第二十九羽. 封豨討滅戦・後半
後半戦の開始を告げた封豨の身体がふっと消えると、その姿はセリアの目の前にあった。だが今のセリアにとってその程度の動きを捉える事は造作もない。封豨の動きをセリアはもちろん目でも追えているが、それより周囲のエーテルを感知する事でより正確に判断している。
セリアは封豨の攻撃を躱すことをせずに敢えて《ツクヨミ》で受けた。その攻撃は十分な威力がある事を示した。《ツクヨミ》で真っ向から受けたセリアの身体が封豨の攻撃により沈み込む。
想像以上の威力にセリアの顔が少し歪む。
「我の攻撃を真っ正面から受けるとは、やるではないか。」
無言で封豨の剣を跳ね上げると、セリアは胴へと石突きを打ち込む。その攻撃を封豨は当たる寸前で後ろに飛びのくことで躱す。
「その攻撃には先程痛い目にあったからな。」
剣を正眼に構えた封豨に今度はセリアから攻撃を仕掛ける。淀みなく繰り出されるセリアの攻撃を受けながら封豨がセリアへと語りかける。
「おぬし、名は何という。本来なら矮小な存在の名など聞くに値しないのだが、我にこの姿を取らせた褒美として我が記憶の片隅にでも留めてやる。」
「ありがたい申し出だが、自分から名乗るのが礼儀だと思うが。」
「矮小な存在の礼儀など持ち合わせていないが、まあ良い、我から名乗ろう。」
セリアから距離を取ると剣を地面へと突き立てる。
「我の名は封豨。瑞獣の内が一にして至高なる存在。篤とその胸に刻むがよいっ!」
人型としてセリアの前に姿を見せた時からセリアには思う事があった。封豨は終始上から目線なのだ。少々イラッとしたセリアであったが、それを表に出さないように務め封豨の名乗りに耳を傾けていた。
「して、次はおぬしの番だ。」
「私の名はセリアだ。」
「それだけか?」
「あぁ、それだけだ。それ以外に何が必要だ。」
「確かに・・・そうだな。」
地面に突き立てた剣を再び手に取ると、その切っ先をセリアに向ける。
「所詮は死にゆく物の名だ。」
その言葉がセリアの耳に届くと同時に封豨は行動を開始する。先程よりも格段に速いスピードでセリア迫ると勢いそのままに横薙ぎに剣を振る。
その攻撃を難無く受け止めるセリアに。
「そうだ。死ぬ前に我を楽しませろっ!!!」
剣に力を込めると力任せに剣を振り抜く。それを柄を滑らせる往なすとセリアは自らの身体を回転させ、その勢いのまま封豨を切りつける。
自身の身体にセリアの刃が届く寸前に封豨は一歩踏み出すと柄を身体で受ける選択をする。柄とは言えその威力は封豨を吹き飛ばす程の攻撃である。だがそれを封豨は耐えて見せた。
その頑丈さにセリアが驚嘆していると、封豨は剣から放していた片方の腕をセリアの顔面を目掛けて振り下ろしていた。
振り下ろされた拳がセリアの顔の真横を通過していく。風を切る音をセリアの耳が間近で捉える。そしてその音が攻撃の威力を物語っていた。
ギリギリで攻撃を躱したセリアが距離を取ると封豨は狙った獲物は逃がさないとばかりに、セリアへと躍りかかる。
そこから何十合と両手剣と鎌との打ち合いが繰り広げられていく。
その均衡は徐々に崩れ始める。
傲慢と獰猛さをその身に宿した表情は次第に鳴りを潜め、かわりに焦りと動揺が表へと出始めた。
そして封豨の息が乱れ始める。
対してセリアの表情は戦いの序盤から一環して変わらず、いまだに息も乱れていない。
封豨の内面の有り様は形になった現れた。今まで問題無く《ツクヨミ》と渡り合っていた剣は、容易に切断され、封豨の胸に大きな傷を作る。
大きく仰け反る封豨、自分へと傾いた均衡を崩さないために行動を開始するセリア。
「表技・捌ノ型 八葉乱舞」
セリアの意思は技となって体現される。《八葉乱舞》、それはセリアの神速および縮地を最大限に生かした連続攻撃。その幕は使用者の意思または敵勢力の全滅を以て下りる。
