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転生したらうさみみでした  作者: 黒鉄神威
第五章 王都動乱編
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第八十五羽. 黄昏に響く叫び


 冬の街道は澄み切った青空に覆われていた。


 そんな青空の下、一台の馬車が街道を西へと進んでいた。車輪は滑らかに回り規則正しく石畳を叩き、馬は一定のリズムで蹄を響かせる。セリアの従魔であるエルミオスが馬車を引き、馬車はセリアの施した改造により、その乗り心地は穏やかで、体感的にはゆっくりと進んでいるかのようだった。だが実際には、街道を行く他の旅人の馬車を軽々と追い抜き、瞬く間にその背を遠ざけていく。快適さと速度、その落差が、セリアたちの馬車の特別さを際立たせていた。


 馬車の中では庭園(ガーデン)のメンバーであるアルジェント、ヴェイン、メルディナが思い思いの時間を過ごし、テオドールは課された修行を愚直にこなしている。双子のリュカとフレイアはつい先ほどまでテオドールの修行を一緒に行っていたが、今は疲れ果てソファーの上で夢の中である。


 御者台にはセリアとアヤメが並んで座っていた。冷たい風を頬に受け、暖かな冬の日差し中、二人は穏やかな時間を過ごしていた。


 ふと、アヤメが空を見上げて小首を傾げた。


 「セリアねぇ・・・空って、なんで青いの?」


 唐突な問いかけに、セリアは目を細めて空を仰ぎ、即座に答える。


 「空が青いのは、レイリー散乱ね。」


 「れ、レイリー・・・何?」


 聞き慣れない言葉にアヤメが目を瞬かせる。


 その反応に、セリアは小さく息をつき、この世界にはレイリー散乱という言葉が存在しないことに気づいた。そもそもレイリー散乱のレイリーは科学者の名前である事も思い出すセリア。


 「・・・言葉で説明しても伝わらないわね。ちょっと見せるわ。」


 セリアは掌を掲げ、淡い光を凝縮させる。やがてそれは氷の結晶へと姿を変え、透明なプリズムとなった。セリアはそれをアヤメとの間に掲げ、角度を調整する。ちょうど青空から射し込む光がそこに差し込み、七色に分解された光が鮮やかに広がった。


 「わぁぁっ!」


 アヤメの目が輝き、幼子のような歓声が漏れる。


 セリアは光の帯を指差し、ゆっくりと言葉を紡ぐ。


 「空気の中には目に見えない小さな粒が沢山あってね、光がそこにぶつかると散らばるの。青い光は他よりも散らばりやすいから、空全体が青く見えるのよ。」


 「なるほど・・・青いのは空の色じゃなくて、光のせいなんだっ。」


 アヤメは感心したように頷き、再び空を見上げた。


 セリアは口元にわずかな笑みを浮かべる。


 「そういうこと。青空も、理屈がわかれば少し違って見えるでしょう」


 冬の街道を行く馬車の上、静かな日常の一幕が、確かな旅の始まりを告げていた。



 ◇◇◇◇◇◇


 王国中央に位置するヴェルミュール平原、その中心都市である商業都市フォロネス。穀物などの交易の中心地として賑わいを見せる商業都市フォロネスを後にしたセリア達庭園(ガーデン)一行は街道は、ヴェルミュール平原を南北に走る街道を王都セイグラムに向かって進んでいた。


 逢魔が時。夕暮れの空は茜色に染まり、街道に長く伸びる馬車の影もしばらくすれば闇に呑まれていく、そんな刻限。


 「・・・ん?」


 御者台に座るセリアの耳が、微かに吹く風に混じる人の叫びを拾った。すぐに意識を集中させ、探知を展開する。周囲の地形とエーテルの流れが浮かび上がり、街道脇の森の中で異常な反応を捉えた。


