第63話:異世界探索-終末の笛
図書館生活7日目になる、ライセンに進行しているオークの軍勢が気になってきた。
「大司教殿そろそろ帰りませんか。」
「そうじゃの。」
そんな話をしていると外が騒がしい。
窓から市場を眺めると数々の火の手が上がっている。
「何だあれ。」
マップを確認すると魔戦副将軍と悪魔兵士7体のエネミーマーカがあった。
市場からこちらに向かってくる。
魔戦副将軍はワイバーンと人間を足したような悪魔で、うろこ状の皮膚下には盛り上った筋肉、よく鍛えてあるのが分かる。
悪魔兵士は両生類のような肌に長い尻尾の悪魔で、特徴的なのは体毛の変わりに蛇がいたる所に生えている事だ。
「図書館のゴミ共、我が軍の鎖の兵士を倒した者を匿っているな直ぐに表に出せ。出さねばこの付近の者を皆殺しにするぞ。」
ミランダが慌ててやってくる。
「リク様、行ってはいけませんよ、悪魔はこの図書館には入ることが出来ません。」
「なんか市場で暴れまわっているけど。」
「天使達も動き出しますのでお待ちください。」
マーキングをしている日本人の子孫がエネミーマーカと近い、ピクリとも動かない所を見ると巻き込まれたのかもしれない。
大量の回復ポーションを大司教に渡し、
「大司教は怪我人の手当てをお願いします。」
「行くのじゃな。」
「はい、行きます。」
仮の肉体なので心配しないでとミランダに告げて図書館を出る。
ミランダは、「あの種族は火が無効です、お気を付けて」と言う。
「俺が鎖の悪魔を倒した。」
「貴様か我が可愛い兵士を殺した者か。」
「交渉をしたが無視して先に攻撃してきた。」
「幽体の癖に生意気だ死ね。」
こいつもいきなり攻撃してきた。
ファイヤーボールが接近してくる、攻撃されると予想していたので直撃は免れたが、耐火効果を突き抜けて俺の背中が焼ける。
「あっちー、総員攻撃。」
稲妻の杖を使う、1週間に1回しか使えないチェインライトニングを使用する今回は出し惜しみ無しだ。
悪魔副将軍は稲妻を受けるがこちらに向かってくる。
ボニー達は不可視状態で潜伏させていた、それぞれの稲妻の杖が稲妻を吐き出す。
悪魔兵士達は魔戦副将軍に当たった稲妻が別れて炸裂した、全部を避けきれず消し炭に成った。
他にも姿を消していた小さな悪魔インプが数体焼け落ちた、こいつらが俺を監視していたのだろう。
魔戦副将軍は片膝を着いているが翼を広げ何かを叫ぶと周囲から黒いモヤが集まる、6つが凝縮したこれは異次元の扉だ。
中から悪魔兵士が這い出てくる。
「魔法のアイテムはリサーチ済みだ。その杖の特殊能力は7日に1回しか使えないだろう、こちらの番だ焼き殺してくれる。」
「1本しか持ってないと言ってませんけど。」
予備の杖を異次元リュックから取り出しチェインライトニングを使用する。
ボニー達もそれに倣う。
「な、ま、待て」
先ほどと同じ光景が広がる、「これがデジャブってやつか。」悪魔兵士は黒いモヤになり消えた、魔戦副将軍も倒れて動かなくなった、まだ生きているのでメルカバが止めを刺す。
「デジャブの意味は違います。でも片付きましたね。」
「何処の世界でも防御よりも攻撃の方が勝るようだな。」
アメリカ軍が韓国や日本周辺の前線基地を撤退したがっているのは中国からの先制攻撃を避けたいからである。
イージス艦を以ってしても本気の先制攻撃を許せば壊滅的なダメージを受けるのは防御側である。
これと同じ事がこの世界にも通じるようだ。
俺は、マップとエネミー識別が有り敵の接近を事前に察知できるので簡単には不意打ちを食らう事はないが食らえばこの背中のようにダメージを受けるだろう。
ポーションを取り出し飲みながら。
「他のメンバーも救助に行ってください。」
「はい。」
突然目の前が真っ赤になる。
吹っ飛びながらさらに火球が3つ俺の後を追うように炸裂した、ゲームなら4ヒットコンボってやつだろう。
まさか身をもって空中コンボを体験するとは思って無かった。
火球の当たった衝撃だけでも凄いダメージを受けた、耐性(火)の装備が火傷のダメージを減らしていなければ今の一撃で死んでいただろう。
血反吐を吐きながら立ち上がる。
「お前の行いで計画が狂った。死を持ってく償え。」
巨大な悪魔が目の前にいた、不可視化していたのだろう徐々に姿が現れる。
