【プロット】未来へ
冷たい風が頬を刺す冬の夜、僕は約束の場所へと向かっていた。
そこは、街外れの小さな公園。古びたブランコと滑り台、そして砂場があるだけの、どこにでもあるような公園だ。
だが、僕にとってこの場所は特別な意味を持っていた。
10年前、幼馴染の少女、アヤとここで将来の夢を語り合った場所なのだ。
アヤは、世界中を旅する写真家になるのが夢だった。
僕も、そんなアヤと一緒に世界を旅したいと、漠然とだが思っていた。
しかし、中学を卒業する直前、アヤは突然、父親の仕事の都合で海外へ引っ越すことになった。アヤとの別れは辛かった。
それでも僕たちは、10年後の今日、この場所で再び会う約束をしたのだ。
あれから10年。
僕は大学を卒業し、今は小さな会社で働いている。
アヤとの約束の日を指折り数えながら、忙しい日々を過ごしてきた。
公園に着くと、懐かしい風景が広がっていた。
ブランコも滑り台も、あの頃と変わらない姿でそこにあった。
だが、アヤの姿は見当たらない。
時計を見ると、約束の時間をすでに10分過ぎていた。
もしかしたら、アヤは来ないのかもしれない。
そんな不安が頭をよぎる。
その時、背後から懐かしい声が聞こえた。
「ユウキ!」
振り返ると、そこにアヤが立っていた。
10年の歳月を経て、少女だったアヤは美しい女性へと成長していた。
「アヤ!」
僕は駆け寄り、アヤを抱きしめた。
アヤも僕を抱きしめ返してくれた。
「会いたかった ───」
アヤはそう呟くと、僕の目を見つめた。
「ユウキ、覚えてる?
私たち、ここで将来の夢を語り合ったよね」
「ああ、覚えているよ」
「私は、世界中を旅する写真家になるのが夢だった。
そして、ユウキと一緒に世界を旅したいと思ってた」
アヤはバッグからカメラを取り出した。
「見て、ユウキ。
これが、私が旅した世界の記録だよ」
アヤは、世界中の美しい風景を写真に収めていた。
エジプトのピラミッド、フランスのエッフェル塔、アメリカのグランドキャニオン ───
「すごい ───」
僕は、アヤの写真に見入った。
「ユウキ、私は夢を叶えたよ。
でも、まだ半分しか叶っていないんだ」
アヤは真剣な表情で言った。
「ユウキと一緒に世界を旅するまでは、私の夢は完結しない」
アヤの言葉に、僕は胸が熱くなった。
「アヤ、僕も ───」
僕は、アヤの手を握りしめた。
「僕も、アヤと一緒に世界を旅したい」
10年前の約束の場所で、僕たちは新たな約束を交わした。
それは、これから始まる新しい旅の約束だった。