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【プロット】野蛮な患者が、赤ん坊の部屋に入っていく

 ギラつく目をした男は、対角線から突っこんできた相手に飛び膝蹴りを見舞った。

 勝負は一瞬だった。

 前評判では五分五分と言われたが、蓋を開けてみれば試合にならない。

 要するに、戦いは度胸である。

 相手がカッカしているときでも冷静に状況判断する度胸が勝敗を決するのだ。

 俊也は本番に強いファイターである。

 リングから降りても変わらなかった。

 いつも乾いた心を持て余し、街を彷徨(さまよ)う。

 そんな彼も病には勝てなかった。

 偏食が祟り、心筋梗塞で倒れた。

 体力が10分の1ほどまで落ちた。

 階段を上ると息切れする身体になって、弱者の気持ちを知った。

 退院して、親友の正彦の家へ遊びに行く。

 部屋の隅に赤ん坊がいて、すやすやと眠っていた。

「いつ生まれたんだ?」

「お前が倒れた日だよ」

 まるで自分の生気を吸って生きているように見えた。

「ちょっと買い物をして来てもいいか」

 答えを聞かずに、出かけてしまった。

 後には赤ん坊の微かな寝息だけが残った。


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