次々に封豨の身体に傷が刻まれていく。生存本能のなせる業なのか無意識に封豨は全エーテルを防御へと回している。そのため辛うじて致命傷は避けていた。
それでもセリアの攻撃は着実に封豨を死へと誘っていた。
セリアが攻撃の手を止めると封豨は気を失いその身を大地へと預けた。当初こそ致命傷を避けていたが、致命傷ともいえる傷が全身に刻まれている。
「我は瑞獣・・・封豨。貴様のような矮小な存在にやらせはせん!やらせはせんぞっ!!!」
明かに封豨は気を失っている。それでも立ち上がりセリアへと敵意を向ける。その背中には薄気味悪い何かが漂っていた。その薄気味悪い何かは広がり封豨の全身を包み込む。
「我は、我は・・・」
言葉が途切れた封豨の胸にはいつの間にか石のような物が浮かび上がっていた。その石から強い波動をセリアは感じ取っていた。
『セリア、早くその石を破壊するのじゃっ!!』
突然の出来事に二の足を踏んでいるセリアに緊迫感の籠ったメルディナの声が響く。メルディナの声にすぐさま反応したセリアだが、時は遅くセリアの攻撃は封豨の身体を包み込んだ物によってかなはじかれる。
再び攻撃を仕掛けようとするセリアと封豨の間に無数の触手が出現する。辺りを見渡せば触手はセリアを取り囲むように出現していた。
触手は人の形を取ると地面から土が盛り上がり触手に覆いかぶさっていく。そして辺り一帯を封豨の似姿をした土人形が埋め尽くした。
『メル、すまない。破壊に失敗した。何らかの防壁に阻まれて攻撃が届かない。』
『そうか・・・その防壁は突破できそうか?』
『出来るとは・・・安請け合いは出来ないな。それでも周りの邪魔なのがいなければ、確率は上がるな。』
『という事でアル、ヴェイン、アヤメ、それにサジの四人はセリアの手助けに行くのじゃ』
言うが早くメルディナは四人を戦場へと転移させる。
念話でセリアとメルディナのやり取りを聞いていた当人達は、自分の名前が出てきたと思った瞬間視界が暗転する。そして視界には封豨の土人形がひしめき合う戦場の真っただ中にいた。
「さて、四人には土人形の相手を頼む。私も幾分かは手伝うが、基本は四人で頼む。」
初めは呆気に取られたような顔をしていたが、すぐに状況を飲み込むとしょうがないといった表情を浮かべ四方へと散っていく。
そこでセリアはテトラ達を《グリモワール》に入れたままなのを思い出す。
テトラ、ラクス、イロハを《グリモワール》から出すと・・・。
『あるじ~、ぼくらのことわすれてたでしょ!』
すぐさまテトラから苦情が入る。
『そんな事はないが・・・色々と立て込んでてな・・・』
言い訳をするセリアに3匹の視線が刺さる。
『その分暴れて良いから、四人を手伝ってくれると・・・助かる』
『わかった。すとれす、はっさんしてくるっ!!』
テトラの言葉に他の二匹も頷く戦場へ散っていく。
さらにランスロットとブリュンヒルデを呼び出すと二人にも同様の命令を下す。過剰戦力感は否めないが、なにかあってからでは遅いことを考えれば打倒な判断だと自分を納得させ、セリアは封豨へと意識を向ける。
自信に向かってくる土人形を倒しながらも封豨への攻撃を繰り返すもセリアの攻撃は今のところ一向にダメージを与えていない。
『メル、あの石が何なのか知っているのか?』
『白輝石、それがあの石の名じゃ。この石はエイジャの輝石を高純度に精錬した結果得られるものじゃ。元々エイジャの輝石自体にエーテルを蓄える性質があるのじゃが、精錬することで無尽蔵に近いエーテルを蓄えることが出来るようになる。』
『それの何が問題なんだ?使い方によるが話を聞く限り焦る程でもない気がするが。』
