だ。」


 こうして銃の扱いを教えてもらう事になった、かなりの戦力アップになるはず。


異世界冒険 150日目

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