【プロット】会議室の守銭奴
重厚な扉の向こう側、白木のテーブルに高級な革張りの椅子が並ぶ会議室。
窓の外には東京の摩天楼が広がり、その景色を睥睨するように、新卒の男――五十嵐は座っていた。
まだ初々しさが残る顔立ちだが、その瞳はギラギラと輝き、まるで獲物を狙う獣のよう。
同期入社の社員たちが談笑する中、五十嵐は一人、テーブルに置かれた資料に目を走らせていた。
それは、新規事業の企画書だった。
「ふーん、なるほどね」
五十嵐は呟き、薄ら笑いを浮かべた。
資料の内容は、社会貢献を目的としたボランティア活動支援アプリの開発。
若者を中心に社会貢献への意識を高め、地域活性化に繋げるという、一見、理想的な企画だった。
しかし、五十嵐の目には、この企画は「金儲けのチャンス」に映っていた。
「社会貢献?
綺麗事だな。結局は、金になるかどうかだ」
五十嵐は、大学時代から株やFXに精通し、学生でありながら膨大な財産
を稼いでいた。
彼にとって、お金は人生の全てであり、成功の証だった。
「このアプリ、うまくいけば莫大な利益を生み出すぞ」
五十嵐は、頭の中で計算を始めた。
アプリの利用者数、広告収入、将来的な株式上場。
数字が彼の脳裏を駆け巡り、興奮を抑えきれない様子だった。
会議が始まり、他の同期たちが次々と意見を述べていく。
「アプリのデザインは、若者受けするようなポップなものがいいと思います!」
「ボランティア活動の検索機能は、地域や活動内容で絞り込めるようにしたらどうでしょうか?」
彼らの意見は、アプリの使いやすさや社会貢献への意識向上といった点に集中していた。
しかし、五十嵐は違った。
「あの、収益化の計画はどうなっているんでしょうか?」
五十嵐の質問に、会議室は静まり返った。
他の同期たちは、戸惑いを隠せない様子だった。
「えっと、収益については、まだ具体的には」
企画担当の先輩が、しどろもどろに答える。
「まだ?!」
五十嵐の声が、会議室に響き渡った。
「社会貢献もいいですが、会社は慈善事業ではありません。
利益を上げなければ、存続できませんよ!」
五十嵐の言葉に、先輩社員たちは顔をしかめた。
しかし、彼の言葉は正論だった。
「確かに、五十嵐君の言う通りだ。
収益化の計画は、早急に検討する必要がある」
部長が、冷静に発言した。
「では、私が収益化のプランを作成します」
五十嵐は、自信満々に手を挙げた。
「私に任せていただければ、必ずやこのアプリを成功させ、会社に莫大な利益をもたらします」
その言葉に、会議室の空気は一変した。
「こいつ…、ただの守銭奴じゃないか」
同期たちの視線は、冷たいものへと変わっていた。
しかし、五十嵐は意に介さなかった。
「金こそが、全てだ」
五十嵐は、心の中で呟いた。
彼の目は、すでに未来の成功を見据えていた。
こうして、五十嵐は新規事業の収益化計画を任されることになった。
彼の行動は、会社に利益をもたらすのか、それとも!?