第29-1話:挿入話タルト自慢する
29話が短かったので、本編には関係ない話を挿入します。
タルトは訓練所に行き兵士達に訓練を行う。
若い兵士達はウォーリアーで、戦士の訓練を積んだタルトに憧れる者が多い。
戦士とウォーリアーでは戦いの特技の数が違う。
力量が同じでも、足払いや、武器破壊、武器習熟など実戦的な特技が多い戦士は強いのだ。
タルトは下水道での戦いでレベルが4に上っていた。
若い兵士達はこの都市内でも有名になってきたタルトに訓練をつけてもらうように並んでいた。
タルトも的確に指示を出して兵士を鍛えていると。
「タルトか珍しいな、お前は人に教えるのが好きじゃないからな。」
警備長がタルトに声をかける。
レベル7のウォーリアーでここの訓練教官でもある。
「へへ、武器の試し切りをしようと思ってね。」
「新調したのか。」
「いえ、魔法を追加してもらいました。」
「では、一度相手になろう。」
真剣で組手を行うことになった。
誰でも行える事ではない、二人とも達人レベルで有るから行えるのだ。
兵士達は周囲に集まり静かになる。
勝負はタルトの切り込みで始まった。
(なんだこれ、剣が軽い。)
剣の軽さと反比例して打撃力が上がっているのも驚きを隠せない。
タルトの剣圧で下がる警備長、反撃しても盾で防がれる。
「一撃がとても重くなったじゃないか、魔法の盾も強力だな。」
剣の腕は警備長の方が上だが、剣の付加された力と盾の防御力で押される。
お互いほぼ互角の勝負、5分ほど度打ち込みをした後目で終わりを確認して組手を終える。
若い兵士たちは皆「おー」「すごい」など言っている。
「やっぱ警備長のおっさん強えーな。」
「いやいや、実戦では負けたかも知れん、いい剣と盾を手に入れたな。」
「そういえば、炎を纏わせる能力が有るって言ってたな。」
「試し切りならあそこの人形を使え。」
訓練人形の前に立ち、合言葉と唱えて炎を剣に纏わせる。
「すげー、かっこいい。」「初めて見た。」など兵士達は皆魔法の武器に感動している。
「だぁー。」
『ボン』
訓練人形が真っ二つになり爆発して燃え尽きた。
「「すげー」」兵士達の全員の声が重なる。
「おいこれって、上級の炎の効果だよな。」
兵士長も驚いてタルトに確認するが、一番驚いているのはタルトだった。
(ここまで強力な魔法が付与されるって在りえねぇー。)




