第九十九羽. 魔素の洗礼
「・・・ここは・・・?」
重い瞼を開けると、見知らぬ天井が視界に広がっていた。
青灰色をした石のような質感を感じさせる天井と壁。天井には小さな灯具が等間隔に埋め込まれ、灯具の柔らかい光が部屋全体を照らしている。
ーーー確か・・・巨大兵器の自爆に・・・。
セリアが巨大兵器と戦闘を思い出そうとしたとき、《オモイカネ》の落ち着いた声が声が響く。
『マスターの意識が覚醒したことを確認。脳波・エーテル波ともに異常なし。』
セリアは軽く息を吐き、低く応じた。
『状況を説明してくれ。』
『現在地は始原の迷宮の居住区画。』
『何故・・・そんなところに?』
『その理由については不明。始原の迷宮に転移したところを個体名:リリスにより保護されました。』
セリアは《オモイカネ》との念話の最中、視線を巡らせていた。よく手入れされた室内、壁際には机と棚、簡素な椅子がひとつと必要最低限の質素な調度品が飾られている。
その時、ドアの開く音と共に一人の女性が入ってきた。
「セリア様、お目覚めになられたのですね。」
艶やかな黒い髪を腰の辺りまで伸ばした女性は、セリアの姿に口元が緩み安堵の表情を見せる。今し方念話で名前が上がったリリスである。
「思いの外、元気なご様子なので安心しました。霊廟に突如不可思議な反応を検知したので、急ぎ向かってみれば、セリア様がボロボロになって倒れいたので、びっくりしました。」
リリスは簡単な経緯を語りながらベット脇にある椅子へと腰をかける。
「それに十日ほど目を醒まされたなったので、本当に心配しました。いったい何があったのですか。様子から察すると龍の因子を解放したようですが・・・。」
セリアは冒険者の依頼で幽都回廊・ノクタルナを探索していたこと、そして罠によって別の空間に閉じ込められ、そこで操られたアルジェントとメルディナと戦闘になった事をリリスに話した。
「アルジェントさんもお強いですが、メルディナさんを相手にするのは確かに大変ですね。あれでもレガリアの序列一位ですからね。それでもセリア様が、気を失うまでにはならないと思いますが・・・。」
リリスの疑問に答えるようにセリアは、続きを話し始めた。アルジェントとメルディナの二人を救出し、その空間から脱出を試みた際に妨害に遭い、自分だけが取り残されたこと。さらにはそこで巨大兵器と戦闘になったことを。そして何とか撃破したと思った瞬間、隙を突かれ拘束された上に自爆に巻き込まれる寸前に龍の因子を使用して拘束を逃れた事などを。
「私の記憶にあるのはここまで。あとは《オモイカネ》が補完してくれるはずよ。」
『では、僭越ながら、マスターの記憶を補完します。』
念話をリリスにも繋げ、《オモイカネ》が説明をはじめた。《オモイカネ》の説明では、セリアが気を失ったのは巨大兵器の自爆を耐え抜いた直後であった。閉じ込められた空間が完全に消滅する僅かな時間で《オモイカネ》が転移を実行した時、何かに引っ張られるように始原の迷宮に転移が行われた。
「まず、その巨大兵器はゾディアックに関連した物でしょう。」
「私もそう思っている。つまり・・・。」
「そうですね。迷宮で起こっている事の全てはゾディアックが裏で糸を引いてと考えてよいと思います。」
「きっと、まだ迷宮を探索しているはずだ。早急に戻らないとっ。」
「そうはおっしゃいますが、体調は大丈夫なのですか? 私が見る限り体内のエーテル循環は、安定してないようですが。」
「正直なところ、まだ上手くエーテルを制御できないけど・・・問題ないわ。」