 「魔物に襲われているっ!」


 セリアは御者台を振り返り、手綱を握るアルジェントに短く命じる。


 「馬車を頼んだわっ。」


 「承知しました。」


 次の瞬間、セリアの姿は風を裂いて街道を離れていた。


 そこにあったのは、絶望の光景だった。


 森の木立の中、夕暮れの光に照らされて、巨大な影が子供たちの前に立ちはだかっていた。赤黒い毛並みが血のように光り、鋭い牙と爪を剥き出しにして唸り声を上げる。


 熊型の魔物、レッドグリズリー。


 本来なら森中とはいえ、街道に近い場所には姿を見せない魔物。そんな魔物を前に怯える子供たちは背を寄せ合い、一人は既に足を傷つけて地面に倒れていた。巨体が揺れるたび、地面が震え、圧倒的な恐怖が子供達を縛り付ける。


 レッドグリズリーが前脚を振り上げ、倒れた子供めがけて爪を振り下ろす。その瞬間、影が音も無く横合いから飛び込み、子供達とレッドグリズリーの間に割り込む。振り下ろされる爪を左手で受け止める。セリアの足元が僅かに沈み込み、土煙が舞う。


 「・・・っ!」


 巨体の膂力を正面から受けながらも、セリアの姿勢は微動だにしない。レッドグリズリーが次の動作に移るより速く、セリアの右掌が閃いた。


 掌打がレッドグリズリーの胸板を直撃する。瞬間、鈍い衝撃音が森に響き渡り、巨体がびくりと震える。レッドグリズリーの赤黒く分厚い毛並みの下を、鋭く凝縮されたエーテルが掌から流れ込み内部を震わせる。


 レッドグリズリーの巨体がびくりと硬直し、赤い目から血が滲む。鼻孔から鮮血が垂れ、口から血を吐き出すと、数歩よろめくとゆっくりと後ろに倒れた。


 重い地響きにも似た音が森の中に響くのを、子供達はセリアの背中越しに眺めていた。理解が追いつかず、惚けた顔をしている子供たちに近寄ると、セリアは倒れている子供へと膝をついた。


 掌を傷口へかざすと、淡い光が溢れ出す。


 「ヒール・・・。」


 傷が塞がり、苦しげな呼吸が次第に落ち着いていく。


 「大丈夫。もう平気よ。」


 セリアは柔らかく告げ、子供たちを見渡した。怯えで固まっていた子供たちは、彼女の優しい微笑みにようやく張り詰めた緊張を解いた。


 「・・・助かったんだ。」


 誰かが呟いた瞬間、抑えていた感情が一気に溢れ出す。子供たちはその場で声を上げて泣き始めた。セリアは何も言わず、そっと彼らの頭に手を伸ばし、一人ひとりを優しく撫でていく。泣き声が森に響くが、彼女は止めようとはしなかった。ただ静かに寄り添い、涙が尽きるまで待っていた。


 やがて子供たちの嗚咽(おえつ)が落ち着いた頃、セリアはようやく口を開いた。


 「街道近くとはいえ、なぜ子供だけで森に?」


 年長らしい少年が唇を噛み、勇気を振り絞って答えた。


 「・・・ぼ、僕たち、近くの村の孤児院に住んでます。シスターが病気で倒れて・・・薬草を取りに来たんです。」


 隣の少女が涙を拭いながら言葉を継ぐ。


 「でも・・・目的の薬草が見つからなくて・・・探していたら、帰り道が分からなくなって、こんな時間に・・・。」


 夕暮れの森に響くその言葉は、恐怖と後悔が混じったものだった。セリアは静かに子供たちの頭を撫でながら、再び優しい微笑みを浮かべた。


 「・・・分かった。じゃあ、私が孤児院まで送っていくわ。」


 子供たちの顔に、涙の跡を残したまま安堵の笑みが広がった。



 ◇◇◇◇◇◇


 アルジェント達と合流したセリアは、子供たちの案内で小さな村の外れに建つ孤児院に辿り着く。石造りの古い建物で、外観には年季が感じられるが、窓辺には布の飾りや花があり、手入れの跡が見える。


