【プロット】忘却の鏡1
霧深い街の片隅に、古びた鏡店「忘却堂」があった。
店主の老人は、その名の通り、人々の記憶を映し出す不思議な鏡を扱っていた。
ある日、過去の記憶を失った青年、レンが店を訪れる。
「私は...一体誰なんだ?」
老人は何も言わず、奥から埃を被った古い鏡を持ってきた。
鏡に触れた瞬間、レンの脳裏に断片的な映像が流れ込む。幼い頃の風景、温かい家族の記憶、そして、何かを探し求める自分の姿。
鏡に映る過去の自分は、今の自分とは別人のようだった。
しかし、その瞳の奥には、確かに自分が失くしてしまった「何か」が宿っていた。
レンは鏡の中に、忘れてしまった過去と、探していた「何か」を見いだす。
「これは...僕の記憶なのか?」
老人は静かに頷いた。
「鏡は、忘却の彼方にある真実を映し出す。
しかし、見る者が真実を受け入れる覚悟を持たなければ、鏡は何も映さない」
レンは鏡に映る過去の自分と向き合い、失われた記憶を辿り始める。
記憶を辿るうちに、レンは自分が「記憶を操る力」を持つ一族の末裔であり、その力が原因で記憶を失ったことを知る。
過去の自分は、その力を悪用しようとする組織に追われ、逃亡生活を送っていた。
そして、組織から逃れるために、自ら記憶を封印したのだ。
「僕が探していたのは...この力なのか?」
レンは鏡に映る過去の自分に問いかける。