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第34話:魔法の絨毯

 朝になりレベルアップの確認をした。

 今回はスロットのレバーが取り外せるようだった。

 ベットに転がりながらもスロットが回せる。


 液晶パネルでスロットマシーンから離れていてもリールの確認が出来るので何処でもアイテムを作る事が出来るようになった。

 問題は音が無いので作業感が半端ないって事かな。


 問題が発生した、ストップボタンが押せないので目押し出来ない事だった。

 まあ、リールの7が多いので問題に成らないと思う。


 レベルの高いスクロールが不足している事に気が付き、魔法アイテム屋に行くことにした。


「これはリク様、本日は何のスクロールをお求めでしょうか。」

「永続化と範囲飛翔のスクロールを共に3本欲しい。」

「永続化のスクロールが品切れです。」


 5レベル呪文になると在庫が少なく品切れも多くなるようだ。

 仕方がないので、範囲飛翔のスクロールと、その他のスクロールを買って帰る。


 誰かな俺の服を引っ張るのは。


「あんた、たまには魔術師ギルド寄りなさいよ。」

「あれ、ジェラさん、昨日タルト達とオークを追いかけて森に入っていたじゃないですか。」

「そうよ、重大な情報を得たから急いで帰って来たのよ。」

「あれ、1人で戻ってきたのですか。」


 昨日は『真夜中の焚き火』フルメンバーで森に進入していた。

 タルト、スプモーニ、クリーム、エステル、ギー、バニラのマーカはまだ森にある。

 オークを2匹連れている。

 あれ、ボニーも居るじゃないか。


「オークを捕虜にしたから、これを使って、先に戻ってきたのよ。」


 自慢げに魔法の絨毯を見せる。


「これ1人用ですか。」

「無理すれば2人乗せられるわ。」


 フィ師匠から借りてきたようだ。


「俺も作ろうかと思ってたけれどスクロール不足で困ってたんです。」

「魔術師ギルドに寄った?」

「まだです。」

「じゃあ一緒に行くわよ。」


 ジェラはぐいぐい俺を引っ張って行く。

 魔術師ギルドではフィ師匠とペレトラがジェラを待っていた、フィー師匠は俺を見つけるとがばっと俺に抱きついてくるが、防御の指輪の効果で今回は防いだ。 

 グエと蛙みたいに障壁に張り付いている大男を見るのは何ともシュールな光景だ、出来れば裸のお姉ちゃんに張り付いて欲しい。


「リクはつれないのう。」

「爺さんに抱きつかれる趣味はありません。」


 やれやれと言った顔をしながら、ペレトラとジェラが話をしている。


「捕虜のオークから重要な話を聞き急いで帰って来ました。」

「ライセンのオークの一団の件だね。」

「何で知ってるんですか。」

「リクが昨日オークの捕虜を連れて帰ってきたからかな。」


 ジェラは俺を睨む、おいおい何で俺を睨むんですか。


「あんた、調査メンバーだったの。」

「あれ、タルトに聞かなかった?うちのパーティは沼の方に行ってました。」

「『っち』あの馬鹿、聞いてないわよ、今度会った時に殺す。」


 タルトに恨みの矛先が向かったのでそっとしておこう。


「ところで、リクはどうしてここに来たのかのう。」

「永続のスクロールが品切れなのでここなら有るかと思って。」


 工房に行くと1本だけ有ったので、購入する。


「これで、何を作るのかのう。」

「空飛ぶ魔法の絨毯を作ろうかと。」

「わしも持っているぞ。」


 ジェラが丸めて持っている絨毯を指す、いい事を閃いた。


「少し貸してもらえませんか。」

「おう、良いが高価なので汚すなよ。」


 工房の椅子に腰掛ける。

 挿入口をバックから取り出して範囲飛翔と永続のスクロールを入れる。


 レベル7に成り、低レベルの魔法アイテムならリールに7が10個中9個並ぶ様になった。

 魔法の絨毯は中レベルの魔法のアイテムでリールの7は8個だった。


 スロットのレバーを倒しスロットをまわす。


『チャラリー♪チャラリー♪ピ♪ピ♪ピ♪』『チャラリーリー♪』


 まあ普通は成功するよな。1枚出来た。

 フィ師匠の魔法の絨毯を受け取り挿入口に入れる。


 フィ師匠とペレトラ、ジェラが興味深く見守っている。

 Lv0呪文を使って各リールに7を増やし9個にする。

 2枚魔法の絨毯をチップにしてスロットをまわす。


『チャラリー♪チャラリー♪ピ♪ピ♪ピ♪』『チャラリーリー♪』


○赤赤

赤赤赤

赤赤赤


 成功、魔法の絨毯を4枚作成した。

 取り出すと、1.5*1.5mの絨毯が1.5*3mに大きくなっているが気にしないでおこう。


「お借りしたのを返します。」

「これ大きくなってるじゃないか。」


 フィ師匠とペレトラは、工房の中を見渡す。

 急いで目を逸らす魔術師達。


「ここでは何も見なかったよな。」


 ペレトラは笑いながら額に手を当てて、工房の魔術師達に確認する。


「「何も見ておりません。」」


 申し合わせたように一斉に合唱する魔術師達。


 4枚中の2枚は『リク製作所』の宣伝が入ってないな。


「すいません、もう1枚引き取ってください。」

「もうわし驚かないからな。」


 ペレトラは笑いながら。


「まだこれ以上の事が出来るのではないですか。」

「もう一回練成して見ましょうか。」


 絨毯を3枚分選択してスロットをまわす。


『チャラリー♪チャラリー♪ピ♪ピ♪ピ♪』『チャラリーリー♪』



○赤赤

○赤赤

赤赤赤


 6枚の魔法の絨毯(3m*3m)が出来た。


「ほい、出来ました。2枚は宣伝入ってないので、引き取ってくださいね。」

「ええ!!マジでかばかなあ☆!!#、。」

「師匠もう笑うしかないですね。リク殿この大きさは市場に流通して無いんですよ。」


 ペレトラの俺の呼ぶ名称が変わった気がするがまあいいか。

 あと、驚かないと言ったフィ師匠の驚きっぷりは笑えたな。

 帰り際にフィ師匠が。


「会わせたい人物が居るので今度呼びに行く。」

「誰ですか。」

「ブルグント国王だ。」


 それってここの王様ですよね。


「そうじゃ。」

「お断りします。」

「おい、そこは断る所では無いのじゃが。」

「では、帰ります。」

「おい待て、待てと言ってるじゃろ」


 宿に逃げるように戻り、明日の朝の出発に備えて準備をした。 



異世界冒険日30目

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