 扉を叩くと、中から慌ただしい足音が響き、二十代前半ほどの若いシスターが現れた。


 「・・・まあ! あなたたち、無事だったのね。心配したのよ・・・。」


 安堵のあまり声を震わせ、泣きそうな顔で子供たちを抱きしめる。


 セリアが簡潔に事情を告げると、セティは驚きに目を見開き、すぐに深く頭を下げた。


 「私、この孤児院で子供たちの世話をしているセティと申します。この子達を助けていただいて、本当に、ありがとうございます・・・。どうぞ、中へ入ってください。」


 セティに促され、一行は孤児院の玄関をくぐる。石造りの廊下はひんやりとしていたが、至る所に花が飾られ、生活の温もりが感じられた。


 その時、子供たちが振り返り、セリアの手を取る。


 「セリアさん、シスターはこっちです!」


 悲しげな瞳を向け、そのまま廊下の奥へと走り出す。手を引かれ辿り着いた部屋には一人の老齢のシスターがベッドに横たわっていた。


 帰ってきた子供たちの姿を見て微笑んでいるが、そもれ弱々しい。顔色は悪く、呼吸も浅い。そして何よりも十分な栄養が取れていないのは、明らかであった。セリアが子供たちを改めて見たときの印象は、明らかに同年代の子よりも細い、だった。


 セリアは老齢のシスターの枕元に歩み寄り、静かに椅子を引いて腰を下ろした。細い手を取り、脈を確かめると弱く、途切れがちであった。


 「セリアさん、お願いします! シスターを助けてください!」


 「どうか・・・どうか助けて!」


 涙で濡れた瞳が一斉にセリアを見上げる。


 その切実な叫びに、セリアは小さく頷いた。


 「・・・大丈夫。安心してっ。」


 セリアはそう告げると、立ち上がり老齢のシスターの胸に掌を当てる。掌に淡い光を宿ると、やがてその光は穏やかな揺らめきとなって広がり、老シスターを包み込み溶け込んでいく。


 淡い緑と白が混ざり合う癒しの輝き。子供たちは息を呑み、固唾を飲んでその様子を見守っていた。


 浅い呼吸が徐々に和らぎ、青白かった頬にかすかな血色が戻る。


 「・・・あなたたち・・・。」


 掠れた声がもれ、今まで朧気にしか見えていなかった子供たちをしっかりと捉える。


 「・・・シスターッ!」


 久々に聞いたシスターの声に、子供たちは泣きながらその手にすがりつき、安堵の声を上げた。


 セリアは光を保ちながら、なおも丁寧にエーテルを流し続ける。衰弱は完全には癒せないが、命の危険は去り、呼吸も脈も安定しつつあった。


 やがて光を収めると、セリアは穏やかな表情で振り返った。


 「もう大丈夫です。しばらく安静にしていれば、以前の様に元気なります。」


 子供たちの目から、再び涙が溢れる。


 老シスターが安らかに眠りについたのを確認すると、セリアは静かに立ち上がった。


 「・・・あとは休ませてあげましょう。」


 「それじゃ、子供達は僕が見てるよっ。リュカとフレイアも一緒に行こうっ!」


 リュカとフレイアの肩に手を置きながらセリアに視線を向けるアヤメ。


 「それと、テオもねっ!」


 「えぇぇっ。僕もですかっ。」


 「テオ、日課はいいから、子供達をお願い。」


 「師匠がそう言うなら・・・。」


 アヤメとテオドールは子供達を連れ立って別室へと移動していった。


 残ったセリア、アルジェント、ヴェイン、メルディナに、セティが姿勢を正して言った。


 「・・・こちらへどうぞ。食堂でお話ししましょう。」


 案内された先は、木の長机と椅子が並ぶ素朴な食堂だった。質素ながらも掃き清められた室内には、子供たちの手によるのか色とりどりの布飾りがかけられている。壁際には古い戸棚が置かれ、わずかな食器と乾いたパンのかごが見えた。


