サヨナラの次の朝。
君がいなくなった次の朝。
サヨナラの朝の次には
もうなにもなくて。
一枚になってしまったお皿に
一枚になってしまったトーストをのせ
一杯のコップに
苦い、苦いコーヒーを淹れた。
欠けてしまったサイコロは
もう二度と転がることもなくて
それがただただ
振り出しに戻れないことの合図で
君と僕のレールは二度と交わらない
それが再確認させられただけでした。
君が隣にいるという日常
今は君がいないという非日常
それは僕の日常に多大な歪みを加え
僕は立っているのもままならなくなってしまった。
それでもどうにかして、
非日常という現実を日常として送り始めたころ
君の姿がイタズラとばかりに夢に出てきた
僕の心を翻弄するだけの君の幻
わかっていながらも
僕はその夢へと溺れていった。
幻の君は笑っていて
あの頃の僕たちに戻ったみたいだ
嘘偽りのない
砂糖よりも甘ったるい愛の言葉を
恥ずかしげもなく、平気に並べて
君へと送った言葉達
いつしか夢にも覚めてきたころ
何も言わず
ただ笑ったままの君に
僕はあの時言った言葉じゃない
君を捕えてしまう鎖じゃない
拙い心の気持ちを叫びました。
サヨナラなんてあんまりだ
僕はまだ、
君をこんなにも愛しているというのに!!
だからサヨナラなんて言うもんか
君とは別れたくはなかったんだ。
だけどこれだけは言っとかなきゃ、
あの時に本当に言いたかったのは・・・・・・
「またね」じゃなくて・・・・・・
“ありがとう”だったんだ。
僕を愛してくれた君へのありがとう。
僕を愛し尽くすまで愛してくれた君へのありがとう。
そして、
僕にここまで人を愛すことを教えてくれた
何よりも愛おしい君へのありがとう―――
でも
現実の僕には
君にこの言葉を直接言うことなんか出来なくて
昔の恋に引きずられた
みみっちい僕の汚い言葉
ごめんね
今更だけど
あの言葉は重すぎたよね。
今から新しい未来に
羽ばたこうとしていた蝶のように美しい君
僕はそんな美しい君の羽を
むしり取ってしまうほどに重い重りをつけてしまった
あぁ、
僕は君に悪いことをしたと
今でも悔んでいる。
でも・・・・・・
でも、
それでも、僕は
君に“僕”という存在を植え付けようとする
君への独占欲に塗れながらも
今も君に夢中なんだ。