『これだけなら何の問題も無い。今までの話は前段じゃ。本題はこれからじゃ。この石は遥か昔、そう・・・まだ神々がもっと身近な頃から存在する。そして当時の人間が神々を打倒するために造った兵器を稼働させるために使用した経緯がある。』
段々きな臭い話になってきたな。セリアはそんな感想を抱きながらもメルディナの話に耳を傾ける。
『その時に作られた兵器が人造兵器じゃ。人造兵器には幾つか種類があっての。その中でも特にやっかいな事この上無いのが拠点防衛用の最終防衛型人造兵器と神域強襲用の対神域強襲型人造兵器の2種じゃ。』
『これにもその人造兵器が関わっていると?』
『分からぬがこの状況じゃ、念頭に置いた方が良いと思うがの。』
メルディナを話を聞きながらセリアが見つめる視線の先には身体の殆どがエーテルとして吸収されている封豨の姿があった。全てが吸収されてしまうのも時間の問題であろう。
『セリアねえ、全部片づけたよ!』
そんな中アヤメから殲滅を完了した報告が入る。セリアは探知でも急速に周囲の敵が減っていくのを認識していた。過剰戦力とはいえ想像以上に早く殲滅したことにセリアは若干の驚きを見せる。
『おつかれさま。随分早かったな。』
『思いの外早くて、びっくりした?まぁ、散々鍛えられたからねっ!』
『みんなは、メルのところに・・・』
セリアは二の句が継げずにいた。今まで如何なるセリアの攻撃をも拒んでいた障壁が突如として消滅した。そして封豨の身体は完全に白輝石に吸収されていた。
《オモイカネ》の予測でももう少し時間に猶予があったはずである。土人形の殲滅が引金になったのか?
『おそらく予想の通りかと思われます。土人形を解析したところ、土人形には周囲のエーテルを吸収する性質が確認出来ました。』
・・・なるほど、あの土人形には周囲もしくは私達からエーテルを吸収する役目も。そして土人形を全て倒す、乃至はこちらが全滅すると次のフェーズに移行するというわけか。
そして次の瞬間、白輝石の背後の空間が歪みだすとそこから人の模造をした金属の塊が姿を現す。白輝石はその人の模造をした物の中へと消えていく。白輝石を取り込むと凹凸も無く金属光沢を放っていた表面が波打ちだし変化し始める。
そしてそこに現れたのは白輝石に吸収されたはず封豨の姿であった。
「殲滅対象を確認。現時刻を以て殲滅行動に移行。術式での殲滅を開始します。」
その声は今までの封豨の声とは異なり抑揚もなく一切の感情が抜け落ちていた。それは前世のセリアにとっては身近であった機械音声と酷似していた。
取り込まれたはずの白輝石が封豨の額に姿を見せると怪しく輝き始める。
『今すぐ、ここに集まれ!メルは自分で何とかしろ!』
目の前の出来事に危機感を抱いたセリアは、戦場にいる者達とメルディナに念話で指示を出す。
そしてセリアが指示を出すのと同時に封豨の口から詠唱が紡がれる。
「七つの封印 終末になり響く七つの笛の音
解き放たれし七つの扉 全てを飲み込み 災厄にその身を焦がせ」
アルジェントを始めとする戦場にいる者達がセリアの下に集まるのと同じくらいに封豨の詠唱が完了する。
「アポカリプス」
そして圧倒的なまでの暴力が解放されセリア達を襲う。
セリアの展開した防御結界により無傷ではあるが、辺り一帯は焦土と化していた。
『メル、大丈夫か?』
『あぁ、妾も屋敷も無傷だ。』
『こいつは先ほど話にあった人造兵器なのか?』
『人造兵器なのは間違いないようだが、妾も知らない型だ。妾とて何でも知っている訳ではないのでな。』
『アル達をそちらに転移出来るか?』
『問題ないが、そやつと一人で戦うのか?』
『少し本気で相手をしようと思っている・・・』