 セリアたちは席につき、セティも向かいに腰を下ろす。その瞳には感謝と共に、どこか影の色が宿っていた。


 「改めて・・・子供たちとドロテア様を助けていただき、本当にありがとうございます。」


 深く頭を下げるセティに、セリアは短く頷いた。


 「それよりも、今の孤児院の状況を聞かせて欲しいの。」


 セティは一瞬ためらい、やがて口を開いた。


 「はい・・・この村、エルメアはフォロネスの行政下にあります。孤児院も本来はフォロネスからの援助金で成り立っているのですが・・・。」


 アルジェントが眉を寄せ、静かに問う。


 「ですが?」


 セティは悔しげに拳を握りしめ、声を震わせた。


 「数ヶ月前に、代官から援助金を減らす、と言う通達がありました。そのせいで生活が急激に苦しくなり・・・子供たちに十分な食事すら与えられなくなっているのです。」


 重苦しい空気の中、ヴェインが腕を組んだまま口を開いた。


 「・・・援助金が減らされた理由に、心当たりはあるか?」


 セティは首を横に振り、力なく答える。


 「全くありません。ただ、突然の通達で・・・私たちにはどうすることも・・・。」


 その言葉に、セリアは眉をひそめた。


 ーーー裏を取る必要があるわね。・・・でも今すぐどうにかできることではないか・・・。


 考えを切り替えるように、セリアは椅子から立ち上がった。


 「今は、子供たちに食べさせることを優先しましょう。」


 セリアはそう言うと、セティに向き直った。


 「台所を貸していただけますか?」


 「もちろんです。こちらへどうぞ。」


 セティが立ち上がり、廊下の奥にある台所へと案内する。


 セリアは仲間たちへ視線を向けた。


 「出来上がるまで、自由に過ごしていいわ。」


 すぐにアルジェントが一歩前に出る。


 「でしたら、私はお手伝いします。」


 アルジェントはセティの後に続き、台所へ向かった。


 メルディナは少し考えてから微笑む。


 「妾は子供たちのところへいくのじゃ。」


 そう言って立ち上がり、別室へと足を運ぶ。


 ヴェインは無言で腰を上げ、外套を羽織る。


 「俺は村を見て回る。」


 短い言葉を残し、食堂を出て行った。


 セリアは小さく頷き、セティの後を追って台所へ入った。


 そこは質素ながら清潔に保たれており、木の棚には少量の食器と調理器具が並んでいる。


 「何を作られるのですか?」


 セティが問いかけると、セリアはストレージから、野菜や肉を取り出し始めた。調理場の上には、人参、じゃがいも、大根、葉野菜にコカトリスの肉やオークの肉といった、普段の孤児院では目にすることが少ない食材が瞬く間に山を成した。


 「子供たちが温まるように、鍋料理を作りましょう。」


 セティは目の前の食材の山に驚いたように目を丸くする。


 「セリアさん、これはまさか・・・全部あなたの?」


 「旅の備えの一部よ。せっかくだから皆で味わいましょう。」


 セリアはストレージから大きめ鍋を取り出す。セリア、アルジェント、セティは手際よく切り分けた野菜と肉を次々と投入していく。水と調味料が加わり、鍋に火にかけられる。肉と野菜がぐつぐつと煮え火が通ると、最近手に入れた味噌を入れて味を調える。