「わかりました。止めませんが、もう一日ゆっくり休んでください。セリア様もご存じの通り戻る際の時間は何とでもなりますから。」
リリスは立ち上がって、セリアを諭すように告げると扉に向かって歩き始める。扉を開けたところで何かを思い出したように、セリアに視線を向ける。
「セリア様、戻られる前に霊廟に立ち寄ってください。霊廟に転移したということは、アルテナ様が何か関わっていると思われるので。」
「あぁ、わかった。明日霊廟に立ち寄るわ。」
セリアの返答を聞いたリリスは、軽く会釈をすると部屋を後にした。遠のく足跡を耳にしながらセリアは再び眠りへとついた。
翌日、エーテルの制御にまだ問題はあるものの身体の重さは綺麗に消えていた。そんなのセリアの姿は今、霊廟にあった。そこはヒンヤリとした空気と厳かな雰囲気が漂う石造りの部屋。そしてセリアの前にはセリアと瓜二つの姿をしたエーテルの集合体が佇んでいる。
「久しぶりだね。セリア。」
「そうね。九ヶ月ぶりってところかしら。あなたが私をここに呼んだの?」
「あぁ、そうだね。あのままだと何処に転移するか分からなかったからね。それともう一つきみに用があってね。」
「よう?」
「きみの身体には幾重にも強固な安全装置が掛かっている。龍の因子を上手く発動できないのも、発動したとしても身体に多大な負荷が掛かるのは、そのせいでもある。その領域に辿り着くまでには、もう暫く時間が掛かると思っていたんだが、私の予想に反してこんなに早く辿り着くとはね。」
アルテナはセリアに近づくと掌を彼女の胸に当てる。一瞬僅かに光るとアルテナは手を下ろす。
「これで安全装置の一つは外れた。」
「一つ?」
「そう、一つ。これだけは私自ら外す必要がある。以降は条件さへ満たせば自動的に外れていく。」
「条件って・・・。」
「それは自分で探すことだね。教えてもらったら面白みも半減だろっ。」
「そうねっ。」
口角をを上げ笑みを浮かべるアルテナに、セリアも僅かに笑みを浮かべる。
「そろそろ、行くわ。」
セリアは一言告げるとアルテナに背を向け歩き始める。
「ねぇ、セリア。」
霊廟の入り口付近でセリアを呼び止める声が静かに響く。振り返るセリアに向かってアルテナが一言発する。
「また来てくれるかな。私の話し相手になってよ。」
「いいわよっ。」
柔らかい笑顔で短く返すとセリア向き直り、霊廟を後にした。
◇◇◇◇◇◇
灯りを掲げても遠くまで見通せないほどに濃い闇が、辺り一帯を覆う。壁を伝い滴る水滴の音が、遠くから、真横から響き立体的な音響となって闇の中に広がっていく。
幽都回廊・ノクタルナの深層域は、歩む足音、微かな呼吸音が、その度に闇の中へ沈み異様な静けさを帯びていた。
先頭を進むのはヴェイン、アヤメ、そしてエリー。三人は互いの気配を感じ取りながら歩を進め、その後ろをテオドール、リュカ、フレイア、そして従魔たちが続く。アルジェントとメルディナはいまだに本調子では無いことから、冒険者たちの護衛も兼ねて最後尾につけている。
一行が階段を下りきった先は、人の心を蝕むような言葉にできない空気が辺りを覆う。微かに揺れる空気は、迷宮そのものが息をしているかのように思えた。
「・・・空気が変わったな。」
ヴェインから漏れる低い声に、全員が頷き自然と動きを緩める。
「・・・魔物の気配はないよ・・・。」
千里眼によるアヤメの視界には、深い闇によって姿を隠している全てが見えていた。幅広の通路が真っ直ぐに伸び、両脇には巨大な石柱が奥に向かって幾本にも渡り建っていた。
そして、一行の瞳には闇の最奥に淡い光が微かに滲み出ているのを捉えていた。
