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第28話:再び下水道へ

 朝ベニーと朝食を取り、散歩しながら帰る。


「ねえ、従業員に配っているこのお守りって何の効果があるの。」

「あれ言ってませんでしたっけ、病気と毒に耐性が出来るんです。」

「凄いアイテムね。」

「従業員の健康管理も雇い主の責任ですからね。」


 まだプロトタイプで、これに判断力と耐久力の上昇効果を付けようかと思っていた。

 昼までに時間があるので、魔法道具屋に寄ってスクロールを購入して帰る事にした。


 ベニーは昼出勤で昼飯を早く取りたいと言っていたので、早めの昼食を一緒に取り帰宅する。

 昼食中ビッキーをよろしくお願いと言われた、心配かけて申し訳なく思う。


 マリーヌとビッキーと合流して出発する。

 魅力のマント+4の効果でビッキーの美しさがとんでもない事になっている。

 魅力20は誰もが振り向く、無意識でも振り向いてしまうレベルだ。

 ベニーと比べたらビッキーの方が美しいが、あれだな、ミス・ユニバースの1番は美しいでも結婚したいとは少し違うのと同じだな。

 俺はベニーの方が好みだ。


 門の近くに行くとタルトが兵士と談笑していた。

 こいつ毎日暇なのか。


「リク、ベッピンさん連れて装備の発表会にでも行くのか。」

「一昨日と一緒ですよ、宝探しです。」

「マジか、前衛いないけど大丈夫か。」

「大丈夫な所に行こうかと思います。」

「俺が付いて行ってやるよ。」


 前衛は欲しいが、一人当たりの経験点が減るので今は必要ないな。


「結構です。」

「そうだろ俺がいれば、えっ断るの。」

「はい、強い人が居ると修行にならないので。」

「そんな事言うなよ。」


 結局断りきれずタルトと一緒に行く事になった。

 タルトはこの国の兵士の訓練と用心棒の仕事を随時契約で受けていて、暇なときはこうやって日銭を稼ぐらしい。


 警備兵は50人の3交代制で、40人が常に見回りをしてるとか、こいつ馬鹿だな国の警備体制をぺらぺら喋ったらまずいだろ。

 マリーヌにこそっと聞いたら。


「まあ調べれば直ぐ分かることだから問題ないとは思う。」


 国の警備体制はそんなに重要事項じゃないのか、でもタルトには自分のパーティの参加はご遠慮願いたい。


 下水道の入口に着いた。

 タルトはランタンを取り出す、「永遠の炎の呪文が掛けるあるんだぜ。」と得意顔。

 まあ3人は暗視ゴーグルが有るから明かり必要ないけど黙っておこう。


 水路を進み脇道へ行く、この辺から下に降りれたな。

 タルトはロープを取り出す。


「縄梯子は持ってきてないがこれくらいならロープで下りれるだろう。」

「降りるときは降りたのを確認してから次の人が降りること。」

「昇降してない人は敵捜を。」


 色々と冒険の知識を教えてくれる。

 敵捜はマップで確認しているから必要ないけれど、他の2人は真剣に聞いている。

 下で落ちないように待っててくれるが、壁歩効果がある靴を装備しているのでただのセクハラだな、あ、尻触りやがった。


 巨大ネズミが100匹いる通りまで歩く。

 タルトから休憩を入れないかと提案される。


「お前ら鎧が軽くて歩くの早いな。」


 靴に俊足効果があるから早く歩けるのだけどね。


「もうちょっとしたら巨大ネズミの巣がありますから。」

「まあ、初心者パーティの最初の敵には丁度いいかな。」


 作戦は前回と一緒の予定。

 引き付けてマジックアイテムで殲滅するので、抜けたネズミの壁役をタルトにお願いする事にした。


「タルトこれを使ってください。」

「矢か、うん?普通の矢ではないな。」

「周りのコーティングが剥がれると激しく燃えます。照明の代わりになります。」

「便利だな。」

「燃えやすいので扱いに注意してください。」


 魔法のアイテムでは無いのだが、道具屋に売っていたのを真似て作ったやつだ。

 マップで見ると100mぐらい先に沢山いる。 


「弓の用意を。」

「敵がいるのか?」

「撃て。」


 バチバチと燃えた明かりに照らされてネズミが一斉に動き出すのが見える。


「リクこれはやばいぞ、めちゃくちゃ多い。」

「約100います。」

「おい100匹って、それに何で知っているの。」

「ちょっと戦闘に集中してください。はいアイテム起動。」


 2人並んで稲妻の杖の効果を開放する。

 25匹のネズミを雷が襲う。


「敵沈黙、第2波22匹。」


 俺も稲妻の杖を使いネズミを焼く。


「残り11匹、マリーヌ雷鳴効果を使用。」

「了解。」


 タルトの前までネズミが迫るが、マリーヌは杖の雷鳴の効果を発動し、轟音が轟きネズミを打ち倒す。


「敵は混乱しているので、接近戦準備。」

「おいちょっと待てまだ50匹以上いるだろ。」


 無視無視、俺達はフィギア袋から取り出した人形を投げると3体の熊が現われた。


『通路を塞ぎながらネズミを攻撃しろ(して)。』

『ガウ。』


 3人の指示で通路を塞ぎながら走っていく。

 やっぱり俺の熊だけ返事しない、男女差別なのか泣くぞ。


「タルト置いてくよ。」

「俺必要ないんじゃね。」

「壁役が必要だからお願いします。」

「お、おう。」


 熊の壁から無理やり抜けてきたネズミをタルトが止める。

 後衛は火玉の数珠を取り出して攻撃する。

 玉はファイヤーボールとなりネズミを駆逐していく。



 火玉を6発投げたところで残りのネズミは逃げていった。


「ふぅー、リク何と撃退した、なっ!」


 タルトは3人が天井にぶら下がっているのに驚いている。


「なんで天井にぶら下がっている。」

「普通に射撃攻撃したら射線に前衛がいるので巻き込むでしょ。」

「いやそうじゃなくて、どうやって天井にぶら下がってるのかを聞いている。」

「この壁歩きの靴のおかげです。」


 天井から飛び降りる。

 指輪の着陸の効果で、ふわっと降りる。


「おいなんだよそのふわっと降りてるのは。」

「着陸の指輪の効果ですよ。」

「べ、便利だな。」


 ネズミは全部で105匹いたようだ。

 2人のレベルが上がった可能性が高いので、帰る事にした。


「もう帰るのか。」

「ここから先は盗賊の隠れ家です。」

「ランスの都市内に巣くってる盗賊集団を見逃すのか。」


 どうやら、城塞都市の裏の支配者で、暴力団みたいなものらしい。


「盗賊だからって、襲って殺すのはどうかと思います。」

「通報するだけでも賞金がでるぞ」

「通報されたらアジトを捨てて直ぐに逃げますよ。」

「しかしだな。」

「恨みを買いたく無いですし、将来に犯罪を犯すからって現在の罰の理由にはなりませんよ。」


 俺、かっこいいこと言ってるな。


「分かった帰ろう。」

「実は、今日は報酬がありません。」

「え、マジなの。」

「申し訳ないので、今日の給金出しましょうか。」

「いや、いらない。」


 お、男前だな。


「変わりに、この剣に魔法の効果を付けてくれないか。」


 前言撤回。


 本日の冒険は終了した。 




異世界冒険26日目

取得経験点


経験値:2625を得た。


総計経験値:18280


マリーヌ:Lv2→Lv3

ビッキー:Lv0→Lv2

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