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狭間の世界  作者: aoo
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第四章〜戦いの時〜

第四章〜戦いの時〜


僕は闇の組織「ミシェル」の追手から逃げるために夜の街をひたすら走り回った。

エレナからもらった一枚のメモを頼りに、、、


辿り着いたそこは「BAR hazama」


BARのマスター、、、と呼ぶべきか、、、ママと呼ぶべきか、、、とにかく僕を優しく歓迎してくれた。


そしてマスターから明かされる衝撃の事実。

「あなたは未来人よ」

どうやら僕は組織の記憶操作により、過去の記憶を書き換えられているらしい。


そして僕は「狭間の世界」の鍵。


そんな昔話しをしばらくしていると、エレナが顔をクシャクシャにして涙ぐみながらBARに入ってきた。

「あなたと一緒に戦うために私はここいる」

僕の目を見てエレナはそう言った


(ぐぅ〜)

僕とエレナのお腹が同時になった。


「お腹すいたね!マスターなんか作ってよ!」


エレナは我が家に帰ってきたような安堵の表情でいつものようにマスターに注文した。


「時間ないからチャーハンで良い?」


マスターはそう言い放ち料理を始めた。

僕とエレナはテーブル席に座り、マスターの料理をおとなしく待つ事にした。


、、、、、無言がつづく。

何を話したらよいのか?何から聞いたらよいのか?情報の整理がおいつかない。


「ホントに何も覚えてないんだね、、」

「私の事も忘れちゃたのか、、、」


寂しそうにエレナがつぶやいた


「ごめん、、、、、、、何も覚えてない」


うつむく僕にエレナは優しく微笑む


「しょうがないよ〜そうするしかなかったんだから!」


なんだかエレナの笑顔に癒される。

歳は自分の娘くらい、、、僕にはいないが、もしいたらそのくらい歳がはなれた、か弱い女の子なのに、不思議と母の様な暖かさを感じる。

僕は少し恥ずかしくて、マスターが用意してくれたた新しいタバコを開け火をつけた。

「ふぅ〜」


「あっ!タバコは同じやつなんだね!

懐かしい匂い。好きだったなぁこの匂い」


さっきとは違う顔でエレナが笑う。まるで子供のように無邪気に笑っている


「エレナ、、僕と君はどんな関係だったんだい?」


緊張もほぐれたせいか、僕は自然とエレナに質問していた。


「わたしはあなたの、、、」

何かを言いかけた時に


「おまたせ〜熱いうちにたべなさい」


マスターが山盛りのチャーハンを片手に割って入る


「わぁ〜美味しそう〜」


エレナのテンションが明らかに上がっている

僕もそのチャーハンの匂いにどうしても抗えない。何も食べていなく空腹と戦っていたから、、、


「いただきます」


マスターが小皿にとりわけてくれたチャーハンを無心で腹に詰め込んでいく。

なんだか懐かしい味だ。

あの山盛りあったチャーハンは、跡形もなく消え去った。


「ごっちそうさま〜」

「おいしかったぁ〜」

エレナが満足気な笑顔で元気に言う。


「ありがとう。生き返りました」 

マスターに心底感謝を感じ礼をした。


「さて、これからの事を話すわね」


マスターが真剣な表情で話しはじめる。

まるで作戦会議のようだ。


「まずはもう1人合流するわ」

「それからその人と3人で組織に潜入してちょうだい」


どうやら今から来る人物は組織の研究者のトップのようだ。

元々は「トライデント」の人間で、内部を探るために組織に入りこんでいるらしい。

そしてマスター曰く僕の記憶を操作したのもその人物の可能性が高いと言う。


「組織に潜入して、あなたの記憶を取り戻してきてちょうだい」

「戦いにはあなたの力が必要よ」


真剣な眼差しで話しを聞いていたエレナが口を開く


「マスターその人は私も知ってる人?」


「えぇ。良く知ってるわ」


「そか。それで私は何をしたら良いの?」


「あなたは、彼を守ってあげてちょうだい。彼はまだ覚醒していないからとても弱いわ。今度はエレナが彼を守るの」


「うん。もう守られてばかりの私じゃないからね!あれからいっぱい特訓して強くなったんだよ私!!、、、って覚えてないかっ」


クスクス笑いながらエレナは僕の胸に拳を当てた。


(カランカラン)