『わかったのじゃ。だが、やりすぎるなよ。それと、そやつの名じゃが、擬態型人造兵器でどうじゃ。いまパッと思いついたのじゃっ!』
人造兵器が封豨の姿をとったところからミミックと名付けたのだろう。何方かというと擬態というより模倣な気もするがミミックの方が言い易いのたしかだ・・・
そんな事を思いながらもメルディナとの念話を切るとアルジェント達の姿がそこから消える。その姿がメルディナの傍で確認出来るとセリアは戦闘態勢を取る。
「術式による対処に失敗しました。これより各個撃破に移行。眼前の戦力を第一級戦力に設定。排除を開始します。」
戦闘の宣言と同時にセリアに向けて行動を開始する擬態型人造兵器。そしてその手にはどこから取り出したの大剣が握られている。
その一撃は剣速、威力ともに明らかに本来の封豨よりも上であった。だが、セリアはそれをいとも簡単に受け止めて見せる。
二撃目を繰り出す擬態型人造兵器の目の前にはセリアの姿は無く、擬態型人造兵器の足元には自身の腕が転がっていた。傷口からは血が出ておらず、切断面は鏡のような光沢感が覗いていた。擬態型人造兵器は落ちた自分の腕を拾い上げると在るべき場所へと押し当てる。そして何事も無かったかのように再びセリアへと躍りかかる。
先ほどよりも鋭い攻撃ではあったが、セリアはそれを躱すと《ツクヨミ》の刃は擬態型人造兵器の身体へと吸い込まれるような軌道を取る。
ガキィーン。
金属同士がぶつかるような音が響き渡る。
セリアの一撃は擬態型人造兵器の胴を切断する事は無く弾かれたのである。擬態型人造兵器の体表には少しの傷があるのみであった。
その後も一方的は戦闘を繰り広げるセリアであったが、擬態型人造兵器はセリアの攻撃を受ける度に身体の強度、能力を向上させていく。
今や擬態型人造兵器はセリアと何十合と打ち合うようになっていた。それでもセリアの顔には余裕が垣間見えていた。
セリアの目には擬態型人造兵器の体内にある白輝石が蓄えているエーテルがはっきりと見えていた。セリアと渡り合うまでに能力が向上しているが、その反面エーテル量が減り続けている。
そしてその時がやってきた。
今まで軽快に動いていた擬態型人造兵器の動きが急に鈍くなり始め、その動きを止める。
「わ、我は・・・我は・・・封豨。瑞獣の一角にして至高なる存在・・・」
感情の欠片も持ち合わせていなかった声は鳴りを潜め、その声は瑞獣として誇りと尊厳を傷つけられ怒りに震える本来の封豨の声であった。
エーテル量は減少していたが、それは擬態型人造兵器自身が保有していた物で封豨のエーテルは減少しいなかったのである。土人形によるエーテルの回収が失敗したこともあり、封豨が一時的しろ顔を出す事にセリアは賭けていた。
「セリアだったな。我の意識がこの身体を支配出来るのもそう長くはない。我のエーテルも尽きかけている。最後にこやつの動きを止める。止めを刺せ。」
「いいのか?」
「あぁ、問題ない。今述べた通り我のエーテルも残り少ない。生き残る術がない。そなたともう少し戦いを楽しみたかったが今となっては叶うまい。」
「礼は言わないぞ。」
「ま、まずい。身体の・・・制御が・・・早くやれ!」
断末魔にも似た封豨の言葉にセリアは詠唱を開始する。
「静寂に至りし路
導くは千の御手 照らすは千の眼
交わり 溶け合い 森羅万象の果て
帰すは始まりの場所 我が導きを以て至れ」
これから使用するのは術式では無い。鎌を使った技には大きく分けて3種類ある。エーテルを身に纏い単純に武器で攻撃する表技、纏ったエーテルを武器から放つ影技、そして術式を併用する奧技の3つである。
そしてこれから使用するのは奧技。
セリアが技を放つ直前、封豨の意識が消滅し、身体の制御を取り戻した擬態型人造兵器がセリアへと襲い掛かる。
封豨・・・安らかに眠れっ!
