【プロット】白銀の追跡者
冬の朝、街は深い静寂に包まれていた。
霜降り枯れ木が立ち並ぶ公園に、白い息を吐きながら一人の男が立っていた。
男の名は黒木。
鋭い眼光と鍛え上げられた体躯を持つ、凄腕の刑事だ。
黒木は、昨夜発生した殺人事件の現場検証に来ていた。
被害者はこの公園のベンチで発見され、死因は心臓を一突きにされたことによる失血死だった。
冬の澄み切った空気の中、血の匂いだけが異様に生々しかった。
「犯人はプロだな」
黒木は呟いた。
傷口の正確さ、周囲に痕跡を残さない手口、全てがそう物語っていた。
その時、黒木の携帯電話が鳴った。
「黒木です」
「おい、黒木! 今すぐ署に戻ってこい!
緊急事態だ!」
署長の緊迫した声が響く。
「一体何が」
黒木が聞き返そうとした瞬間、背後から鋭い殺気が迫った。
「!!」
黒木は咄嗟に身を翻し、襲いかかってきた男の攻撃をかわす。
男は黒木の顔を見るなり、ニヤリと笑った。
「お前が黒木か。
俺がお前を殺しに来た」
男は素早くナイフを抜き取り、黒木に襲いかかる。
黒木は鍛え抜かれた体で攻撃をかわし、反撃に出る。
二人の格闘は、静寂に包まれた公園に激しく響き渡った。
男の動きは俊敏で、まるで獣のようだった。
黒木は相手の攻撃をかわしながら、隙を伺う。
だが、男は全く隙を見せない。
「なかなかやるな」
男は冷酷な目で黒木を見据えた。
「だが、俺はお前を殺すまでは止まらない」
男は再びナイフを振りかざし、黒木に襲いかかる。
黒木は地面に転がり、間一髪攻撃をかわした。
その時、黒木の脳裏に、ある重要な情報が蘇った。
「(こいつ、 昨日の事件の犯人だ!)」
黒木は男の攻撃をかわしながら、隙を見て反撃に出る。
二人の戦いは激しさを増し、公園の雪を赤く染めていく。
「なぜ… なぜこんなことをするんだ!」
黒木は叫んだ。
男はニヤリと笑い、答えた。
「復讐だ。
お前たちに奪われたものの」
男の言葉に、黒木は衝撃を受ける。
男は過去の事件で、黒木たちが逮捕した犯罪組織の残党だったのだ。
「お前たちは。
俺の全てを奪った」
男の目は憎悪に燃えていた。
黒木は男の怒りを感じながらも、冷静さを失わなかった。
「過去は変えられない。
だが、未来は変えられる」
黒木は男の攻撃をかわし、渾身の力で反撃に出る。
男は黒木の攻撃を受け、地面に倒れ込んだ。
「ぐっ」
男は苦痛に顔を歪めた。
黒木は男に手錠をかけ、静かに言った。
「もう終わりだ」
男は抵抗することなく、逮捕を受け入れた。
冬の朝、公園に再び静寂が訪れた。雪の上に赤く染まった血痕だけが、激しい戦いの証として残っていた。
黒木は、朝日が昇り始める空を見上げながら、深く息を吸い込んだ。
事件は解決したが、黒木の心には深い傷が残った。
「復讐… 憎しみ。
それは決して何も生まない」
黒木は静かに呟いた。
凍てつく空の下、黒木は新たな決意を胸に、署へと向かった。