遅いながらもしっかりとした足取りで進む一行の前に、光の正体が輪郭をなして姿を見せる。周囲の闇と同様に黒く染まる両開きの巨大な扉。高さは十メートルを優に超え、見上げる者の息を奪うほどの質量と圧を放ちそこに存在していた。表面には無数の傷跡と、扉一面に広がる紋章が微かに輝き浮かび上がっていた。
巨大な扉を前にして誰も言葉を発さなかった。テオドールが手に持つ灯具の揺らめきが鎧を照らし、影が床を這うように扉へと伸びていく。
「さぁ、いよいよってわけねぇ。」
エリーは軽く肩を回し、軽くウィンクをすると扉に手をかける。エリーの身体からエーテルが迸り、腕に力が込められる。
その瞬間、エリーの掌を中心にエーテルが波紋のように扉の表面に広がっていく。そして、金属が軋みを上げ重く低い音を鳴らしながら、ゆっくりと扉が開きはじめる。それは、まるで地の奥で何かが低い唸り声を上げているようであった。
隙間から冷たく湿った風が吹き抜け、白い靄が流れ出す。それと同時に溢れ出た濃密なエーテルが一行の肌をなで上げた。
長い探索の果て、辿り着いた終点。一行はお互いに顔を見つめ静かに頷き合うと、扉の中へと揺るぎない一歩を踏み出す。
踏み出した瞬間、空気の質が変わった。外の冷たさとは違う濃密な空気が、肌に重く絡みつく。息を吸うたび、肺の奥まで湿り気が沈み込んでいく。灯具の灯りさえ吸い込まれるように掻き消えていく永久の闇。一行の姿が闇の中に完全に沈んだその時、事態は一変する。
闇そのものが胎動し、床一面に幾何学模様が奔りはじめ輝きはじめる。それは壁面へと伝わり、やがて天井へと流れ着く。無数の紋様が呼応するように輝き、息を吹き返したように部屋全体を一瞬で照らし出す。
浮かび上がったのは、直径は百メートルほどはあろうかという円形状の空間。黒い石壁には紋様が刻まれ、等間隔で石柱が配置されている。足元の床には、何重もの円環と線が組み合わさった巨大な幾何学模様。
「これはっ。」
息を呑み眼を見開くメルディナは、床に描かれた幾何学模様を焦りの表情を浮かべながら睨めつけた。
「みな・・・。」
メルディナの言葉を遮るように、突然男の声が辺り一帯に響き渡る。
「ようこそおいでくださいました。」
一行の前に黒い靄が出現すると、そこから一つの影が姿を見せる。闇を纏ったかのような黒衣、顔には血を想起させるような紅い仮面が収まっていた。
「何者だっ!」
目の前に現れた存在に、誰もがすぐには声を発せなかった。そんな中、ヴェインの怒号が沈黙を破った。
静寂を裂くヴェインの声に黒衣の男は小さく肩をすくめ、ゆっくりと顔を向けた。
「寂しいことを仰いますね。ヴェインさん。この迷宮、幽都回廊・ノクタルナに・・・一緒に入った仲じゃないですか。」
「一緒に・・・入った?」
「えぇ・・・。」
黒衣の男は短く答えると、仮面に手をかけた。外された紅い仮面の下からは、嗜虐に歪んだ顔が露わになった。口角が不自然に吊り上がり、妖しく異様な光が瞳に宿っている。
だが、その輪郭に、見覚えがあった。
その時、後方でひとりの冒険者が息を呑む。
「・・・お、お前・・・グレイヴじゃないかっ!」
その名が口にされた瞬間、驚きが冒険者の中に広がっていった。冒険者ギルドでは、穏やかで誰にでも気さくに接していた人物が、まるで別人のように自分たちを冷たく見つめているのだから。
ヴェインの脳裏にも、かすかにその名が蘇る。
幽都回廊・ノクタルナの探索に同行していたギルド職員の一人。そして迷宮の十階層の転移で行方不明となっていた職員であることを。
「・・・まさか、行方不明になっていたギルド職員が、ゾディアックに関わりがあるとはの・・・。」
メルディナが低く呟く。
