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第60-3話:挿入話

「ねえなんであんたが居るのよ。」

「ギルマスの命令よ。」


 ショートカットで活発そうな女性はマリーヌの送別会にリクを連れてきた子だった名前はファン・デルタ。

 御用聞きでリクの必要な物を用意するために現在常駐している。

 マリーヌは迷惑そうに話をする。


「御用聞きなら定期的に来ればいいじゃない、なんで常駐しているのよ。」

「マリ姉も人が悪いわ、危うくポンプをあの猫背の男に独占されるとこだったわよ。」


 ビシッと指を指す、指を指した先には猫背の男がビックとした。

 彼の名はブルワリー、グラバー商会から派遣されて今は常駐している。

 いつも低姿勢でよりいっそう猫背が強調されている。


「わしの事かの。」

「そうよ、ここには貴方以外に猫背の男はいないわよ。」

「失礼な事を言わないの。」


 マリーヌがファンにチョップする。


「それに猫背さんは優秀よ『奇跡のスクロール』を入手してるんだから。あなた必要ないから元の所に戻りなさい。」

「ふふふ、じゃじゃーん、『幽体投射のスクロール』をすでに手に入れてるわよ。」

「ちっ、やるじゃない。」

「マリ姉今、舌打ちしなかった?」

「気のせいよ。」

「リクさんが居ても良いって言ってくれだし、私の魅力でノックアウトよ。」


 胸を寄せて強調させた、マリーヌはファンがリクと腕を組むと鼻の下を伸ばして喜んでいたのを思い出すと腹が立った、どう頑張ってもスレンダーなモデル体系のマリーヌに出来ない技だった。


『バゴッ』

「馬鹿な事言ってないでさっさとギルドに帰りなさい。」


 青筋を立てたスカーレットが後頭部を叩いた、武道家の力は半端じゃない机に突っ伏すファン。


「だいたい、女性の比率が高いのよ、これ以上競争率を増やさないで欲しいわ。猫背さんみたいに男でいいのよ。私の娘の変わりにグーで殴るわよ。」

「スカーレットさんストップ、グーで殴ったら本当に死んじゃうから。」


 ボニーがスカーレットの肩を叩く。


「埋めてこようかしら。」

「ちょっとそこスコップを持たない。」

「埋めるならその上に犬の死体を埋めておくのよ。」

「そこ、さらっと完全犯罪をしようとしない。」


 この宿ではファンは歓迎されて無い様だった。 


「わしのネーミングは猫背男で決定かの。」


 ブルワリーは呟くが誰も聞いてなかった。

 



 目を回したファンが目を覚ました頃にラントとフレデリックが飛び込んでくる。


「都市の米と麦の買占め15ポイントを上回りました。」

「食料の価格が3ポイント上昇したぞ。それに港での取引が活発に成っている。あと教会が動き出している。」


 港での食料の輸出は他国に迷惑をかけないように取り決め価格で取引されているので、わざわざ船で買い付けに来る商人が急増している。


「港の取引は物々交換だから多少の損は目をつぶって良いわ、教会のトップに姫様の勢力から注意勧告をして、あとグラバー商会と商業ギルドでもう少しゆっくり買い占めるように指示を出してきて、あと・・・・。」


 机の上に紙が乱雑に積まれている。

 どんどん来る情報をマリーヌが捌くが刻々と変化する市場の状況に机の上は乱れに乱れていた。


 夜になりぐったりと椅子にもたれかかるマリーヌにボニーが温かいスープを持って来る。


「まさか私達だけで市場の操作をするなんて夢にも思って無かったわ。」

「人が不足しているので少数精鋭なのでしょう。」


 買占めは着々と進んでいた。

 ブルグント王国はライセン近郊の村から今年取れた食料を通常価格の倍で購入する御布令を出した。

 大量の食料が流入しランスの食料価格が暴落する前に国内の食料を買い占める事を商業ギルドとグラバー商会で進めている。

 現在市場の中心はギルドや市場ではここ『鋼鉄の拳亭』だった。


 買占めに必要な大量のお金はリクが用意した紙のお金をブルグント王国が認める形で実現した。

 今ランスはお金の流通量が一気に増えて戦時好景気に突入する勢いだ。


「私今後どうなるか知らないわよ、大量の食料を売り抜けられる自信がないわよ。」


 マリーヌはお金の流れを把握しきれていない、戦後の反動が恐ろしく考えない事にした。

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