俺の倍の背丈、巨体に蝙蝠のような羽を広げて尻尾をピシリと鳴らしている。
怒りの表情からは大きな牙がむき出し毒のような紫の液体が滴り落ちる。
液体の落ちた地面はジュジュウ音を立てている。
他のメンバーも火の玉でダメージを受けているようでヨロヨロ立ち上がる。
虚ろな意識でエネミーマークを見ると悪魔将軍とある、こいつが悪魔のボスか。
悪魔将軍は俺の頭を掴み持ち上げる。
「止めろ頭がもげる、お前が悪魔将軍か。」
足をバタバタさせるが空しく中を蹴る。
俺の腹に爪を突き刺すが鎧を貫けなかった。
「ほう、なかなか良い鎧だ素晴らしい。」
再度爪を振るう、本気で突き刺したのだろう鎧を軽々破壊する、俺の腹に爪がめり込む痛みは無かった。
動かなくなった下半身に段々と鈍痛が押し寄せぐったりしていると涙目のメルカバが薙刀を振り回し切りかかる。
「主を放せ。」
「小賢しいわ。」
左手で受ける、+5の魔法の薙刀を苦も無く素手で受け止める。
尾っぽでひっぱたき地面に打ち倒した。
これは無理でしょ、装備を整え俺最強と思っていい気に成っていたが長い鼻を折られた。
「リク様。」
ミランダが泣きながら走ってくる。
「抵抗しないでください。」
ミランダは魔法解除の呪文を発動した。
体が解体される感覚、気が付くと地下金庫部屋だった。
他の4人も目を覚ましたようだ。
最司教は呪文を唱えたままのアホな顔で動かない、無防備だな今襲われたら防ぎようが無い。
少しすると大司教が目を覚ます。
「天使が出てきて事態は収集したが市場は逃げ惑う人々で大変だったぞ。」
ミランダの魔法で俺達が消えて悪魔が大暴れしたとか真に申し訳ない話だ、ただポーションで命が助かった人も多くいたのでプラマイゼロかむしろマイナスじゃない事を祈ろう。
使用したポーションを取り出すと魔力が抜けてただの水になっていた、敵と戦って得たはずの報酬を受け取れないので幽体投射の呪文はとにかくお金がかかるようだ、まあ、命はプライスレスなので安全に異次元の旅行が出来るチップと思えば安いか。
金庫部屋から出るとスカーレットが笑顔で迎えてくれる。
「異世界の旅はどうでしたか。」
「色々な所を見せてもらいました。」
「最後の悪魔には完敗でしたけどね。」
「俺達がまだまだ弱い事を確認できたのは良かった。」
皆を集めて今回の冒険の内容を説明した。
旅の鍵というアイテムがあり好きな異次元に行ける事、高レベルの悪魔はかなり強い事、ビッキーの話では魔戦将軍はメテオストームと言う最上級呪文を使ったようだ。
ボニーが『次元の鍵師』の上級職を取る事が出来る手ほどきを受け自分には適正が有る事を話す。
別に無理に取らなくてもいいと言ったが「役に立ちたい。」と一点張りだった。
俺達が異次元を旅する間に小麦や米の買収は順調に進んでいた、ただ物価が上がってきて今では小麦が普段の倍以上の価格とか、他の物資も徐々に値上がりしている。
俺が気になるのはオークの動向だ、マップで確認すると予想よりも早く進軍している。
『真夜中の焚き火』の妨害工作が失敗したのかもしれない、予定より早いがライセンの町に行くことにする。
「皆聞いてくれ、急ではあるがライセンに行くぞ。」
「「はい。」」
「フレデリック達は留守番を頼む、麦や米を少しずつ換金してくれ。出来るだけ損をしないように頼む。」
「いいですが、自信ないですぜ。」
「戦争が終わるまでに売り抜けばいい。戦争が終われば暴落する可能性があるからな。最悪は国に買い取って貰い1年間食料は配給制にしてもらうよう話になっている。」
明日の朝に出発それまで自由行動で解散となった。
異世界冒険 116日目
取得経験点
経験値:6200を得た。
総計経験値:38946
マリーヌ:Lv5
ビッキー:Lv6→7Lv
スカーレト:Lv5
ボニー:Lv5→Lv6
メルカバ:Lv6→Lv7
ベニー Lv4→Lv5
Lv8→9
HP:45→55
命中:+6
筋力13(+1)
敏捷14(+2)
耐久力12(+1)
知力14(+2)
判断力6(-2)
魅力11(0)
取得スキル
錬金術
神秘学
建築術
地理
歴史
自然学
宗教
異次元
交渉術
特技
長弓習熟
接近射撃
精密射撃
回避
強行突破
呪文数
Lv0 4回
Lv1 5回
Lv2 5回
Lv3 4回
Lv4 3回
Lv5 2回