黒衣の男は、ゆっくりと唇を歪めた。
「そういえば・・・行方不明、ということになっているんでしたね。それに・・・その名を口にするとは、何者ですか、あなた方は・・・。」
一切の感情が感じられないその声に、冒険者の一人が声をあえげる。
「グレイヴ、いったいどうしたんだっ。気さくで誰に対しても優しかったあんたがっ。」
その叫びに、黒衣の男は小さく首を傾げ、静かな笑い声がこぼれる。低く、乾いた歪な音と共に人を人と見ていない眼差しが冒険者たちを射貫く。
「気さく? 優しかった? あぁ、確かに・・・そんな役を演じていましたね。計画を進めるために、冒険者ギルドに潜り込んでいただけです。」
心の温度が一片も感じられない言葉に、その場にいた全員が息を呑んだ。
黒衣の男はわずかに笑みを深め、さらに言葉を続ける。
「死にゆく者に名乗る必要もないのですが・・・冥土の土産に教えて差し上げましょう。」
胸に手を当て、ゆっくりと頭を垂れた。
「私の名はネゼル。嘆哭者を統べる管理者の一人。」
その言葉と同時に、周囲の空気が妖しく揺れ動く。そして、足元の床に刻まれた幾何学模様が淡く光を帯び、波紋のように部屋全体へ広がっていく。
同時に、この広大な空間を満たしていた濃密なエーテルが、不可思議な挙動を見せ始める。
「そちらのお嬢さんは、今から起こることが分かっていたようですが・・・。」
ネゼルはメルディナに視線を向けると、愉悦混じりの歪んだ笑みを見せる。
「ですが・・・もう遅いです。」
ネゼルのその言葉が示すとおり、数人の冒険者に異変が生じた。突如苦しみ出すと、身体が肥大化しはじめる。身に付けていた鎧が弾け、その姿を魔物へと変貌していく。
「まずいのじゃっ。ヴェイン、アヤメ。ラクス、直ぐに結界を張るのじゃ。」
メルディナの言葉に反応した二人が、魔物へと変異した冒険者を即座に切り捨てる。そして、ラクスも即座に周囲に結界を展開する。
「お前らっ、何をするんだっ。」
仲間を殺された冒険者たちが、アヤメとヴェインへと詰め寄る。それを制するようにメルディナが口を開く。
「生かしおけば、おぬしらは殺されていたのじゃ。そやつらは、もう人ではない。魔物なのじゃ。」
「いったい何が起こったんだっ。」
魔物へと変貌した仲間の死体を見つめながら、叫ぶ冒険者にメルディナが一言短く放つ。
「魔素なのじゃっ。」
「ま、そ・・・?」
聞き慣れない言葉に冒険者が困惑していると、ネゼルが横から口を挟む。
「ほぉ、魔素のことを知っているとは、中々に博識ですね。お嬢さん。」
「その辺りのことは、一通り研究したのじゃ。」
メルディナの言葉に、ネゼルの瞳がわずかに揺れた。いままで無機質だった瞳の奥に、かすかに浮かぶ不気味なほど鮮やかな愉悦の色。それは新しい玩具に興味を抱く子供ようで、ここに来て初めて見せるネゼルの一瞬の変化。
「ほぅ、そうでしたか。素晴らしいっ。では、お嬢さんの博識に免じて・・・みなさんの寿命を少し延ばしてして差し上げましょう。もう既に死んだ方もいらっしゃいますが・・・。」
知識欲が掻き立てられたのか、ネゼルの瞳に熱が籠もる。そして、それが表情にも表れる。
「大気中・・・いや、この世界のあらゆるところ、あらゆる物に存在し、みなさんが普段何気なく使っている、このエーテル。」
ネゼルはゆるやかに手を広げ、指先で空気を掬うように動かした。
「その内、みなさんの肉体を通して使用している物は、正確に言えばエーテルではありません。正確には・・・魔素と呼ばれる物です。」
わずかに首を傾げ、唇の端を上げる。その仕草は講義ではなく、見せつけるための演技のようだった。
