第7話:魔術師フィ
「夜遅いから明日ね。」
「私が怒られるから駄目。」
強引に連れて行かれた。
3階建ての大きな塔に着く、ジェラの師匠は魔術師ギルドの偉いさんらしい、どうだと胸を張っている。
Cカップだな。
何で冒険者の仕事してるのかと聞いたら、冒険は魔法の理論の実行の場だそうです、危険を冒して実戦って、ちょっと頭がおかしいのかも。
追い出されたんじゃないんだな、と言ったらマジで怒ってるんですけど、間違いなく頭のネジが飛んでいる。
10階建てとかじゃないのと言ったら、上り下り大変でしょと言われた。
エレベータ無いと無理だよね。
大きな部屋を歩く、理科室のようだな。
ホルマリン漬けとか、変な色の液体とか、蒸留してるのとか。
マッドサイエンティスト風のおじいさんがこっちに向かってくる。
あれ、ちょっと待って遠近感がおかしい、うおっ結構でかいな。
がばっと抱きしめてくる。「グエ。」(やめてくれ、くっ苦しい)
「待っておったぞ。」
完全に足が地を離れておりますが、じじ臭いし、薬臭いし、死ぬ。
「師匠死にますわよ。」
「おお、すまんすまん、久々の実験対象に会えて気持ちが高ぶってしまったのじゃ。」
この爺さん俺を実験対象って言ったよ。
ジェラさんどんな風に俺を紹介したのか、見たら目を逸らしやがった。
「モルモットでは無いので帰ります。」
「すまんすまん、そんなつもりでは無いのじゃよ。」
師弟共々失言が多いらしい。
師匠の名前はフィレンツェ、フィ師匠と呼ぶことにしよう。
「上級職になる条件は、スキルと錬金術の実験の成功回数ですがどのスキルが必要かは分かりません。」
「取得スキルのだけはなくスキルのレベルも重要かもしれないので、確認しよう。」
錬金術・神秘学・建築術・地理・歴史・自然学・宗教・異次元
のスキルがある。
錬金術ですか、鉛を金に換える方法は知りませんが、水を電気分解すると酸素と水素に成りますよ。
こんな事で良いですかと聞いたら、酸素って何、水素って何って話しになり、電気とは何と話になっていった。
電気の作り方、フレミングの左手の法則、などなど話が長くなる、もう帰って良いですか。
神秘学の話も、ギリシャ神話の話やダンテの神曲の話や、日本の八百万の神の考え方など話す。
フィ師匠いわく間違ってないと、地獄のような次元界があり、天使が住む次元界もある。
そこに住む魔王や神は想像を絶する強い力を持っているとのことだ。
10時になりもう帰りたいと言うと、夜は治安が悪いので泊まる部屋を用意された。
部屋に行くと、ジェラが一番いい部屋だと教えてくれた。
魔法使いの弟子が、1人付いてくれている。
落ち着かないとです。
塔の中は侵入者防止の罠などが有り少々危険なのでお付きが必要なのだとか。
寝ようとすると、フィ師匠と45歳ぐらいのおじさんがたずねてきた。
若ければイケメンの部類に入るおじさんだな。
「わしの一番弟子のペレトラだ。」
「ペレトラです。うまい酒がありますので飲みましょう。」
銀のコップに注がれる。
本当に美味いな、このワイン、飲みながら自分の住んでいた所の話をするとペレトラは興味深く聞いていた。
ちょっと酔ってきたので口が滑る。
「もっとボンキュッボンの女の魔法使いを紹介してくださいよ」
二番弟子でジェラの姉弟子が凄い体らしい。
性格も、ジェラに輪かけて凄いらしい。
嫌な顔をしたら、ペレトラは笑いながらバンバン背中を叩いた、(ぶほっ痛い痛いよ)師弟共には怪力かよ。
2時間ほど飲んで寝てしまった。
朝になり喉が渇いて・・・。
「み、水を」
お付きの弟子に水をもらう、昨日は飲みすぎた。
弟子の人に礼を言って帰り支度をする。
フィ師匠の所に連れて行ってもらい挨拶をする。
「昨日はありがとうございました、帰ります。」
「まだ検証は終わってないぞ。」
「昼から用事ありますし、夜も友人と約束がありますので帰ります。」
「昼までここにいればよい。馬車も出すぞ。」
「生活費も稼がねばならないので遊んでられません。」
参考に持ってきた治療薬とポーションを見せる。
「これ誰か買ってくれますか。」
治療薬は、1セット金貨25枚で買ってくれたが、ポーションは難しい顔をされた。
「これは誰も買わないぞ。」
「えっ、不良品でしたか。」
「逆じゃ、良品すぎる。」
どうやら低級ポーション価格は、術レベル×術者レベル×金貨50枚の価格。
低級回復ポーションの最低価格は、術レベル1×術者レベル1×金貨50枚で金貨50枚が相場だそうです。
このポーションは術者レベル3相当のポーションで金貨150枚の価値があるらしい。
そういえば低級ポーションの説明の中に回復量(1d8+3)って書いてあったな、+3はレベルなんだね。
回復量がちょっと増えるぐらいなら金貨50枚のポーションを3つ買うよね。
誰かに内緒で金貨50枚で売りつけよう。
買出しもあるからと強引に帰る事にした。
金を出すからまた来いと言われたがもう行く気はない、夜暇なときに行きますと話を合わせておいた。
帰りに藁、鉄、などの原材料を金貨10枚分購入、この前の2人にチップを多めに渡して運んでもらう。
現在アイテムを販売価格の半額で買い取られているので、直接売る自分の店が欲しいな。
自分の店が出せるまで、スカーレットさんの所で間借出来ないか聞いてみよう。
宿に着くと部屋の前に荷物が運んでありました。
異世界冒険4日目