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「慰謝料って……。何よこれ?」と妻は開口一番に怒りながら言う。僕は妻の不貞行為の証拠を突きつけ、「気づいてないとでも思った? 君の行動が怪しすぎたから調べさせてもらったんだ」と妻に告げた。もちろんボイスレコーダーをオンにした状態で。
「ああそうよ。私、ミナトくんと一緒になりたいの。あなたはもういらない。離婚して。どうせあなたも私と離婚したいんでしょ?」
全てがバレたこともあり、妻は開き直る。あまりにも身勝手な言い分に僕は呆れ返った。
「……お前、最低だな。家庭を蔑ろにしてまで男とイチャイチャしてぇのかよ! 離婚してやるから今すぐ出て行け!」
たまらなくなり妻に怒鳴りつける。これまで女性に怒鳴りつけたことなど一度もなかったので、こんなにも怒れる自分に驚いた。
「ああ、もう今すぐ出て行ってやるわこんな家!」
妻はそう言って記入済みの離婚届を投げつける。それからキャリーケースに荷物を詰め込み、家から出て行く。どうせミナトのところにでも行くのだろう。僕はそう思っていた。