「エーテルは・・・そうですね、変わりやすく例えるなら極性を持たない状態。つまり、中性です。」
目を細め、まるで自分の言葉に酔うように一歩前へと出るネゼル。
「では、魔素はというと・・・プラスとマイナスに極性を持ちます。」
冷ややかな視線を一行へ流すと、淡く笑みを浮かべて続けた。
「そしてプラスとマイナスの魔素、そしてエーテルには、性質的な違いが殆どありません。」
そこで一拍置き、自分の目の前に立つ者たちに一瞥を送る。
「人や自然界の動植物が大気中のエーテルを取り込むと、体内でプラス極性をおびた魔素へと変換されます。」
言葉を区切るたびに、手がわずかに宙をなぞる。
「これが魔物の場合は、マイナス極性をおびた魔素へと変換されます。」
瞳の奥に愉悦の光が微かに揺れる。
「この三つの内、マイナス極性のみに存在する特性があります。勘の良い方は・・・もう、お分かりかもしれませんが・・・。」
冷たく横たわっている死体を一瞥しながら、ネゼルは愉快そうな表情を浮かべる。
「そう・・・魔物化です。マイナス極性の魔素、ここではこれを魔素と定義しましょう。魔素にさらされ続けると動植物が魔物に変異するのは、かなり昔から分かっていました。ですが・・・より高濃度の魔素環境下では・・・人ですら魔物に変異する。」
感情を露わにし、次第に狂喜の色が混じりはじめるネゼル。
「なんと、素晴らしいのでしょう。人の新たな可能性。みなさんもその可能性を享受してくださいっ。」
声高らかに叫ぶネゼルの声に呼応するかのように、床に描かれた幾何学模様がいっそう輝きはじめる。周囲のエーテルが急激に魔素へと変換され、冒険者たちが苦しみ始める。
「そうそう、一つ言い忘れていましたが・・・。」
愉悦の笑みを浮かべたまま、ネゼルは指を鳴らす。
「人が魔物へと変貌する要素の一つとして感情があります。妬み、嫉み、僻み、そして自己を否定する負の感情が大きければ大きいほど、堕ち易いっ。」
狂気の熱を孕んだ声が、部屋の隅々まで響き渡る。
「さぁ踊りなさいっ、私の掌の上でっ。」
苦しみ悶える冒険者たちを庭園メンバーとエリーは、ただ眺めることしかできなかった。妖しく輝く瞳、嗜虐と愉悦に塗れ歪んだ表情を浮かべながら、その様子を見つめるネゼル。
光が最高潮に達したようとしたその瞬間、床に刻まれた幾何学模様が破裂するように弾けた。音もなく、輝きが一瞬にして霧散していく。空間自体が呼吸を止め、重力が裏返ったような静寂が刹那の時を永遠にも感じさせた。
「・・・なっ・・・ば、馬鹿なっ!」
裏声混じりのネゼルの絶叫が木霊する中、それを覆い尽くすように肌を刺すような圧が空間を支配しはじめる。
それは殺気、純然たる殺意が物理となってネゼルへと降り注ぐ。降り注ぐ重圧に全身の筋肉が拒絶するように軋み、呼吸すら奪われていく。
存在そのものを拒絶するかのような圧力に屈し、膝をつくネゼル。
「こ、の・・・圧・・・人のもの、では・・・。」
次の瞬間、虚空が揺らめき、幾重もの殺気をローブを着込むように纏い、静かに降り立つ影。
「・・・誰だ?」
ネゼルの声は震えていた。そして、震えていることさえ、ネゼルは自覚できていなかった。
ネゼルのその問いに対して、答えは何もない。ただ、長い沈黙ののち、石畳を叩く音が一歩、また一歩と響き渡る。その音を聞いた瞬間、庭園の面々は理解した。
この空間の支配者が、完全に入れ替わったことを。
誤字・脱字等ありましたら、よろしくお願い致します。
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