「奧技・終ノ型 神音」
振り下ろした《ツクヨミ》の刃は確実に封豨を捉え両断した。だが封豨の身体は傷つく事無くその場に在った。
人造兵器に人のような意思が存在するかはわからない。それでも擬態型人造兵器は最後、今まで捕捉できていた全ての事柄が次々と途絶えて行く中で生き残るための意思をはっきりと示した。だがその意思も押し寄せる静寂と溶け合い全てが静寂の彼方へと還っていく。
そして静かに地に伏せる。
セリアと封豨の戦いはこれで完全に幕が下りた。
それでも全てが終わったわけでは無い。封豨の消滅にともない空間が揺らぎ始めた。
セリアは人造兵器を回収するとメルディナのところへと転移する。
空間の揺らぎが収まると、そこは草原であった。
「これはいったい?」
「何が起こった!」
「何がどうなったの?」
アルジェント、ヴェイン、アヤメが三者三様の驚きを見せる。
「簡単な話じゃ。本来のあるべき階層へと戻のじゃ。元々妾を捉えるための仕掛けなのじゃ。まぁ、ここが何階層かは分からんがな。取り合えず周囲に魔物はいないようじゃ。」
「ところでメル様、この屋敷はいったいどうなさるのおつもりですか?」
「そうだよメル。こんなデカい物、持ち歩けるわけないし!」
「アヤメ、よく考えてみろ。屋敷なんで持ち歩けるわけないだろ。当然ここに置いて行くしかないじゃねぇか。」
アルジェントの指摘に対してアヤメとヴェインがああでもないこうでもないと言い合いを始めた。サジはその後ろでその言い合いをただただ眺めている。
「チ、チ、チ、そなた達考えが甘いな!」
メルディナは人差し指立て横に振りながらアヤメとヴェインの言い争い少々ドヤ顔気味に割って入る。
「妾の事を何だと思っているのじゃ。妾にとってそんな事は造作もない。」
腰に手を無い胸を張りながら偉そうに答えるメルディナにアヤメとヴェインはさぞかし凄い術式が見られると思い、期待を込めた目を向ける。
「そのカギを握るのが・・・セリアなのじゃっ!!!」
タメを作り期待を煽るだけ煽ったメルディナはセリアを指さす。それを受けてメルディナの事を無視するセリア。
「おいセリア。無視するなっ!」
「私はこんなデカい物をどうにかする術式は持ち合わせていないぞ。まぁ、破壊する事なら出来るが・・・」
「壊すでないっ!そなたが持っているそのブレスレッドが重要なのじゃ。」
「このブレスレッドが?確かにこのブレスレッドにはストレージ機能が付いているが・・・」
「そうなのじゃ。そのブレスレットをイングから譲り受けたのなら、ストレージは量、大きさとも殆ど制限がない。つまりこの屋敷も問題なく収納可能なのじゃっ!!!」
ヴェインとアヤメはドヤ顔で語るメルディナに白い目を向けていた。結局は他人頼りある事に残念感を抱いたのむ無理からぬ事であろう。
メルディナの説明にセリアは自分が身に着けているブレスレットを暫く見つめていた。
入れられる量についてはほぼ制限が無いのでは、と薄々思っていたが、サイズまでも制限が無いとは・・・いったいどれくらいの大きさまで入れられるのやら。
「とは言っても試すのは明日にするのじゃ。今日はここでゆっくりと休むとしよう。セリア、それでよいな?」
「あ、あぁ、それで構わない。みんなもそれでいいか?」
セリアの言葉に各々が頷くと屋敷の中へと足を向ける。
ふと足を止めると空のある一点を見つめるセリア。
「セリア様、如何なさいましたか?」
「いや、何でもない。アル、戻って早く休もう。」
アルジェントを促すと自身も屋敷中へ消えていく。