 台所から食堂へと豊かな香りが広がっていく。


 「これなら、十分な栄養も取れる。さぁ、みんなで食べましょう。」


 その言葉に、セティの目に再び涙が浮かび、自然と感謝の言葉が零れる。


 「・・・ありがとうございます。」


 「セティさん、子供たちを呼んできてください。」


 「はい!」


 セティは裾を翻して廊下を駆けていった。


 「鍋は私が持って行くからアルは配膳を。」


 「承知しました。」


 セリアは二人に指示を出すと、火を落とし鍋を食堂へと運んでいく。


 やがて食堂に鍋が据えられ、アルジェントが器を並べていく。


 ほどなくして、セティに引率された子供たちが食堂へと入ってくる。後ろにはアヤメ、リュカ、フレイア、テオドールが付き添い、泣き疲れた顔を励ますように声をかけていた。


 セリアは鍋の蓋を開け、湯気に包まれながら柔らかく告げる。


 「料理をよそるから順番に並んでっ。」


 アルジェントの手で次々と器に具沢山の汁がよそわれ、子供たちへ手渡す。全員が席に着くのを確認するとセティが声を上げる。


 「・・・いただきます。」


 セティの声に続いて子供達の元気な声が食堂一杯に響き渡る。


 「いただきますっ!」


 一斉にスプーンを手に取り、野菜やお肉を口へと運ぶ。


 「おいしい!」


 「あったかい!」


 歓声が広がり、食堂は一気に明るさを取り戻した。


 その時、外から扉が開き、ヴェインが姿を見せる。冷えた外気を纏ったまま、鼻をひくつかせて短く言った。


 「おぁ、おいしそうだなっ。」


 セリアは笑みを浮かべ、鍋から器によそい取ると自らヴェインの元へ持っていった。


 「お帰り。さぁ、どうぞっ。」


 ヴェインは素直に頷き、席に腰を下ろした。


 温かな香りに包まれながら、数ヶ月ぶりの心温まる食事が孤児院で始まった。


 温かな鍋を囲む食卓は、笑い声と湯気に包まれていた。


 久しく満足な食事を取れなかった子供たちは、夢中でスプーンを動かし、次々と「おかわり!」と声をあげる。


 アルジェントが器を手際よく差し出し、セリアが鍋から具をよそい分ける。


 「こんなにたくさん・・・いいの?」


 おずおずと尋ねる子供に、セリアは優しく微笑んだ。


 「もちろん。今日はお腹いっぱい食べていいのよ。」


リュカとフレイアも率先して子供たちの器を並べ直し、アヤメはこぼしそうになる子の手をそっと支える。セティは目頭を押さえながら、その光景を見守っていた。


 食事が落ち着くと、セリアはストレージから小さな陶器を取り出した。


 「今日は特別に、デザートも用意してあるの。」


 器の中には、ぷるりと揺れるプリンが盛られていた。


 「わぁぁ!」


 子供たちの歓声が弾け、スプーンを入れた瞬間、甘い香りが広がる。


 「おいしい!」


 「とろとろだ!」


 明るい笑い声が食堂に満ちていった。


 楽しい時間はあっという間に過ぎ、やがて夜が更けていった。子供たちは満ち足りた表情のまま眠りにつき、孤児院には久しくなかった安らぎの空気が漂った。



 ◇◇◇◇◇◇


 そして翌朝。


 朝の光が差し込む孤児院。


 セリアは台所で薬草を煮込み、温かな香りの立つお粥を仕上げた。器を手に、静かにドロテア様の部屋へ向かう。


 「シスター、朝ですよ。」


 セティが声を掛けると、ドロテア様はゆっくりと目を開けた。痩せ細り顔色はまだ悪いが、昨夜よりも明らかに血色がよい。


 セリアはベッド脇に腰を下ろし、器を差し出した。


 「薬草を加えたお粥です。少しずつ召し上がってください。」


 スプーンを口元に運ぶと、ドロテア様は弱々しくも口に含み、微笑んだ。


 「・・・温かい・・・ありがたいことです。」


 食後、セリアは再び掌に光を宿し、回復の魔法を施す。淡い光が体を包み、呼吸はより深く、脈も力強さを取り戻していった。


 「この調子なら、歩けるようになるのも時間の問題ですね。」


 セリアの言葉に、セティの顔がぱっと明るくなる。


 「・・・本当に、ありがとうございます。」


 ドロテアの回復力は素晴らしく、昨日に比べれば確かに力を取り戻していた。セリアは安堵の息をつき、立ち上がるとセティに任せて部屋を後にした。


 玄関先には既に準備を終わらせた庭園(ガーデン)メンバーがセリアを待っていた。セティと子供たちが見送る。


 「どうかご無事で・・・。」


 「また来てねっ!」


 小さな声に背を押されながら、セリアたちは王都への旅を再開した。



誤字・脱字等ありましたら、よろしくお願い致します。


【読者の皆様へのお願い】

作品を読み、少しでも「面白い」、「先が読みたいと」と感じた方は、ブックマークと評価をお願いします。

気合を入れて妄想に妄想を重ねて執筆する原動力になります。厨二病感満載の詠唱も考えて行きます。

改めてお願いします。

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