【プロット】やばい贈り物
その日、俺の部屋に届いたのは、差出人不明の小包だった。
好奇心に駆られて開けてみると、中には真っ赤なリンゴが一つ。
完璧な球体を描き、蜜のように甘い香りを放つリンゴは、まるで禁断の果実のようだった。
その美しさに魅了された俺は、衝動的にリンゴを口にした。
噛み締めた瞬間、口の中に広がる甘さと酸味、そして何とも言えない幸福感。
それは今まで味わったことのない、強烈な快感だった。
しかし、その快感は長くは続かなかった。
リンゴを食べた直後から、俺の体に異変が現れ始めたのだ。
まず、異常なほどの倦怠感に襲われ、体が鉛のように重くなった。
そして、食欲が異常に増し、一日中食べ続けていないと気が済まなくなった。
さらに、奇妙な幻覚が見えるようになった。
誰もいないはずの場所に人の気配を感じたり、壁に人の顔が浮かび上がったり。最初は気のせいだと思っていたが、日に日に幻覚は鮮明になり、俺の精神を蝕んでいった。
異変に気付いた俺は、医者に相談したが、原因は不明だった。
医者は「ストレスによる精神的なものだろう」と診断したが、俺には全く心当たりがなかった。
それどころか、リンゴの呪いは日に日に強まっていくばかりだった。
幻覚はますます酷くなり、今では現実と区別がつかないほどになった。
食欲は底なし沼のように増大し、一日中食べ続けても満腹感を得られなくなった。
そして、ついに俺は人間ではなくなってしまった。
ある朝、目覚めると、俺の体は異様なほど膨れ上がっていた。
手足は太く短くなり、顔は醜く歪んでいた。
鏡に映る姿は、まるで化け物だった。
絶望に打ちひしがれる俺に、さらなる悲劇が襲いかかる。
食欲に操られた俺は、目の前にいた飼い猫を捕食してしまったのだ。
猫の悲鳴が耳に響く中、俺は自分の行いに震え上がった。
しかし、次の瞬間には再び食欲が湧き上がり、今度は何を食べようかと考えていた。
完全に狂ってしまった俺は、街を彷徨い歩き人間を襲い始めた。
食欲を満たすためだけに、人を殺し貪り食う。
もはや、俺に理性は残っていなかった。
あるのは、リンゴの呪いと、止めどない食欲だけだった。
そして、ついに俺は警察に捕まり、射殺された。
俺の死後、警察は俺の部屋から例のリンゴを発見した。
調べによると、そのリンゴは特殊な薬品で加工されており、食べた者に狂気と食欲を植え付ける効果があった。
犯人は未だに見つかっていない。
しかし、リンゴの呪いは、まだ終わっていない。
リンゴを食べた者は、やがて狂気に染まり、人を襲うようになる。
そして、最後は破滅を迎える。
この恐ろしい呪いは、一体どこから来たのだろうか?
そして、誰が何のために、こんな悪魔のようなリンゴを作ったのだろうか?
謎は深まるばかりである。