【プロット】冬の朝の出来事
冬の朝、まだ薄暗い空の下、高校生の悠人は重たい足取りで家を出た。
吐く息は白く、冷たい空気が肺に染み渡る。
昨日は親友の健太と些細なことで喧嘩をしてしまい、気分はどんよりと沈んでいた。
悠人は、健太とバスケットボール部で共に汗を流す日々を過ごしてきた。互いに競い合い、励まし合い、時にはぶつかり合いながらも、強い絆で結ばれていたはずだった。
しかし、昨日の喧嘩で、その絆が脆く崩れ去ってしまったような気がして、悠人は深い喪失感に苛まれていた。
学校に着くと、いつも通りの風景が広がっていた。
しかし、悠人の目には、何もかもが色褪せて映る。
教室に入ると、健太は既に来ていて、窓際で一人、何か考え事をしているようだった。
悠人は、声をかけようか迷ったが、昨日の喧嘩のことが頭をよぎり、足が竦んでしまう。
授業が始まり、先生の声が教室に響く。
しかし、悠人は集中することができない。
健太のことが気になって仕方がない。
時折、健太と目が合うこともあったが、すぐに視線を逸らされてしまう。
悠人は、自分のしてしまったことを後悔し始めた。
昼休み、悠人は一人、屋上に上がった。
冷たい風が吹き荒れる中、悠人は遠くの地平線を眺めていた。
雪を被った山々が、朝日に照らされて輝いている。
その美しさに、悠人は心を奪われた。
その時、背後から声が聞こえた。
「悠人、昨日は悪かった」
振り向くと、そこには健太が立っていた。
健太の目には、謝罪の気持ちが溢れていた。
「俺も悪かった。
言い過ぎた」
悠人は、素直な気持ちを口にした。
二人は、しっかりと握手を交わし、昨日の喧嘩は水に流された。
屋上からの景色は、さっきよりもずっと美しく見えた。
雪山の頂上は、まるで二人の未来を照らしているようだった。
悠人は、健太と和解できた喜びと、自分の未熟さを反省する気持ちで胸がいっぱいになった。
教室に戻ると、健太はいつものように明るく振る舞っていた。
悠人は、そんな健太の姿を見て、安堵すると同時に、自分も変わらなければいけないと強く思った。
冬の朝、悠人は大切な友人を失いかけた。
しかし、その経験を通して、悠人は心の成長を遂げた。
そして、健太との友情を、さらに深めていくだろう。
冬の朝、雪山の頂上で輝いていた朝日が、悠人の心の成長を優しく見守っていた。