BARの扉が静かに開いた。


「来たわね、、、久しぶりね、、、リカ」


彼女の名前は「リカ」

背が高く、タイトスカートから伸びた足はまるでモデルのようなスタイルだ。髪が長く吸い込まれるような瞳、、、、。

マスターに声をかけられてふっと笑った顔にはエクボが似合うチャーミングさもあった。


「あ、、、はじめ、、、」


挨拶をしようとしようとした僕を跳ね除けて、エレナがその女性に向かって走り出す。

その女性の服をつかみ、、


「ママ!!」

「どこにいたの。ずっと心配だったんだから!!」


大声で泣きじゃくりながら声にならないような声でエレナはリカにしがみつく。


「ごめんねエレナ。組織に入る以上誰にも言えなかったの。許して」


リカはエレナの髪を撫でながら優しく微笑みかけた。


「パパもいなくなって、、ママもいなくなって、、、大変だったんだから」


おもちゃ売り場で駄々をこねる子供のように泣きじゃくる。


「わかったからもう泣かないの。それとも泣き虫エレナのままなのかな?」


リカに諭されるとエレナはその場に座り込んで涙をふいた。


「おかえり。ママ」

「ただいま。エレナ」


リカはエレナの頭をポンポンと2回叩くと、僕の方に向かってきた。


「あ、改めて、、、はじめ、、」


挨拶をしようとするとリカは僕の言葉を遮る。


「久しぶりねせい。ま、覚えてないでしょうけど」


「青」??

それが僕のほんとの名前??

マスターが慌てたように入り込む


「いいの?情報をあたえて?」


どうやらマスターは、僕の記憶に関する情報は最低限しか与えないようにリカから言われていたらしい。特に僕個人に関する事は絶対言わないように言われたのだ。


なんとなく腑に落ちた。

マスターもエレナも何かを言いたそうにしていた。2人で目配せをしながら会話をしていた。

初めは気を使ってるのだろうとおもっていた。信用されていないのかとも。


「さあ、時間がないわ。早く出発するわよ」


リカは急かすように僕らに言った。


「よし!行こう」

「話しは帰ってきてからだ」


僕はエレナにそう言って手を差し伸べる。


「うん。帰ってきたら昔の話をいっぱいしよう」


エレナは僕の手を力強く手に取り、マスターに敬礼をしてドアに向かったその時!


(ドカン、、、)


ドアは蹴破ぶられ、エレナが吹き飛んだ

「エレナっ!」

僕はすぐさま駆け寄り抱き抱えた。


「やっと見つけたぜー」


あの男だ。夜の街で見た身長2メートル近くあるあの不気味な男がドアを蹴破り入ってきた。マスター目が鋭さを増した。


「ヴォルケン、、、貴様」


「し〜しょう〜お久しぶりじゃないですか〜あ、、、元師匠かぁ〜」

「そんなナヨナヨしちゃって〜昔の影も姿もないですね〜オカマ師匠♡」


やつの名前は「ヴォルケン」、、、マスターの昔の弟子のようだ。

身長2mから見下されるその圧力はまるで重力に押しつぶされそうな力で圧倒している。そして、人を小馬鹿にしたようなその口調は自信の表れのようにも見えた。


「全員揃っててくれて助かるわぁ〜。お前らのせいでこちとら夜通し探し回ってたんだからよ〜」


ヴォルケンは時折見せる鋭い眼光で苛立ちを表現している。


「おい。捕まえろ。まだ殺すなよ」

ヴォルケンの号令と同時に後ろにいた10人の手下がBARになだれ込んできた。


「エレナ、リカ。青を連れて裏口から逃げろ!ここは俺がなんとかする!」


マスターが拳を握りかまえる。

「行け!」

マスターの強い口調にとまどいながら、エレナは僕をひっぱり裏口へ向かう。


「ヴォルケン。なめるなよ。お前はここで仕留める」


ヴォルケンは高笑いしながら言葉を返す。


「お手なみ拝見しますよ〜

おーかーまー師匠♡」

「お前ら油断すんなよ。見た目はオカマでも、元一流の戦闘員だからな」


ヴォルケンが今までのふざけた表情が一変して、部下をどなりつける。

しかし、マスターこそ有名人らしく、部下達は全員足がすくみ動けない。

戦闘力の低い部下達でもわかるくらい、マスターの気迫のオーラがつたわるのだ。


「チッ」

ヴォルケンはイライラした顔で舌打ちをした。その瞬間、自分の前にいた部下の首を掴み持ち上げる。ミシミシとなる骨の音とともに天井近くまで持ち上げた。

首の骨を握り潰し部下達の前に放り投げる。


「こうなりたくないなら行けー」


ヴォルケンにどなりつけられた部下達は一斉にマスターに襲いかかる。

しかし、百戦錬磨のマスターは冷静に息を吸い込み、部下達に対峙した。

しなるように、ダンスをするように、、、

この狭い空間のなかで、9匹の猫が1匹のネズミを捕まえられないような華麗なフットワークで圧倒している。

そしてパワーも桁違いだ。

殴られた戦闘員達は綺麗に吹き飛んでいく。

あっという間の出来事だった。


「ま、これくらいはやってもらわねぇーと俺様がたのしめねぇ」


ヴォルケンは立ち上がり

「場所かえよーぜ」

とマスターに伝え店から出ていく


「わかった」

マスターも拳を強く握り直しヴォルケンに黙ってついて行った。


(青、、、、必ず生き延びろよ。お前が唯一の希望だから)

マスターはそう祈り、ヴォルケンとの戦いにみを委ねた。

マスターとヴォルケンの戦いは続く。


第四章〜完〜

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