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【プロット】白銀の夜明け

凍えるような寒さが支配する冬の雪山。

標高3000メートルを超える峻険な峰々に囲まれた、人里離れた山小屋に、一人の男が息を潜めていた。

男の名は、北沢健。

彼は、かつてこの山で遭難した登山家の息子であり、父の死の真相を探るために、単独でこの山に挑んでいた。

健は、数日前からこの山小屋に滞在し、父の残した日記を頼りに、遭難現場の手がかりを探していた。

日記には、父が発見したという「氷の洞窟」の記述があった。

健は、その洞窟に父の死の真相が隠されていると信じていた。

吹雪が猛威を振るう中、健はついに洞窟を発見する。

洞窟の入り口は、巨大な氷柱で塞がれており、内部は真っ暗闇だった。

ヘッドランプの明かりを頼りに、健は慎重に洞窟の中へと進んでいく。

洞窟の奥深くへと進むにつれて、空気は冷え込み、息をするのも苦しくなってくる。

しかし、健は足を止めることなく、前進を続けた。

そして、ついに洞窟の最深部に辿り着いた。

そこにあったのは、巨大な氷の結晶で覆われた空間だった。

結晶は、まるで生きているかのように、青白い光を放っていた。

そして、その空間の中央には、氷漬けになった父の遺体が安置されていた。

父の遺体と対面した健は、言葉を失った。

その時、背後から声が聞こえた。

「やっと会えたな、健」

振り返ると、そこには見覚えのない男が立っていた。

男は、にやりと笑うと、こう言った。

「私は、君の父を殺した」

男は、父の登山仲間であり、父の発見した貴重な鉱石を奪うために、彼を殺害したのだった。

男は、健にも襲いかかろうとする。

健は、必死に抵抗するが、男は体格も力も健を上回っていた。

追い詰められた健は、咄嗟(とっさ)に洞窟の壁に手をかけると、巨大な氷柱を男めがけて突き落とした。

氷柱は、男を押しつぶし、洞窟の奥底へと消えていった。

男を倒した健は、父の遺体を抱きしめ、洞窟を後にした。

夜が明け、東の空が白み始めた。

雪が止み、雲の切れ間から太陽の光が差し込んできた。

山々が、朝日に照らされ、黄金色に輝いている。

健は、山頂に立ち、朝日を浴びながら、父の死の真相を知ったこと、そして、犯人を倒したことを報告した。

「お父さん、これでやっと安らかに眠れます」

健の目から、涙がこぼれ落ちた。

それは、悲しみの涙ではなく、解放の涙だった。


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