【プロット】星の海に消える君へ
宇宙ステーション「プロメテウス」の展望デッキ。
そこは、無限に広がる星の海を独り占めできる、僕たちの特別な場所だった。
目の前には地球の青い光が静かに輝き、無数の星々が宝石のように散りばめられている。
「本当に、行っちゃうんだね ……」
僕は、隣に立つ君に話しかけた。
君は、何も言わずにただ、その美しい景色を見つめていた。
君の瞳には星の光が映り込み、まるで瞳の中に宇宙が広がっているようだった。
僕たちは、この「プロメテウス」で出会い、共に過ごした。
重力のない空間での生活、実験の成功、失敗、そして星空の下での語らい。
数えきれないほどの思い出が、僕たちの間にはあった。
「うん ……」
ようやく、君はそう呟いた。
その声は、重力のない空間に溶け込み、まるで遠くから聞こえてくるようだった。
「君がいない宇宙ステーションなんて ……」
言葉が続かなかった。
君が地球へと帰還することは、ずっと前から決まっていた。
けれど、いざその時が来ると、どうしようもなく寂しさがこみ上げてきた。
「大丈夫、私たちは繋がっている」
君はそう言いながら、僕の手を握った。
その手は冷たく、小さかった。
「この星空の下で、私たちは同じ星を見ている。
たとえ、離れていても、私たちは繋がっているんだよ」
君の言葉は、僕の心に深く響いた。
そうだ僕たちは、この広大な宇宙の下で、同じ星を見ている。
物理的な距離は離れていても、心は繋がっている。
「ありがとう ……」
僕はそう呟き、君の手を握り返した。
「さよなら、そして、また会おう」
君は、そう言い残し、ハッチへと向かった。
僕はその背中を、ただ見送ることしかできなかった。
ハッチが閉じ、君の姿が見えなくなった時、僕はようやく、君と永遠に別れてしまったことを悟った。
展望デッキに、僕一人だけが残された。
目の前には、変わらず美しい星の海が広がっている。
僕はその星空を見上げ、君との思い出を胸に刻み込んだ。
「また、会おう ……」
僕はそう呟き、宇宙ステーションの窓から、遠ざかる君の乗った宇宙船を見送った。
宇宙船は星の海に溶け込み、やがて、小さな光となり、消えていった。
僕は一人、展望デッキに立ち尽くし、永遠に続く星の海を見つめていた。
僕たちの物語は、ここで終わりを迎えた。
けれど君との思い出は、僕の心の中で永遠に輝き続けるだろう。
そしていつか、またこの星空の下で君と再会できることを信じて、僕は前を向いて歩き出す。